小児歯科学雑誌
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19 巻 , 3 号
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  • 金田一 純子, 菅原 準二, 小菅 尚規, 坂本 敏彦, 守谷 友一, 藤田 靖, 真柳 秀昭
    1981 年 19 巻 3 号 p. 431-440
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本症例は,舌下部に生じた先天性鰓原性嚢胞により下顎骨の変形を生じ,出生4カ月後に嚢胞摘出の行なわれた3歳0カ月の男子の症例である。
    顔面所見: 通常, 大きな舌が口唇より突出し, 口裂が大きく, 流唾が絶えなかった。口腔内所見:口腔清掃状態は極めて不良で下顎前歯を除いた全ての乳歯が齲蝕に罹患しており,歯冠崩壊が著しかった。咬合状態は左右第2乳臼歯のみが接触し,高度の前歯部開咬を示していた。下顎乳前歯,永久前歯は著しく唇側傾斜を示し,下顎歯列弓全体にわたって歯間空隙が存在していた。
    上顎骨は位置,大きさともに正常であったが,下顎骨は下顎骨体長が大きく,下顎体部は前下方へ大きく彎曲し,従って,gonial angleおよびmandibular plane angleが開大していた。
    Egyedi-Obwegeser法による舌縮小と加えて,chin cupによる治療を行った結果,7カ月後にはすでに顔面所見の大輻な改善がみられ,下顎骨の彎曲や開咬の著しい軽減が認められた。
  • 林 芳隆, 木村 興雄, 小野 博志
    1981 年 19 巻 3 号 p. 441-447
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    審美的で操作性の良い乳前歯歯冠修復をめざして,従来のものより支台歯の削除量が少なくてすむ,薄型のポリカーボネート冠を試作した(ピドクラウン)。支台歯への装着には接着性レジン(クリアフィルFおよびSC)を使用し,ポリカーボネートとクリアフィルの間の接着には,MMA系即時重合レジンのモノマー液を用いた。この方法により,2歳から6歳までの患児23名62例を対象に,3-8カ月の経過観察を行った。
    その結果,一回法で審美的に好ましい修復を行うことが可能になった。しかし冠の剥離脱落が多くみられた。支台歯とクリアフィル間で脱落したものは12例あり,6カ月以内の短期間に多く起り,支台形態が不良の生活歯に多かった。
    クリアフィルと生活象牙質間の接着に問題があると思われる。クリアフィルとポリカーボネート間で剥離脱落したものは19例で,7カ月以上経過してからが多く,支台形態が良好の生活歯に多かった。これらは冠の咬耗に引き続いて起った。クリアフィルとエナメル質間の接着は良好であるが,クリアフィルとポリカーボネート間の接着(MMAモノマー液を使用)に問題があると思われる。
    歯冠歯髄の失活歯では脱落例は少なかった。クリアフィルと失活象牙質間の接着は良好のようである。装着にあたっての症例の選択および術式・使用材料の改良の必要性が示唆された。
  • 東 昇平, 川原 哲子, 中川 武幸, 島 史和, 花井 美智子, 小高 鉄男, 鈴木 康生, 佐々 竜二
    1981 年 19 巻 3 号 p. 448-460
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯に付着した歯石様構造物について,乳酸脱灰セロイジン二重包埋法により作製した脱灰切片,microradiogram,走査電子顕微鏡,エネルギー分散形X線分析装置,微小硬度計などにより検索を行った。
    脱灰切片およびmicroradiogramにより乳歯のエナメル質の表面,セメント質の表面,歯根の吸収窩の象牙質面に顆粒状構造,層板状構造,波濤層状構造を呈する歯石を認め,永久歯に付着した歯石とほぼ同様な組織構造を有することを認めた。
