小児歯科学雑誌
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28 巻 , 3 号
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  • 野坂 久美子, 佐藤 輝子, 向井田 珠美, 島津 聡子, 長谷川 淳子, 甘利 英一
    1990 年 28 巻 3 号 p. 561-578
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の形成不全の臨床的な原因を知る目的で全国的なフィールド調査を行った.対象は,3歳以上の乳歯列を所有している小児で,形成不全歯のある141名である.調査方法は,視診ならびに写真撮影とアンケート調査で行った.なお,形成不全を所有しない小児120名を対照群とした.その結果,次のような結論を得た.
    1.炎症や外傷,放射線などの原因による形成不全歯は存在しなかった.
    2.形成不全歯の形状や小児の出生,養育場所から,とくに白斑を呈した歯は斑状歯とは考えられなかった.
    3.母親の妊娠中の偏食と形成不全歯の発現との関連性は見出されなかった.
    4.形成不全の障害を受けた時期は,主に,乳犬歯では新生児期から乳児期,その他の歯種では胎生から出生初期あるいは生後6ヵ月頃迄の時期が推定された.
    5.形成不全の障害は基質形成期から始まっているものが多いと思われた.
    6.形成不全の原因になり得ると思われた疾患や薬剤は,妊娠中の母親では切迫流産,重い悪阻,貧血,それらに使用される薬剤であり,小児では生後1年以内の疾患の中で,突発性発疹や風邪,肺炎などの熱性疾患,黄疸,腸重積,喘息などであった.
    7.一人当たりの減形成歯の所有数が多いほど母子両者に何等かの疾患を有したものが多かった.
    8.形成不全の原因は,障害を受けやすい歯種,時期,個人の感受性,障害の種類や強さが関連し合うものと思われた.
  • 野坂 久美子, 佐藤 輝子, 向井田 珠美, 島津 聡子, 長谷川 淳子, 甘利 英一
    1990 年 28 巻 3 号 p. 579-599
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    永久歯の形成不全の原因を知る目的で,全国的なフィールド調査を行った.対象は,永久歯列を有する20歳未満の者で,形成不全歯を所有している286人である.調査方法には,視診,写真撮影ならびにアンケート方式を用いた.また,形成不全歯を所有していない111人を対照群として,同様のアンケート調査を行った.その結果,次のような結論を得た.
    1.一人あたりの形成不全歯の所有数は1~28歯であった.
    2.歯種では,とくに少数歯所有者において,上顎中切歯が多く,しかも左右対称性の出現が多かった.
    3.局所的原因によると思われた形成不全歯はわずかであった.
    4.フッ素による斑状歯は考えられなかった.
    5.妊娠中好んだ,あるいは好まなかった食物と形成不全とは関連性は見られなかった.
    6.多数の着色歯を所有している場合,妊娠中の母親の疾患あるいは薬剤も形成不全の原因になり得ると思われた.
    7.小児のウイルス感染症は形成不全の原因になり得ると思われた.
    8.7歯以上の減形成あるいは着色歯の所有者では,小児期の罹患者が多く,しかも,ウイルス感染症とそれ以外の疾患の両者に罹患しているものが多かった.
    9.形成不全の原因として,障害を受けやすい歯種,時期,個人の感受性,複数の刺戟,刺戟の強さ,期間などが関連しあうものと思われた.
  • 詹 嘉一, 木村 光孝, 高浜 有明夫
    1990 年 28 巻 3 号 p. 600-607
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ヒト赤血球に含まれているα-トコフェロールは,ヘマトポルフィリン存在下,光増感反応によって酸化された.この酸化に対しての一重項酸素分子,スーパーオキシドラジカル,それに過酸化水素の関与の程度は非常に小さかった.ケルセチンはこの光酸化反応を抑制し,それに伴い,ケルセチンが酸化された.ケルセチンによるα-トコフェロールの光酸化抑制機構を推定する目的で,α-トコフェロールをPBS液に懸濁した場合のα-トコフェロールの光酸化に対するケルセチンの効果と,ケルセチンをPBS液に懸濁した場合のケルセチンの光酸化に対するα-トコフェロールの効果を,光増感剤としてヘマトポルフィリンを用いて,リノール酸の存否の条件下で調べた.ケルセチンは二つの条件下で共にα-トコフェロールの光酸化を抑制した.ケルセチンの光酸化はリノール酸が存在しない場合にはα-トコフェロールによって抑制されたが,リノール酸が存在する場合,α-トコフェロールはケルセチンの光酸化を促進した.
