小児歯科学雑誌
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23 巻 , 4 号
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  • 本川 渉, 久芳 陽一, 副島 嘉男, 小笠原 靖, 平川 栄二, 吉田 穰
    1985 年 23 巻 4 号 p. 865-873
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    最近, 歯質と歯科用合金との強い接着性を有するという接着性レジンセメントが開発され,臨床に広く用いられている。特にクラレ社で開発されたパナビアEXはコンポジットレジンタイプのもので,小児歯科領域でも,主としてインレーや乳歯冠の合着に用いられている。しかし,コンポジットレジンタイプであるため,生活歯に用いる場合には,歯髄に対する影響の有無が懸念される。しかるに,パナビアEXの乳歯歯髄に対する影響についての報告は,いまだみられない。そこで今回,幼犬乳歯にパナビアEXを用い,その乳歯歯髄への影響に関して,病理組織学的検索を行った。なお,対照にはHY-Bondカルボセメントを用いた。術後の観察期間は3日,7日,14日および21日であった。
    結果は次の通りである。
    1.両群ともに術後3日経過例で,反応が最も強く,その後経日的に反応は消退傾向を示した。
    2.その反応の程度は,パナビアEX群の方がやや強く,パナビアEXは乳歯歯髄に対して,若干刺激性を有することが示唆された。しかし,重篤な為害作用を生じるほどのものではないと思われた。
  • 橋本 吉明, 宮新 美智世, 石川 雅章, 小野 博志
    1985 年 23 巻 4 号 p. 874-884
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東京医科歯科大学小児歯科外来を訪れ,昭和38年より58年までの20年間に全身麻酔下に歯科治療を行った症例について調査し,症例内容の年次推移について検討した。調査対象は男児837例,女児574例の計1,411例であった。
    年間の症例数は,昭和44年から47年に約100例あったのをピークとし,その後減少し57年と58年には30例足らずとなった。症例の年齢についてみると,昭和48年以降で6歳以上の小児の割合が増加し,年次的に高くなる傾向が認められた。また,障害児の割合も昭和48年以降に増加し,52年以降ではほとんどの症例が障害児となった。
    1症例当りの処置歯数は,10-13歯と20年間を通じて大きな変動はなかったが,昭和48年以降に乳歯の値の減少と永久歯の値の増加がみられた。処置内容では,1症例当りの抜歯数は昭和44年以降に減少し,歯髄処置歯数は52年以降に増加している。一方,修復処置歯数は年次的に増加傾向にあるが,修復処置の内容では,52年以降に乳歯での既製金属冠の使用と永久歯での複合レジン充填が多くなった。
    手術時間については,長い症例がしだいに増加しており,昭和52年以降ではほとんどの症例が60分以上を要し,さらに56年以降には120分を越える症例が60%を占めるようになった。
  • 森主 宜延, 松本 晋一, 塩野 幸一
    1985 年 23 巻 4 号 p. 885-896
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科健康管理の導入過程には,対象となる集団と歯科医とのコンセンサスの確立,相互理解,管理効果とその発展性など多くの重要な課題がある。今回我々は,施設で生活するDuchenne型P.M.D.患者38名,ならびに,そのparamedical staff に対するアンケート調査により患者側の Demands 抽出及び咀嚼を軸とした評価方法や生活因子の分析を行い,歯科医側の Needs と具体的な管理標的の抽出を行った。これにより,次のような歯科健康管理体系化の一端を堤示することができた。
    1.Duchenne 型P. M. D.患者の咀嚼障害は,患者,パラメディカルスタッフならびに歯科医にとって管理主題として容易に接触できる問題点であった。
    2.咀嚼障害のステップを,健常者段階・日常生活に比較的影響を与えない段階・食生活管理の必要な段階の3つに分類し,各々に個別対応の必要性が示された。
    3.実際の患者管理に於ては,患者の自覚を通して咀嚼および咬合障害に対する指導を,少なくとも混合歯列前期から中期までに教育する事の必要性が示された。
    4.歯科医ならびにparamedical staff が行うべき課題は,食生活管理の必要な患者では調理の改善時期の判定と具体的調理方法に対しての指示,咀嚼機能の維持は主に前歯部のDento-Alveolar な変化に対する咬合誘導と,咀嚼筋に対する筋訓練の導入が示された。
  • 渋井 尚武, 大出 祥幸, 河野 寿一, 杉山 久, 関本 恒夫, 間下 喜一, 斎木 隆, 上原 正美, 菊池 進, 大竹 邦明, 成田 ...
