日本小児循環器学会雑誌
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30 巻 , 5 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
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巻頭言
Reviews
  • 川口 奈奈子, 松岡 瑠美子, 中西 敏雄
    30 巻 (2014) 5 号 p. 491-497
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
     心筋梗塞後に低下した心機能回復のための治療に,胚性幹細胞,induced pluripotent stem cell(iPS細胞),体性幹細胞などを用いた幹細胞医療が注目されている.胚性幹細胞およびiPS細胞は,体性幹細胞と比較して,効率良く心筋細胞に分化するので,iPS細胞を心筋細胞に分化させ,死滅した心筋細胞に代わって機能回復を図る再生医療の確立が期待される.一方,体性幹細胞を用いる再生医療の開発も進められている.われわれは,心臓にあるc-kit陽性細胞を分離培養し,転写因子GATA4発現が高い心臓幹細胞を分離した(CSC-4A).GATA4発現が高い細胞はtroponin陽性細胞に分化しやすい傾向があり,かつ,共存培養心筋細胞の拍動持続時間を延長させる効果が観察され,再生医療に有用な性質と考えられた.われわれの研究から,心筋細胞とCSC-4Aとの共存培養液では,insulin-like growth factor (IGF)-1の濃度が上昇しており,一方,CSC-4A自体はIGF-1を発現しないことから,CSC-4Aが未知のサイトカイン(心臓拍動持続促進因子)を放出して心筋細胞のIGF-1発現を上昇させ,拍動持続を促進する可能性が示唆された.このサイトカインの正体が明らかになれば,単独,あるいはiPS細胞由来心筋細胞との併用による再生医療の開発につながることが期待される.
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  • 中川 雅生
    30 巻 (2014) 5 号 p. 498-502
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
     禁忌とされる医薬品が使用され社会問題にまで発展したことを受け,医薬品の適正使用と医師の裁量に基づく未承認薬や適応外薬の使用に対する考え方について述べた.
     医療の場において,他に治療法がない場合には医師は裁量により薬事法や保険診療上認められていない医療行為であっても行うことがある.未承認や適応外の医薬品等の使用もその一つである.この場合,倫理委員会の承認とともに患者の同意や承諾を得たとしても,医療水準を基準にして事後的に注意義務違反が存在し,それに伴い患者の生命・身体に重大な損害が生じれば,医師の裁量権の逸脱として違法行為となると考えられる.医薬品の添付文書は薬事法で定められた唯一法的根拠に基づいた公的文書であり,医療の基準となっている.添付文書に禁忌とされた医薬品の使用法は健康被害のリスクが高いため避けられねばならない.医師は医薬品の使用にあたって,必ず添付文書に目を通しておくべきである.
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  • 山岸 敬幸
    30 巻 (2014) 5 号 p. 503-513
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
     心臓大血管の形態形成は時間的,空間的に秩序だった多くの過程の芸術的なオーケストレーションによって成立している.私たちが日常診療で遭遇する先天性心疾患の多くは,心臓大血管の特定の領域または段階の発生異常によって発症するものであるため,複雑な心臓大血管の発生をいくつかの領域または段階別に分けて詳細に解析する「臨床心臓発生学」は,先天性心疾患の成り立ちを理解するための科学として重要である.1990年代に心臓特異的転写因子の単離と遺伝子改変動物を用いた研究により,心臓大血管形態形成の分子生物学的基礎が次第に明らかになった.Nkx2.5/CsxとdHAND/Hand2は,左右心室の形成に重要な役割を果たす.また,22q11.2欠失症候群の分子遺伝学的解析と動物胚を用いて先天性心疾患を再現する研究の融合により,TBX1が本症候群の原因遺伝子であることが特定され,二次心臓領域に発現して心臓流出路の発生に重要な役割を果たすことが明らかになった.さらにポストゲノム時代の遺伝子解析法により,GATA6が心臓流出路異常の原因遺伝子として特定され,二次心臓領域細胞と心臓神経堤細胞の相互作用を制御する機構が解明された.細胞内カルシウムシグナルを制御するイノシトール3リン酸受容体が,サブタイプ特異的に心臓流入路および流出路の発生に関与する知見も得られた.複雑な心大血管形成を制御する多くの細胞・分子の相互作用から成るネットワークの解析,すなわち-From gene to morphology-の解明により,故高尾篤良教授によって語られた,“未来の”先天性心疾患の発症機構解明から予防医学・再生医療への応用が期待される.
