小児歯科学雑誌
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28 巻 , 4 号
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  • 小笠原 正, 笠原 浩, 小山 隆男, 穂坂 一夫, 渡辺 達夫
    1990 年 28 巻 4 号 p. 899-906
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    健常な幼児の寝かせ磨きに対する適応性と発達年齢,暦年齢との関連性を明らかにするために,保護者に寝かせ磨きをさせ,その状態を観察するとともにVTRにて記録し,AICに基づき解析を行った.調査対象者は,健常な幼児98名である.
    発達検査は遠城寺式乳幼児分析的発達検査を実施した.結果は以下の通りである.
    1.歯磨き介助(仕上げ磨きを含む)を1日1回以上行っていた保護者は,89.8%であった.
    2.寝かせ磨きの際に,観察された幼児の不適応行動のうち,最も多かったのは「手を出して邪魔をする(20.4%)」であった.以下,「頭を動かす(17.3%)」,「体位を変える(17.3%)」,「口を閉じる(15.3%)」,「歯ブラシを〓む(13.3%)」,「泣く(13.3%)」の順であった.
    3.寝かせ磨きに適応した者は78.6%で,不適応であった者は21.4%であった.
    4.寝かせ磨きの際に,子供を抑制した保護者は,12.2%認められ,他の87.8%は抑制しなかった.子供が拒否行動を示したにもかかわらず,抑制しなかった保護者は9.2%いた.
    5.寝かせ磨きの適応性と発達年齢,暦年齢とは,強い関連性が認められた.
    6.寝かせ磨きの適応・不適応を判別できる最適なカテゴリーは,遠城寺式乳幼児分析的発達検査項目のいずれも2歳6カ月前後であった.
    7.暦年齢2歳6カ月以上であれば,寝かせ磨きに適応できるレディネスが備わっていることが明らかとなった.
  • 細矢 由美子, 中村 則子, 安藤 匡子, 松井 貴志, 加島 知恵子, 後藤 譲治
    1990 年 28 巻 4 号 p. 907-917
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    牛乳歯切削エナメル質に対するレジンの接着性について,エッチング時間の影響を観察した.
    37%正燐酸ゼリーで,0,10,20,30及び60秒間エッチングを行った.レジンは,3M社製Dual Cured Scotch BondとSiluxを使用した.剪断接着試験を行い,接着強さを測定するとともに,剪断試験後のエナメル質面とレジン面をSEMで観察した.得られた結果をPhoto BondとPhoto Clearfil A使用時の結果と比較した.
    1)接着強さの平均値が最も高かったのは,エッチング時間が20秒の場合であった(76.77±12.99MPa).
    2)エッチングなし群とすべてのエッチング時間群間の接着強さに有意差がみられ,エッチング群が高かった.
    3)エッチング群については,エッチング時間別の接着強さ間に有意差はみられなかった.
    4)SiluxとPhoto Clearfil Aの接着強さをエッチング時間別に比較すると,エッチング時間が20秒の場合のみに有意差がみられ,Siluxが高かった.
  • 矢尾 和彦, 神原 修, 近森 槇子, 櫛田 雄一, 稗田 豊治
    1990 年 28 巻 4 号 p. 918-927
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンに配合された各種のフィラーの形状を識別することは,コンポジットレジンの物理的性状や臨床上認められる様々な挙動を理解する上で重要である.フィラーを識別するために従来から行われていたレジンの研磨面の観察法に変えて,アセトンによる重合阻止層の除去やフッ化水素酸による無機質の溶解などの処理を施したレジンの表面をSEMで観察したところ,以下のような結果を得た.
    1.アセトンで重合阻止層を除去したレジン表面では,各種フィラーは表面に突出した状態を呈しており,マイクロフィラー,粉砕型無機フィラー,有機複合フィラーおよびシンター型フィラーなど全てのフィラーの形態を立体的に観察することができた.
    2.この処理法によって,フィラーの配合工程において生じる無機フィラーの凝集体を識別することができた.
    3.重合阻止層の除去後フッ化水素酸処理を施したレジン表面では,無機フィラーと有機複合フィラーを識別することができた.
    4.同処理法によって,配合された無機フィラーの形状から各種の有機複合フィラーを識別することができた.以上のことから,アセトンとフッ化水素酸による表面処理法は,従来から行われていた研磨表面の観察法に比較して,コンポジットレジンに配合された各種フィラーを識別するうえで,簡便かつ有効な方法であると考えられる.
