小児歯科学雑誌
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26 巻 , 4 号
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  • 小出 武, 島田 勝弘, 森谷 泰之, 稗田 豊治, 志田 亨, 上田 裕
    1988 年 26 巻 4 号 p. 719-726
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Flunitrazepamの強い鎮静効果を期待して,心身障害児17名,25症例に静脈内投与を行い,その鎮静効果を判定した.また,心身障害児16名,20症例に,flunitrazepamの静脈内投与と笑気吸入鎮静法を併用し,同様に鎮静効果を判定するとともに,静脈内投与単独の場合と効果を比較検討した.
    1)Flunitrazepamの投与量の平均値は,flunitrazepam単独群では0.038mg/kgで,flunitrazepam・笑気併用群では0.039mg/kgであった.また,笑気濃度は50%であった.
    2)鎮静効果を総合的に判定するとflunitrazepam単独群は,著効が12例(48%),有効が12例(48%)に認められ,無効は1例(4%)であった.Flunitrazepam・笑気併用群は著効が14例(70%),有効が5例(25%),やや有効が1例(5%)に認められ,flunitrazepam単独群と比べ,著効例が増加した.
    3)笑気吸入法の併用によりflunitrazepamの単独投与に比べ鎮静効果は強くなり,また,flunitrazepam投与直後の鎮静深度が維持された.
    4)Flunitrazepam単独群では,脳性麻痺児の不随意運動が抑制され,軽度の精神発達遅滞児に対しては強い鎮静効果を認めた.Flunitrazepam笑気併用群では,脳性麻痺児や精神発達遅滞児とともに自閉症的傾向を有する患児においても強い鎮静効果を認めた.
  • 加我 正行, 青森 継充, 及川 清
    1988 年 26 巻 4 号 p. 727-731
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    市販の歯科用アマルガムの細胞毒性について細胞培養にて実験した.アマルガムの組成と練和後の経過時間が細胞毒性に与える影響について,市販のアマルガム,Dispersalloy,Lumi Alloy,Hi-Atomic M,Spherical Dとヒト歯肉由来の線維芽細胞を用いて,ADAとFDIが推奨する寒天法を改良した方法にて評価,検討した.
    その結果,Dispersalloy(亜鉛入り高銅型)が最も強い細胞毒性を示し,1%以下しか添加されていない亜鉛がアマルガムの細胞毒性に最も大きな役割を果していた.Lumi Alloy(高銅型)とHi-Atomic M(低銅型)の間には細胞毒性の有意な差はみられず,銅の含有量の多少はアマルガムの細胞毒性に影響しなかった.アマルガムの細胞毒性は,アマルガムの硬化反応の進行と共に経時的に減少した.硬化反応が速いと思われるSpherical D(高銅型)が最も小さい細胞毒性を示した.
  • 山田 恵子, 桜井 聡, 神山 紀久男
    1988 年 26 巻 4 号 p. 732-741
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    初期齲蝕エナメル質にレーザー照射あるいはレーザー照射と酸性フッ素リン酸溶液処理を併用することにより,その脱灰の進行を抑制できるか,もし抑制できるのであればその至適照射条件は何かについて検討を加えるためにヒト抜去幼若小臼歯を用いて実験を行ったところ以下の事が明らかとなった.
    1)人工的初期脱灰エナメル質に種々のエネルギー密度の超音波QスイッチNd-YAGレーザーを照射して,耐酸性の変化について検討したところ,47.8J/cm2,66.9J/cm2のエネルギー密度でレーザー照射したエナメル質に耐酸性が付与されたが,28.7J/cm2照射エナメル質の耐酸性増強は認められなかった.また,レーザー照射時に生じるエナメル質の亀裂は,エネルギー密度が大きい程深いものであることがわかった.
    2)人工的初期脱灰エナメル質に超音波QスイッチNd-YAGレーザー照射と酸性フッ素リン酸溶液処理を併用してエナメル質表面の耐酸性を検討したところ,レーザー照射のみあるいは酸性フッ素リン酸溶液処理のみに比して,明らかな耐酸性の増強が認められた.しかも,レーザー照射後に酸性フッ素リン酸溶液処理エナメル質にその効果が最も顕著に認められた.
