小児歯科学雑誌
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32 巻 , 3 号
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  • 佐々木 重夫, 齋藤 高弘, 島村 和宏, 佐藤 博
    1994 年 32 巻 3 号 p. 429-436
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    郡山市の一保育所における4,5歳児の小児24名を対象として,8日間の給食摂取状況を調査し,集中時間(良く咀嚼して摂取していた時間)を中心に検討し,次の結果を得た.
    1)給食摂取に使用した食事用具は献立によって変化が認められた.
    2)1人平均所要時間は平均約30分で,献立間の差は認められなかった.
    3)1人平均集中時間は平均約15分で,献立間の差は認められなかった.
    4)集中時間は摂取開始から15分間まで集中していた者が多く,時間の経過とともに減少するが30分以降に再び集中する者が多く認められた.
    5)食べ残しでは野菜類が多く,食べ物の好き嫌いがある者のうちの90%以上が野菜類に対してであった.
    6)多変量解析より「C3以上の齲蝕を保有していない者」,「食べ残しの回数の多い者」,「好き嫌いのある者」,「Kaup指数が正常以上の者」,「運動能力が平均以上の者」,「所要時間が平均以下の者」,「歯列異常のある者」,「性格に落ち着きのある者」の順に集中時間が長かった.
  • 二木 昌人, 松本 敏秀, 國武 哲治, Sai Htay Win, 中田 稔
    1994 年 32 巻 3 号 p. 437-443
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    パノラマ断層写真を用いた第一大臼歯の萌出度の評価方法を用い,当科受診患児の集団より,第一大臼歯の萌出遅延症例を抽出した.すなわち,1979年12月より1989年6月までの間に九州大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した暦齢3歳0ヵ月から9歳11ヵ月までの日本人健常児2,245名(男児1,103名,女児1,142名)において撮影されたパノラマ断層写真を用いて,各第一大臼歯の萌出段階を求めた.そして萌出段階に対する暦齢が平均値より2SD以上大きい場合を遅延症例とした.
    抽出された84症例(男児37名,女児47名)の臨床所見をまとめてみると,まず,萌出遅延は1歯のみまたは片顎両側性に2歯発現することが多いことが明らかになった.また萌出遅延歯の半数近くは同時に歯胚形成遅延も伴っていた.さらに歯年齢の遅れに伴う萌出遅延症例も認められたが,多くは第一大臼歯または大臼歯部に遅延は限局しており,特に上顎では同時に,隣接した第二大臼歯の歯胚形成遅延または先天欠如を有する症例が多く認められた.さらに第一大臼歯のectopic eruptionも萌出遅延の原因の一つとして認められた.歯冠形態については上顎で咬頭数の変異も一都見られ,石膏模型上での計測では,下顎で歯冠近遠心径が小さい傾向がみられた.
  • 石川 雅章, 舩山 研司
    1994 年 32 巻 3 号 p. 444-453
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ヒト咬合の多様性や顎・顔面頭蓋形態変異が広い原因を系統発生学的に考察する目的で,ニホンザルとヒトとの比較研究を行った.資料はニホンザル20頭,ヒト20名の経年的側貌頭部X線規格写真である.資料間隔(0,1,2歳と4,6,8歳)は歯牙年齢により対応させた.両者の顎・顔面頭蓋各部の線分析と角度分析,また各計測点の座標値の成長量について因子分析を行い,以下の結論を得た.
    線分析から,サルでは全ての項目に両観察期間とも顕著な有意差が観察されたが,ヒトでは鼻上顎複合体の成長が先行し,特に下顎骨の高さが遅れた.角度分析から,サルでは両観察期間にわたる鼻上顎複合体と下顎骨前方部の旺盛な成長が観察されたが,ヒトでは両観察期間とも有意差は認められず,顎・顔面頭蓋はその枠組みをほぼ安定して保ちながら成長していた.因子分析の主な差異は,(1)前脳頭蓋底の成長の独立性と鼻上顎複合体の成長への関与,(2)鼻上顎複合体と下顎骨の前下方への一体となった成長,(3)下顎骨の独立した形態形成,に関する因子の認められる時期と数,大きさにみられた.以上から,ヒトの咬合や顎・顔面頭蓋形態に変異が広い一因は,乳歯列期の鼻上顎複合体と下顎骨が協調して発育する様式から,混合歯列期における鼻上顎複合体の前方成長が前脳頭蓋底の成長に規制され自由度が低く,下顎骨の形態形成に自由度が高い発育様式に変化していくことにあるのではないかと推察された.