    また,走査電顕により観察した結果,乳歯の歯石表面,割断面,歯質との付着面に石灰化した線状菌あるいは菌体間の石灰化物の他,板状の結晶構造が認められた。歯石の付着面には大小の六面体の結晶構造が認められた。これらの歯石の各面をエネルギー分散形X線分析装置による点分析を行ったところ,各面において高いピークのCaとPが検出されたが, その他の元素は低いピークのZ n , S , C l が, また, 歯質との付着面に認められた六面体の結晶構造では高いピークのCaとPの他に,低いピークのMgが検出された。乳歯の歯頸部付近エナメル質に付着した歯石のVickers微小硬度値は144-198V.H.N.を示し,永久歯の歯石の硬度値とほぼ同程度であった。乳歯の歯石の付着は6才以上の小児に認められ,その歯石の色調は乳白色および緑白色のものが多かった。
  • 前田 光宣, 棚瀬 精三, 堀口 浩, 落合 慶信
    1981 年 19 巻 3 号 p. 461-468
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ellis-van Creveld症候群は,1940年にEllisとvan Creveldにより,外胚葉異形成,軟骨形成不全,多指症,先天性心疾患に伴うことを特徴とするものとして報告された。我国でも31例の報告があるが,歯科学的に詳細に検索を加え報告されたものはあまりない。
    今回,筆者らは本学小児歯科に来院した6歳3カ月の女児で,齲蝕治療と審美障害を主訴としたEllis-van Creveld症候群の1例を経験し,歯科学的所見について検討を加えた。患者は, 家族歴には異常を認めず, 出生直後, 両側尺側に多指症( 第6 指) を認め, 生後約1カ月後に切断手術を受け, 5 歳時には心奇形の手術を受けた。
    口腔内所見は,初診時,全ての乳側切歯の先天性欠如を認め,_??_に口形態異常が認められ,なかでもA Aについては円筒形の顕著な形態異常が認められた。上下顎ともく, 小帯も多く認められた。X 線所見において_??_の歯胚欠如が認めら口腔前庭溝が浅れ,上顎中切歯と思われる歯牙の形態異常が認められた。頭部X線規格写真により,下顎角の鈍化が認められた。
  • 菅原 博子
    1981 年 19 巻 3 号 p. 469-477
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    仙台市内の保育所,幼稚園の幼児歯科検診を行い,あわせてムシ歯の多い幼児の親とムシ歯の少ない幼児の親を対象に質問紙法による親子関係調査,期待度調査,母親の性格検査を実施し,乳歯齲蝕との関係を研究した結果,以下の結論を得た。
    1.ムシ歯の多い幼児はムシ歯の少ない幼児に比較し,一人遊びや親との遊びが少なく,テレビを1時間以上みているものが非常に多かった。
    2.ムシ歯の少ない幼児と親との関係はムシ歯の多い幼児のそれと比較し,強制的,説論的傾向がやや強く,放任傾向がやや弱い,過保護傾向には差がみられなかった。
    3.ムシ歯の多い幼児の親はがまん強い子,誠実な子,明朗な子,思いやりのある子,根気のある子になるよう期待し,ムシ歯の少ない幼児の親は根気のある子の代りに,意欲のある子になるよう期待していた。
    4.ムシ歯の多い幼児の親はムシ歯の少ない幼児の親に比べて,平凡型であり,情緒的安定,社会的適応性が高いといえる。
    以上の結果を総合的に判断すると,ムシ歯の多い幼児の親は育児に対し,のん気,楽観的,外向的そして社交的であり,一方ムシ歯の少ない幼児の親は説諭的で,自分の考えで工夫したり,規制したり,手にかけて幼児を扱うことが多いといえる。なお因子分析によっても特に衛生関係の場面において同様の傾向がみとめられた。
  • 三輪 全三
    1981 年 19 巻 3 号 p. 478-488