  • 加藤 栄行, 藤井 悟, 菅野 真由美, 金岡 雅浩, 大久保 文子, 齋藤 健志, 渡邊 康文, 成原 雅道, 山田 博, 赤坂 守人
    1988 年 26 巻 4 号 p. 742-754
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ricketts分析法を乳歯列期に導入するに際し,使用する計測点や計測項目に熟練度による術者間の差,日差間による差,増齢に伴う石灰化度などの年齢による差があるかどうか再現性の検討を行う目的で,乾燥頭蓋および小児歯科外来患児の側貌頭部X規格写真をそれぞれ6枚,25枚の計31枚を用いて,三元配置分散分析,四元配置分散分析,術者間誤差の分散の差検定を用いて検討を行った結果,以下の結論を得た.
    1)乾燥頭蓋群では,術者間要因でBasion のX軸方向,Nasion,Point A,PT,B6のY軸方向にのみ有意差がみられた.
    2)患児群では術者間要因においてANS,PNSのX軸方向,BCのY軸方向においてのみ有意差がみられた.
    3)術者間誤差の分散の差の検定によって増齢的な難易性の一定傾向はみられなかった.
    4)Ricketts分析項目ではCanine Relation,Upper lip length,Maxillary heightでの術者間要因でのみ有意差がみられた.5)Ricketts分析項目において,術者間に有意差が出た計測点はいくつみられたたが,歯牙年齢による変化は見られず,本分析法は乳歯列期においても十分に応用できるものと思われる.
  • 藤井 悟, 加藤 栄行, 菅野 真由美, 金岡 雅浩, 大久保 文子, 齋藤 健志, 渡邉 康文, 成原 雅道, 山田 博, 赤坂 守人
    1988 年 26 巻 4 号 p. 755-768
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ricketts分析法を日本人乳歯列期へ応用する研究の一環として,3歳から各年齢毎10歳までの正常咬合児計221名の側貌頭部X線規格写真を資料として,平均値,標準偏差を求め,回帰直線の係数より年間成長量を算出し,乳歯列期群(3~5歳)と,それ以後の混合歯列期群(6~10歳)との間で比較検討を行なったところ以下のような結論を得た.
    1)歯牙計測項目は,Molar relation,Canine relationにおいて,乳歯列期から混合歯列期にかけてほとんど変化はみられなかったが,切歯計測項目では,乳歯,永久歯の差が大きかった.
    2)上下顎の関係を示すConvexity,Lower facial heightは,混合歯列期とほぼ同様の結果となった.
    3)頭蓋底と顔面の関係では,乳歯列期から混合歯列期にかけて,Point Aは,前頭蓋底にたいして後退傾向を示し,Pegonionは,従来の報告にある混合歯列期以後の前方成長より少なかった.
    4)Internal structureでは,乳歯列期から混合歯列期にかけて,従来の報告と異なりCranial deflectionが増加し,Mandibular arcの成長変化がなかった.しかし,その他の項目は,乳歯列期から混合歯列期にかけて一定の成長を示した.
    5)乳歯列期への応用に際しては,Clinical norm,Clinical deviationは,各年齢の平均値,標準偏差を考慮する必要がある.
  • 渡部 茂
    1988 年 26 巻 4 号 p. 769-774
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    味覚の順応が唾液分泌量にどの程度影響を与えるかを明らかにするために,被験者(12人)の口腔に味覚溶液(80,30%砂糖溶液,15,5%塩化ナトリウム溶液,0.5,0.1%クエン酸溶液)で持続刺激(30ml/min)を行い,その間の耳下腺唾液分泌量の変化を調べた.分泌量の測定方法は,風防電子天秤内のビーカーに流れ落ちる唾液(Lashleyカニユーレ使用)を連続的に計測し,ペンレコーダに記録した.レコーダのチャート用紙に描かれた曲線より,1分間の唾液分泌量を計算にて求めた.
    その結果,全ての被験者で味覚の順応につれて唾液の分泌量が減少を示した.刺激開始後,最大分泌量を得るまでに平均6.4±3.1(S.D.)秒要し,Half-time(分泌量が最大値を示してからその値が1/2になるまでの時間)の平均は11.4±5.8(S.D.)秒であった.各溶液とも濃度の高い方が最大分泌量は有意に(p<0.01)高い値を示したが,最大分泌量を得るまでの時間,およびHalf-timeには,味覚の種類,濃度差によって有意差は認められなかった.これらのことから,味覚の順応の影響による唾液の分泌量の減少は,唾液のシュガークリアランスに関して考慮すべき一因子であることが示唆された.