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  • 新岡 俊治
    30 巻 (2014) 5 号 p. 514-522
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
     さまざまな種類の細胞が血管再生治療に用いられているが,筆者らのグループでは骨髄単核球を生体吸収性ポリマーに播種したTissue-engineered血管を使用した臨床治験を行っている.マウスモデルを用いて播種された骨髄単核球の定量を行った結果,約24時間でscaffold上の細胞は大部分が消失することが明らかとなった.この結果から,播種された細胞自体が分化し組織形成やリモデリングに寄与している可能性は低く,たとえそのような細胞があったとしても,その数は非常に少ないと考えられる.むしろ,これら播種された細胞は,移植後,急性期の血栓形成を抑制し,生理活性物質を放出し,脈管形成や組織形成に貢献していると考えられる.マウスモデルを用いた下大静脈置換実験では,骨髄単核球の播種により,移植後のTissue-engineered血管の狭窄・閉塞が減少し,より良好な組織形成に貢献することが示されている.現在もFDA承認下の臨床治験が進行中であるが,今後は細胞播種をしない第二世代のTissue-engineered血管の臨床研究も必要と考えられる.
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  • 村上 智明
    30 巻 (2014) 5 号 p. 523-533
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
     小児心不全は,原因となる小児心疾患のバリエーションが多く,しかも先天性心疾患を基盤とした血行動態障害では必ずしも心収縮に問題を認めないなどの理由から一般化が困難でエビデンスレベルの高いエビデンスが多くはない.
     心不全治療薬はカテコラミン・利尿薬などの血行動態改善を目標とする薬剤とレニン︲アンジオテンシン︲アルドステロン系抑制薬・ベータ遮断薬などの予後改善を目的とする薬剤がある.前者においては血行動態および臨床所見の推移を注意深く見守ることで効果判定・用量設定などが可能であるが,後者は一人の患者さんの経過を見守っても効果判定はできない.小児の数少ない報告や成人でのデータを参考に治療方針をたてなければならない.
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  • 岩本 眞理
    30 巻 (2014) 5 号 p. 534-542
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
     ペースメーカは徐脈性不整脈に対する唯一の有効な治療法である.小児の適応例は成人と比べると頻度は少なく,小さい体格・成長・長期管理という小児特有の問題から植え込み法や合併症も成人とは異なる点がある.植え込みの適応は2011年日本循環器学会を中心とした研究班によりガイドラインが改訂された.ペースメーカの構成は電池とリードからなり,方法は一時的と永久的ペーシング,電極は心内膜電極と心筋電極がある.機能は3〜4文字コード表示で示される.心房心室興奮の順次性が維持されたペーシング様式を生理的ペーシングと呼び,循環動態の観点から有利である.植え込みは各症例に適した方法を選びパラメータを設定する.ペースメーカ外来では12誘導心電図・胸(腹)部X線写真・プログラマーによるパラメータ測定を行う.これによりパラメータ設定の適正化・電池交換時期の予測・トラブル回避を行ってペースメーカの適切な管理を維持する.
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原著
  • 仁尾 かおり, 石河 真紀, 藤澤 盛樹
    30 巻 (2014) 5 号 p. 543-552
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
    背景:先天性心疾患をもつ学童期から青年期の患者の病気体験に関連したレジリエンスの構造を明らかにし,“病気体験に関連したレジリエンス”アセスメントツールを作成する.
    方法:学童期から青年期の患者を対象に,“病気体験に関連したレジリエンス”を調査し,因子分析により構造を明らかにした.また,背景要因による特徴を分析した.
    結果:有効回答178名,年齢10〜32歳(平均17.2±5.8歳)であった.因子分析の結果,「自分の病気を理解できる」,「前向きに考え行動する」,「無理をしないで生活する」の3つが明らかになった.背景要因による比較では,年齢の高い人が「自分の病気を理解できる」が高得点であり,重症度の高い人が「前向きに考え行動する」が低得点であった.「無理をしないで生活する」では,背景要因による差は認めなかった.
    考察:発達段階の早い段階から病気の理解を促す支援をすること,重症度が高い人の「前向きに考え行動する」ことへの支援,また,先天性心疾患をもつ人に特有な要素として見いだされた「無理をしないで生活する」ことを支えることが重要である.