  • 畑 弘子, 猪狩 和子, 加納 能理子, 神山 紀久男
    1990 年 28 巻 4 号 p. 928-936
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和56年より59年までに東北大学歯学部附属病院小児歯科を受診し,乳歯列期より口腔管理を開始し,第一大臼歯萌出後3年以上経過した小児220名に対し,現在の口腔管理の問題点を明らかにするために第一大臼歯の齲蝕罹患状況,予防処置状況について実態調査を行った.
    萌出5年後には,約半数の歯が充填歯となっているが,充填歯面数は少なく齲蝕の重症化は避けられている.上顎より下顎で高い齲蝕罹患を示したが,咬合面齲蝕のみに限れば上下顎間で差はみられなかった.女子は,男子に比べ全ての歯面で齲蝕罹患が高く,発生時期も早かった.
    約75%の第一大臼歯にフィッシャーシーラントが行われており,咬合面齲蝕の発生が抑制されていた.また,健全歯にフィッシャーシーラントを填塞した後3年以上経過しても半数近くが特に不快事項もなく良好に経過していた.しかし,C1と診断した歯にフィッシャーシーラントを填塞した場合には,充填処置へ移行する割合が高く,初期齲蝕に対してフィッシャーシーラントを行う場合には,術式,填塞材料の吟味はもとより,注意深い経過観察の必要性の高いことが示唆された.
    なお,萌出後,ラバーダム防湿が可能となるまでの間の咬合面,下顎頬側面の管理をいかに行うかが重要な課題であることが指摘された.
  • 二木 昌人, 中田 稔
    1990 年 28 巻 4 号 p. 937-948
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    臼歯修復用コンポジットレジンのin vitroにおける咬合力や咀嚼による表面形状の経時的な変化をin vitroにて再現する目的で衝突摩耗試験を考案した.試料としてヒト抜去永久臼歯を使用し,平担面を作製した後,円柱状の規格窩洞を形成した.そして,窩縁形態として著者らが考案,改良したベベル付与バーを用いてラウンドベベル,ストレートベベルを付与したものとバットジョイントの3種類を設定した.これらに対して光重合型臼歯修復用コンポジットレジンを充填後,一定条件下で衝突摩耗試験,摩耗試験,衝突試験を行った.試験前後の試料のレプリカを走査型電子顕微鏡とレーザー表面形状測定装置で観察し,主として摩耗と辺縁破折の様相について定性的な観察と定量化を行った.
    その結果,今回考案した衝突摩耗試験を行った後の試料は,特に歯質とコンポジットレジンの表面形状変化および摩耗量の面で口腔内における変化と類似しており,in vitroの再現性が高い試験法であることが明らかになった.また,衝突運動による応力はコンポジットレジンの摩耗および辺縁破折を増大させる大きな要因であることが明らかになった.
    さらに,辺縁破折については,コンポジットレジン縁端部の形態的な抵抗性とコンポジットレジンと歯質との接着性が大きく関与しているために,窩縁形態としてはラウンドベベルが最適であることがわかった.
  • 木村 光孝, 西田 郁子, 牧 憲司, 加来 昭典, 矢野目 鎮照, 高橋 宙丈, 松田 容士子
    1990 年 28 巻 4 号 p. 949-955
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    実験的に成長期にある生後3週齢のWistar系雄ラットに標準食飼料(MF固型飼料)を与えたものを対照群とし,カルシウム欠乏食を与え,虚弱状態を惹起させた後,標準食飼料にきり変えたものを実験群とした.実験期間は4週間と6週間で絶えず咀嚼という外力を受けながら成長している下顎骨に限定し,骨形成状態,顎骨の強度を調べるため,X線学的,骨濃度,X線マイクロアナライザーによる歯槽骨のCaとPの分析および圧縮試験について検索を行った.
    1.X線写真では,実験日数の経過に伴い,骨梁の増加,配列の規則化が認められた.骨濃度においても対照群に比べ実験群が低値を示しているが,実験日数が経つに従い増加した.
    2.X線マイクロアナライザーによるCaとPの分布状態,対照群と比較した相対Ca量比およびP量比は,対照群に比べ実験群が低値を示した.
    3.破砕試験では,各週とも対照群に比べ実験群は低値を示し,破砕強度は弱かった.それぞれの実験結果において,対照群に比べ実験群は低値を示していた.このことから実験日数の経過とともに,骨構築回復傾向に向かっているが,食餌療法のみでは骨の虚弱状態の改善は困難であり,今後,生理活性物質などの併用が必要であると考えられる.