  • 細矢 由美子, 冨永 礼子, 高風 亜由美, 柏原 陽子, 嘉数 恭子, 西口 美由季, 後藤 讓治
    1994 年 32 巻 3 号 p. 454-468
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1992年11月から1993年1月に亘り,日本小児歯科学会認定医933名(男性:643名,女性:290名)に対し,インフェクション・コントロールに関するアンケート調査を行った.その結果,男性377名(58.6%),女性161名(55.5%),総計540名(57.9%)より回答が得られた.
    調査の結果は下記の通りである.
    1)ゴム手袋は,全ての患者に使用(32.8%)一部の患者に使用(55.0%),使用していない(11.7%)であった.
    2)マスクは,全ての患者に使用(56.3%),一部の患者に使用(30.6%),使用していない(12.8%)であった.
    3)日常メガネを使用していない者の診療時におけるメガネ・ゴーグルの使用は,全ての患者に使用(42.6%),一部の患者に使用(30.5%),使用していない(20.6%)であった.
    4)ハンドピース・コントラの滅菌・消毒法は,オートクレーブ(25.2%),ガス滅菌(12.2%),アルコール綿で拭く(78.2%)であった.
    5)ハンドピース・コントラを患者毎に毎回交換する者は,13.0%であった.
    6)印象材の消毒は,全部行う(6.9%),一部行う(31.3%),行わない(60.0%)であった.
  • 後藤 讓治, 張 野, 細矢 由美子
    1994 年 32 巻 3 号 p. 469-479
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯牙の咬頭部付近に頂窩という小窩が存在することが知られている.萌出第1大臼歯の頂窩に関する報告はみられるが,未萌出第1大臼歯の頂窩に関して,SEMによる観察は見られない.本研究では,インド人小児の乾燥頭蓋骨10顆の下顎骨より得られた未萌出左右側第1大臼歯20歯を用い,頂窩についてSEMによる観察を行った.その結果を萌出永久大臼歯における頂窩(既報)と比較した結果,下記の所見を得た.
    1)未萌出第1大臼歯における頂窩は,下顎骨10症例中8症例(80.0%)に観察された.また,被検歯20歯中の14歯(70.0%)に総計98個(右側第1大臼歯7歯に51個,左側第1大臼歯7歯に47個)認められた.頂窩の発現症例数,発現歯数及び発現個数は,左右側第1大臼歯間に有意差は認められなかった.
    2)未萌出第1大臼歯に頂窩を有する歯牙1歯あたりの発現個数は,最大19個,最小1個,平均7個であった.この値は,萌出永久大臼歯の平均個数である4.9個より多かったが,両者間には有意差は認められなかった.
    3)未萌出第1大臼歯における頂窩開口部の形態は,萌出永久大臼歯のものと同様で,円形のものが52個(53.1%)と最も多く見られた.
    4)未萌出第1大臼歯における頂窩は,近心頬側咬頭部において高頻度に発現した.この結果は,萌出永久大臼歯の場合と異なっていた.
    5)未萌出第1大臼歯における頂窩開口部の内径は,右側第1大臼歯では最大180μm,最小9μm,平均47.7μmであり,左側第1大臼歯では最大150μm,最小9μm,平均37.6μmであった.左右側第1大臼歯間では,内径に有意差は見られなかった.未萌出第1大臼歯の頂窩開口部の内径の平均値は,42.9μmであり,萌出永久大臼歯の頂窩開口部の内径の平均値173μmと比較して,かなり小さく,両者間には有意差が見られた(P<0.01).
