日本小児循環器学会雑誌
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30 巻 , 3 号
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巻頭言
Reviews
  • 中村(西谷) 友重, 若林 繁夫
    30 巻 (2014) 3 号 p. 224-231
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    心臓の収縮や心肥大・心不全の発症を調節するものとして,細胞内カルシウム(Ca2+)の増減が重要なカギとなっている.しかし,胎児期や幼少期などの未成熟期の心臓では,細胞内Ca2+貯蔵装置である筋小胞体(SR)の構造が成体と比べはるかに未発達であることから,どのようにCa2+による収縮調節を行っているのか不明な点が多かった.今回,特に未成熟期の心臓に高発現するCa2+結合タンパク質(Neuronal Ca2+ Sensor-1: NCS-1)に注目し,遺伝子欠損(KO)マウスを解析した結果,NCS-1が幼少期の構造的な未熟さを補う新しい心筋収縮調節タンパク質であることを見出した.詳しい解析から,NCS-1は細胞内にCa2+を放出するイノシトール三リン酸(IP3)受容体と協同してCa2+シグナルを増強させることにより,幼少期の心筋収縮に寄与することを明らかにした1~3).また,NCS-1は幼少期のみならず心肥大の際にも発現量が上昇し,心肥大を調節することがわかった.本稿では,心臓におけるNCS-1を介した細胞内シグナルとその役割について,最近の知見をもとに概説する.
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  • 森崎 裕子, 森崎 隆幸
    30 巻 (2014) 3 号 p. 232-238
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    Loeys-Dietz症候群(LDS)は,動脈瘤/解離,蛇行性血管などの血管症状,特徴的顔貌(眼間開離,二分口蓋垂/口蓋裂,頭蓋骨早期癒合),および種々の骨格症状(漏斗胸,鳩胸,側彎,関節過可動,クモ状指,内反足)を呈する常染色体優性遺伝性の全身性結合組織異常である.症例による症状の幅は広く,また必ずしも前記すべての症状を伴うとは限らないが,何らかの血管症状をほぼ全例で認める.Marfan症候群(MFS)に酷似した臨床症状を呈する症例も多く,MFSと診断されている場合も少なくないが,MFSに比し,より若年期からの大動脈基部拡大と,より広範な動脈瘤形成/解離の傾向があり,乳幼児期から循環器科の積極的介入が求められることも多い.また,治療管理においては,循環器科,整形外科,形成外科,遺伝科の各専門医を含むチームアプローチが必要である.原因遺伝子は,TGFBR1およびTGFBR2であるが,ほかのTGF-βシグナル伝達系分子であるSMAD3TGFB2遺伝子の異常によっても類似の症状を呈することがわかり,これらもLDSの亜型とされている.
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  • 丹羽 公一郎
    30 巻 (2014) 3 号 p. 239-248
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
  • 中澤 誠
    30 巻 (2014) 3 号 p. 249-262
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    先天性心疾患(CHD)診療は死に直面する機会が多い分野である.死はかつては神仏の領域であったが,今や科学としての医学の領域に入っており,医療者は患者の死に際して最善の終末医療ないしケアを行うため,死生学修得の必要性が高じてきた.死のケアは死にゆく本人のみならず遺族の大きな精神心理的苦痛を理解することが前提である.本人にも遺族にも,死は,ショック,死の否認,怒りなどの「正常」の反応をもたらし,時間をかけて容認へと向かう.われわれにはそれぞれの心理状態に即して,患者の個々の「語り」に耳を傾けて,ヒトとして対応することが求められる.小児は小学生低学年ですでに死をかなり深く理解しているが,死に直面する時の苦痛の表現が大人とは異なる故に,大人がしっかりと見守って対応する必要がある.近年の成人CHD患者(ACHD)の増加は,死生学の面からも新たに深刻な問題が起りつつあり,今後はその対応にも腐心すべきである.
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原著
  • 藤岡 泰生, 金 成海, 満下 紀恵, 石垣 瑞彦, 松尾 久実代, 佐藤 慶介, 芳本 潤, 新居 正基, 坂本 喜三郎, 小野 安生
    30 巻 (2014) 3 号 p. 263-270
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    背景:円錐動脈幹異常では新生児期や乳児期早期に重度のチアノーゼを呈し,治療介入を要することがある.
