目的:小児の不整脈に対する塩酸ニフェカラント(NIF : nifekalant)の報告は少なく,有効性と安全性は確立していないので,当院においてNIFを使用した症例について検討した.
方法:対象はNIFで加療した開心術後不整脈25例,心筋症3例,計28例(日齢6~18 歳,男:女=20:8).NIFの抗不整脈薬効果とTdp(torsade de pointes)発生例の特徴について後方視的に調査した.
結果:25例(89%)で頻拍が停止し,5例(18%)でTdpが発生した.Tdpを認めた群は認めない群に比し,QTc(B:Bazett式による補正)およびQTc(F : Fridericia式による補正)の有意な延長を認めた(585 msec vs. 460 msec, median, p = 0.001 および535 vs. 410 msec, median, p = 0.001).また,ROC曲線によるTdpを起こしうるcut-off値はQTc(B)で531 msec,QTc(F)で460 msec であった.
結論:NIFは小児の不整脈に対し有効な薬剤であると考えられるが,投与中,特にQTc(B)が531 msec 以上,あるいはQTc(F)が460 msec 以上の場合,Tdp発生に注意が必要である.
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