  • 緒方 哲朗, 峰松 清仁, 中田 稔
    1994 年 32 巻 3 号 p. 480-487
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    健全な咀嚼機能を維持するには,小児期からの咀嚼機能の発達過程を明らかにすることが重要である.著者らは咀嚼機能を評価する上で重要な要素のひとつと考えられる,咬頭嵌合位における咬合接触状態について研究を行い,臼歯部における咬合接触面積や咬合力の大きさは,第一大臼歯の萌出とともに,第二乳臼歯主導から第一大臼歯主導に変化していくことを明らかにした.
    今回,歯科用咬合圧測定フィルム(デンタルプレスケール,富士写真フィルム株式会社製)と咬合圧測定システム(オクルーザー・FPD-703,富士写真フィルム株式会社製)が開発され,全歯列での咬合接触状態の解析が可能となった.そこでこれらを小児歯科領域で使用するに際して,その有効性を確認するため試用タイプを用いて再現性についての検討を行った.
    63名の被験者から採得した175枚の資料を464回測定した.オクルーザーによる複数回測定の変動係数は,咬合接触面積で0.030,咬合力の大きさで0.024だった.各被験者の個人内変動係数は,咬合接触面積で0.12,咬合力の大きさ0.13であった.以上の条件下で使用すれば,デンタルプレスケールとオクルーザーは小児の咬合接触状態を解析する上で有効な方法であると考えられる.
  • 牧 憲司, 葛 立宏, 木村 京子, 吉永 久秋, 松田 容士子, 古沢 ゆかり, 大里 泰照, 木村 光孝
    1994 年 32 巻 3 号 p. 488-493
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    九州歯科大学附属病院小児歯科外来を受診した8歳児から10歳児で,臨床的立場から正常咬合を有し,下顎臼歯部に齲蝕や実質欠損のない男児24名,女児24名の計48名を対象に咬合力の測定を行うとともに,デンタルフィルムからphotodensitometry法により下顎骨骨塩量の測定を行い次の結果を得た.
    1.咬合力の平均値は男児において8歳23.64±3.74kg,9歳29.25±4.63kg,10歳32.63±5.19kg,女児においては8歳24.75±4.68kg,9歳26.38±5.19kg,10歳32.38±6.22kgであった.男女間のt検定を行ったところ8歳から10歳までの有意差は認められなかった.年齢間のt検定を行ったところ8・9歳間では9歳が8歳に対し有意に大きな値を示し(P<0.05),8歳・10歳間では10歳が8歳に対し有意に大きな値を示し(p<0.01),9・10歳間では10歳が9歳に対し有意に大きな値(p<0.05)を示した.
    2.骨塩量の測定結果,平均値は男児において8歳3.74±0.74mmAl,9歳4.36±0.80mmAl,10歳4.44±0.73mmAlであり,女児においては8歳3.54±0.70mmAl,9歳4.18±0.82mmAl,10歳4.59±0.73mmAlであった.男女間の有意差はなく,年齢間のt検定を行ったところ8・9歳,8・10歳では年齢の高い後者が前者に対し有意に高値であったが,9・10歳間では有意差は認められなかった.
    3.咬合力と骨塩量の相関係数は,8歳r=0.816,9歳r=0.860,10歳r=0.730で全体ではr=0.820であり,顎骨への物理的刺激量である咬合力と骨の内部構造を反映する骨塩量の間には強い相関が認められた.
  • 佐橋 喜志夫, 加藤 哲
    1994 年 32 巻 3 号 p. 494-504
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の咀嚼機能と短期記憶との関連性を検討する目的で,岐阜県と大阪府の2ヵ所の某幼稚園の5歳5ヵ月から6歳5ヵ月の園児56名(男児27名,女児29名)と岐阜県の某中学校の12歳1ヵ月から15歳1ヵ月までの3学年の中学生98名(男子62名,女子36名)の合計154名を対象として,咬合力の測定と数唱テストを行った.さらに,幼稚園児には硬い食品を用いて6ヵ月間の咀嚼訓練を行い,この咀嚼訓練前後に咬合力の測定と数唱テストを行い,以下の結果を得た.
    1.幼稚園児の咬合力と数唱テストの順唱および逆唱との間にそれぞれ有意な正の相関関係を認めた.