    1985 年 23 巻 4 号 p. 897-916
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    この研究は昭和58年度に東京都の委託を受けて行った,在宅障害児の全身の機能発達と能摂と食の機関連性を調べた本ので,57年度にひきつづいて日木版デンバー式スクリーニング検査,口腔機能障害度調査,口腔内実態調査,摂食機能調査などを実施した。
    その結果,摂食機能の発達から見た障害児のカリエス・スコアー,齲歯率,1人平均deft,および齲蝕罹患者率ともに,摂食機能の発達が遅れるに従い高くなる傾向が見られ,また経年的観察による口腔機能の障害度の調査ではほとんどの症例で変化なく,ごくわずかな症例で障害度が重くなったものが認められた。また,全身の機能発達と摂食機能との関連性に関しては摂食時の口腔機能の良好な者ほど全身的発達指数も高く,発達が良好であった。さらに,全身的な発達から摂食機能の発達を推察する場合には,個人-社会の日常の項目および粗大運動の歩みの項目に注意して観察する必要があり,また言語の理解の項目も大切で,言語の発達を促進すれば口腔機能の発達にもつながることが示唆された。
  • 新生 育子, 立川 義博, 宇治 寿子, 竹中 稔, 中田 稔
    1985 年 23 巻 4 号 p. 917-925
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    窩溝填塞法(シーラント法)の有用性を明らかにするためには,口腔内に予防填塞したシーラントの経時的変化を,長期的観点から,形態的及び定量的に観察することが必要である。このためにはまず,シーラントを填塞した歯面から経時的に採得したレジン・レプリカの同一部位を再現した上で観察することが必須であり,今回はその第一段階として,レジン・レプリカの三次元的な位置再現を行う目的で,新しい方法を開発した。
    この方法は,光学顕微鏡の焦点深度を応用して,レジン・レプリカの咬合面に存在する3つの基準点が一定の水平面上に位置するように操作し,さらにこの3点が常に同じ位置になるようにレジン・レプリカを固定して,三次元的に標準化する方法である。
    この方法により標準化した経時的レジン・レプリカの同一部位を,SEMにより観察し,さらに表面形状測定機にて得られた同部位の断面形状を,コンピューターを用いて図形的に重ね合わせてみたところ,填塞直後にはシーラントが滑らかなU字型を描いて歯面を移行していたものが, 1 2 カ月後にはシーラントと歯面との境界部で, シーラントの辺縁が陥凹した特異な形態を呈している様相が観察された。
  • 後藤 讓治
    1985 年 23 巻 4 号 p. 926-938
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕が歯髄に接近した深部齲蝕の処置に当って,罹患象牙質の一部を残留させたまま行う暫間的間接歯髄覆罩法は,2回法であり煩雑さを有しているが,歯髄組織を露出させ損傷を及ぼすことなく保存が可能である保存的生物学的療法とされている。本邦においては,暫間的間接歯髄覆罩法に関する報告は極めて少なく,特に臨床病理学的解明は全くなされていない。そこで,ヒト永久歯10例を用いて暫間的間接歯髄覆罩法の臨床病理学的検索を行った。
    使用した薬剤は,水酸化カルシウム製剤及び酸化亜鉛ユージノール製剤である。1回目の処置後臨床観察がなされ,約12週後に2回目の処置が行われ,この時点で一部の症例は抜去された。その後さらに30日から72日に渡る臨床観察の後抜歯され,通法に従い脱灰後ツエロイジンに包埋され,連続切片標本として鏡検された。1回処置後の臨床的不快症状の発現はごく少数例にすぎず,短期間で消失した。2回処置後には,臨床的不快症状の発現はみられなかった。歯髄及び象牙質に認められた変化は比較的少なく,無変化例も存在した。1回処置群では,一部炎症性の変化の残留もみられたが,2回処置群には認められなかった。また,修復性象牙質の新生も一部の症例に認められた。