  • 山田 ゆかり, 鈴木 善子, 柳瀬 博, 福田 理, 黒須 一夫
    1990 年 28 巻 3 号 p. 608-617
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    心身障害児と健常児の母親が歯科環境に対して持っているイメージを比較検討するため,「歯科医」「自分の子ども」「歯科治療」「歯科治療室」の4項目について,SD法の手法を用いて調査を行った.
    調査対象は,愛知学院大学歯学部附属病院小児歯科に通院中の健常児の母親35名,心身障害児の母親42名である.検討の結果得られた主要知見を摘記すれば次のようである.
    1)各形容詞での平均評定値について検討した結果,心身障害児の母親は,健常児の母親と比較して,一般的に望ましいと考えられるイメージをもっており,こうした差異は特に「歯科治療」や「歯科治療室」のイメージにおいて顕著であった.
    2)因子分析を適用して,イメージを構成する基本次元の抽出を行った結果,「歯科医」「自分の子ども」「歯科治療」「歯科治療室」のいずれについても2因子が抽出された.
    3)抽出された各2因子に即しての心身障害児と健常児の母親のイメージの違いを比較した結果,心身障害児の母親は,健常児の母親に比べて,「歯科治療」については,精神的にリラックスでき,受容できる,「歯科治療室」については,精神的にリラックスでき,安心感があるといった肯定的なイメージを強く持っていることが認められた.
  • 北村 京一, Juan Pablo Loyola, 祖父江 鎮雄
    1990 年 28 巻 3 号 p. 618-622
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本茶の熱水抽出物の主要成分はカテキン類を含むポリフェノール類から成り,フッ化物はほとんど検出されない.本実験では,同抽出物によるミュータンス・レンサ球菌に対する増殖抑制効果をin vitroにおいて調べた.その結果,Streptococcus mutansMT8148R株,およびS.sobrinecs 6715株に対して,同抽出物はBrain heart infusionおよびTryptose phosphateブロース中で2mg/ml以上の濃度で有意の増殖抑制効果を示した.その効果は,S.mutansよりも,S.sobrinusに対してより明確であることが示された.
  • 矢尾 和彦, 大光 恵, 神原 修, 近森 槇子, 櫛田 一雄, 稗田 豊冶
    1990 年 28 巻 3 号 p. 623-629
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科治療に対する協力度が低いために通常の歯冠修復処置が困難な患児を対象として,齲蝕進行抑制処置,第一段階および第二段階の暫間修復などを協力程度に応じて行い,患児の良好な協力が得られるのを待って最終的に通常の修復に至る段階的歯冠修復法を試み,暫間修復に用いたグラスアイオノマーセメントの耐用性ならびに患児の協力程度の推移について検討した.
    その結果,本研究で用いた二種類のグラスアイオノマーセメントの有効経過期間は協力度の推移に要する期間よりも長く,これらのセメントは乳歯の暫間修復材として実用性のあることがわかった.しかし破折や脱落による再修復率が高く,段階的歯冠修復法の有効性を向上させるためにはセメントの初期硬化時間の短縮や初期感水の防止策を構じる必要がある.患児の協力度の推移は,第一段階の暫間修復から始まって最終修復が可能になるまでに21ヵ月を要した.また,低年齢期から患児の発達段階に応じて処置を進めると,高年齢から管理を始めた場合よりも通常の歯冠修復処置に対する協力度が早く向上した.
    以上の結果から,グラスアイオノマーセメントを利用した段階的歯冠修復法は非協力患児の取り扱いという見地から長期的な行動変容技法に基づく有効な方法であると考えられる.
  • 後藤 讓治, 張 野, 細矢 由美子
    1990 年 28 巻 3 号 p. 630-638
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,金属冠の表面にレジンを接着し,審美性を高めるCoating Crownの開発に着手している.今回は,既製金属冠に対し,王水によるエッチング処理を行い,エッチング処理面の走査電子顕微鏡(SEM)による観察を行った.また,王水エッチング処理後の金属面に対するコンポジットレジンの接着性についても計測を行った.得られた結果は下記の通りである.
    1)SEMによる観察の結果,王水エッチング処理後の既製金属冠表面には,微細で複雑な凹凸及びアンダーカットが多数観察された.エッチング面は,エッチング時間により異なった様相を呈した.エッチング時間としては,3分~5分が適当であると思われた.