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎中切歯に齲蝕がなく全身的にも健康で協力的な7歳から9歳までの男児4名女児11名計15名を被験児として,歯を微弱なパルス電流で刺激したときに得られる感覚と刺激的条件との関係を調べ,同時に誘発される頭皮上誘発電位(誘発脳波)および開口反射(咬筋抑制)と歯髄感覚との対応を検索し,これらの誘発反応が小児の歯髄感覚を検出する客観的な指標になり得るか否かを検討し次の結果を得た。
    小児の歯を電気刺激して,弱い刺激で誘発されるのは痛みを伴わないpre-pain感覚である。刺激頻度1Hz,持続時間1msecまたは10msecのパルス電流でのpre-pain感覚閾値は同一被験児においてほぼ一定であった。
    pre-pain感覚閾値は,平均加算された誘発脳波における初期陰性成分(N1)の出現閾値とほぼ一致していた。
    pre-pain感覚閾値は,整流し平均加算された咬筋筋電図における抑制の初期相の出現閾値とほぼ一致していた。
    以上のことより,歯髄電気刺激により誘発される脳波および咬筋筋電図における誘発反応は,小児の歯髄感覚の客観的判定基準として一つの指標になり得る可能性が示唆された。
  • 柳下 晃次, 柳沢 申也, 岡田 玄四郎, 赤坂 守人, 深田 英朗
    1981 年 19 巻 3 号 p. 489-496
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕活動性の試料として唾液を用いるために,唾液の物理的性状のひとつである粘度について本研究を行った。
    従来,唾液粘度についての研究の多くは毛細管法によるものであったが,唾液のような非ニュートン性流体については,適切な方法とは言い難い。
    本研究では,回転粘度計により唾液を測定し,さらによりレオロジー的な立場から考察するために,工業界等で用いられているCassonの降伏値やチクソトロピー・インデックス(T.I.)の導入を試みた。
    被検者は,成人男女各10名ずつを選び,午前と午後の2回を単位として3日間計6回測定し,以下の結論を得た。
    1.成人男女のCassonの降伏値およびT.I.値について標準値を得た。
    2.Cassonの降伏値およびT.I.値は,みかけ粘度に比べ個体差のでにくい傾向がみられた。
    3.午後のCassonの降伏値,T.I.値およびみかけ粘度は,午前に比べ高く個体差も著しくでる。
    4.短期聞であれば,Cassonの降伏値,T.I.値およびみかけ粘度ともに日差は認められない。
  • 柴崎 貞二, 坂入 博, 高橋 修, 五十里 一秋, 赤坂 守人, 深田 英朗
    1981 年 19 巻 3 号 p. 497-506
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳幼児用食品とくに乳幼児ビスケットの硬さが,その摂取時における咀嚼筋活動にどのように影響を与えるか知るべく本研究を行った。
    被検児は,いわゆる正常咬合と思われるHellmanの咬合発育段階IIAの幼児6名である。咀嚼試料としては,成分配合を一致させた,硬さの異なる同型の3種類のビスケット(軟かいビスケット-平均45g/mm,中程度のビスケット-平均82g/mm,硬いビスケット-平均132g/mm)を試作した。
    筋電図は, 左右両側の側頭筋前部( T A ) と咬筋浅部( M ) から, 各ビスケットの自由咀嚼の開始時から嚥下終了時まで記録した。これらを測定して,筋活動量(積分値),咀嚼リズム,咀嚼回数,および咀嚼時間を求め,各ビスケット間におけるそれらのちがいを比較した結果以下の結論を得た。
    1.硬いビスケットほど,咀嚼時における咀嚼筋活動量は多い。
    2.硬いビスケットほど,TAよりの咀嚼リズムにおけるBurstの放電持続時間は長い。
    3.硬いビスケットほど,咀嚼回数および咀嚼時聞は数多く長い。
    4.咀嚼筋の積極的な機能力を期待するには,約80g/mm以上のショートネスを持ったビスケットが必要であると考えられる。
    5.硬さの違いによる咀嚼筋活動量の違いをみると,TAよりもMにその影響が強く現われる。