    2.咀嚼訓練によって咬合力は有意に増加し,数唱テストの平均点は順唱および逆唱ともに有意に増加した.さらに,順唱の得点の上昇者は咀嚼訓練を行わなかった者に比べ有意に多かった.
    3.中学生の各学年で咬合力と数唱テストの順唱との間に有意な正の相関関係を認めた.しかし各学年で咬合力と逆唱との間に有意な相関関係は認めなかった.
  • 姜 桂珍, 後藤 讓治
    1994 年 32 巻 3 号 p. 505-517
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ヒト正常乳歯,幼若永久歯の根尖部歯髄内有髄・無髄神経線維の数量,割合,タイプ,微細構造などを神経発達の立場から,電子顕微鏡と画像解析システムを用い検討し,以下のような結果を得た.
    1)歯髄内神経線維数は,幼若小臼歯より乳犬歯のほうが遙かに多く認められ,幼若小臼歯では,根尖部の形成につれて増加する傾向が認められた.有髄:無髄神経線維の割合は,乳犬歯では平均1:9.998,幼若小臼歯では平均1:6.706であった.
    2)有・無髄神経線維の平均直径は,乳歯と幼若小臼歯の間に有意差はなかった.
    3)有髄神経線維総数を占める直径5μm以上の神経線維は,それぞれ乳犬歯では24.621%,幼若小臼歯では35.339%の比率で観察された.
    4)TEMの観察により無髄神経軸索は多様な構造を呈していた.
    以上から,神経線維数特に有髄神経線維の占める割合は,歯牙における知覚的相違の一因だと考えられる.また,歯髄内神経線維は,痛覚を司る外に,様々な機能を有することが示唆された.
  • 高柳 英司, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1994 年 32 巻 3 号 p. 518-528
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は小児における不正咬合と咀嚼筋機能との関係を検討することを目的に,その基礎的実験として成人を対象に左右側頭筋と咬筋における筋活動時の特徴を明確にするため,咬合位およびクレンチング方向の変化や,咬合に関係する要因が左右の側頭筋と咬筋筋活動のAsymmetry Index(A.1.)に及ぼす影響について検討を行った.被検者は顎口腔系に特に異常を認めない正常咬合を有する成人40名(平均年齢25.4歳,男性27名,女性13名)を対象に,咬合を水平的に変化させた場合と,咬合を垂直的に変化させた場合の2通りの実験を行い,咀嚼筋A.I.の変化について検討を行った.筋電図のほかに咬合接触点,下顎を左右に側方偏位させたときの偏位量,中心咬合位での下顎の正中の偏位量などとも併せて検討を行い,以下の結論を得た.
    1)側頭筋は全ての咬合位およびクレンチング方向において作業側が優位な活動を示していた.
    2)側頭筋A.I.は中心咬合位において上顎正中に対する下顎の正中偏位量と高い相関が認められた.
    3)側頭筋A.I.は下顎を左右へ偏位させたとき,偏位方向および量と高い相関が認められた.
    4)咬筋は側頭筋のように一定の活動パターンは認められず,実験1では3群に分かれ,実験2では2群に分かれた.
    5)咬筋A.I.は接触点数と正の相関が認められた.
  • 岡 賢, 鈴木 広幸, 下岡 正八
    1994 年 32 巻 3 号 p. 529-551
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    既知性の最も強い,親しい身近な母親の顔写真に対する小児の見方と見やすい場所を調べる目的で,まず母親の顔写真1枚の画像を提示して,自由視させたときの眼球運動と,その後,先に提示した母親の顔写真に他の女性の顔写真2枚を加えた3枚の顔写真を縦に並べた画像を提示し,母親の顔写真を探させたときの小児の眼球運動を測定した.
    また,小児が母親を探すときの眼球運動と母親の要因,養育環境の要因,高木・坂本幼児児童性格診断検査との関連性を検討する目的で多変量解析を行い,以下の結論を得た.
    1.被験者の母親の顔写真1枚を提示したとき,母親の顔写真に第1停留点が現れるまでの平均所要時間は492.8msecであった.
    2.再認までの平均所要時間は,中段に母親の顔写真を置いたものが最も短かった.