    2)勢断接着試験の結果,接着強さの平均値が最も高かったのは,エッチング時間が3分の場合(29.26MPa)であり,次いで高かったのは,エッチング時間が5分の場合(25.66MPa)であった.エッチングなしの場合の接着強さは,エッチング時間が1分,3分,5分及び20分の場合より低かった.接着強さの平均値が最も低かったのは,エッチング時問が10分の場合(10.73MPa)であり,エッチングなしの場合(15.33MPa)より低氏かった.
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1990 年 28 巻 3 号 p. 639-650
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    光重合型コンポジットレジンの経時的色調変化について明らかにする事を目的に,本研究を行った.
    直径10mm,厚さ1mmのレジンディスクを,Silux Plus(3M社)を用い,厚さ1mmのガラス板を介して2分間光照射して作製した.試料を37℃ の人工唾液中に浸漬し,硬化直後,1日,1ヵ月,3ヵ月,6ヵ月及び1年後の色調を,背景色なしの場合と背景色が白色板の場合について,高速分光光度計で測色した.
    1)ΔE*ab値は,背景色なしの場合には,すべての色が1年後まで経時的に増加していた.背景色が白色板の場合には,すべての色が6ヵ月後までは経時的に増加していたが,6ヵ月後と比較し,1年後は,色により増加する場合と減少する場合とがみられた.
    2)背景色の有無にかかわらず,硬化直後と比較した1年後の色差は,すべての色について,肉眼に感じる程度の色差を示した.
    3)L*値は,背景色の有無にかかわらず,すべての色が6ヵ月後までは経時的に減少し続けた.
    4)a*値は,背景色の有無にかかわらず,すべての色が6ヵ月後までは増加し続けた.
    5)b*値は,背景色の有無にかかわらず,すべての色について,観察期間により増加と減少の両方の変化を示した.
  • 廣田 和子, 阿部 和久, 平野 洋子, 野中 和明, 村上 照男, 中田 稔
    1990 年 28 巻 3 号 p. 651-661
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    九州大学小児歯科を受診した反対咬合症例のうち,上顎前方牽引装置を用いて被蓋改善を行った上顎骨の劣成長に起因すると考えられる,乳歯列反対咬合患者の治療開始前と被蓋改善後を比較し,上顎前方牽引装置の効果について検討した.
    研究資料としては,Hellmanの歯年齢IIA期で,乳臼歯に交叉咬合のない症例のうち,上顎前方牽引装置で被蓋改善を行った11例,Chin capで被蓋改善を行った9例,コントロール群として,Hellmanの歯年齢IIA期で,齲蝕・咬合ともに異常のないDistal steptypeを除いた15症例の,側方頭部X線規格写真と歯列石膏模型を用いて比較し,以下の結果を得た.
    1)上顎前方牽引装置は,nasal floorのcounter-clockwise rotationを伴った上顎歯槽基底の前方移動と,下顎骨の後退とclockwise rotationによりConvexity角とANB角を改善方向に増加させた.
    2)上顎前方牽引により,上顎乳中切歯の唇側傾斜が生じたものの,上顎第二乳臼歯がかたり折心移動したため歯列弓長が短縮した.
    3)重回帰分析法により,上顎前方牽引群のOver jetの増加には,SN-GN・SNB・SNA・GZN角の順序で関与していることがわかった.
  • 齋藤 健志, 沼田 尚子, 箕輪 恵子, 河野 隆之, 田中 好美, 大久保 文子, 藤井 真由美, 加藤 栄行, 山田 博, 赤坂 守人
    1990 年 28 巻 3 号 p. 662-675
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ricketts分析法を乳歯列期にまで応用するために側方頭部X線規格写真分析システムを開発した.資料は,日本大学歯学部小児歯科学教室所蔵の日本人正常咬合児のものを用い,方法は,上記のシステムを用い最初にBA-NA率プロフィログラムよりFacialpatternの成長変化を検討した.次に,Vertの公式をファジー理論を応用して改変し,Facial typeを求めた.最後に,各年齢群内のFacial typeの構成比を求め以下の結論を得た.
    1)Facial pattemは3歳児群から5歳児群,6歳児群と7歳児群,8歳児群から10歳児群の3群に分かれる傾向が見られた.
    2)9歳児群のデータを基にした各年齢群のBA-NA率プロフィログラムのVertの値は,増齢に従い減少する傾向が見られたが,その変化は,ほぼMesiofacial typeの範囲であった.