    暫間的間接歯髄覆罩法は,臨床成績,病理成績共に比較的良好であり,生活歯髄を露出損傷することなく保存可能な療法として,臨床上応用価値を有する術式と判定された。
  • 細矢 由美子, 松本 史子, 中村 友美, 後藤 譲治, 馬場 輝実子
    1985 年 23 巻 4 号 p. 939-952
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    国立療養所長崎病院重症心身障害者病棟に入院中の4 歳から3 3 歳8 カ月の患者7 3名(脳性麻痺:53名,その他:20名)について口腔診査を行い,患者の病状並びに生活状態との関係を調査した。
    (1)患者の全員が齲蝕に罹患しており,def歯率52.2%,1人平均def歯数6.3歯,DMF歯率54.3%,1人平均DMF歯数13.3であった。患者を心身障害度により2群に分けると,障害の程度の低い群が高いDMF歯率を示した。また,食事の形態別では,白米・軟菜群,軟飯・軟菜群及びミキサー群の3群のすべてで,互いにDMF歯率に有意差がみられ,普通食に近い群ほど高い値を示した。食事の摂取方法別には,全介助群が,自立もしくは半介助群より高いdef歯率を示した。
    (2)患者の90.4%がブラッシング時に全介助を必要とした。
    (3)歯周疾患が患者の52.1%にみられ,PIは,ミキサー群が1番高く,ミキサー群と軟飯・軟菜群間に有意差がみられた。
    (4)咬耗が20.8%の者にみられた。
    (5)歯列不正が88.4%の者にみられた。
    (6)歯牙形成不全が,調査が行えた64名中35名(54.7%)にみられ,その内訳は,着色が29名(45.3%),歯牙表面の陥凹形態が14名(21.9%),白斑11名(17.2%),軽度の実質欠損3例(4.7%)であった。何らかの歯牙形成不全が認められた者の57.1%について,歯牙形成不全の部位と歯牙形成不全をおこしうる原因の生じた時期に一致がみられた。
  • 岩井 泰介, 長坂 信夫
    1985 年 23 巻 4 号 p. 953-961
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床では咬合誘導のために,可撤式保隙装置(義歯型),床装置,FKO装置等を患児に装着することが多く,調整時や定期検診時に装置を診査した場合,床粘膜面にdenture plaqueを認めることがある。成人のdenture plaqueについては多くの検討がなされており,かなりの高頻度でCandidaが検出されたという報告があるが,小児のdenture plaqueについての報告はみあたらない。そこで今回我々は,3歳から18歳までの小児(平均年齢10 歳5 カ月) のdentureplaque よりCandida の検出を試み, 以下の結果を得た。
    1)Candidaの検出率は,41.0%であった。
    2)菌種は多い順に,Candida albicans A(59.1%),C. albicans B(13.6%),C. Pseudotropicalistropical(4.5%),C.tropicalis (2.3%),C.guilliermondii(2.3%),C.glabrata(2.3%),C.Parakrusei(2.3%)が検出された。
    3)被験者の年齢が増せば,Candidaの検出率が増加する関係がみられた。
    4)装置の装着期間12カ月未満に比べ,12カ月以上のものが有意に高い検出率を示した。
    5)被験者の性別,装置の部位,材質,装着時間,手入れ状態においては有意差はなかった。
    6)denture plaqueの付着度とcolony数との間に高い相関があった。しかし,dentureplaqueの付着度と床下粘膜の発赤,colony数と床下粘膜の発赤との間には相関はなかった。
  • 柳沢 幸江, 田村 厚子, 赤坂 守人, 寺元 芳子
    1985 年 23 巻 4 号 p. 962-983