  • 堤 修郎
    1981 年 19 巻 3 号 p. 507-522
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ag(NH3)2は,乳歯齲蝕の進行抑制剤として,本邦で広く臨床に応用されており,その有効性が認められているフッ化物である。しかし,本薬剤の齲蝕抑制機序に関する研究の多くは,健余歯質や齲蝕象牙質を対象としたものであり,臨床上問題の多い白斑エナメル質についての研究は少ない。そこで,Ag(NH3)2Fの齲蝕抑制機序の一端を解明する目的で,健全エナメル質および白斑エナメル質に対する本薬剤の影響を,F,Agの取り込みと,その停留の面から調べた。さらに,白斑エナメル質の再石灰化に及ぼす影響および再石灰化後の変化を,耐酸性,組織学的,結晶学的な面から検討を加えた。その結果,健全エナメル質へAg(NH3)2Fを3分間塗布することにより,F,Agの著明な取り込みと,約100μm内層にまで浸透することが判明した。一方,白斑エナメルエ質においては, 健全エナメル質よりF , A g が多量に取り込まれ, かつ, 長期間停留することが判明した。また,Ag(NH3)2FはNaFやSnF2より白斑エナメル質の再石灰化を促進させ,再石灰化後の耐酸性も向上した。さらに,白斑エナメル質の結晶性も,無処理のものより向上していることが判明した。以上の結果から,Ag(NH3)2は,健全エナメル質および白斑エナメル質に対して,抗蝕性を付与し,その齲蝕予防と進行抑制に有効な薬剤であることが示唆された。
  • 堤 修郎
    1981 年 19 巻 3 号 p. 523-536
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯牙隣接面は,エナメル質初期齲蝕病像であるいわゆる白斑の好発部位であり,加えて,頬舌側平滑面よりS.mutansの検出率が高いことも報告されている。このように形態的にS.mutansが停留し易い部位において,Ag(NH3)2Fが抗菌的にどのような作用を及ぼすかを検討した。
    in vitro で人口白斑エナメル質表面を用いてAg(NH3)2Fによるプラーク形成への影響と,in vivo において,Ag(NH3)2Fの隣接面への局所塗布による隣接面プラーク細菌叢に及ぼす影響について検討した。
    その結果,Ag(NH3)2F塗布人工白斑エナメル質表面への S.mutans の初期付着と付着した菌の増殖および集落形成が,NaF,SnF2より著明に抑制された。
    Ag (NH3)2F 塗布直後には, 隣接面プラーク中の細菌がほぼ完全に殺菌され, S.mutans 以外の連鎖球菌やその他の口腔細菌は, 速やかに塗布前の状態に回復するが, S . mutans の回復は著明に遅れることが判明した。
    以上の結果から,Ag(NH3)2Fは細菌学的な面からも,抗齲蝕効果を発揮し,齲蝕予防およびその進行抑制に有効な薬剤であることが示唆された。
  • 堤 修郎
    1981 年 19 巻 3 号 p. 537-545
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳臼歯隣接面齲蝕は,その発見が困難であるばかりでなく,進行が速やかなため小児歯科臨床上重大な諸問題を生じさせる。したがって,乳臼歯隣接面齲蝕の抑制は,小児歯科臨床上重要な課題である。
    そこで著者は,乳歯齲蝕の進行抑制剤として本邦で臨床的に広く使用されているAg-(NH3)2Fに注目し,本薬剤による乳臼歯隣接面齲蝕の抑制効果を検討した。
    臨床試験対象者は,左右側乳臼歯隣接面が共に健全なものおよびエナメル質に限局した蝕を有する3歳-5歳の小児58名である。
    乳臼歯隣接面の一方に,Ag(NH3)2Fをデンタルフロスを用いて3分間,3カ月間隔で塗布し実験側とした。他側は,3カ月間隔のフロッシングのみとし,対照側とした。初診時より6 カ月間隔で視診, 触診および咬翼法によるX 線診を行い, 齲蝕の程度を判定した。