  • 渡部 茂, 前山 善彦, 斉藤 恵美, 五十嵐 清治
    1988 年 26 巻 4 号 p. 775-781
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    プラーク中に含まれる物質が唾液中に拡散する程度について研究を行うことは,プラーク中の酸などのクリアランスを考えるうえで重要と思われる.1モルのKClを含む1%寒天を深さ1.5mm,直径3mmの窪みをもつアクリル製ホルダー(長さ13mm,幅7mm,厚さ2mm)に入れ,口腔内各部位において唾液にさらした後,KClの拡散率を求めた.その結果,10人(6歳)の症例の安静時唾液下におけるHalf-time(オリジナル寒天中のカリウム濃度が1/2になる時間)を,in vitroの実験(コントロール),すなわちビーカー内で急速に攪絆されている塩化ナトリウム溶液中でのカリウムの拡散率から得られたHalf-timeと比較すると,最もHalf-timeの長かった上顎前歯部唇側が約5.7倍,最も短かった下顎前歯部舌側が約1.4倍を示した.Half-timeは下顎よりは上顎が長く,また舌側よりは唇側が長かった.
    一方,レモンドロップでの刺激唾液下においては,安静時の約8倍の唾液分泌量のもとで測定した結果,Half-timeは安静時の40~70%に短縮した.これらのことより,唾液クリアランス能は唾液分泌量の影響を強く受け,口腔内各部位によってかなり差のあることが示された.
  • 吉田 一惠, 藤原 卓, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1988 年 26 巻 4 号 p. 782-789
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    高校生3603名(男子1305名,女子2298名)を対象として,若年性歯周炎のスクリーニングを行った.一次診査で,男子38名女子22名の計60名(全体に対する割合は,1.7%)に上顎中切歯の動揺があると診断された.この60名を対象として,中切歯と第一大臼歯の合わせて8歯のポケット深さを測定したところ,4mm以上であったものが男子7名女子4名の計11名(0.3%)であった.これら11名のうち5名に対し,全歯牙の精査とデンタルX線診査を行ったところ,1名の女子に上下顎中切歯及び第一大臼歯部における垂直性の歯槽骨吸収を認めた.また家族歴あるいはその他の口腔内所見は,この被検者が若年性歯周炎に罹患していることを示していた.
    そこでこの患者の歯肉縁下細菌叢を検索した結果,健常者や歯肉炎患者に比べてBacteroides属などの偏性嫌気性グラム陰性桿菌の割合が多く,Actinobacillus actinomycetemcomitansも1株であるが検出された.この患者に6カ月にわたり歯周治療を行ったところ,症状がやや軽減するとともに,歯肉縁下細菌叢の相対的比率が健常者のそれに近づくことが示された.
  • 細矢 由美子, 城臺 維子, 後藤 譲治
    1988 年 26 巻 4 号 p. 790-804
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    エッチング時間が,切削乳歯エナメル質に対するエッチング効果に及ぼす影響について観察する事を目的に本研究を行った.資料としては,抜去もしくは脱落したヒト健全乳前歯40歯の唇面を用いた.同一歯牙をエナメル質の外層,中層,内層の切削深さ別並びに切端部,中央部,歯頸部の切削部位別に9分割した.エッチング材は,40%正燐酸ゼリーを使用し,エッチング時間は,10秒,20秒,30秒並びに60秒とし,水洗は30秒間行った.エッチング面をSEMで観察した結果,下記の結論を得た.
    1)9分割を行った40歯,360部位中,359部位(99.7%)において,エッチング後に小柱構造が出現し,エッチング型としては,356部位(98.9%)に小柱周囲が強く溶解した像が観察された.
    2)エッチング時間が30秒及び60秒の場合と比較し,エッチング時間が10秒及び20秒の場合では,溶解部位が不明瞭なエッチング型の出現率が高かった.