  • 橋本 雅子
    1990 年 28 巻 4 号 p. 956-967
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レーザー照射によりエナメル質に耐酸性が付与されることは,多くの研究により明かにされ,近年,Nd:YAGレーザーが特に有用であることが報告されている.そこで本研究は,連続波Nd:YAGレーザーを用い,その耐酸性付与の効果を,齲蝕抵抗性の低いエナメル質形成不全歯の齲蝕予防に応用することを考え,基礎的実験を行い次の結果を得た.
    1)微小管阻害薬であるcolchicineをラットに投与することにより,ラット切歯に実験的なエナメル質形成障害部を作り,その組織学的特徴および耐酸性について検討した.その結果,ラットのエナメル質形成障害部は鉄の沈着が認められず,エナメル質表面には,著しい波状の隆起が認められ全体として粗造な面を形成している.また,乳酸で処理した後の観察により,エナメル質形成障害部は,正常な部位に比べて耐酸性が低いことが明らかになった.このことより,colchicine投与により生じるエナメル質形成障害部は,ヒトのエナメル質形成不全歯を研究する際のひとつの実験モデルになりうると思われる.
    2)実験的なラット切歯のエナメル質形成障害部に,照射エネルギー密度10J/cm2で連続波Nd:YAGレーザーを照射したところ,照射前に認められた著しい隆起状構造や小孔が減少あるいは消失し,照射部位全体にわたり平坦化が認められた.またレーザー照射後に乳酸で処理すると,レーザーを照射したエナメル質形成障害部には十分な耐酸性が付与され,脱灰が生じなかった.
  • 小出 武, 深尾 正, 櫛田 雄一, 矢尾 和彦, 稗田 豊治
    1990 年 28 巻 4 号 p. 968-974
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児義歯あるいは矯正用床装置と接触するエナメル質に齲蝕による白斑あるいは実質欠損を広範囲に認めることがある.このような齲蝕を予防するために床装置の歯牙接触面にフッ素徐放性レジンを応用すれば,耐久性,適合性などで優れており,さらにフッ素も安定して放出されることから,強い齲蝕抑制効果を発揮するものと考えられる.
    今回,クラレ社で研究開発中の光重合型フッ素徐放性のレジンを床装置の歯牙接触面に応用することを想定して,ウシエナメル質と同レジンを接触させ,同レジンから放出されたフッ素のエナメル質への取り込みについて検討し,以下の結果を得た.
    1)実験期間中フッ素徐放性レジンから放出されるフッ素量は,ほぼ一定で,安定していた.
    2)エナメル質に取り込まれたフッ素量はエナメル質の表層部で多く,深部でも認められた.
    3)浸漬期間の延長に伴い,エナメル質に取り込まれたフッ素量は増加した.
  • 岡本 圭一, 岡本 義正, 篠田 圭司, 田村 康夫
    1990 年 28 巻 4 号 p. 975-983
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Tスキャンシステムの小児歯科での臨床応用に先立ち,付属センサーの再現性と問題点について検討するため,顎模型を用いた基礎的実験を行った.
    1)本システムによって表示されたアーチモデルと,実際の歯列とは一致しないことが多かった.
    2)センサーを咬合させた際,接触点数,位置表示ともに1,2回目では不安定であったが3回目以降より安定してくる傾向がみられた.
    3)荷重を増すにしたがい表示される接触点数は増加し,変動も小さくなった.
    4)シリコン印象材をセンサーに付与することにより,センサー再挿入の際の位置的再現性が向上し,その結果安定したデータを記録することができた.以上の結果より,スキャンシステムを臨床応用する際,2回以上咬合させ,センサーを安定させてからデーター採取することが有効であり,またシリコン印象材をセンサー上に付与し,記録を行うことはセンサーの位置的再現性を高めるうえで効果的であると思われた.
  • 中川 弘, 原田 桂子, 鎌田 浩二, 宮本 幸子, 有田 憲司, 西野 瑞穂
    1990 年 28 巻 4 号 p. 984-995
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の歯科治療中の適応性を予測するのに,治療開始までのどの時点の小児の様子を評価することが最も有効であるかを知る目的で,3歳から6歳までの小児84名について,待ち合い室から診療台に仰臥し,治療を開始するまでの小児の様子と治療中の適応性との間の関連を分析した.また,治療適応児と不適応児それぞれの特徴を明確にする目的で,前記84名の中の適応児13名,不適応児13名について,治療中の小児の身体行動,小児の言語的反応および歯科医師の小児への話しかけについて調査,分析した.得られた結果は次のとおりであった.