    3.視線走査の方向性は,まず中段に移動するものが最も多く,次いで上段へ移動するもの,下段へ移動するものの順であった.
    4.視線が走査されにくい下段の顔写真に第1停留点があったのは,上段に母親の顔写真を置いた被験者で0%,中段で5%であったが,下段では35%であった.
    5.再認までの所要時間に対しては,特に母親の要因,高木・坂本幼児児童性格診断検査の影響が大きかった.
    6.第1停留点の部位については,母親の要因,養育環境の要因,高木・坂本幼児児童性格診断検査ともに影響があった.
  • 牧 憲司, 葛 立宏, 吉永 久秋, ri tai Gong, 竹下 尚利, 松田 容士子, 木村 光孝
    1994 年 32 巻 3 号 p. 552-565
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児期の顎口腔領域に関心が高まっている現在,カルシウム摂取が顎骨にどのような影響を与えるかを知ることは重要である.著者らは生後3週齢のWistar系雄ラットにカルシウム欠乏食を与え骨虚弱状態を惹起後,カルシウム含有量の高い牛骨粉と標準食を与え成長期下顎頭に及ぼす影響について検索し,次のような結果を得た.
    1.X線学的所見についてみると,高カルシウム食投与により下顎頭の形態は大きさを増し,骨梁の増加,走行の規則化が著明となった.
    2.X線マイクロアナライザーについてみると,相対Ca量比,相対P量比はカルシウム欠乏食群が最小値をとり,カルシウム欠乏食・高カルシウム食群では対照群に近い値をとった.
    3.病理組織所見についてみると,高カルシウム食投与により軟骨細胞層の各区分が不明瞭となり,肥大帯軟骨細胞は減少しその周囲の石灰化基質は増加していた.また骨梁の形成も活発に多く認められたが,その幅は対照群と比較すると細く十分な状態ではなかった.
    4.走査電子顕微鏡についてみると,高カルシウム食投与により,軟骨層は薄くなり,骨梁の形成も活発で幅は広くなっていた.しかし対照群と比較すると,骨梁はいまだ細く十分な回復状態ではなかった.
    以上のことからカルシウム欠乏により骨虚弱状態に陥った成長期下顎頭に牛骨粉投与は骨構築促進効果は認められるが,完全な回復は困難であることが判明した.
  • 野中 和明, 落合 聡, 松本 敏秀, 佐々木 康成, 立川 義博, 丸亀 知美, 中田 稔
    1994 年 32 巻 3 号 p. 566-573
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Menkes Syndromは,銅の先天性吸収障害に起因する疾患であり,X連鎖性劣性遺伝形式をとる.従って各種銅依存性酵素の活性低下から,様々な臨床症状を呈すると言われている.しかしながら,歯科学領域からの本症候群に関する症例報告は皆無であり,その歯科学的特徴や問題点は明らかではない.今回我々が遭遇した初診時年齢3歳6ヵ月の男児では,以下のような興味深い所見が認められた.
    1)低身長・低体重
    2)精神発達・運動発達の遅延と骨年齢の遅れ
    3)脊柱側彎と漏斗胸
    4)毛髪異常と色素沈着異常
    5)小下顎症傾向と下顎乳前歯部の叢生
    6)高口蓋と過蓋咬合
    7)スポーツドリンク飲料の過剰摂取と歯磨き不良によるランパント・カリエス
  • 美馬 典子, 鈴木 敦子, 村上 充子, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1994 年 32 巻 3 号 p. 574-579
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎右側乳犬歯の萌出遅延を主訴として来院した2歳10ヵ月の男児および3歳4カ月の女児について臨床的及びX線的に診査し,集合性歯牙腫による乳歯の萌出障害と診断した.この歯牙腫を外科的に摘出した後,経過観察を行ったところ,いずれも未萌出乳犬歯は自然に萌出し,所定の位置で咬合に参加した.
