小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
22 巻 , 3 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 後藤 讓治
    1984 年 22 巻 3 号 p. 619-623
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    若年者の永久前歯部欠損の審美的回復に当って,接着ブリッジは適した方法である.舌面板に保持孔を有さないタイプの接着ブリッジにおいて,舌面板とレジンとの接着性を向上させるための金属面の処理が重要となってくる.そこで,金属の接着性を高めるための処理方法として,金属の各種酸によるエッチング処理,サンドブラスト処理を行ない,処理面の走査型電子顕微鏡による観察を行なった.
    使用金属は,ニッケルクローム系陶材焼付用合金サイクロンGである.その結果,25ミクロン酸化アルミナ粒子によるサンドブラスト面には,微細な凹凸を認めることができたが,アンダーカットは少なかった.60%硝酸,36%塩酸,60%硫酸による処理面は,特別な変化は認められなかった.王水による処理面には,複雑な凹凸及びアンダーカットが多数認められた.この様な凹凸及びアンダーカットは,合金成分のうち,王水によって溶解され易い部分から選択的に溶解されるために生ずるものと思われた.凹凸及びアンダーカットは,王水による処理の時間によっても異なつた様相を示していた.このような凹凸及びアンダーカットは,金属面の面積を増加させ,その機械的結合によって,接着力を向上させる上で有効であると考えられた.
  • 橋本 吉明, 日野 文彦, 石川 雅章
    1984 年 22 巻 3 号 p. 624-630
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東京医科歯科大学小児歯科の来院患者において,上顎前歯部に過剰歯を有する症例の調査を行なった.昭和50年よりの8年間に過剰歯の確認された男児473例,女児138例を対象とした.結果は次のようであった.
    1.発見時の暦齢は6~8歳の症例がほとんどであった.
    2.過剰歯数は1本症例が65%,2本症例が34%で,男児においては3本症例と4本症例も認められた.
    3.口内法X線写真による観察で,過剰歯の歯冠方向は順生52.8%,逆生44.4%,水平2.9%であった.
    4.過剰歯症例の歯列石膏模型を計測し,上下顎の永久中切歯と側切歯の歯冠近遠心幅径を求めたところ,正常歯列者の値との比較で有意の差はみられなかった.
    5.混合歯列前期の過剰歯症例では,正常歯列者に比べて乳犬歯間距離は大きく,前歯部の歯列弓は大きな傾向がうかがわれた.
  • 石川 雅章, 日野 文彦, 橋本 吉明
    1984 年 22 巻 3 号 p. 631-641
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎前歯部埋伏過剰歯の歯列咬合へ与える影響を知ることは,咬合誘導上重要と考えられるが,各種X線写真,歯列模型などを各々独立的に観察した場合,それほど容易ではない.そこで過剰歯所有例について,側貌および正貌頭部X線規格写真を主資料に,両規格写真上の計測点をporion axisを共通軸に同時に処理し,三次元座標値を算出する石川らの方法を準用した立体的観察方法を考案した.
    対象は永久側切歯萌出期以降の過剰歯所有61例で,平均年齢9歳1ヵ月である.これら全症例に過剰歯展開図を作製し,永久中切歯と過剰歯の位置関係を立体的に検討した.さらに,過剰歯所有本数,歯冠方向別に各展開図を重ね合せること,過剰歯とpalatal planeとのなす角度の調査も行い,以下の結論を得た.
    1.過剰歯展開図はpalatal planeを基準線に矢状・前頭・咬合の三面観に分けて表現したが,過剰歯の顎骨内での位置,永久中切歯萌出異常との関連が立体的に把握しうると思われた.
    2.過剰歯を本数,歯冠方向別に観察すると,それらの分布域に多少の違いが認められた.
    3.過剰歯の歯冠方向度は連続的になだらかに分布し,矢状面観では順生型の方が逆生型よりやや直立していた.