    1)待ち合い室から診療台に仰臥するまでの4場面20項目のうち12項目(待ち合い室での他人とのかかわり,受付での付き添い依存度および情緒安定度,診療台までの態度,歩き方,付き添い依存度および情緒安定度,診療台への上がり方,上がった後の様子,医師との応答,付き添い依存度および情緒安定度)に,治療に対する適応性と有意な関連が認められた.
    2)治療中の小児の身体行動を,リラックスしているものから激しい拒否の運動まで5段階に評価し,各段階を1点から5点に評点化し分析したところ,不適応群は適応群に比べ,ブラッシング,表面麻酔,浸潤麻酔,ラバーダム装着,エアージェットによる形成,電気エンジンによる形成および充填処置の全ての処置で高い評点を示した.
    3)適応群,不適応群ともブラッシング,表面麻酔,浸潤麻酔と進むに従って身体行動の評点が高くなっていくが,適応群では浸潤麻酔をピークとして以後評点は徐々に下がった.これに対し不適応群では浸潤麻酔後も変化なく高い評点を持続した.
    4)不適応群では,適応群に比べ言語的反応の回数が多く,浸潤麻酔までは「発話」が多く認められ,それ以後は「痛みや不快の表明」,「言語的抵抗・不平・怒り」が多く認められた.不適応群では全ての処置で「泣き」もしばしば認められた.
    5)不適応群の小児に対する歯科医師の話しかけの回数は適応群の1.5倍であった.両群とも「指示」,「説明」が全体の60%以上を占めており,「ほめる」は適応群に,「数をかぞえる」,「勇気づけ」は不適応群に多く用いられていた.各処置における1分間あたりの話しかけの頻度は,ラバーダム装着時が最も多く,充填処置中が最も少なかった.
  • 斉藤 徹, 五十嵐 博恵, 猪狩 和子, 千葉 秀樹, 真柳 秀昭, 神山 紀久男
    1990 年 28 巻 4 号 p. 996-1013
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列前期に開咬を有する小児の歯列弓形態・前歯部咬合状態の特徴およびその経年変化を知る目的で乳歯列開咬小児40名の連続歯列石膏模型を用いて三次元計測を行った.その結果,次のような結論を得た.
    1.乳歯列前期に開咬を有する小児では上顎特に前方部が形態的影響を受け,下顎ではほとんど影響を受けない.開咬小児は乳犬歯間幅径が小さく,長径が大きい.また,口蓋前方部は高く後方部は低い.乳中切歯は前上方に位置している.
    2.乳歯列後期において,開咬治癒群は正常群と歯列弓の形態に差はなくなる.しかし,上顎乳中切歯は著しく口蓋側に傾斜し,垂直被蓋はむしろ正常群より大きくなる.このとき乳歯列前期に水平被蓋が大きいものほど後期には垂直被蓋は大きくなる.
    3.乳歯列前期から後期までの変化に関して,治癒群では増加,不変,減少の分布が正常群に近づく方向に偏っている.特に前期において正常群との形態差が大きかった部位での偏りが大きい.
    4.数量化理論II類による予測の結果,乳歯列期内での自然治癒には吸指癖の中止だけではなく前期における歯列弓形態・咬合状態もかなり関与していることがわかった.
  • 壺内 智郎, 大村 満晴, 大町 耕市, 内田 尚, Marcela Fumiyo Taguchi, Heriandi Sutadi, Sa ...
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1014-1024
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,歯科恐怖予防の観点から行動科学的研究を行っているが,今回,著者らは歯科不安・恐怖の実態を把握し解明する目的で,日本,インドネシア,ブラジル,アルゼンチンの4力国で歯科不安に関するアンケート調査を実施した.対象は各国の歯科学生計728人,アンケートは全25問よりなる選択式で,その内容は大きく分けて3群からなっている.第1群は主訴・治療経験などを問う予備設問,第2群は歯科診療時の身体反応を問う設問群,第3群は歯科診療時の不安度を問う設問群である.これらの回答を集計・分析し以下の結果を得た.
