日本小児循環器学会雑誌
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29 巻 , 4 号
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巻頭言
Reviews
  • 藤澤 知雄, 田中 靖彦
    29 巻 (2013) 4 号 p. 162-170
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル オープンアクセス
    Fontan 術は機能心室が一つしかない先天性心疾患群に対して,上・下大静脈を肺動脈にバイパスする機能的修復術であり,難治性の先天性心疾患患児に対して画期的な手術法として確立された.しかし,術後の遠隔期にFontan循環に起因する多臓器にわたる合併症がみられることがあり,その予防や対策が重要な課題になっている.この合併症のなかで,最近になり肝線維症,肝硬変,肝細胞がんなどの肝合併症に関する報告が増加している.筆者らは主に静岡県立こども病院においてFontan 術後の肝合併症を診療しているが,当初は肝合併症はトランスアミナーゼなどの通常の肝機能検査は基準値以内なのでスクリーニングが困難であることを知った.しかし,ヒアルロン酸,IV型コラーゲン,プロコラーゲンIII ペプタイドなどの血清線維化マーカーが高値になることが多く,それが肝合併症の診断の端緒となった.また肝線維症と肝硬変の鑑別も容易ではないが,肝超音波検査あるいは肝造影CT が有用であることを知った.一般的にFontan 循環による肝合併症に関しては,その頻度,肝線維化のメカニズム,診断,予後,治療などに関してまだ不明な点が多い.そこで本稿ではFontan 術後の肝合併症に関して,術後の肝循環の特徴,発生機序,対策などについて述べる.
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原著
  • 木戸 高志, 西垣 恭一, 川平 洋一, 前畠 慶人, 村上 洋介, 江原 英治, 鈴木 嗣敏, 小澤 有希, 平野 恭悠
    29 巻 (2013) 4 号 p. 171-175
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:当センターでは,複雑心奇形を合併する大動脈縮窄,大動脈弓離断(CoA/IAA)に対し,新生児期の人工心肺を回避する目的で,初回手術で側開胸下に拡大大動脈弓吻合法による大動脈弓再建(EEDA)と肺動脈絞扼術(PAB)を行う段階的修復を基本方針とし,低体重,大動脈弓低形成を認める症例に対しては両側肺動脈絞扼術(BPAB)を先行させた段階的修復を施行してきた.
    対象・方法:対象は,1996~2009年に当科で外科治療を施行したCoA/IAA全77例中,simple CoA,VSDを除く複雑心奇形の合併を認めた17例.初回手術で人工心肺を使用せず側開胸下に拡大大動脈弓吻合法によるEEDAとPAB,またはBPABを行う段階的修復を施行し,その成績を検討した.
    結果:17例中10例に単心室修復,7例に二心室修復を施行した.単心室群の初回手術は,8例に側開胸下のEEDA,PABを施行し,2例にBPABを施行した.全例耐術し,現在までに10例中8例はFontan手術に到達し,2例はGlenn術後でFontan手術待機中である.二心室群の初回手術は,5例に側開胸下のEEDA,PABを施行し,2例にBPABを施行した.全例心内修復術に到達した.5例は生存中で,2例に手術死亡例を認めた.経過中に大動脈弁下狭窄(SAS)に対するDamus-kaye-Stanse(l DKS)またはmyectomyを8例で施行した.大動脈再建後の再狭窄に対するPTAを3例で施行した.
    結論:複雑心奇形を伴うCoA/IAAに対する初回手術で,人工心肺を使用せず側開胸下に拡大大動脈弓吻合法によるEEDAとPABを行う段階的修復は,経過中にSASなどに対する外科治療を要したが,概ね良好な成績であった.また,低体重,大動脈弓低形成の症例に対してはBPABを先行させた段階的修復が有効と思われた.
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  • 富田 英, 小林 俊樹, 大月 審一, 矢崎 諭, 金 成海
    29 巻 (2013) 4 号 p. 178-181
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:日本Pediatric Interventional Cardiology学会(JPIC)のアンケート調査によれば,80例前後に対しStatic Balloon Atrial Septostomy(static BAS)が行われていると推測されるが,本法に用いるバルーンカテーテルは適応外であり,static BASとしての手技料も設定されていない.Static BASの手技料や適応取得のための基礎資料を得るため,わが国における実態調査を行った.
    方法:2009年1月1日~2011年12月31日の症例についてJPICの幹事が所属する33施設に対してアンケート調査を行った.
    結果:33施設中27施設から回答があり,このうち症例があった19施設中18施設から,延べ111例について以下の回答を得た.①年齢は28日以内45例(中央値7日),1~11ヵ月60例(2ヵ月),1歳以上6例(15歳).②診断は左心系閉塞性疾患55例,大血管転位31例,右室低形成疾患20例,その他5例.③適応は第一選択73例,Rashkind無効35例,その他3例.④バルーンの種類はすべてが弁形成用または血管形成用バルーンで,36例(32%)ではstatic BAS後にRashkind法を追加.⑤バルーン径は12mm,10mmの順.⑥有効率は85%(94/111)で,合併症を認めたのは5例,死亡例はなし.