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    食物の物性が口腔の機能面,及び衛生面に与える影響…は大きい。本研究は口腔機能の発達並びに口腔における健康の維持,増進に関して食品の物性面から検討を加えるため,日常的に食べられている食品の物性上の特徴を同一規準で測定することにより,それらを客観的に把握,比較し,更に分類を行うことを目的とした。
    測定にはテクスチュロメーターを用い,試料として選出した145種の日常食品のかたさ,弾力性,凝集性,付着性の4パラメーター(咀嚼時における力学的性質を示すと考えられるパラメーター)を測定した。得られた測定値より,パラメーター別のランク分け,及び主成分分析を用いてそれらの物性の特徴を総合した分類を試みた。かたさについては感覚的な評価との対応を明らかにするため,官能検査を行った。
    その結果,日常食品のかたさの範囲は非常に広いものの,その分布はかたさの小さい方に集中しており,官能的にやわらかいと感じる食品が試料の60%を占めていた。又,芋類,果物類はかたさ,弾力性,凝集性が小さい傾向を示すのに対し,肉類はそのいずれもが大きい傾向が見られた。食品はそれぞれの物性上の特徴により,基本型,I型,II型,付着型,スポンジ型,ゲル型の6つの型に類別できた。この内,I型,II型,付着型,ゲル型については定量的に3グループに分けた。
  • 田村 厚子, 柳沢 幸江, 寺元 芳子, 赤坂 守人
    1985 年 23 巻 4 号 p. 984-992
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    咀嚼機能の中で主導的役割を演じている神経系と食品の物性に着目し,特にかたさが咀嚼時の咀嚼筋活動にどのように影響するのか筋電図学的に解明すべく本研究を行った。
    被験者はいわゆる正常咬合と思われる成人男子10名,女子10名計20名である。被験食品は,日常よく見られる食品のうちかたさの因子による差が第1報により客観的に把握できたもの4種(白桃, 甘納豆,リンゴ,カンパン)を選択した。
    筋電図は側頭筋前腹.側頭筋後腹.咬筋浅部.ナトガイ筋.顎二腹前腹を被験筋とし各食品咀嚼開始から嚥下終了時まで記録し比較検討を行った結果,以下の結果を得た。
    1.硬さが増すほど咀嚼時におけるBurst,Duration,咀嚼回数は全体的に大きくなる傾向にあった.但し,リンゴと甘納豆ではいずれにおいても同等もしくは逆転の傾向がみられた。
    2.ΣBurstとかたさ,かたさの咀嚼回数の関係は同じパターンを示し,咀嚼回数よりある程度の咀嚼機能の推測が可能である。
    3.物性をトータル的にとらえた総合的物性(咀嚼性)とΣBurstは非常に高い相関がみられた。
  • 橋田 恵子, 泉谷 明, 墨 典夫, 楽木 正実, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1985 年 23 巻 4 号 p. 993-1000
    発行日: 1985年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    マルトースを主成分とするコーンシロップの齲蝕誘発能を,in vitro及びラットを用いた実験齲蝕系で調べた。
    S.mutans によるコーンシロップからの酸産生能,S.mutans 菌体のガラス平面付着に及ぼす影響及び不溶性グルカン合成に及ぼすコーンシロップの影響を調べた。実験齲蝕によるコーンシロップの齲蝕誘発能は,18日齢ラットに S.mutans MT8148R株あるいは6715株を感染させ,スクロース,コーンシロップ,パラチノース,小麦粉,あるいはその混合物を含む飼料で55日間飼育した。
    その結果,コーンシロップはS.mutansの酸産生の基質となり得たが,コーンシロップ濃度の増加とともに,S.mutansのガラス平面付着が抑制される傾向が認められ,さらに不溶性グルカン合成が著明に阻害された。また,コーンシロップ投与群ラットのプラーク指数及び齲蝕スコアは,スクロース投与群よりも有意に低かった。しかし,小麦粉やパラチノースのように非齲蝕原性は認められなかった。