    1.日本の対象者の77%は何らかの歯科不安を抱いており,他国(45~65%)に比べ高い割合を示した.しかし,強度の不安を抱いているものは各国とも,4~7%とほぼ同じ割合を示した.
    2.日本・ブラジルでは女性の方が歯科不安が強く,アルゼンチン・インドネシアでは逆に男性の方が歯科不安が強い傾向を示した.
    3.歯科診療時の身体反応と不安度との間に各国の被験者とも有意な関係を認めた.
    4.どの国においても歯科不安の強いHigh fear groupは,特に治療前の心理的ストレス場面で不安度が増し,同時に身体反応も強く表出された.
  • 山田 聖弥, 野坂 久美子, 甘利 英一
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1025-1035
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼犬乳歯66歯を用いて,接着性コンポジットレジンClearfil SC New Bondの歯髄への影響ならびに即硬性水酸化カルシウム系覆髄剤Dycalの歯髄保護効果について検討した.研究方法は,各歯の唇面に5級窩洞を形成し,その後,ストッピングのみ填塞(S群),Dycal覆髄後ストッピング填塞(D+S群),Dycal覆髄後レジン充填(D+R群),レジンのみ充填(R群)の4群に分けて填塞後,3日,1週,2週,4週の各期間において,歯髄組織,象牙芽細胞層,象牙質の組織変化を病理組織学的に検討した結果,次のような結論を得た.
    S群において,病理組織学的変化の出現状況は,3日目,1週目に多く出現し,2週目以降減少する傾向を示し,4週目でほぼ正常となった.しかし,R群では全期間を通じて最も強い組織変化を示し,4週目までほぼ変わらず,レジンの歯髄刺戟性は強く,持続性があるものと思われた.
    一方,D+S群,D+R群では3日,1週目ではS群より組織変化は強かったが,2週目以降その変化が減少していたことから,Dycalそのものも歯髄刺激性を持つものの,一過性であり,レジンの歯髄刺激に対する保護効果はあるものと思われた.また,レジン充填の際にはなんらかの歯髄保護が必要であると考えられた.
  • 塩野 幸一, 清水 久喜, 小椋 正, 規工川 浩
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1036-1047
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日常食品に対する咀嚼機能量を計測するためには,一口量の食品を元に測定することが望ましい.しかし,一口量の食品は大きさや硬さが種々に変化し,一定ではない.そこで,大きさや硬さが変化しても,咀嚼筋筋電図の値と高い相関を有する評価式が設定できれば,筋電図値を知らなくとも評価が可能となる.そのため一口量の咀嚼ゼリーを使用し検討したところ,硬さについて針型プランジャーを使用し,硬さを厚みで補正し,さらに体積を積算することが有効であったことから評緬式が設定できた.
  • 石井 香, 尾崎 正雄, 久保山 博子, 新村 健三, 塚本 末廣, 本川 渉
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1048-1055
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕罹患状況の把握及び齲蝕減少に向けての今後の口腔衛生指導の具体的な示唆を得ることを目的として,人口動態の少ない山村地区である佐賀県佐賀郡富士町に在住する保育園,幼稚園,小学校,中学校の全小児を対象として1987年と1989年に歯科疫学調査を行った.その結果,次のことが明らかになった.
    1)1987年と1989年の比較では年齢別乳歯,永久歯の齲蝕罹患状態は減少傾向が窺えるが,まだまだ高齲蝕罹患傾向が認められた.
    2)また,齲蝕の増加は萌出間もない幼若永久歯の時期に急激であるために特に,この時期の指導が必要であると思われた.
    3)そこで,本調査地区での幼若永久歯齲蝕急増傾向の改善のための具体的な指導項目として,「冷蔵庫の中にジュース等の飲料類を入れておかない」「おかしは与え方に工夫し保護者がきちっと管理する」「歯磨きは幼児期より磨く習慣をつけ,この時期はまだ保護者が仕上げ磨きをする」等があげられた.
  • 白川 哲夫, 野江 康郎, 及川 透, 篠口 杏子, 小口 春久
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1056-1065
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天性心疾患を有する小児では,興奮や啼泣により低酸素血症や急性心不全を誘発する場合があり,歯科治療にあたっては十分な注意が必要である.今回われわれは先天性心疾患児の歯科治療の際にパルスオキシメーターにより動脈血酸素飽和度(SpO2)のモニタリングを行うとともに,小児歯科外来で使用する際の問題点について検討した.パルスオキシメーターはSpO2の低下を早期に発見して酸素投与の必要性を判断するうえで有用であり,低酸素性発作の予防にとって不可欠のモニターと考えられた.