    4.永久中切歯萌出遅延別の展開図からは,過剰歯が中切歯萌出路近辺に存在していることが伺われ,早期に過剰歯摘出が必要な理由の一つと考えられた.
  • 會田 栄一, 今村 基遵, 足立 守, 西堀 久美, 近藤 洋代, 黒須 一夫
    1984 年 22 巻 3 号 p. 642-650
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,小児歯科領域での実験に多く用いられるイヌのX線規格撮影装置を開発するのを目的として行われた.装置の試作の主目的は,イヌの成長発育にかかわりなく,常に一定の規格基準でX線撮影が可能であることとした.また,得られたX線写真の計測方法についても新しく考案し,その計測方法を用い,本装置の規格再現性に関して検討した.
    その結果は以下の通りである.
    1)計測時のばらつきは,標準誤差で,0.00~0.01mmであった.
    2)トレース時のばらつきは,標準誤差で,0.01~0.04mmであった.
    3)規格再現性は,標準誤差で,0.01~0.05mmであった.
  • 西堀 久美, 今村 基遵, 足立 守, 會田 栄一, 黒須 一夫
    1984 年 22 巻 3 号 p. 651-660
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,小児の根尖性歯周炎が,後継永久歯胚に及ぼす種々の影響を明らかにするために,片側の下顎乳臼歯に病的X線透過像を認め,反対側同名歯は健全またはC2の小児74症例(3歳~9歳)を選択し,第一報で報告した.その後1~9年間の追跡調査のできた28症例について,永久歯の形成段階,萌出時期,形成障害等について観察し,以下の結果を得た.
    1)患側の先行乳歯を抜歯した場合以下の所見がみられた.
    (i)乳歯根尖性歯周炎による後継永久歯胚の回避現象は,その後の永久歯の萌出には,あまり影響を与えないと思われた.
    (ii)後継永久歯の萌出余地が充分であれば,抜歯側の永久歯は,対照である健側の永久歯より早く萌出する傾向を認めた.
    (iii)19歯中12歯は,先行乳歯を抜歯した後も抜歯側の永久歯の形成段階の速度は,健側の速度と同じであった.2)健側,患側の両側の永久歯が萌出するまで観察できた6症例中,乳歯根尖性歯周炎によると考えられる後継永久歯エナメル質の形成障害は,3歯に認められた.
  • 立川 義博, 井手 有三, 田北 恵子, 浜野 良彦, 中田 稔
    1984 年 22 巻 3 号 p. 661-666
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    電気抵抗値を応用した歯髄診断法と処置の選択法にもとづいて,臨床応用を行なった乳歯の3年予後について検討した.資料は,九州大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した2歳から10歳までの小児31名,74歯で,肉眼的に象牙質齲蝕が認められ,露髄の可能性もあると判断された乳歯とした.X線写真撮影後,局所麻酔下でラバーダム防湿を行ない,カリエスメーターを用いて,軟化象牙質除去後の電気抵抗値を測定した.
    全症例74歯中,良好70例(95%),不良4例(5%)であった.不良となった4例は,電気抵抗値20.0~18.1KΩ 以下でFC断髄を行なった3例であった.すなわち,電気抵抗値18.1KΩ 以上の健全歯質が介在していると判断された27例のうち,26例が良好な経過をとっており,カリエスメーターを利用することにより,露髄の見落しを可及的に避けることができたと考えられた.また,FC断髄を行なった42症例のうち,電気抵抗値が14.0KΩ 以下のものでは27例中3例の不良例が観察されたのに対し,電気抵抗値18.0~14.1KΩ の15症例がすべて良好であったことを考えると,電気抵抗値が14.1KΩ 以上の症例では,歯髄病変の範囲が根部歯髄にまで及んでいる可能性が低いものと推測できた.
    したがって,電気抵抗値の測定は,臨床上客観性のある診断を行なう上で,有効な補助的手段であると思われた.