    3)各年齢群内のFacial typeの構成比は,Mesiofacial typeを中心にほぼ正規分布を示した.4)開発した側方頭部X線規格写真分析システムと,それにより得られた各年齢群別の平均値プロフィログラムにより,今後,歯列・咬合異常児のFacial patternを評価する際の基準値が得られた.
  • 前田 隆秀, 武井 謙司, 関 みつ子, 川島 成人, 赤坂 守人, 松本 光彦, 田中 博, 栗原 洋一
    1990 年 28 巻 3 号 p. 676-684
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Drooling(流誕)は,脳性麻痺,外傷性神経麻痺,精神発達遅滞などの中枢神経系に障害がある者の一部にみられ,一般に持続する障害である.流涎は口のまわり,服,玩具,作業器具等をぬらし不潔にし,ぬれた服やよだれかけからは特有な臭気を帯び,対人関係に悪影響を与え特に両親や療育に携わる者にとって非常にやっかいな問題である.また,認知レベルの高い障害児者にとっては流誕を有することによって社会参加に消極的となり精神的苦痛は計り知れない.著者はトロント大学にて行われている顎下腺管移動術を習得し,帰国後,重度な流誕を有する脳性麻痺患児者6名に顎下腺管移動術を行ったところ良好な結果を得たので,その手術法の紹介とともに術後の流涎の変化ならびに摂食状態,日常生活での変化などについて調査したところ次のような結果を得た.
    1)術後の流涎の状態は著効5名,良好1名であった.
    2)全例において流誕による特有な臭気がほとんど消失した.
    3)ほとんどの者が術前に比べ食物をこぼさなく,また,嚥下し易くなり摂食状態が好転した.
    4)生まれて初めて口紅がさせ,盛装が可能となった者が1名見られた.
    5)発音が明瞭になった者が1名見られた.
    6)ガマ腫が2名に併発した.
  • 真部 滋記, 田村 康夫, 宋 政文, 吉田 定宏
    1990 年 28 巻 3 号 p. 685-691
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の発達に伴う咀嚼筋の筋電位伝導速度(Muscle Fibre Conduction Velocity,以下MFCV)を検討する目的で今回その基礎的研究を行った.すなわち,成人における上腕二頭筋と咬筋について,表面筋電図を応用しMFCVの計測方法について検討した.
    被検者は顎口腔機能に特に異常を認めない成人3名を対象とし,肘関節を約90°に固定した時の上腕二頭筋及び中心咬合位における咬筋の等尺性収縮を指示した.電極は皿型銀電極を応用し,直列連動型としたものと並列独立型としたもの,さらにステンレス製電極(幅1mm,長さ10mm)を5mm間隔で各々平行に固定し直列連動型としたものの3通りのアレイ式電極を使用した.データ処理には,FFTアナライザーを用い相互相関関数による分析を行った.そして電極の種類を変えた場合と,また時足数を0.003,0.01,0.03secと変化させた時のMFCVについて検討し,以下の結果を得た.
    1)MFCVを観察する場合連動型電極が有効であり,特に咬筋の場合電極間距離の短いステンレス製直列連動型電極が有効であった.
    2)上腕二頭筋において筋電図記録時の時定数を0.003,0.01,0.03secと変化させても各々被検者内で遅れ時間に有意差は認められず,MFCVへの影響は認められなかった.
    3)ステンレス製直列連動型電極使用時のMFCVは咬筋で14.28±1.21m/sec,上腕二頭筋で4.13±0.29m/secであった.
  • 笹井 浩司, 殿内 真知子, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1990 年 28 巻 3 号 p. 692-698
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児期における咬合機能の発達を検討する目的で一般臨床で成人に広く用いられている咬合音診査を行い,その咬合音の周波数領域について成人と小児の差異を検討するため,本研究を行った.
    被検者は臨床的に顎口腔系に異常を認めない乳歯列期,混合歯列期,永久歯列期の3群,計15名について検討を行った.咬合音の採得は両側眼窩下部よりコンデンサーマイクを用いた口外法で行い,咬合音の到着時間差より早期に到着した片側のデータを採用した.被検者には毎分76回のtooth tappingを指示し,得られた咬合音波形の波形概形および周波数領域についてその構成成分,周波数領域,ピーク周波数,ピーク強度について検討を行った.その結果,
    1)咬合音はその概形より2型に大別でき,乳歯列群ではそのほとんどがスライディングサウンドであり,混合歯列群,永久歯列群と年齢が増すにつれインパクトサウンドの割合が増加した.