    心疾患の症例を歯科処置時のSpO2の変動のタイプ別に分類したところ,SpO2が一定あるいは上昇したものが89%,低下したものが11%であった.前者の多くが歯科処置に協力的であったのに対し,SpO2が低下した16例のうち12例に興奮,啼泣などがみられたことから,患児の協力度の良否がSpO2を安定に保つうえで重要であることが示唆された.
    なお,パルスオキシメーターを小児に使用する場合,SpO2が正しく測定されているかどうか常に注意を払う必要があり,それを判断するうえで脈波形が重要な指標になった.
  • 石川 隆義, 中島 正人, 志渡澤 きみえ, 長坂 信夫
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1066-1074
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科的不協力児の特徴的な行動の一つである「泣き」に対して,小児歯科診療室内で待機している小児にどのような情動反応を出現させているかを把握する事を目的にして本研究を行った.4歳から6歳の園児(30名),6歳から8歳の児童(30名)を対象に,不協力児の泣く行動を視覚刺激,聴覚刺激,視聴覚刺激に分けて提示し,ポリグラフを用いて情動反応の量的な把握を行った.また,母親の歯科的恐怖感の程度と小児の情動反応の出現量との関係についても検討を行い,以下の結果を得た.
    1)全被験者において,視聴覚刺激,聴覚刺激,視覚刺激の順に高い情動反応を示し,視覚刺激と聴覚刺激,視覚刺激と視聴覚刺激との間で有意差を認めた.
    2)園児は児童に比して,視覚刺激,聴覚刺激,視聴覚刺激のいずれの刺激においても高い情動反応を示す傾向を示したが,有意な年齢群差は認めなかった.
    3)全被験者を男児と女児に分類して性差について検討したが,有意差は認めなかった.
    4)視聴覚刺激において情動反応の表出の高低を把握する事により,視覚刺激,聴覚刺激における情動反応のレベルを推測する事が可能であった.
    5)母親の歯科的恐怖感の程度と小児の情動反応の出現量との間に関連性は認められなかった.
  • 石川 隆義, 宮崎 幸子, 宮崎 結花, 長坂 信夫
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1075-1083
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児を取り巻く歯科医療環境を構成する要素の一つである母親及び診療スタッフに着目し,母親の診療室内への入室の背景と母親が診療スタッフに与える心理的影響について調査・検討を行った.対象は,本学小児歯科外来を受診した小児100名,その母親100名,診療にあたった術者延べ100名,アシスタント延べ90名である.そして,母親の入室の背景を調査するために,母親へは「母子間の心理的距離テスト」とアンケートを,診療スタッフには「テイラーの顕在性不安検査」を実施した.また,母親の診療スタッフへの心理的影響については,認知・情緒・欲求・評価の心理過程についてのアンケートを行い,以下のような結果を得た.
    1)母親の入室・非入室かの判別寄与度の高い要因として,来院経験,小児の治療への適応度,出生順位,術者の臨床経験,小児の年齢が抽出された.
    2)非入室群の方が入室群に比し,母子間の心理的距離は大きな傾向を示し,「子供の機嫌が悪く母親の機嫌の良い時」,「子供の機嫌の良い時」の2場面で統計的有意差を認めた.
    3)母親の診療室内での不安度が,術者のイライラ感や,アシスタントによる「母親の不安認知」に影響を及ぼしている事が認められた.
    4)術者の臨床経験の違いにより,母親の不安認知に有意差が認められた.また,臨床経験の多い術者の方が母親や自分自身をポジティブに評価した.
  • 石川 隆義, 宮崎 幸子, 市川 史子, 長坂 信夫
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1084-1092
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は臨床において効果的な聴覚減痛法を応用して,小児へのアブローチを行うためにお伽話に着目した.即ち,お伽話を介在にして,小児・保護者・術者の三者間のコミュニケーションを図り,家庭から診療室へ身構える事なく来院できるような状況に設定した後,診療室内で聴覚減痛法を行った.そして,3歳以上7歳未満の小児50名,保護者50名,術者延べ50名に質問調査を行うとともに,4歳以上7歳未満の小児13名を対象に,指尖容積脈波(PL),呼吸曲線(RC),皮膚電気反射(GSR)の3指標において小児の情動反応の観察・記録を行い,以下のような結果を得た.