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  • 加藤 温子, 伊吹 圭二郎, 浅沼 賀洋, 佐藤 慶介, 芳本 潤, 金 成海, 満下 紀恵, 新居 正基, 田中 靖彦, 大崎 真樹, 坂 ...
    30 巻 (2014) 5 号 p. 556-562
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
    背景:超低出生体重児(ELBWI)の救命率は近年著しく改善しているが,ELBWIにおける心疾患に対する治療報告はいまだ少ない.ELBWIに高肺血流性心疾患を合併し,長期呼吸管理を要した症例に対し,積極的治療を行い根治術に到達した4症例を報告する.
    症例:①女児.心房中隔欠損症:在胎29週504 g.抜管困難であり,生後2ヵ月より肺高血圧を呈したため,シルデナフィルを開始し,生後4ヵ月で根治術を施行した.②男児.完全型房室中隔欠損症:在胎26週670 g.21トリソミー.生後2ヵ月で肺動脈絞扼術を施行した後,生後4ヵ月に根治術を施行した.③男児.心室中隔欠損症:在胎27週412 g.生後6ヵ月で重度の肺高血圧を認め,酸素療法とシルデナフィルを開始した.生後11ヵ月で肺高血圧の改善を確認し,根治術を施行した.④女児.総動脈幹症:在胎29週752 gにて出生.生後7ヵ月で両側肺動脈絞扼術を施行した後,酸素療法,シルデナフィル,ベラプロストの投与を行った.2歳1ヵ月で根治術を施行した.
    結論:ELBWIにおいて,長期呼吸管理を要し肺高血圧を合併した高肺血流性心疾患に対し,肺血流の制限や肺高血圧の治療を行うことによって,根治術に到達できた.ELBWIで出生した先天性心疾患症例において遅れることなく外科的,内科的治療を行うことは児の予後を改善することが示唆された.
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  • 佐藤 工, 佐藤 啓, 今野 友貴
    30 巻 (2014) 5 号 p. 563-568
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
    背景:胎児心エコー検査で検出された,軽度の異常所見の転帰は不明の点が多い.
    方法:2008年5月から2013年5月までの5年間に,産科医による胎児超音波スクリーニング(レベルI診断)に引き続き,循環器専門医による胎児心エコー検査(レベルⅡ診断)を受けた胎児1,753例(在胎26.9±2.2週)から検出された,軽度の異常所見の経過と予後について後方視的に検討した.軽度の異常所見とは,軽度の弁逆流や心大血管の解剖学的異常,および軽度の調律不整で,それらの存在が検出時点で胎児血行動態に有意の影響を及ぼさないと考えられるものとした.
    結果:心房期外収縮(PAC)11例,軽度の三尖弁逆流(TR)9例,軽度の僧帽弁逆流1例,軽度の肺動脈弁逆流4例,動脈管の蛇行3例,鏡像型右胸心2例を認めた.TR例の1例で,初回の検査では軽度であった逆流が軽度〜中等度に増加して,軽度の心拡大を伴うようになり,出生後に右室低形成を伴わないEbstein奇形と診断した.TR例の残り8例を含めて,その他の異常所見例は全て,一過性所見もしくは不変であり,治療介入を要するものはなかった.
    結語:胎児心エコー検査で遭遇する軽度の異常所見のうち,初回検出時から治療介入が必要な血行動態的異常を伴わずに,一過性所見として消失するか増悪傾向のないものは予後良好な可能性がある.しかし,持続的に認める際は,病態の悪化や器質的疾患の顕在化に留意して,胎児期〜出生後にかけて複数回の観察が必要である.
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  • 井上 奈緒, 安河内 聰, 瀧聞 浄宏, 松井 彦郎, 森本 康子, 渡辺 重朗, 森 啓充, 原田 順和, 坂本 貴彦, 小坂 由道, 渕 ...
    30 巻 (2014) 5 号 p. 572-579
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
    背景:循環器小児科医と心臓血管外科医の共同作業であるHybrid治療を行うためにはHybrid suiteで行うことが理想であるが,当院にはない.このような場合,Hybrid治療を成功させるには術前の綿密な治療計画の立案が不可欠と考えられる.
    目的:Hybrid治療における治療戦略構築の重要性を検討する.