    2)周波数域に関してはインパクトサウンド,スライデイングサウンド共に永久歯列群が最も高く,次いで乳歯列群,混合歯列群の順であり,スライディングサウンドはインパクトサウンドに比較し有意に延長していた.
    3)咬合音を周波数分解すると2峰性または3峰性の波形を示し,その最大ピークは乳歯列群で約200~300Hz,混合歯列群,永久歯列群で500~800Hzに位置し,インパクトサウンド,スライディングサウンドのピーク周波数を検討したところ群内では有意な差は認められなかった.
    4)ピーク強度についてはすべての群において最大ピーク(第1ピーク)が低周波数域にあり,第2,第3ピークになるにつれ高域に位置した.また,スライディングサウンドにおいてはインパクトサウンドに比較し高域のピーク強度の増加が示された.
  • 尾崎 正雄, 石井 香, 尾崎 安彦, 林田 宏紹, 本川 渉
    1990 年 28 巻 3 号 p. 699-709
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    某山村部における3~15歳までの全小児(男子423名,女子379名,計802名)に対して口腔習癖の実態調査を心理テストと生活環境調査と共に実施し,数理統計学的検討を試みたところ,以下のような知見を得た.
    1.指しゃぶりが最も多く発現していたのは,女子では3歳(35.7%),男子では4歳(22.2%)で,それ以降は減少する傾向を示していた.
    2.咬爪癖が最も多く発現していたのは,女子では11歳(26.5%),男子では10歳(18.8%)であった.しかし,女子においては,幼児期からの発現が認められた.
    3.歯ぎしりで,最も高い発現頻度を示した年齢は,男子では7歳(22.7%),女子では4歳(15.4%)であった.
    4.男女を比較した場合,咬爪癖は女子に多く,歯ぎしりは男子に多く発現していた.しかし,指しゃぶりでは男女差が認められなかった.
    5.各口腔習癖と性格特性との関連を分析した結果,咬爪癖と歯ぎしりは,性格特性のほとんどの項目においてパーセンタイルの低い傾向が認められた.しかし,指しゃぶりには,ほとんど関連が認められなかった.6.数量化III類による分析の結果,各口腔習癖の発現には異なった性格特性との関連が認められた.
    7.生活環境との関連では,咬爪癖は母親が働いていない小児に,一方,歯ぎしりは外でよく遊ぶ小児に多く発現していた.
  • 伊藤 裕一郎
    1990 年 28 巻 3 号 p. 710-719
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    交換期における乳歯の生理的な歯根吸収に伴う歯の動揺を客観的に測定し,その動揺から歯根,歯根膜,歯槽骨の状態を把握する事を目的として歯に衝撃を加え,その際生じる歯の振動をとらえることにより動揺の変化を計測する振動測定システムを考案した.そして本研究は振動波形の周波数軸波形におけるピーク周波数を測定項目とし,歯根の形態変化が及ぼす重量,重心,歯根長の変化がピーク周波数に及ぼす影響を模型上で検討した.その後,被検者における測定を行って,振動測定システムを臨床に応用する可能性について検討し,以下の結果を得た.
    1)本実験に使用した振動測定システムに関する限りでは,歯根の吸収に伴って周波数軸波形におけるピーク周波数が低域ヘシフトすることが明らかとなり,乳歯の歯冠歯根長比との間に高い正の相関(r=0.840)が認められた.
    2)根吸収に伴うピーク周波数の低域シフトの原因として,重量の軽量化よりも,歯根長の短縮に伴う歯頸部から切端側への重心移動が大きな要因であることが模型実験の結果から示唆された.
    3)本実験における振動測定システムを臨床に応用する可能性を確認した.
  • 大道 士郎, 河原 茂, 嘉藤 幹夫, 高原 俊之, 尾崎 貞宣, 大東 道治, 稗田 豊治
    1990 年 28 巻 3 号 p. 720-724
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    骨形成不全症(Osteogenesis imperfecta,OGI)は,造骨機能の欠如による骨有機基質形成障害のために,骨の脆弱性をきたし,軽微な外力によって多発性,反復性の病的骨折を起こす稀な遺伝性全身疾患である.
    本疾患は,易骨折性のため小児歯科管理上,種々の問題点を有している.
    今回,私たちは,骨形成不全症と診断された1歳3ヵ月の女児の症例に遭遇し,精査の結果,以下のような所見を得た.
    1.骨形成不全症の3大徴候のうち,易骨折性と青色鞏膜を認めた.しかし,難聴は認めなかった.