    1)保護者へのアンケートにおいて,「治療時にお伽話を聞ける事を楽しみにしていた」と回答した者は,49名中36名(73.5%),「来院に積極性がでてきた」と回答した者は49名中24名(49%),「今後もお伽話の使用を希望する」と回答した者は49名中45名(91.8%)であった.
    2)小児へのアンケートにおいて,「お伽話を聞きながら治療を受けて気持ち良かった」と回答した者は,2回目で49名中36名(73.5%),3回目で50名中40名(80%)であった.「今後もお伽話を聞きながらの治療を希望する」と回答した者は,2回目で50名中43名(86%),3回目で50名中45名(90%)であった.
    3)術者へのアンケートにおいて,「治療がやり易くなった」と回答した者は,2回目で47名中21名(44.7%),3回目で50名中28名(56%)であった.「小児の不安・恐怖感は減じた」と判断した者は,2回目で49名中30名(61.2%),3回目で50名中32名(64%)であった.
    4)エンジン刺激では,2回目・3回目において初回に比して情動反応の減少を示し,5%の危険率で有意差を認めた.
    5)タービン刺激では,各回毎に情動反応の減少傾向を示した.
    6)泣き声刺激では,各回毎に情動反応の減少を示し,3回目において初回との間で1%の危険率で有意差を認めた.
  • 西條 佳乃, 荻野 千佳, 佐々木 規茂, 斎藤 ふく子, 千葉 秀樹, 神山 紀久男
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1093-1103
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東北大学小児歯科にて咬合管理を行っている患者のうち,第1大臼歯の異所萌出を起こした症例24名,35カ所について,異所萌出の原因と特徴を検索する目的で,石膏模型,頭部X線規格写真,パノラマX線写真を用いて調査検討を行った.結果は,
    1)上顎異所萌出歯ならびに中切歯,側切歯,全乳歯の歯冠幅径と小野,大坪の平均値との間に有意差は認められなかった.
    2)上顎片側異所萌出群での歯列の大きさはIIA期ならびにIIC期共に全ての計測部位で患側と健全側の間に有意差はなかった.
    3)各発育段階での上顎歯列の大きさの比較では,IIA期には前歯部周長と後方余地に,IIC期では犬歯間福片側長,片側周長,側方歯前後的距離に有意差が認められ異所萌出群が正常群より小さい値を示した.
    4)IIA期からIIC期への変化量の比較では側方歯前後的距離において異所萌出群が正常群より有意に大きな減少を示し,有意差はないものの後方余地はむしろ異所萌出群が大きな増加を示した.
    5)頭部X線規格写真分析から,上顎異所萌出歯の萌出角度が正常群に比べ有意に小さいことが示された.
    6)パノラマX線写真より歯胚の石灰化度を変量としてクラスタ分析を行った結果,標本間の類似度が最も離れていた群は異所萌出症例で,上顎で第2大臼歯と第2小臼歯の先天欠如,及び異所萌出歯の石灰化遅延が認められた.
  • 朝田 芳信, 谷 博司, 横屋 知恵子, 栗原 洋一
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1104-1108
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Balakrishnan and Ashtonによりヒトの全唾液蛋白は,ポリアクリルアミドゲルを支持体とした電気泳動法により約20~30本のバンドに染別されることが報告されている.
    そこで松島らは,Balakrishnan and Ashtonの方法に準じ,マウスの全唾液蛋白をポリアクリルアミドゲルを支持体とし電気泳動法により染別されたバンドを,I~V分画に大別し,それぞれの分画毎の生化学的遺伝標識に系統間で差を見いだした.
    今回著者らは,松島らにより報告されているC3H/HeJマウス,BALB/cマウスに加えて,BALB・kマウス,およびI型糖尿病自然発症マウスであるNOD/shiマウスの全唾液蛋白の生化学的遺伝標識について検討を加えた結果,下記のような結論を得た.
    1)C3H/HeJマウスおよびBALB/cマウスにおいては,松島らの報告と一致していた.
    2)BALB・kマウスは,BALB/cマウスと同様な結果から,Mouse salivary protein-1(以後Msp-1とする)の分画においては性差発現にH-2領域の関与の可能性が否定されるものと思われる.
    3)NODマウスはMsp-3がb型,Msp-2が存在型のa型,Msp-1は雌雄ともにF型で性差を認めないo型そしてAmylase-1(以後Amy-1とする)はb型を示した.