    対象と方法:当院でHybrid治療を施行した7例.男児4例,年齢7日〜12歳,体重3.4〜23.5 kg.疾患の内訳は左肺動脈閉塞のFontan適応症例が4例とCantrell症候群に合併した左Blalock-Taussig shunt(以下BTS)後の三尖弁閉鎖,主要体肺動脈側副血行(major aortopulmonary collateral arteries:MAPCA)を伴った肺動脈閉鎖(PA)・心室中隔欠損症(VSD),大血管転位症がそれぞれ1例ずつであった.カルテ記載より後方視的に調査し,Hybrid治療を成功させるために必要なHybrid治療の方法,適応判断,術前の治療戦略の立案と施行の成否について検討した.
    結果:Hybrid治療の内訳は,①右側開胸下TCPC施行前に左BTSに対してコイル塞栓術を施行した症例が1例,②到達困難な細いMAPCAに対するステント留置術が1例,③血栓閉塞した肺動脈に対するステント留置術が4例,④開胸下での心房間交通拡大術が1例.全例において画像診断に基づいた検討を十分に行い,治療に携わる小児循環器医師,心臓血管外科医師,麻酔科医師,ICU医師,看護師,臨床工学士,放射線技師全員が集まり,治療行程の十分な確認を行った.①はより少ない侵襲でTCPCが行われ,②はRastelli手術に到達できた.③はすべて片肺循環を回避でき,④は低酸素が改善した.
    結語:Hybrid Suiteを持たない施設では,手術室からカテーテル室への移動および感染対策や精度の高い血管造影装置や造影剤の注入装置がない状態でのカテーテル操作が必要となる.十分な術前治療戦略の検討と良好なチームワークがこれらの問題点を乗り越える助けとなり,Hybrid治療を成功させることが可能である.
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  • 三浦 大, 賀藤 均, 土井 庄三郎, 朴 仁三, 中川 雅生, 藤原 優子, 住友 直方, 深澤 隆治, 水上 愛弓, 松裏 裕行, 安河 ...
    30 巻 (2014) 5 号 p. 580-587
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
    目的:日本小児循環器学会所属施設における心臓カテーテル検査・インターベンション(心カテ)の深鎮静の実態を把握すること.
    方法:心カテ時の全身麻酔・深鎮静の概要につき対象施設にアンケート調査を行った.
    結果:対象の60施設における年間の心カテ件数は9,942件で,麻酔科医による全身麻酔・深鎮静は3,694件(37%),小児科医による深鎮静は4,979件(50%)に行われていた.小児科医による深鎮静の体制では,心電図モニタとパルスオキシメータは52/52施設(100%),呼気二酸化炭素モニタは8/52施設(15%)で用いられていた.経時的なバイタルサインを5分以下の間隔で記録している施設は15/37施設(41%)であった.
    結論:小児科医による深鎮静は,全国の心カテの半数に行われているが,呼気二酸化炭素モニタの使用やバイタルサインの測定間隔は十分ではなかった.心カテの深鎮静に関し,本学会が指針を示し,診療報酬改定により体制整備が進むことが望まれる.
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症例報告
  • 青木 寿明, 中村 好秀, 武野 亨, 竹村 司
    30 巻 (2014) 5 号 p. 592-596
    公開日: 2014/10/15
    ジャーナル フリー
    はじめに:経皮的心外導管穿刺を用いアブレーションを行った症例の成績,手技上の問題点を報告する.
    対象と方法:対象は2012年8月〜2013年9月に行った4例.患者背景,心外導管穿刺,アブレーション治療の問題点,治療成績について検討した.
    結果:アブレーション時の年齢は13〜19歳,診断は無脾症・単心室が3例,僧帽弁閉鎖・両大血管右室起始症が1例,治療した不整脈は潜在性房室副伝導路に伴う房室リエントリー性頻拍,重複房室結節が関与する頻拍と潜在性房室副伝導路に伴う房室リエントリー性頻拍,心房内回帰性頻拍,接合部頻拍であった.全例治療は成功した.Fontan手術から導管穿刺までの期間は3〜12年であった.心外導管の屈曲の角度が小さい症例,リング付人工血管の症例は穿刺に難渋した.またロングシースの外筒の挿入には工夫が必要であり,心房内回帰性頻拍,接合部頻拍など難易度が高い不整脈では治療に難渋した.
    結語:心外導管を用いたFontan手術後に,経皮的心外導管穿刺にてアブレーションが成功した4例を経験した.今後増加するFontan術後の不整脈に対して新しい治療法となり得ると考えられる.今後は安全性の確立,手技上の問題点の対処法について明らかにしていく.
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