    2.全身的な成長発育は,遅延していた.
    3.血液生化学的検査では,AL-Pの高値以外には特記事項は認めなかった.
    4.萌出全歯にわたって,象牙質形成不全が認められた.5.受診回数の増加とともに協力度が明らかに向上した.
  • 山本 弘敏, 井寄 宏高, 嘉ノ海 龍三, 矢尾 和彦, 稗田 豊治
    1990 年 28 巻 3 号 p. 725-731
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    最近,乳歯の歯冠修復にも審美性が求められるようになった.しかしながら乳臼歯のコンポジットレジン修復では,窩洞が大きくなるにつれてレジンの摩耗や破折あるいは歯質の破損などが生じ易くなる.また乳歯用冠は,審美的でないことの他に咬耗による穿孔や歯頸部での適合不良などに起因する問題が指摘されている.
    そこで,これらの方法に代わる修復方法としてコンポジットレジンインレー用のレジンを用い,歯髄処置を施した50歯の乳臼歯に咬合面全体を被覆するアンレー修復を施して6カ月間の臨床経過を観察した.また,第一乳臼歯で7段階第二乳臼歯では上顎が9段階,下顎が10段階の大きさのオクルーザルシェルを試作して技工工程の簡略化を計った.結果は以下の通りである.
    1)不快事項としては,咬頭部での部分的な破折が5例(10%)発現した.
    2)グレージング剤によるアンレー表面の光沢は,6ヵ月後には消失していた.
    3)対咬歯を乳歯用冠で修復した場合は,修復後3~4ヵ月後に乳歯用冠に穿孔が認められた.
    4)咬合面全体を被覆するアンレーは,歯質の削除量が多くなるために抜髄や生活歯髄切断を施した歯が適応症例である.
    5)オクルーザルシェルを利用することによって咬合面形態の付与は,非常に簡便になり,技工時間を大幅に短縮することができた.以上の結果からレジンアンレーは歯髄処置をした乳臼歯の修復方法として乳歯用冠や充填修復法に代わる有効な手段であると考えられる.
  • 小笠原 正, 笠原 浩, 穂坂 一夫, 渭東 淳行, 野原 智, 平出 吉範, 川島 信也, 渡辺 達夫
    1990 年 28 巻 3 号 p. 732-740
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    重症心身障害者に対する適切な歯科的健康管理の確立を目的とし,国立療養所に入院中の重症心身障害者140名について,歯科的管理を5年間にわたって行った後の翻蝕と歯周疾患について調査を行った.
    1.全面介助による1日2回のブラッシングが習慣化されていた.介助する時の職員のブラッシング方法は,64.3%が横磨きであった.
    2.介助によるブラッシングにおおむね適応している者は85.0%であった.しかし2.1%の者は,ひどく嫌がって前歯も磨かせなかった.
    3.平均OHI-Sは1.53で,部位別に清掃状態をみると,上顎前歯部唇面が最も良く,下顎左側臼歯部舌面が最も不良であった.
    4.1人平均DMF歯数は,12.51歯,DMF歯率48.2%であった.そのうち1人平均の未処置齲蝕歯は,2.07歯であり,歯科治療体制を含む歯科的健康管理の確立によって,齲蝕の問題はほぼ解決できていると思われた.
    5.歯肉増殖・肥大は,19.3%の者に認められた.そのうちフェニトイン服用者の歯肉増殖発現率は,38.5%であった.
    6.限局型歯肉退縮は,10.7%の者に認められ,下顎前歯部唇側歯肉に最も多く,介助者の横磨きとの関連が示唆された.7.歯周治療の要求度(CPITN)をみると,全く歯周治療の必要のない者は10.8%で,なんらかの治療が必要となる者は89.2%であった.
  • 杉浦 直樹, 久保 育子, 根来 道恵, 筧 錦子, 青山 立子, 辻川 孝昭, 桑原 未代子
    1990 年 28 巻 3 号 p. 741-746
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    唾石症は,唾液腺の腺体内あるいは排泄導管内に形成された結石に起因する疾患であり小児の唾石症は稀である.今回,われわれは,本邦報告症例の中では最年少と思われる2歳児の顎下腺管内唾石症を経験したので報告した.また,本邦の10歳未満の唾石症で,年齢,性別,部位の明記された30症例についての文献的検討を行った.
    1)性差については,男性16症例,女性14症例で,統計的に有意の差を認めなかった.