    以上の結果から,実験に供したコーンシロップは,少なくとも極めて低い齲蝕誘発能しか有さない甘味糖であることが示された。
  • 墨 典夫, 泉谷 明, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1985 年 23 巻 4 号 p. 1001-1007
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    SPFのSpargue-Dawley系ラットにS.mutans MT8148 R 株(血清型c)および6715株(g)を感染させ,スクロース誘発齲蝕に及ぼすグルコースの役割を検討した。
    その結果,グルコース投与群にも齲蝕が誘発されたが,スクロース投与群に比べると齲蝕スコアは1/5から1/6と有意に軽度であり,しかも咬合面の裂溝に限局していた。
    また,飼料中のスクロースにグルコースを添加すると,スクロースが誘発する齲蝕を有意に増強したが,その作用は相加的なものに近かった。
  • 渡辺 英雄
    1985 年 23 巻 4 号 p. 1008-1025
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児患者60,647名(男児31,233名,女児29,414名)のうち,682名(男児505名,女児177名)の上顎前歯部過剰歯について年齢別・性別過剰歯数,単・複過剰歯数,発育段階別過剰歯数ならびに萌出状態(方向・程度・位置)などを調査した。
    その結果を要約すると以下の様である。
    1)調査人数682名のうち男児505名(74.05%), 女児177名(25.95%) であり, 男児1に対して,女児0.35の割合であった。
    2)単過剰歯は682名中522名(76.54%),複過剰歯は160名(23.46%)に発見され,単過剰歯1に対して複過剰歯0.31の割合であった。なお,調査歯数は,単過剰歯522歯,複過剰歯320歯,計842歯である。
    3)歯列別の歯数は,混合歯列に最も多く842歯中502歯(59.62%)であった。次いで乳歯列の226歯(26.84%),永久歯列の4歯(0.48%)であった。
    4)萌出方向は,順性が431歯(51.19%),逆性が305歯(36.22%),水平が64歯(7.60%)であり,順性が約半数を占めていた。
    5)萌出の有無では,埋伏は548歯(全過剰歯中65.08%),萌出状態は253歯(30.05%)であり,約2/3が埋伏状態であった。
  • 山本 英次, 渡辺 尚海, 住本 和隆, 中尾 利夫, 後藤 啓爾, 木村 光孝
    1985 年 23 巻 4 号 p. 1026-1033
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,3部に集合性歯牙腫と濾胞性歯嚢胞が相接して発生していた珍しい症例に遭遇した。患者は,11歳の女児で,3の萌出遅延と同部歯肉の膨隆を主訴として来院した。口腔内は3が未萌出で,同歯肉部に骨様硬の腫脹がみられた。X線診査により3歯胚は,2と4間に埋伏し,歯冠部を中心に境界明瞭な類円形のX線透過像を認めた。また,その歯冠尖端部付近に,数個のX線不透過像が重なりあうようにして存在していた。処置は全身麻酔のもとに,3歯胚および集合性歯牙腫と濾胞性歯嚢胞を摘出した。摘出物は光顕的並びに電顕的検索を行った。術後1 年4 カ月を経過したが, 摘出物の歯周組織には何ら異常はなく,X線像では,骨創部は新生骨によって満たされ,漸時,正常な骨構造に回復している。
  • 藤原 理彦, 山下 登, 鈴木 康生, 佐々 竜二
    1985 年 23 巻 4 号 p. 1034-1049
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    半側性肥大症の交叉型と診断された初診時, 5 歳0ヵ月の女児に関して4 年2ヵ月にわたり経年的に観察を続け,以下の所見を得た。