  • 難波 哲夫, 田中丸 治宣, 高野 博子, 町田 幸雄
    1984 年 22 巻 3 号 p. 667-673
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    正常歯列を有する小児男女各10名計20名より1年間隔で得た4歳から10歳までの累年石膏模型を用い,口蓋皺襞の成長発育を計測,検討し,以下の結論を得た.
    1.各皺襞左右側末端間距離及び左側各皺襞の長さは累年的に増加し,その距離の増加は前方の皺襞ほど中切歯,側切歯の出齦の影響を強く受けているようであった.
    2.左側各皺襞間距離は,末端点間距離,起始点間距離とも増加し,皺襞同士は前後左右に離れていく傾向がみられた.
    3.第1皺襞-乳犬歯最遠心端線間距離は7,8歳まで減少し,その後増加がみられ,皺を基準とした場合,乳犬歯は7,8歳まで近心移動し,その後遠心移動するこ襞とを示した.
    4.第3皺襞-第2乳臼歯最遠心端線間距離は,8歳まで減少し,その後殆ど変化が見られなかった.
    5.口蓋皺襞は上記のように成長発育し不動ではないものの,その成長発育量は比較的小さく,部位並びに時期の選択を誤らなければ歯列並びに歯槽部の成長発育を知るうえでの基準となり得ると考えられる.
  • 桜井 聡, 五十嵐 公英, 千葉 桂子, 神山 紀久男
    1984 年 22 巻 3 号 p. 674-691
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺児の歯科治療を行う上で,その歯科疾患の状況を把握しておくことは重要である.今回,全国10の療育センター及び12の養護学校に在園,在校している脳性麻痺児811名について,歯科疾患の罹患状況及び齲蝕処置状況について調査し,次の結果を得た.
    1)脳性麻痺児の齲蝕罹患は,乳歯,永久歯とも健常児に比ベて低かった.また,乳歯の齲蝕歯処置率は比較的高いが,永久歯では低かった.障害が重度の群の齲蝕罹患ならびに齲蝕歯処置率は低く,IQの低い群でも同様の傾向が認められた.
    2)歯肉炎の罹患は高く,増齢に伴ない罹患者率の増加を示し,15歳児では71.1%に罹患を認めた.齲蝕罹患と異なり,障害が重度の群,IQの低い群の罹患が高かった.
    3)臼歯部の咬耗をもつ者の頻度は高く,Spastic typeに比べAthetoid typeに多く認められた.
    4)前歯部の不正咬合をもつ者が多く認められ,特に開咬及び上顎前突の頻度が高かった.また,障害が重度の群で開咬の頻度が高かった.
    5)叢生をもつ者は増齢に伴い増加傾向を示し,15歳児では40.0%に認められる.
  • 堰口 宗重, 上浦 美智子, 飯沼 光生, 伊藤 公人, 馬場 弘, 朝倉 恒夫, 前田 光宣
    1984 年 22 巻 3 号 p. 692-697
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    局所麻酔による合併症には,伝達麻酔の際にみられる血腫の形成,知覚麻痺,キューンの貧血帯および浸潤麻酔部位局所の皮膚反応などが一般に報告されている.しかし,口腔内浸潤麻酔後,刺入部と離れたオトガイ部皮膚に異常を認めた報告はない.
    今回著者らは,本学小児歯科に来院した4歳0ヵ月の女児(症例1),7歳2ヵ月の女児(症例2)および4歳9ヵ月の男児(症例3)の齲蝕治療のため2%キシロカイン®(エピネフリン含有)により浸潤麻酔を行った.その後,オトガイ部皮膚に斑ならびに糜爛などの発現を認め,これらの症例について臨床的経過観察を行った.
    既往歴・家族歴:症例1は3歳頃喘息性気管支炎と診断されたが,薬剤の服用はない.兄に食事性アレルギーを認める他,特記すべき事項はない.症例2,3においては特記すべぎ事項はない.