    2)唾石の部位は,顎下腺27症例,耳下腺3症例で,舌下腺には認められなかった.
    3)発症から受診までの期間については,1ヵ月以内が多くみられた.
    4)唾石の摘出方法については,口腔内切開によって摘出されていた.
    5)摘出唾石の数については,1個が多かった.
    6)摘出唾石の大きさについては,その長径において5mm以下が多かった.
  • 立川 義博, 國武 哲治, 松本 敏秀, 中田 稔
    1990 年 28 巻 3 号 p. 747-752
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    外傷により右側上顎永久中切歯が歯根破折を起こした症例(男児,11歳10ヵ月)を経験した.X線所見により,受傷歯の歯根はほぼ完成しており,歯根中央部に水平な破折線が認められた.臨床所見として,激しい動揺と疹痛があったが,歯冠側破折線の偏位はほとんど認められなかったため,スプリント固定を施した.スプリント固定を31ヵ月間行ったのち,X線的に破折線の消失を確認し,スプリントを除去した.長期間のスプリント固定にもかかわらず,歯根癒着の所見は認められなかった.
    一般に歯根破折歯の固定期間は2~3ヵ月とされているが,著しい動揺のある場合の予後は好ましくないといわれている.今回の症例を経験し,激しい動揺があっても,歯髄壊死を生じていなければ,長期間のスプリント固定を行なうことで,破折部の石灰化による治癒が生じることがわかった.また本症例における石灰化による修復は,まず歯髄に隣接した破折線部から始まり,破折線に沿って徐々に歯根膜側へと進行していったことが,X線的に確認された.
  • 東 まり, 原 昌伸, 道又 元, 西村 一光, 栗原 洋一
    1990 年 28 巻 3 号 p. 753-760
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Hallermann-Streiff症候群は,Frangoisが7つの主要症状と鑑別診断に有用な5つのNegative Signsを示し,症候群として確立された.
    著者らは主要症状の7つをすべて持つ,Hallermann-Streiff症候群と診断された,11歳5ヵ月の男児について歯科的所見を中心に報告した.
    1)乳歯は晩期残存しておりすべて矮小歯であった.永久歯には先天欠如がみられた
    2)咬合状態はOpen Biteで,顎運動は著しい障害が認められた.
    3)歯列弓は上下顎ともに小さく,とくに上顎はV字歯列であった.
    4)歯石の沈着と歯槽骨の吸収が著しかった.
    5)顎関節は形態異常が著しく関節窩,下顎頭そして下顎頸に異常がみられ,左側のほうが著しかった.
    6)上下顎の著しい発育障害と下顎の左側への偏位が認められた.
    7)組織学的検索により,エナメル質の減形成が認められた.
  • 佐藤 輝子, 向井田 珠美, 阿部 英一, 野坂 久美子, 甘利 英一
    1990 年 28 巻 3 号 p. 761-769
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口腔内小手術時の侵襲が,小児の生体に及ぼす影響を解明する目的で,今回,脈波・コロトコフ音記録計GP-303S型(日本パラマ社製)を用いて,小手術時の血圧と脈拍の変動を調査した.対象は,岩手医科大学小児歯科外来で小手術を行った男子15名,女子13名,計28名である.
    また,そのうち16名に対しては,体型と性格の調査も行い,術中の血圧との関連性についても検索した.その結果,次のような結論を得た.
    1.最高血圧は,埋伏過剰歯摘出(以後過剰歯摘出術と略す)時に最高値を示し,とくに男子で著しかったが,脈拍は,浸潤麻酔(浸麻),切開・剥離時に最高値を示し,男女差は認められなかった.
    2.最高血圧の術中の変動は,男子が女子より激しく,過剰歯摘出術でそれが明らかであった.
    3.最高血圧,脈拍は,ともに,処置が進行するに従い大きくなり,術後には術前に近い値まで回復したが,過剰歯摘出術,開窓療法において,その回復力は男子の方が女子に比べて劣っていた.
    4.今回の小手術における血圧,脈拍の変動は,小手術に対する不安,恐怖あるいは疹痛などの精神的動揺およびストレスが,最大の原因と思われた.
    5.術中の血圧の変動と患児の体型や,性格との間に何らかの関連性が見出された.
  • 茂泉 久美, 松山 順子, 富沢 美惠子, 野田 忠
    1990 年 28 巻 3 号 p. 770-778
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和54年9月から平成元年8月までの10年間に,新潟大学歯学部小児歯科外来で行われた歯科小手術症例について,臨床統計的観察を行った.