  • 船越 禧征, 鈴木 聡子, 満木 志おり, 嘉藤 幹夫, 大東 道治
    1994 年 32 巻 3 号 p. 580-586
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    鎖骨頭蓋異骨症は鎖骨の欠損または形成不全,頭蓋骨の骨化遅延,歯および顎骨の発育障害を特徴とする先天性骨系統疾患である.口腔領域の異常として乳歯の晩期残存,永久歯の萌出遅延ないし埋伏,埋伏過剰歯の存在などがみられる.今回,6歳10ヵ月,女児の鎖骨頭蓋異骨症の症例を経験し,次の所見をえた.
    1.大泉門の閉鎖不全と後頭部の縫合近くにウオルム間捜骨がみられた.
    2.鎖骨はX線上,痕跡程度に認められ,骨盤は恥骨結合の著しい離開がみられた.また手根骨は第1,第2,第3中手骨に偽骨端核がみられた.骨年齢の遅れは認められなかった.
    3.パノラマX線写真でみると乳歯の歯根吸収はほとんど観察されなかった.また乳中切歯の晩期残存,上下顎第1大臼歯の萌出遅延などがみられたが,埋伏過剰歯は認められなかった.永久歯の発育年齢は2年程度遅れていた.
    4.歯の形態,数,大きさの異常は認められなかった.永久歯の石灰化度および萌出に関しては,かなり遅れがみられた.
    5.模型分析では上下顎とも歯列弓の狭窄がみられた.
    6.頭部X線規格写真の角度分析および距離分析の結果から上顎前歯の唇側傾斜と下顎前歯の舌側傾斜が観察された.
  • 高見 由佳, 進士 久明, 副島 嘉男, 本川 渉
    1994 年 32 巻 3 号 p. 587-594
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    福岡一歯科大学付属病院小児歯科外来において経験した,男児10名,女児17名,計27名における埋伏歯の牽引症例について,埋伏歯の原因,状態,処置経過などの集計をおこなった.処置歯は,乳歯3歯,永久歯29歯,合計32歯である.処置部位として一番多かったのが上顎中切歯で14例,次が上顎犬歯の10例であった.埋伏歯の原因は不明のものが22例で,そのうち19歯は萌出方向が異常であった.上顎埋伏中切歯における傾斜角度は,90°以上のものが4歯認められたが,すべて順調な誘導経過をたどっている.
    この結果より,摘出すべき範囲であるとされている90° 以上の傾斜角度をもつ埋伏歯であったとしても牽引誘導を積極的におこなってみる必要があるのではないかと考えられた.処置開始時の歯根の完成度であるが2歯のみ歯根が完成しており,その他は全て未完成であった.処置開始年齢は上顎中切歯は平均8歳6ヵ月,上顎犬歯は平均10歳10ヵ月であった.誘導期間は上顎中切歯が平均14ヵ月,上顎犬歯が平均17ヵ月であった.誘導期間は,症例により埋伏状態やその周囲の状態が異なっているため,差が認められたと考えられる.誘導終了後の観察期間であるが,患児が予後観察に対して協力的か否かでその期間がまちまちであった.処置歯を観察する重要性を保護者に機会があるごとに何度となく説明しておくことが必要だと考えられた.
  • 南 一恵, 岸本 佳子, 鈴木 敦子, 松木 香, 岡本 亜希子, 大嶋 隆, 森崎 市治郎, 祖父江 鎭雄
    1994 年 32 巻 3 号 p. 595-600
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本人男子(初診時年齢4歳)が,下顎右側乳犬歯の動揺と疼痛を主訴として来院した.下顎の両側乳犬歯に重度の歯槽骨吸収を認め,歯肉溝の深さは4-6mmであった.患者は乳歯列完成期(IIA期)であり,他の乳歯には特に異常を認めなかった.全身所見には診査した限り異常を認めなかった.初診より7ヵ月後,右側乳側切歯が急速に動揺し,歯槽骨吸収も進行した.数週間のうちに他の下顎乳前歯の動揺も進行した.乳側切歯を抜去し,抗生物質の全身,局所投与を行うことにより,症状は軽減し,他の乳前歯の抜去は免れた.その後,下顎の左側乳犬歯以外は永久歯との交換による自然脱落の経過をたどった.