  • 大島 邦子, 石倉 優香, 富沢 美惠子, 野田 忠
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1109-1116
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    血液疾患を有する小児が歯科外来を受診する機会はけっしてまれではなく,その実態を把握することは,これらの患児の口腔管理を行ううえで重要なことである.
    著者らは昭和54年9月1日から平成元年6月30日までの間に,新潟大学歯学部小児歯科外来を訪れた,血液疾患を有する患児68名について調査し,以下のような結果を得た.
    1.血液疾患を有する新患患者は,全患者中0.7%で,白血病が最も多かった.
    2.初診時年齢は6歳をピークとし,健常児より高い傾向を示した.また,疾患別では原疾患の好発年齢との相関がみられた.
    3.初診時の主訴は,齲蝕治療が圧倒的に多いものの,歯牙交換期の抜歯依頼や軟組織疾患も多かった.
    4.患児の居住地域は県内全域に渡っており,遠方の小児では,隣接する医学部からの紹介患者が多かった.
    5.齲蝕処置内容をみると,血友病で処置歯数が多かった以外は,疾患群間で大きな差はみられなかった.しかし,白血病,血管性紫斑病,特発性血小板減少性紫斑病で,入院患児と通院患児とを比較すると,一般に通院患児の方が重症齲蝕の傾向が見られた.
    6.定期診査の来院率は健常児より20%程低く,来院しなかった患児のうち75%は,初診時,医学部入院中の患児であった.
  • 宮沢 裕夫, 難波 比呂志, 清木 貴代恵, 唐沢 茂光, 金児 晴夫, 今西 孝博, 竹内 友康, 林 直樹, 慶瀬 伊佐夫
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1117-1124
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    松本歯科大学病院小児歯科において,1986年から1989年までの3年3カ月間に全身麻酔下歯科治療を施術した症例について臨床統計調査を行った.
    対象は1歳5カ月から8歳9カ月までの108症例(男児57例,女児51例である.
    全症例は術前,術後3日間の管理のもとで行われ,麻酔方法は経鼻挿管80例,経口挿管26例の計107例はGOE維持,1例はケタミン持続点滴による静脈麻酔により行われた.
    その結果は以下の通りである.
    1.患児の処置時の平均年齢は3歳4カ月であり,最小年齢1歳5カ月最高年齢8歳9カ月であった.
    2.適応理由では53%が遠隔地を理由とし,心身障害児は13%であった.
    3.1症例当りの修復処置歯数の平均は約15歯であった.その内容はコンポジットレジン充填8.5歯コンポジットレジンクラウン2.6歯,乳歯冠3.6歯,その他0.8歯(抜歯)であった.
    4.歯髄処置は全処置歯の42%であった.
    5.麻酔時間の1例当りの平均は3時間28分であり,術後の合併症は発熱,嘔吐が数例にみられたが,重篤な結果に至った例は認められなかった.
  • 斉藤 恵美, 渡部 茂, 前山 善彦, 丹羽 弥奈, 五十嵐 清治
    1990 年 28 巻 4 号 p. 1125-1130
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    永久歯の埋伏の発生頻度は一般に上顎犬歯,第3大臼歯などに多く,第1大臼歯では稀であるとされている.今回,我々は下顎の第2小臼歯歯胚が下顎第1大臼歯の上方に位置し,これが障害となって両側の第1大臼歯が萌出困難を来たしたと思われる症例に遭遇し,観察および治療を行った.得られた所見ならびに治療法は次のとおりであった.
    1.症例は8歳7カ月の男児で,X線診査によると,下顎において第2小臼歯歯胚が第2乳臼歯の遠心根下に位置し,そのために左右の下顎第1大臼歯の萌出が障害されていた.
    2.第2小臼歯のほぼ直下に位置する第1大臼歯は近心傾斜しており,根は短小で近心根の彎曲が認められた.
    3.本症例の原因は,発生段階における第2小臼歯歯胚の位置異常と第1大臼歯の近心傾斜によるものと思われたが,全身所見および既往歴に特記すべき事項はみられなかった.
    4.第1大臼歯の萌出を促すために,第2乳臼歯の抜歯と第2小臼歯歯胚の摘出を行い,開窓状態にて経過観察を行った後,装置を用いて牽引を行った.このような埋伏歯の早期発見には,定期診査時においてオルトパントモグラフなどを用いた積極的な診査を規則的に行うことが必要と思われた.
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