    1.小手術症例数は,656例(男児384例,女児272例)で,手術時年齢は6歳,7歳,8歳が多かった.年間症例数は平均65.4例で,月別症例数では8月が多かった.
    2.疾患別では,埋伏歯(62.8%),小帯異常(22.8%)で,合わせて85%を越えていた.
    3.性別では,埋伏過剰歯,頬小帯異常,歯牙腫は男児に,上唇小帯異常,粘液嚢胞は女児に多く,埋伏永久歯,舌癒着症ではほとんど性差を認めなかった.
    4.小手術症例の約4割は他の医療機関からの紹介患者であった.
    5.手術内容では,埋伏永久歯は開窓が多く,唾液腺疾患では摘出が多く,良性腫瘍では摘出,軟組織疾患では切除,顎骨嚢胞では全て開窓を行った.
    6.手術時年齢は,4歳未満では小帯異常が多く,4~8歳では埋伏歯が増加し,唾液腺疾患,軟組織疾患は10歳未満に,良性腫瘍,顎骨嚢胞は7歳以降に多く行われた.
    7.小手術を行った小児で全身疾患を有したのは31名で精神神経系疾患が最も多かった.
    8.全身麻酔は,16例中14例舌小帯伸展術が占め,手術年齢は1~6歳の範囲にあった.
    9.術後合併症は,後出血3例,発熱2例,抗生物質による薬疹が2例認められた.
  • 佐賀 義博, 八若 保孝, 小口 春久
    1990 年 28 巻 3 号 p. 779-785
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    第一大臼歯の異所萌出とは第一大臼歯が第二乳臼歯の遠心に正常に萌出せずに第二乳臼歯の歯根を異常に吸収する萌出をさすが,その治療法には多くの報告がある.今回,我々は上顎第一大臼歯の異所萌出において第二乳臼歯の著しい動揺を示した症例に対して,第一乳臼歯を固定源とする新しい装置を考案し治療を行い,良好な結果を得たので報告する.
    患児は8歳6ヵ月の男児で上顎右側第一大臼歯が異所萌出し,第二乳臼歯に軽度の打診痛を認め,また動揺の程度も2度を示していた.装置は乳歯冠・STミニロック・主線・補助弾線からなり,第一乳臼歯を固定源として補助弾線の弾性により第一大臼歯の誘導を行った.主線および補助弾線は第一大臼歯の移動と萌出に従って適宜調整を行った.およそ4ヵ月経過して第一大臼歯のholdされた状態が改善され,第二乳臼歯の動揺もほぼ生理的な範囲に回復した.さらに2ヵ月経過した後には第一大臼歯をほぼ正常な位置まで誘導することができた.
  • 登内 喜美江, 太田 克枝, 富沢 美恵子, 野田 忠
    1990 年 28 巻 3 号 p. 786-797
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上皮真珠の多くは,乳歯萌出前までに退化消失するか,破れて剥落してしまうため,これまでに上皮真珠の頻度に関する報告は少ないようである.今回,著者らは,新生児を対象とした上皮真珠について観察し,その出現頻度・出現部位などについて検討を行った.
    調査対象は,富山市内で1987年12月から1988年12月までの間に生まれた新生児517名(男児261名,女児256名)である.この対象児について,上皮真珠の有無を1~2週間の間隔で診査した.また,本学医学部附属病院産婦人科で21名の新生児について上皮真珠の経日的観察を行い,以下の結果を得た.
    1.総新生児i数517名中,男児109名,女児117名,計226名(43.7%)に上皮真珠が認められ,このうち著明なものは13名(男児6名,女児7名),2.5%にすぎなかった.
    2.部位別にみると,上顎前歯部歯槽堤116例(右側58例,左側58例),上顎臼歯部歯槽堤193例(右側97例,左側96例),口蓋正中部97例,下顎前歯部歯槽堤4例,下顎臼歯部歯槽堤16例(右側10例,左側6例)であった.
    3.経日的調査からは,新生児期に限られた期間内でも,上皮真珠の個数の増減,大きさの増大などの数量的な増減が観察された.
    4.上皮真珠「あり」「なし」の両群間において,(1)母親の年齢(2) 在胎期間(3)生下時体重・身長(4)出生順位(5)妊娠・分娩の異常(6)流産の既往の有無などの項目で比較,検討を行ったが有意な差は認められなかった.
  • 1990 年 28 巻 3 号 p. 799-895
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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