    目的:流出路心室中隔欠損を伴い肺動脈弁狭窄が主体の本疾患群における,初回姑息治療としての経皮的肺動脈弁バルーン拡大術(BVP)の有効性と予後を検討すること.
    対象:2002年8月~2012年12月に当院にて新生児期・乳児期早期にBVPを行った9例〔男:女= 8:1,内訳:Fallot四徴症(TOF) 3,両大血管右室起始(DORV) 4,修正大血管転位(ccTGA) 2〕.
    方法:心エコーによる肺動脈弁輪径から,BVP時のバルーン径/肺動脈弁輪径比(B/A ratio)を算出.BVP前後のSpO2,右室流出路の最大血流速度(Vp),最大圧較差(PG)の変化と合併症の有無,さらに,最終手術までの経過を検討した.
    結果:B/A ratioは1.08±0.15であった.BVP後,SpO2は75 ±6%から87±7%に上昇 した(p < 0.001).Vp,PGに有意な変化は認めず,肺動脈弁逆流は少量以下にとどまった.気管軟化症の1例を除き,全例酸素投与を中止し退院できた.1例で高肺血流に対し,肺動脈絞扼術を要した.死亡例はなく,全例最終手術に到達できた.
    結語:初回姑息治療としてのBVPは低侵襲であり,バルーン径を過大としないことで,適切な肺血流増加が得られ,最終手術への有効な橋渡しとなる.
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  • 古賀 千穂, 藤田 秀樹, 田中 敏克, 富永 健太, 亀井 直哉, 小川 禎治, 佐藤 有美, 城戸 佐知子, 大嶋 義博
    30 巻 (2014) 3 号 p. 273-278
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    背景:腎血管性高血圧は二次性高血圧であり,原因である腎動脈狭窄を解除することにより改善を得られる可能性が高い.
    対象および方法:腎血管性高血圧と診断され,2005~2011年までに当院で観血的治療を行った小児9例について検討した.治療結果は①治癒:薬物治療なしで正常血圧を保てるもの,②改善:同量か減量した薬物治療で収縮期もしくは拡張期血圧が低下したもの,③降圧効果なし:血管造影では狭窄は改善したが血圧に変化がみられなかったもの,④無効:狭窄血管を拡張できなかったものの4型に分けて評価した.
    結果:初回観血的治療介入時期は18ヵ月~13歳であった.カテーテル治療は19回,8例に施行し,外科治療は4例に施行した.治療結果は,治癒は外科治療で1例,改善はカテーテル治療で14回,外科治療で3例,降圧効果なしはカテーテル治療で4回,無効はカテーテル治療で1回であった.
    結論:カテーテル治療,外科治療ともに短期の成績はおおむね良好であったが,幼児や重複腎動脈で細径のステント留置に至った場合は,再狭窄に対して繰り返し介入が必要となり,治療に難渋した.
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  • 川滝 元良, 康井 制洋, 上田 秀明, 麻生 俊英
    30 巻 (2014) 3 号 p. 279-284
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    背景:先天性心疾患(CHD)の胎児診断率は低率であり,単心室疾患が多くを占めている.二心室疾患のスクリーニングには流出路の観察が必要不可欠であるが,普及していない.
    目的:胎児診断されたCHDにおける右側大動脈弓(RAA)の頻度を明らかにし,新しい胎児心スクリーニングポイントにできるかどうかを検討する.
    対称と方法:1993~2010年までに胎児心精査が行われ,動画が保存されていたCHD 759例を含む3,557例を対象とした.
    結果:12.9%にRAAが合併し,RAAの81.0%にCHDが合併していた.Fallot四徴症(TOF)38.2%,両大血管右室起始(DORV)18.9%,完全大血管転移症24.1%と円錐動脈幹奇形に高率に合併していた.また,13トリソミーが0%,18トリソミーでは5.8%,21トリソミーでは5.4%と低率,22q11.2欠失症候群では75%と高率であった.
