日本小児循環器学会雑誌
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33 巻 , 5 号
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巻頭言
Review
  • 八代 健太, 宮川 繁, 澤 芳樹
    2017 年 33 巻 5 号 p. 349-361
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    臓器錯位症候群は,臓器の左右非対称性に異常を来した奇形スペクトラムであり,相同心の原因となる.この20年余のモデル動物を用いた遺伝学・分子生物学的なアプローチにより,脊椎動物の臓器の左右非対称性形成のメカニズムに対する理解は飛躍的に深まった.まず,初期胚で,オーガナイザーであるノード(結節)に「対称性の破れ」が生じる.この最初の左右非対称の情報が胚の側方にある側板中胚葉に伝達され,これに従いTGFβスーパーファミリーの一つであるNodalが左側の側板中胚葉でのみ排他的に発現する.次いでNODAL分子によるシグナルが直接的にビコイド型ホメオドメインを有する転写因子Pitx2の発現を左側に誘導し,これが左側臓器の形態形成を担う.これら一連の事象における発生異常は,いずれも臓器錯位症候群の原因となり得る.残念ながら,モデル動物から得られた知見とヒトの臨床遺伝学的知見は有機的に統合されている状況とは未だに言えず,更なる知見の集積と総括が臓器錯位症候群と相同心の成因の理解に必要である.

  • 中野 俊秀
    2017 年 33 巻 5 号 p. 362-370
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    術式の改良と周術期管理法の進歩でFontan手術の成績は大きく改善し,術後患者の多くが成人領域に達している近年,Fontan循環特有の遠隔期合併症の発生や心室機能障害,運動耐容能の低下などFontan術後患者のQOLを低下させる要因が明らかにされ大きな注目を集めている.多くの因子がFontan循環を破綻させる危険性を持っており,良好なFontan循環を維持するためには綿密な内科的治療の継続に加え,病態に応じた適切なカテーテル治療および外科的治療の再介入が必要である.

  • 板谷 慶一, 山岸 正明, 夜久 均
    2017 年 33 巻 5 号 p. 371-384
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    近年のコンピュータ技術の進歩に伴い循環器画像診断は変容を遂げつつある.カラー3次元動画を自在に使えるよう今日,心臓血管の形態のみならず血流をわかりやすく可視化する技法である『血流解析』が台頭しつつある.血流解析では異常血流を可視化し,乱流がもたらす心筋や血管内皮への力学的なストレスを可視化し,心臓弁膜症,心筋症,冠動脈疾患,大動脈疾患など幅広い循環器疾患において病態生理の詳細に迫ることが可能になる.また,これらの力学的なストレスが心不全や血管イベントなどを予測できるのではないかという期待がある.特に,先天性心疾患は解剖も生理学も複雑で,複雑な修復を余儀なくされ,従来血流解析と最もなじみの深い領域であった.また昨今の周術期管理の向上により遠隔期を迎える患者も増多しており予測医療としての血流解析の担う役割は大きい.本稿では血流解析手法の詳細を説明すると同時に先天性心疾患での役割を議論する.

  • 加藤 愛章
    2017 年 33 巻 5 号 p. 385-394
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    成人先天性心疾患では高頻度に不整脈が出現し,心臓突然死の原因となることがある.先天性心疾患の種類,術式により合併する不整脈の種類が異なり,不整脈の発生には加齢が大きく影響する.先天性心疾患の複雑さや心機能低下の程度により,治療方針が異なってくる.洞不全症候群,完全房室ブロックのいずれでも,徐脈で症候性の場合にはペースメーカ植込みの適応となる.心房粗動,心房細動では抗凝固療法が心原性塞栓症予防のために重要であり,リズムコントロールには様々な抗不整脈薬が用いられ,カテーテルアブレーションも有効である.心室頻拍では薬物治療のみならず,非薬物治療と合わせて対応する必要がある.特に心臓突然死予防においては,植込み型除細動器が治療の中心となり,抗不整脈薬やカテーテルアブレーションは付加的な治療という立ち位置となる.

原著
  • 齊川 祐子, 安河内 聰, 瀧聞 浄宏, 田澤 星一, 武井 黄太, 百木 恒太, 柴田 綾, 蝦名 冴, 日髙 惠以子
    2017 年 33 巻 5 号 p. 395-403
    発行日: 2017/09/01
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    背景:二次孔型心房中隔欠損症(ASD)に対するAmplatzer Septal Occluderを用いた経皮的閉鎖術治療(ASO)において,心房中隔に留置された伸縮性に乏しいデバイスの中長期的な心機能への影響については不明な点が多い.この研究では,ASOの左房および右房機能に与える短期的および中期的影響について検討した.

    対象と方法:ASD 45例中ASO群30例,外科的閉鎖術群(SC)15例と正常小児対照群(NC)15例を対象とした.ASO群は,閉鎖栓サイズの心房中隔長に占める割合の大小でさらに2つのサブグループに分類した.計測項目は,経胸壁心エコーの心尖部四腔断面から左房(LA)と右房(RA)の最大面積(Max),最小面積(Min).さらに心房reservoir機能の指標として,心房伸展性Distensibility (Dis)[=(Max−Min)/Min]を検討した.

    結果:LA Disは,NC群(1.51±0.25)に比べASO群(1.10±0.22)とSC群(1.0±0.44)で有意に低下していた.特に閉鎖栓サイズが大きな群でよりLA Disは低下していた.一方,RA Disは,ASO群(0.87±0.27)とSC群(0.59±0.24)で,NC群(1.38±0.37)より低下していたが,閉鎖栓サイズの大小とは無関係であった.

    最大心房面積は左右ともASO群とNC群で差はなかったが,最小心房面積は,ASO群のほうがNC群より大きかった.

    結語:左右心房の伸展性が,ASO群およびSC群でNC群より低下していたことから,ASO治療後および外科手術後では心房性不整脈の発生など長期的な心房機能の評価と長期的予後のための経過観察が必要と思われる.

症例報告
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