    18カ月間の観察結果,Ag(NH3)2F塗布側における齲蝕の発生は,対照側より有意に抑制されており,また,エナメル質齲蝕から象牙質齲蝕への進行も有意に抑制されていた。
    以上の結果から,Ag(NH3)2Fを乳臼歯隣接面へ局所塗布することにより,同部の齲蝕予防とエナメル質齲蝕から象牙質齲蝕への進行拡大を効果的に抑制出来ることが示唆された。
  • 山下 登, 向井 美恵, 鈴木 康生, 佐々 竜二, 小高 鉄男, 東 昇平
    1981 年 19 巻 3 号 p. 546-558
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼若永久歯の外傷は,臨床でしばしば経験する。しかし,外傷で脱落した歯牙の歯槽内に,歯根の形成を観察した報告はないようである。
    症例1:外傷により,歯根未完成の上顎右側永久中切歯が脱落した後,その歯槽内に,X線学的および組織学的に歯根の形成をみた。歯肉内に埋伏した歯根は,徳利状の外形を示し,通常の象牙質,セメント質の他,円筒状の象牙粒,副根管様の小管,そしてセメント質様組織が観察された。この歯根は,歯冠側では局部床義歯による咬合圧も関与した形成異常が,そして根尖側ではHertwigの上皮鞘による通常の形成が示唆された。
    症例2:外傷による上顎左側永久中切歯の完全脱臼の再植例において,再植歯の根端部のやや上方に,経年的なX線観察により歯根様硬組織の形成をみた。これは症例1の根尖側の形成と同様で,歯根の一部と考えられた。
  • 山下 篤子, 臼田 祐子, 鳴島 和子, 岡部 旭, 本間 まゆみ, 井上 美津子, 鈴木 康生, 佐々 竜二
    1981 年 19 巻 3 号 p. 559-569
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    保健所を訪れた1歳6カ月児449名を対象に口腔内状態,食習慣を中心とした生活習慣の調査を行い,その結果を歯垢付着状態を中心に検討した。
    歯垢付着状態の評価には,歯冠の2/3以上の萌出がみられる乳歯の唇側または頬側面を用い,各歯面9分割法により,各歯,全唇(頬)側面および上顎乳切歯唇側面のプラーク・スコアを算定した。
    全唇(頬)側面および上顎乳切歯唇側面プラーク・スコアの平均は各々5.11,5.76であり,両スコア間には有意相関が認められた。
    歯種別の歯垢付着度は,下顎より上顎において,また乳切歯より乳犬歯,第1乳臼歯において高い傾向にあった。
    分割歯面別の歯垢付着度は,各歯種とも歯頸側1/3において著明に高く,また近遠心隣接側において中央部より高い傾向にあった。
    萌出型別では,萌出途上歯を多くもつ型において,歯垢付着度が高い傾向が認められた。歯みがきについては,親が関与しているものほど歯垢付着度が低く,特に乳切歯部において,この傾向が大きかった。
    食習慣との関連では,好ましくない飲食物を多く摂取しているものほど歯垢付着度が高い傾向が認められた。
    齲蝕罹患者の歯垢付齲着度は,無齲蝕者のそれに比べて高い傾向にあった。カリオスタットによる齲蝕活動性と歯垢付着状態との間には,一定の関連は認められなかった。
  • 荻田 修二, 山田 知博, 後藤 邦之, 黒須 一夫
    1981 年 19 巻 3 号 p. 570-577
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の齲蝕は永久歯と比べ,その進行はきわめて速く,かく広範囲に進行する。とくに,乳臼歯部の隣接面で早期に初期齲蝕を検出するのは非常に難しい。
    先に著者らは,上下顎乳臼歯部の抜去歯を用いて,咬合面と平滑面における齲蝕侵襲範囲および程度の関係,咬合面における齲蝕の初発部位ならびに進行方向,平滑面におけるの初発部位などについて報告した。
    そこで今回,乳臼歯隣接面部における齲蝕がX線診断によりどの程度侵襲が進行すると検出できるか,また電気抵抗値との関係はどうかについて検討を行なった。その結果;