    結論:RAAは円錐動脈幹奇形および22q11.2欠失症候群に高率に合併していた.RAAは新しい胎児心スクリーニング法として役立つ可能性が示唆された.
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  • 西岡 貴弘, 富田 英, 曽我 恭司, 藤井 隆成, 藤本 一途, 喜瀬 広亮, 大山 伸雄, 上村 茂
    30 巻 (2014) 3 号 p. 287-293
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    背景:Amplatzer® Duct Occluder(ADO)導入以降,動脈管開存症(PDA)に対する治療戦略は大きく変わり,当院でも2010年以降2mm以上の動脈管に関してはADOを導入した.本研究ではADO導入前後おけるPDAに対するコイル閉鎖術の役割を検討した.
    対象と方法:期間は2007年4月〜2012年6月.ADO導入前(2007〜2009年)にコイル閉鎖術を施行した14例(A群),およびADO導入後にコイル閉鎖術を施行した12例(B群),ADO使用群13例(C群)の年齢,体重,PDAのKrichenko分類および最小径,コイル使用数について解析した.
    結果:年齢,体重,動脈管最小径の順にA群で7±16歳,18.3±17.9kg,2.1±1.5mm,B群で8±15歳,18.4±12.4kg,1.4±0.7mm,C群で23±33歳,22.4±21.3kg,2.8±2.0mmであった.年齢,体重には3群間に有意差はなかったが,最小径はB群とC群の間に有意差を認め,B群の最小径はより小さく,コイル1個での閉鎖が多い傾向にあった.B群でコイルを複数用いた2mm以上の1例はtype DでPDA長が長い例であった.
    結語:ADO導入後,コイル閉鎖術の対象となるPDAは最小径2mm未満で,コイル1個での閉鎖が主体であったが,長いPDAでは2mm以上でもコイル閉鎖術が望ましい場合があると考えられた.
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  • 武野 亨, 中村 好秀, 青木 寿明, 竹村 司
    30 巻 (2014) 3 号 p. 294-297
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    背景:房室結節リエントリー頻拍(atrioventricular nodal reentrant tachycardia:AVNRT)の患者において,頻拍発症機序の一因に速伝導路(FP)と遅伝導路(SP)との間の電気的相互作用の存在があげられているが,小児のAVNRT症例における電気的相互作用についてはよく検討されていない.
    方法:2011年4月1日~2013年8月31日の期間に,当科でカテーテル治療を行った先天性心疾患のないAVNRT症例について,後方視的に治療前後のデータを比較した.
    結果:カテーテル治療にてSP離断に成功したAVNRT症例は8例(年齢 8 ~18歳).8例全例において,SP離断後にFPの有効不応期(ERP)の著明な短縮が認められた(403.8 ± 101.6 ms vs. 300.0 ± 96.2 ms,p <0.001).さらにこの短縮と体表面積との間には正の相関傾向を認めた(r =0.65,p =0.079).
    結論:体格による速遅伝導路間の電気的相互作用の変化が認められ,電気的相互作用の頻拍発作発症への関与が示唆された.
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  • 川村 順平, 野村 裕一, 益田 君教, 森田 康子, 吉重 道子, 柳元 孝介, 上野 健太郎, 江口 太助, 河野 嘉文
    30 巻 (2014) 3 号 p. 298-302
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    背景:川崎病における免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応例は冠動脈病変を来すリスクが高い.そこで,Kobayashiらは不応例の予測スコアの有用性を報告した.Kobayashiスコアの精度は高いが,スコア低値でも一定の不応例は避けられない.今回はそれらの不応例の特徴について検討した.
    方法:IVIGを行った川崎病患者でIVIG反応例と予測されるKobayashiスコア4点以下の123例(不応例9例と反応例114例)を対象とし,その臨床所見や血液検査値を比較した.
    結果:不応例はより低年齢で,6ヵ月以下の例が有意に高頻度だった(p =0.026).両群の入院病日に差はなかったが,入院時の主要症状数は不応群で少なく,2症状以下の例が有意に高頻度だった(p =0.009).
    結論:Kobayashiスコア低値でも年齢が6ヵ月以下の例や,入院時に主要症状数が2項目以下で急速にほかの症状が出現し診断される例では,追加投与を必要とする可能性があり,IVIG開始後も注意深い経過観察が重要である.
