心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖(pulmonary atresia with intact ventricular septum, PAIVS)は,出生時,動脈管に肺血流を依存している.生後早期に肺血管抵抗が低下して肺血流が増加した際は,壊死性腸炎などの致死的な合併症を避けるため,内科治療により肺血流制御を試みることが多い.一方,内科治療で肺血流制御が不十分な場合の対応方法については知見が少ない.症例は在胎35週,2.2 kgのPAIVSで,生後24時間から肺血流が急激に増加した.プロスタグランジン製剤の中止や低酸素ガス吸入療法などの内科治療では肺血流の制御が不十分で,循環不全が進行した.日齢3に両側肺動脈絞扼術(bilateral pulmonary artery banding, bPAB)を行ったところ循環動態が安定した.日齢21に経皮的肺動脈弁形成術,日齢55に右室流出路形成術を行った.本症例は,PAIVSのように肺血流を動脈管に依存する先天性心疾患でも,状況によっては,bPABが肺血流を一時的に制御する橋渡し治療として有効なことを示唆している.
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