    結論:Static BASは有効性・安全性とも高く,一般的な治療手技として認知されているものと考えられた.
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症例報告
  • 福岡 正隆, 吉田 葉子, 岸本 慎太郎, 鈴木 嗣敏, 藤野 光洋, 平野 恭悠, 小澤 有希, 江原 英治, 村上 洋介, 中村 好秀
    29 巻 (2013) 4 号 p. 183-190
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル オープンアクセス
    患者は特記すべき既往歴・家族歴のない10歳男児で,運動時の失神を主訴に受診した.トレッドミル運動負荷心電図検査では上室頻拍と多形性心室期外収縮が誘発され,ホルター心電図検査では多形性心室頻拍が記録され,カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)と診断.遺伝子検査で筋小胞体カルシウム放出チャネルの心臓リアノジン受容体遺伝子(RyR2)に既報のミスセンス変異が同定された.運動制限の後,プロプラノロール(3mg/kg/ 日)とフレカイニド(100mg/m2/ 日)の併用を開始,プロプラノロールは著しい徐脈のため減量(2mg/kg/ 日),フレカイニドは段階的に増量した(最終投与量150mg/m2/ 日).治療により上室不整脈は消失し,フレカイニドは用量依存性に心室不整脈を抑制した.治療開始後1年の経過観察期間で失神の再発はない.
    フレカイニドはナトリウムチャネル遮断作用に加え,心臓リアノジン受容体への直接作用を有し,細胞内カルシウム過負荷による撃発活動を抑制する薬剤である.フレカイニドはβ遮断薬との併用によりCPVT 治療において重要な役割を果たすと考えられた.
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  • 服部 滋, 吉積 功, 川畑 拓也, 新井 禎彦, 笠原 真悟, 佐野 俊二
    29 巻 (2013) 4 号 p. 194-199
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル オープンアクセス
    先天性心室瘤は頻度が低く,なかでも右室に発生するものは極めて稀である.またその予後は非常に悪く,瘤破裂や突然死の可能性もある.本症例は,出生後の心エコーで右室心尖部の瘤状変化を指摘された.無症候性であったため外来観察とされたが,経過中に瘤状構造物の拡大を認めたため生後6 ヵ月時に手術を施行した.術後の病理学的検査で心室瘤であることが確定された.われわれは無症候性の先天性右室瘤に対して慎重に経過観察を続けたことにより,早期に瘤の拡大傾向を発見し,致死的合併症が出現する前に手術へと移行し良好な結果を得た.
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  • 山本 裕介, 保科 俊之, 篠原 玄, 野村 耕司, 藤本 義隆, 斉藤 千徳, 菅本 健司, 菱谷 隆, 星野 健司, 小川 潔, 余川 ...
    29 巻 (2013) 4 号 p. 200-203
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,小児開心術後の縦隔洞炎に対する持続陰圧吸引療法(Negative Pressure Wound Therapy:NPWT)が一般化しつつあるが,組織の脆弱性を伴う症例についてはその適用は難しく,従来型の洗浄処置を選択せざるを得ない.われわれは,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染による高度の組織破壊を来した開心術後縦隔洞炎で,生理食塩水洗浄とカルボキシメチルセルロース銀(アクアセル®Ag)充填による処置の継続が奏効し,閉創に至った乳児の1 症例を経験した.本法は,アクアセル®Ag の高い吸水性とAg イオン放出による抗菌効果から,創内の持続的なドレナージと創感染のコントロールが期待でき,組織の脆弱性などでNPWT が適用できない症例に対する保存的治療法の一つになりうるものと考えられた.
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  • 安東 勇介, 深江 宏治, 小野 友行, 梶原 隆, 小江 雅弘, 八浪 浩一, 中村 紳二
    29 巻 (2013) 4 号 p. 204-208
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル オープンアクセス
    急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis : ADEM)は先行感染または予防接種後に発症する大脳白質の炎症性脱髄疾患であり,髄鞘構成蛋白に対する自己免疫反応によって発症すると考えられている.散在性多発性病巣に基づく多彩な神経症状を呈するが,炎症は一過性で予後は比較的良い.開心術に合併した報告は稀であり,われわれは心室中隔欠損閉鎖術後にADEMを発症した症例を経験したので報告する.症例は2歳男児で,術後5日目に発熱と同時に共同偏視,筋緊張亢進,ジストニアが出現した.脳血管障害が疑われたが,MRI拡散強調像で大脳白質に広範な異常高信号域を認め脱髄性変化が示唆された.脳浮腫治療と抗菌・抗ウィルス療法を速やかに開始し,感染症が否定された後にステロイドパルス療法を行った.神経症状およびMRI所見は日毎に改善し,病因は特定できなかったものの経過からADEMと診断した.ステロイド治療が奏効し,患児は後遺症なく退院した.
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