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  • 塩野 展子, 稲村 昇, 鳥越 史子, 田中 智彦, 三原 聖子, 成田 淳, 河津 由紀子, 濱道 裕二, 萱谷 太
    30 巻 (2014) 3 号 p. 306-315
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    目的:当院で胎児診断した右側大動脈弓(RAA),左鎖骨下動脈起始異常(ALSA),左動脈管に伴う血管輪(RAA with ALSA)の出生後の臨床経過を後方視的に検討し,RAA with ALSAの適切な胎児診断法,経過観察方法を考案する.
    方法:2001年1月〜2011年12月までの11年間で胎児心エコー検査は1,695例施行し,うち11例がRAA with ALSAと診断され,いずれも出生後に血管輪と診断した.確定診断は,出生後の心エコー検査,あるいはCT検査で行い,手術例に関しては術中所見も考慮した.この11例を対象として後方視的に検討した.
    結果:胎児診断RAA with ALSA 11例のうち院内出生は5例,院外出生は6例.そのうち2例が出生後に呼吸症状を呈し,手術を施行した.手術時期はそれぞれ生後1ヵ月,1歳5ヵ月で,前者は術中に重複大動脈弓(DAA)と診断した.それ以外の9例は経過観察期間1〜5年で無症状である.また1例が22q11.2 deletionで,生後心室中隔欠損症を認めたがそれ以外の症例に他の心疾患,および心外奇形の合併はなかった.
    結論:胎児期のRAA with ALSAとDAAの鑑別には,three-vessel trachea viewだけではなく,大動脈弓から起始する頸部血管を同定することが重要で,DAAの細い大動脈弓には注意が必要である.胎児期にDAAが否定できない場合は,周産期管理が可能な施設での分娩が必要である.RAA with ALSAの中には,経過中に呼吸障害を呈するものがあり,定期的な外来観察と家族への説明は重要である.
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  • 小泉 淳一, 猪飼 秋夫, 岩瀬 友幸, 古武 達也, 菅野 勝義, 中野 智, 早田 航, 高橋 信, 小山 耕太郎, 小林 隆史, 岡林 ...
    30 巻 (2014) 3 号 p. 319-325
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
    背景:Fontan適応となる単心室症例において肺動脈狭窄に対する外科的肺動脈パッチ形成術の理想的素材は明らかでない.
    目的:われわれは内胸動脈(ITA)のパッチとしての可能性を考慮し,単心室症例において初回姑息手術後に生じた肺動脈狭窄をITAパッチにより修復を試みたので,その結果を報告する.
    方法:2007年以降,Fontan適応症例で初回姑息手術後にITAパッチを用いた肺動脈形成術を施行した4例を対象とした.診断は左心低形成2例,単心室,肺動脈閉鎖2例.初回手術はNorwood手術(RV-PA)2例,中心肺動脈形成+BTシャント変法2例.4例中3例は月齢5〜7ヵ月時に両方向性Glenn手術と同時にITAパッチによる肺動脈形成術が併施された.残る1例はTCPC施行前に月齢15ヵ月時にITAパッチによる左肺動脈形成術,肺動脈隔離術,左BTシャント変法が施行された.
    結果:全例で肺動脈再狭窄の発症はなく月齢20〜25ヵ月時にTCPC手術へ到達した.肺動脈形成術後22〜45ヵ月の経過観察中に再介入を要するイベント,死亡ともになかった.TCPC後の肺動脈造影では左右肺動脈の発育は良好で肺動脈狭窄は認められなかった.
    結論:ITAはFontan適応の単心室症例に対する,乳児期前後における中心,末梢肺動脈形成術のパッチ素材となりうる可能性が示唆された.
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症例報告
  • 西原 栄起, 野村 羊示, 福富 久, 郷 清貴, 太田 宇哉, 倉石 建治, 田内 宣生
    30 巻 (2014) 3 号 p. 326-331
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
     重度心不全を伴った拡張型心筋症(Dilated cardiomyopathy:DCM)に対して血漿交換療法(Plasma exchange:PE)が有効だった2幼児例を経験したので報告する.