    3)60秒のエッチング時間では,過度のエッチングをひきおこす場合があり,特にエナメル質内層でそのような傾向が認められた.4)切削乳歯エナメル質に対するエッチング時間は,30秒で十分と考える.
  • 小口 春久, 青森 継充, 及川 清
    1988 年 26 巻 4 号 p. 805-813
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    表皮水庖症は,主に先天性素因により,軽度の物理的な刺激で容易に皮膚や粘膜に水疱やびらんを生ずる稀な遺伝性疾患である.種々の病型があり,そのうち栄養障害型は,特に皮膚および粘膜に瘢痕のために萎縮が生じて開口障害を伴い,口腔衛生管理は不十分となり,多数歯にわたって重度の齲蝕発症がみられる.しかしその治療は開口障害を有しているために極めて困難性が大である.
    今回の報告例は,臨床的には栄養障害型先天性表皮水庖症と診断された姉弟例であるが,それぞれの症例について,全身的および口腔内所見を明らかにするとともに,治療を実施した結果についても報告する.
    1)姉弟ともに心身の発育障害は著明であり,末梢血液の検査では明らかな貧血を伴っていた.
    2)口腔内所見としては,口腔粘膜にびらんおよび水庖が認められ,口腔前庭は浅く,口蓋皺壁は,姉弟ともに消失していた.
    3)口唇周辺の皮膚および粘膜には瘢痕萎縮がみられ,明らかな開口障害や舌小帯短縮が認められた.
    4)姉弟ともに口腔衛生管理状態は極めて不良であり,多数歯にわたって齲蝕がみられ,それらは,乳歯および永久歯の何れにも認められた.
    5)永久歯には姉弟とも,臼歯部に軽度のエナメル質形成不全が認められた.
    6)X線写真上では,永久歯の先天性欠如は認められず,歯の萌出および歯胚の発育に異常はみられなかった.7)齲蝕の治療としては姉8歯,弟は22歯にわたって実施した.その結果として,食物摂取量は増加して,全身栄養状態は改善されて,顔色はよくなった.また,口腔衛生管理状態が改善された結果,口臭は消失した.
  • 深尾 正, 小出 武, 近森 槙子, 森谷 泰之, 稗田 豊治, 中村 弘之, 池尾 元三朗
    1988 年 26 巻 4 号 p. 814-821
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    咬合関係に悪影響を及ぼすと考えられる吸指癖の消去法の1つとして,吸指癖を有する患児39名に対し,マニキュアタイプの吸指癖防止薬を患児の該当する指の爪に塗布し,吸指癖防止効果を判定したところ,以下のような結果を得た.
    1)吸指癖の消失は22名(56.4%),減少は13名(33.3%),無効は4名(10.3%)であった.
    2)吸指癖の消失した22名のうち,4名に再発が認められた.
    3)吸指癖の消失までの日数は1日以内が5名,3日以内が6名,1週間以内が6名,そして1週間以上が5名であった.
    4)本剤の使用によって4歳児では47.0%,5歳児では38.0%,6歳以上の患児では83.3%の吸指癖が消失し,増齢的に効果が高まることがわかった.
  • 保井 純枝, 永井 利明, 河原 茂, 高石 佳知, 嘉藤 幹夫, 大東 道治, 宮崎 健, 稗田 豊治
    1988 年 26 巻 4 号 p. 822-827
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯は,通常一定時期に,左右同名歯がほぼ対称的に萌出するが,片側歯が萌出しているにもかかわらず他側の同名歯が萌出せず,しかも,それが転位または捻転していることはしばしば認められる.このような萌出遅延の歯,すなわち未萌出歯を放置しておくことは,咬合機能上のみならず審美性をも障害することになる.われわれは下顎左側第二大臼歯は萌出中で右側第二大臼歯は歯槽部の若干歯肉の膨隆感が認められた程度で,エックス線診査では,下顎右側第二大臼歯が萌出前に歯槽骨内で近心傾斜し,第一大臼歯の歯頸部付近を中心に遠心根を吸収しているところを発見した.患児の栄養状態並びに身体的発達などに特記点はなく歯の未萌出を起こすような原因は不明であった.これらのことにより,特に第二大臼歯が完全萌出するまでエックス線等を含む定期検診の重要性が示唆された.
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