    1)視診とX線診との間では有意の相関関係が得られた。(γ=0.7915)
    2)視診とX線診齲蝕進行程度の間でも有意の相関関係が得られた。(γ=0.7054)
    3)視診と電気抵抗値の関係を検索したところ,咬合面,平滑面とも有意の相関関係が得られた。(咬合面:γ=-0.5559,平滑面:γ=-0.7307)
    4)X線診から乳臼歯隣接面部の齲蝕侵襲程度を検索したところ,X線診と齲蝕侵襲程度の間に有意の相関関係が得られた。(γ=0.7922)
  • 毛利 元治, 成瀬 敏彦, 中野 育子, 清水 賢二, 中田 稔
    1981 年 19 巻 3 号 p. 578-585
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Pycnodysostosisに罹患した,10歳の女児と9歳の男児の姉弟に歯科治療を行い,次のような所見を得た。
    1)一般所見
    患者らの両親はいとこ結婚で,姉は数度,骨折の既往がある。患者らは身長が著しく低い。頭部は短頭型であり,顔は小さくて,眼瞼が腫脹し,鷲鼻で頤が後退している。指は短かくて,バチ状であり,爪は形成不金である。
    血液および尿化学検査所見は正常値内にあった。
    2)X線所見
    X線所見では,骨格全体の骨濃化と,泉門と頭蓋縫合の開存などの頭蓋骨の異常,前頭洞の欠如,下顎角の開大および深い下顎切痕などが認められた。手根骨の骨年齢は正常であるが,末節骨は形成不全を示した。
    頭部X線規格写真の分析で,顔面頭蓋骨の著しい劣成長が認められ,特に上顎骨の前方部高径と下顎骨全体が著しい劣成長を示した。
    3)口腔内所見
    口蓋縫合部に溝があり,口腔前庭が浅い。上下顎の歯列弓が著しく小さく,歯は叢生である。その他,乳歯の晩期残存と永久歯の先天性欠如,矮小歯,萌出遅延あるいは異所萌出などの異常が認められた。
  • 向井 美恵, 井上 美津子, 鈴木 康生, 佐々 竜二, 金子 芳洋, 宍倉 潤子, 金子 兵庫, 藤永 数江
    1981 年 19 巻 3 号 p. 586-597
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    心身障害児に特有な口腔領域の諸問題を総合的にとらえる目的で,CP児を中心とした3施設243名(1歳~21歳,平均9歳1カ月)について調査を行った。今回は第1報として対象児の口腔機能の評価を行い,摂食状態,粗大運動行動,発達年齢,食物形態との関連性について検討した。1.本研究の口腔機能評価から口腔機能に障害がみられた者は,全対象児の91%(重心児施設収容児の99%)であった。2.口腔機能障害度と摂食状態の評価法から,軽度から重度までのCP児を中心とした心身障害児の障害特徴を知る事ができた。3.粗大運動と口腔機能障害度との関連から,首の座り,座位の安定は,口腔機能が発達していくための基本となる運動能である事が推察された。5.発達年齢と口腔機能障害度との関連から,口腔機能に重度の障害をもつ者の多くは発達年齢18カ月以内の者であった。6.口腔機能障害度が同程度のものでも,施設間において通常摂っている食物形態に違いがみられたことから,摂食姿勢,給食に要する時間をはじめとする口腔機能以外の多くの要因により食物形態が決定される可能性が強いことが示された。
  • 千葉 秀樹, 猪狩 和子, 神山 紀久男
    1981 年 19 巻 3 号 p. 598-606
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の歯根吸収に伴ない吸収される根管充填剤VITAPEXを用いて根管充填した,抜髄歯54歯,感染根管治療歯129歯について,臨床的,X線的に長期にわたり観察した。
    その結果,過剰の根充剤は2-3カ月で吸収され,また,歯根に異常な型の吸収が認められない歯では根充剤のみが選択的に吸収されることはなかった。下顎第1 , 第2 乳白歯の近心根管が根充不足になりやすい。従来の感染根管治療の非適応症とされる範疇の症例の中にも治癒可能な症例が含まれることがわかった。また,後継永久歯の萌出に対する影響はほとんどないと考えられる。