    1.初診時5歳0カ月より現在9歳2カ月に至るまで継続して顎顔面域では右側,下肢では左側の肥大が認められた。
    2.顔貌は左右非対称で右側頬骨突起部より顎下部にかけて著しく肥大しており,眼球,外耳,口唇も偏位していた。
    3.歯列弓は両年齢を通じ,変形,非対称性が観察され,舌は患側で肥大,口腔外へ突出させると偏位した。
    4.X線所見より,萌出状態は患側は標準よりかなり早い萌出がみられた。また,下顎側方歯の歯胚形成量より歯年齢を推定したところ,患側では暦年齢より促進,健常側では若干の遅延が認められた。プロフィログラムからは下顎骨の下方への過成長が認められた。また,経年的に脳頭蓋部では左右差は認められなかった。また,経年的に軟組織および硬組織の増加量をみると,患側の下顎骨部において最も増加していた。
    5.歯の大きさは乳歯では有意差はないが,永久歯では患側小臼歯・大臼歯で巨大化傾向を示すものがあった。健常側では差はなかった。
  • 二木 昌人, 中田 稔
    1985 年 23 巻 4 号 p. 1050-1056
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    九州大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した患児のうち200例について,主として抜歯後を対象としたNaixan(Naproxea)の鎮痛効果の調査を行なった。
    投与量は1回投与量を5mg/kgとし,10mg単位で散剤として投与した。また,投与方法によって予防投与群と頓用群各100例ずつに分類し,両群間の比較を行なった。
    調査方法は,患児の保護者に質問表の記入を依頼し,その返答により調査内容の情報を得た。鎮痛効果と併せて,頓用群での処置後の痛みの経渦,効果発現時闘,また,服用のしやすさ,副作用の有無等についても同時に検討を行なった。
    その結果,鎮痛効果については,著効または有効と判定されたものが,頓用群85.3%,予防投与群76.5%,両群あわせて78.8%であった。服用のしやすさについては94.6%が問題なく服用できていた。また,効果発現時間については,頓用群で30分以内に効果があったと判定されるものが83.3%であった。副作用については,明らかなものは認めなかった。これらを総合的に検討した結果,鎮痛に対するNaixan(Naproxen)の小児歯科臨床における有用性を認めることができた。
    また,頓用群において,痛みがなく服用しなかったものは27%に過ぎなかったという結果が得られていることから,小児歯科における抜歯等の観血的処置後は,鎮痛剤の処方をしておいた方が良いと考えられた。
  • 栢原 千鶴, 橋本 敏昭, 井上 秀人, 木下 孝昭, 黄 隆裕, 木村 光孝
    1985 年 23 巻 4 号 p. 1057-1066
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは, 咬唇癖の著しい6 歳男子の下口唇に発現したM u c o c e l e に遭遇した。疹痛などの自覚症状がないため,初発より3カ月間放置しており,自潰,再発を数度重ねていた。処置としては全摘出を行い,本疾患の誘因と考えられる咬唇癖を改善するよう患児および母親に徹底して指導した。一方,摘出物を病理組織学的に検索した結果,著明な炎症性反応がみられ,肉芽組織の増殖所見もあることから,粘液肉芽腫型Mucoceleと確定診断を下した。このタイプのMucoceleは,唾液腺排泄管が閉塞したために生ずる,いわゆる貯留型Mucocceleに比べ,発現頻度はかなり高く,その成因としては排泄管の損傷により粘液が周囲組織へ溢出するためと考えられている。それゆえ外傷との関連性は高く,本症例においても咬唇癖は口唇腺組織に慢性刺激を与えていたようである。術後10カ月経過する現在,咬唇癖は治り,再発は認められず口唇麻痺などもなく予後は良好である。
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