    臨床観察所見:3症例とも,齲蝕治療のために浸潤麻酔を行った後,24時間後には刺入部位から離れたオトガイ部皮膚に限局した斑ならびに糜爛などが認められ,その後2~3週間で自然消失した.
    以上の3症例について検討した結果,原因として浸潤麻酔によりオトガイ部に分布する神経,血管などが影響され,局所麻酔剤に添加されている防腐剤によりアレルギー反応が助長されたものと推察している.
  • 上原 智恵子, 登内 喜美江, 野田 忠, 福島 祥紘
    1984 年 22 巻 3 号 p. 698-705
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,6歳男児の右側下顎側切歯部に発生した集合性歯牙腫の形成過程を1年8ヵ月にわたり,X線的に観察を行なった.
    本症例における歯牙腫は,初診時の診査で,左側下顎側切歯の萌出がかなり進んでいるにもかかわらず,反対側では乳側切歯が歯根吸収がほとんどない状態で残存し,右側下顎側切歯が埋伏していたため,埋伏している側切歯の萌出を促す意味で乳側切歯を抜歯し,その後埋伏している側切歯の萌出経過をX線的に観察していたところ,埋伏している側切歯の歯冠上部に形成されたものである.
    本症例では,埋伏していた側切歯の歯冠上部にX線透過像が認められてから約3ヵ月で歯牙腫の石灰化がはじまった.
    摘出された歯牙腫は2個で,集合性歯牙腫と病理組織診断された.病理組織学的所見は,幼若なエナメル質・象牙質・歯髄からなる歯牙組織で,歯根やセメント質の形成はなかった.
    本症例における歯牙腫は,埋伏していた側切歯の歯小嚢より発生した低成熟型の集合性歯牙腫であって,右側下顎側切歯の萌出遅延の原因となっていた.
    歯牙腫摘出後,右側下顎側切歯はすぐには萌出せず,その1年後に開窓術を行なったところ速やかに萌出を開始し,現在ではほぼ萌出を完了している.
  • 宇治 寿子, 成瀬 敏彦, 中田 稔
    1984 年 22 巻 3 号 p. 706-711
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    未萌出永久側方歯の幅径を歯列模型から予測する場合,一般的に小野の回帰方程式あるいはMoyersの推定値を用いることが多い.そこで,これらの値をもとに永久側方歯萌出空隙量の分析を行なう簡易な空隙分析器を試作したので,その使用方法を紹介する.また,従来までの方法,すなわち副尺付ノギスとポケット型計算器を組み合せて分析した場合と,この空隙分析器を用いた場合との間で,所要時間および誤差の比較検討を行なった.
    分析結果については両者間に大きな差はないと思われたが,分析に要する時間は著明に短縮し,Hellman IIIA期の歯列模型を用意すれば,即座に空隙量を求めることができるから,空隙分析器の臨床的実用性は高いものと思われた.
  • 武田 泰典, 八幡 ちか子
    1984 年 22 巻 3 号 p. 712-715
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    金属片を核として形成された顎下腺管内唾石の一例を経験したので報告した.患児は13歳の少女で,右顎下部の腫脹と疼痛を主訴として来院,X線所見で顎下腺腺体部およびワルトン管内に針金状の金属様不透過像が認められた.既往の精査により,8年前に某医にてガマ腫のために開窓療法がなされ,この際.顎下腺との関連を確認するために唾液腺ゾンデをワルトン管より挿入したが,ゾンデが破折したため経過観察がなされていたとのことであった.異物による慢性顎下腺炎の診断のもとに顎下腺ならびにワルトン管の一部が摘出された.ワルトン管内には針金状金属片を核として形成された棍棒状の唾石が認らめれた.唾石の成因には種々の因子が挙げられているものの,成因の明らかな症例はきわめて少なく,その点で本例は非常に興味深い症例と考えられた.
  • 1984 年 22 巻 3 号 p. 719-796
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
feedback
Top