  • 長谷川 香子, 富沢 美恵子, 西村 カロリナ, 長本 孝一, 野田 忠
    1981 年 19 巻 3 号 p. 607-612
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    片側性の人胸筋胸骨部の欠損と同側の合短指症を特徴とするPoland's Syndromeは,整形外科や小児科領域などで多く症例報告されているが,歯科的に観察,報告された例は,著者らが献索した限りでは,ほとんどない。
    著者らは,新潟大学歯学部附属病院の小児歯科外来でPoland's Syndromeの3歳の男児を観察する機会を得,次のような所見を認めたのでここに報告する。
    1)頭部規格X線写真分析においてGonial Angleの開大,下顎下縁平面角の増大が認められたものの,ほぼ正常な範囲と思われた。
    2)高度の齲蝕罹患性が,乳歯に認められた。
    3)癒合歯が,下顎の両側乳切歯部,下顎右側永久切歯部に認められ,また上顎左側永久切歯部に過剰歯が認められた。4)下顎歯列弓において幅径が,平均値に比して,少し小さかったが,歯列弓の形態や大きさ,咬合に異常はみられなかった。
    Poland's Syndromeは,1841年に Poland が最初に報告した1)病因不明の先天奇形で.片側性の大胸筋胸骨部の無形成と同側の合短指症を特徴とする。
    Poland's Syndrome についての報告例は整形外科,小児科領域などで多くみられるが1-10),歯科的に観察,報告された例は,著者らが献索した限りではほとんどみあたらない。
    著者らは,新潟大学歯学部附属病院の小児歯科外来で Poland's Syndrome の3歳の男児を観察する機会を得たのでその歯科的所見について報告する。
  • 北村 京一, 増田 典男, 今西 秀明, 落合 伸行
    1981 年 19 巻 3 号 p. 613-618
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    亜砒酸糊剤は,歯髄失活剤として,現在でも広く使用されている。しかしその薬理作用を考慮すると,乳歯への応用は非常に大きな危険性を有している。これまでにも,主として骨疽を呈した症例についての報告がなされてきたが,現在なお不用意に使用されているようである。
    今回著者らは,乳臼歯に貼布された亜砒酸糊剤によると診断された骨疽および後続永久歯障害の一例を経験したので報告する。
    患児は4歳5カ月の女児で,Eの早期脱落,ひきつづいての歯槽骨片の脱落を主訴として来院した。口腔内診査の結果,E部歯肉の異常な退縮と,動揺が著るしく褐色を呈したの歯冠部が認められた。またX線診査により,E部の歯槽骨の欠如と,歯肉内に孤立し5 ,歯根の全くない5が認められた。持参した歯槽骨片について,乳歯側および永久歯側の螢光X線分析を行なった結果,健全な歯槽骨には認められなかった砒素が検出された。以上の所見から,本症例は,第2乳臼歯に貼布された亜砒酸糊剤により歯周組織が障害を受け,骨疽形成ならびに5の歯胚の石灰化およびその成長が阻害されたものと診断された。約2年後の現在では,わずかながら5の歯根に成長が認められ,観察を続けている。
  • 森川 三知代, 岡本 潤子, 白川 美穂子, 天野 秀昭, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1981 年 19 巻 3 号 p. 619-626
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床にたずさわる者にとって,障害児の歯科治療をいかにすべきかは,大きな問題となってきている。我々は今回,本学小児歯科外来における障害児治療の実態を初診時の齲蝕状態とその処置内容をとりあげ調査検討した。