     症例1:1歳1ヵ月 女児.特発性DCM.カテコラミン等の治療を開始するもカテコラミン離脱不能なため99病日PE施行.PE後,心機能回復傾向だったがカテコラミン減量で心機能悪化するため,ピモベンダン,デノパミン内服併用しカテコラミン離脱.臨床症状もNYHAクラスIVからIIに改善した.
     症例2:1歳1ヵ月 女児.特発性DCM.カテコラミン等の治療開始.症例1におけるPEの有効性からPE早期導入を考慮し,41病日PE施行.PE後カテコラミン離脱.臨床症状もNYHAクラスIVからIIに改善した.
     難治性心不全を伴う小児DCM患者にとって唯一有効な治療法である心臓移植は,現在極めて困難な状況にある.こうした状況のなかでのPEによる心不全治療は,有用である可能性があると考えられる.
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  • 鈴木 浩, 仁木 敬夫, 小田切 徹州, 安孫子 雅之, 田邉 さおり, 早坂 清
    30 巻 (2014) 3 号 p. 334-342
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
     先天性肺静脈狭窄症(congenital pulmonary vein stenosis: CPVS)の3例を報告する.2例は心房中隔欠損と左上大静脈遺残を,1例は動脈管開存と卵円孔開存を合併しており,3例とも乳児期から幼児期早期に多呼吸や陥没呼吸などの心不全症状を認めた.診断にドプラ心エコー図と造影3D-CTが有用であった.1例にsutureless repair法を用いた肺静脈狭窄解除が行われたが,術後一旦肺静脈狭窄は改善したものの,再発を認めた.病理組織学的検討をした2例では肺静脈内中膜での筋線維芽細胞の増殖が認められた.術後肺静脈狭窄が進行した1例に筋線維芽細胞増殖抑制の目的でimatinibを投与したが効果は認められず,3例とも肺静脈狭窄が進行して死亡した.
     CPVSは進行性の疾患であり,両側例の予後は極めて不良である.病態として肺静脈内の筋線維芽細胞の異常増殖が推定される.
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  • 藤本 義隆, 小川 潔, 河内 文江, 菅本 健司, 菱谷 隆, 星野 健司, 村松 宏一, 篠原 玄, 野村 耕司, 井田 博幸
    30 巻 (2014) 3 号 p. 343-349
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
     先天性肺静脈狭窄症(congenital pulmonary vein stenosis:CPVS)の頻度は低く,ほかの心奇形を合併しない孤立性肺静脈狭窄症(isolated pulmonary vein stenosis:IPVS)は極めて稀である.われわれは二度にわたる狭窄解除術を行ったが,肺静脈狭窄が再燃し,経皮的肺静脈ステント留置術により救命し得たIPVSの1例を経験した.
     乳児期発症のCPVSの予後は非常に悪く,外科手術,カテーテル治療の効果が乏しく,PVSが再燃し,高度肺高血圧(PH),心不全を来して死亡する.肺移植や心肺同時移植が推奨されるが,体格の成長を待つ必要があり,移植へのbridging therapyとして,経皮的肺静脈ステント留置術は選択肢の一つとなりうる.
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  • 江原 英治, 村上 洋介, 和田 翔, 佐々木 赳, 藤野 光洋, 平野 恭悠, 川崎 有希, 吉田 修一朗, 吉田 葉子, 鈴木 嗣敏, ...
    30 巻 (2014) 3 号 p. 353-359
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
     Transhepatic approachで心臓カテーテル治療を行った2例を報告した.症例1(1歳1ヵ月,体重5.8kg)はファロー四徴,低形成肺動脈,姑息的右室流出路再建術後で,左肺動脈狭窄に対して経皮的血管形成術を行った.両側大腿静脈,右内頸静脈,右鎖骨下静脈の閉塞,および左上大静脈遺残のため,transhepatic approachを選択した.症例2(25歳,体重51kg)は多脾症で,屈曲蛇行した動脈管に対しコイル閉鎖術を行った.大動脈側からの動脈管へのアプロ-チは急角度のため留置用カテーテルの安定した操作が得られず,肺動脈側からのアプローチは下大静脈欠損,右内頸静脈閉塞のため困難で,transhepatic approachを選択した.