    対象は,3歳から12歳までの障害児280名(男児176名,女児104名)であり,さらに主たる障害別に6群(CP群,ダウン群,てんかん群,自閉傾向群,MR単群,その他群)に分類した。
    人数分布においては,年齢別には5歳児が,障害別では自閉傾向群が最も多く,また自閉傾向群において明らかな男女差(男児68名,女児14名)がみられた。
    乳歯の齲蝕状態及びその処置内容は次のような結果を得た。
    罹患歯率は平均56.8%であり,増齢的に増加する傾向がみられたが,障害別では大きな差は認められなかった。
    処置率は約80%であり,修復処置としては乳歯冠修復,アマルガム充填を多く認めた。
    処置歯のうち,歯内処置を行ったものは,9.8%であり,処置内容としては生活歯髄切断処置が66.5%と最も多くみられた。
  • 白川 美穂子, 峰松 小百合, 坂井 右子, 大西 雄三, 長坂 信夫
    1981 年 19 巻 3 号 p. 627-634
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天性無歯症の患者は,その大部分が他に皮膚,毛髪などの外胚葉系統の器官にも,発育異常,奇形を併発しており,これらの徴候を総称して外胚葉異形成症といわれている。本疾患の原因としては,遺伝性が関与し,無汗型は伴性劣性遺伝によるといわれている。
    われわれは,3歳2カ月の初診で来院して総義歯を装着し,今回再来院した,5歳11カ月の男児の無汗型外胚葉異形成の症状を呈する完全無歯症に遭遇した。
    患児は,完全無歯症のほか,寡毛症,無汗症の3徴候を伴なっており,無汗型外胚葉異形成症と診断された。眉毛は疎で,広い前額,頤部の突出,鞍鼻,口唇の翻転などの典型的な顔貌を有していた。顎顔面の発育においては,上顎骨の劣成長がみられるが,下顎骨には,特に異常がみられなかった。歯槽堤は,約3年間で,上・下顎ともに,長径,巾径に成長がみられた。母方の従兄も,部分無歯症,寡毛症,無汗症にて,無汗型外胚葉異形成症である。問診より,母の弟も同症状を認める。しかし,患児の母,その姉,姉の娘には,歯数,頭髪,発汗に特に異常を認めなかった。従って本症例は,女子が保因者で男子に発症する,伴性劣性遺伝によるものと考える。
  • 佐野 正之, 入江 英仁, 逢坂 亘彦, 吉田 忠雄, 時田 幸子, 辻川 裕久, 吉田 百子, 五嶋 秀男, 岡田 太皓, 升水 達郎
    1981 年 19 巻 3 号 p. 635-645
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Goltz症候群(Focal Dermal Hypoplasia)は,広範囲な線状の皮膚萎縮,異常色素沈着および毛細管拡張などの特異な皮膚病変を主徴とする中胚葉および外胚葉系組織の異常を呈する先天異常疾患である。全身的には皮膚の異常のほかに四肢の奇形,爪,毛髪などの形成不全および頭蓋の変形があり,90%以上が女児に発現する。一方歯科学的所見として歯の先天欠如,顕著な形成不全,萌出遅延および口唇周囲の良性腫瘍が多く認められる。本症はLiebermannによって報告されて以来,50例以上の報告があるが,本邦ではわずか4例だけで,しかも歯科学領域からの詳細な報告はなされていない。今回われわれは臨床的ならびに組織学的所見から本症と診断された14歳男児について歯科学的観察を行い知見を得た。
    口腔所見:_??_の先天欠如,全歯の顕著な形成不全および矮小歯化,Aの晩期残存,5の萌出遅延,歯列不正,および上下顎骨の形成不全を認める。軟組織では左口角部および口蓋に乳頭腫を認める。
    その他の所見:身長138.2cm,体重37.5kg,頭囲50.3cmで全体的に小さい。顔面,背部,腰部,両下肢背面に特異な皮膚症状を認める。小頭,頭蓋およびトルコ鞍の変形,および右下肢腓骨の形成不全,右足第2趾から第5趾までの欠如,その他左耳介の奇形などの多岐にわたる奇形を認める。
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