     カテーテル治療は全身麻酔・人工呼吸管理下で行い,肝静脈の穿刺・止血は肝臓外科医が施行した.エコーガイド下に右肝静脈を穿刺し,2例とも穿刺回数は1回で穿刺開始から静脈シース留置までは20分であった.2例とも安定したカテーテル操作が得られ,目的としたカテーテル治療を安全かつ有効に実施できた.終了後,綿型酸化セルロース(可吸収性止血剤SURGICEL®)を,シースから透視下に挿入し肝内の穿刺ルートを閉鎖した.シース抜去後は穿刺部よりの出血はなく圧迫は不要であった.術後の腹部エコーで肝内や後腹膜腔に明らかな出血はなく,血液検査でも肝機能の異常はなかった.
     下大静脈欠損や,大腿静脈,内頸静脈などの閉塞のため,通常の穿刺経路からのカテーテルが実施できない例では,transhepatic approachによる心臓カテーテル検査・治療は,有用かつ安全な方法で,選択肢の1つになり得る.止血手技に注意を要するが,体格の小さい乳幼児でも施行可能である.綿型酸化セルロースによる肝内穿刺ルートの閉鎖法は簡便で有用である.なお,肝静脈の穿刺・止血には肝臓外科医などの手技に精通した医療チームの協力が重要である.
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  • 喜瀬 広亮, 富田 英, 藤本 一途, 藤井 隆成, 木口 久子, 大山 伸雄, 曽我 恭司, 籏 義仁, 平田 昌敬, 伊藤 篤志, 石野 ...
    30 巻 (2014) 3 号 p. 360-364
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
     症例は日齢36の男児.胎児心エコーで心房間狭小化を伴う完全大血管転位(Ⅰ型)と診断され,在胎38週3日に出生した.出生当日に緊急で心房中隔裂開術を施行したが遷延性肺高血圧を合併し,日齢2に体外式膜型人工肺(ECMO)を装着した.日齢16にJatene手術を施行しECMOを離脱した.術後から胸水を認めていたが日齢35より乳糜胸水となり排液量も増加した.日齢36に中心静脈圧が急激に上昇し上半身および頭頸部の浮腫が出現したため,同日緊急で静脈造影を施行し上大静脈(SVC)の完全閉塞が確認された.閉塞急性期と判断し右内頸静脈から挿入したガイドワイヤーで閉塞部を通過させ,経皮的血管形成術(PTA)を施行した.PTA後の静脈造影で,狭窄が残存し周囲に血栓形成が疑われたため,シースを閉塞部まで進めサイドポートから血栓吸引を行った.ウロキナーゼを投与後,繰り返し血栓吸引を施行し多量の血栓が吸引された.静脈造影で血栓の消失とSVCの十分な開存を確認し終了した.日齢92に静脈造影を施行しSVCは十分に開存が維持されていた.新生児期のSVC閉塞に対するカテーテル治療は,再狭窄の頻度が高く複数回の治療介入が必要となる場合が多いが,今回,閉塞急性期にPTAと血栓吸引療法を併用することで十分な開存が維持できた.閉塞急性期のSVC閉塞に対して本法は考慮すべき手技と考えられる.
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  • 早渕 康信, 阪田 美穂, 小野 朱美, 香美 祥二
    30 巻 (2014) 3 号 p. 365-370
    公開日: 2014/06/03
    ジャーナル フリー
     特発性肺動脈性肺高血圧症の10歳男児例に光干渉断層像(optical coherence tomography:OCT)を用いて肺動脈病変を観察した.末梢肺動脈の内膜は0.18mm,中膜は0.19mmと,ともに肥厚しており,肺高血圧血管病理分類(ニース国際会議)における内膜および中膜肥厚を有する血管病変(Heath-Edwards分類II〜III)と考えられた.肺動脈圧は大動脈圧を凌駕していた.Epoprostenolによる急性肺血管反応性試験が不良であった肺循環動態は,OCTの所見に合致する結果であった.OCTは肺高血圧症の血管病変,重症度,治療戦略,予後の検討に有用であると考えられた.
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