  • 松本 敏秀, 落合 聡, 野中 和明, 井口 享, 佐々木 康成, Jong-Hyun Bae, 中田 稔
    1994 年 32 巻 3 号 p. 601-608
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    象牙質形成不全症(Shields II型)は,歯の硬組織のうち中胚葉由来である象牙質の形成不全により発生する先天異常のひとつである.その遺伝形式は常染色体優性遺伝であり,乳歯および永久歯ともに罹患する.歯冠は,透明感のあるオパール様の色調を呈し,歯髄腔は石灰化物により漸次閉鎖されていく.またエナメル質が剥離しやすい傾向にあるため,いったん露出した象牙質は容易に咬耗し,最終的には歯髄感染を惹起しやすい.今回我々が遭遇した4歳0ヵ月の女児では,上顎正中部に逆性過剰埋伏歯を1歯有していたが,他にも次のような所見が認められた.
    1)すべての乳歯は,歯冠の崩壊が著明であった.可及的に全部性歯冠修復を施した後,咬合高径の挙上も兼ねたオーバーデンチャー式の可撤保隙装置を装着した.
    2)上顎永久中切歯の萌出に伴い下顎中切歯との間で交叉咬合となり,この外傷性咬合が下顎切歯歯肉の退縮を引き起こした.
    3)交叉咬合の治療に先立ち,6歳1ヵ月時に上顎正中過剰埋伏歯を摘出した.摘出した過剰歯の肉眼的,エックス線学的および組織学的所見より,同過剰歯も象牙質形成不全症に罹患していることが明かとなった.
    4)上顎歯列に指様弾線付きリンガルアーチを装着し,上顎中切歯を唇側に傾斜させ,切歯部交叉咬合を改善した.
  • 丹下 貴司, 時安 喜彦, 服部 啓吾, 高道 麻臣, 村上 鈴代, 川上 みどり, 佐々木 福子, 竹趣 史子, 松澤 光洋, 吉田 昌弘 ...
    1994 年 32 巻 3 号 p. 609-616
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1973年以降,顎顔面部の外傷を主訴として神奈川歯科大学付属病院外来を受診した0歳-19歳までの1838例(男児1158名,女児680名)を調査対象として,外傷の受傷年齢,性別,受傷年月日,受傷状態,処置内容などについて調査を行い,以下のような結果を得た.
    1)当付属病院外来における外傷受診者は経年的に増加傾向を示した.また,小児歯科外来の初診患者に占める割合も増加し,近年は9.0%前後であった.
    2)外傷の受傷型では乳歯・永久歯の外傷が全体の74%を占めていた.外傷受診者の月別分布では5-7月および9-10月に多くみられた.
    3)年齢分布では1-3歳児に多くみられ,0-8歳児までの群が全体の80%を占めていた.また,この年齢群の小児歯科での受診率は62%で,低年齢児の外傷処置に際して,小児歯科の果たす重要性が示唆された.また,乳歯外傷では1-3歳児に,永久歯外傷では7-8歳児に多くみられた.
    4)男女比では全体で男児:女児=1.7:1,乳歯外傷では1.5:1,永久歯外傷では1.9:1となり,永久歯での性差の拡大が認められた.
    5)受傷部位は乳歯・永久歯ともに上顎前歯に集中してみられ,受傷状態は乳歯外傷では脱臼> 振盪>破折,永久歯外傷では破折>脱臼>振盪の順に多くみられた.
    6)処置内容として,乳歯外傷では経過観察,抜歯,整復固定,歯髄処置の順に,永久歯外傷では整復固定,経過観察,歯髄処置,歯冠修復,再殖,抜歯の順に多くみられた.
  • 時安 喜彦, 本間 秋彦, 祝部 竜造, 松澤 光洋, 村上 鈴代, 石川 知治, 丹下 貴司, 大西 武, 木本 茂成, 熊坂 純雄, 檜 ...
    1994 年 32 巻 3 号 p. 617-623
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    患者は,11歳10ヵ月女児で下顎左側乳犬歯の晩期残存ならびに下顎左側犬歯部の精査を主訴に当科を受診した.X線所見では下顎左側乳犬歯根尖相当部に下顎左側犬歯の歯冠を含む,境界明瞭な拇指頭大,2房性の嚢胞様X線透過像が認められた.下顎左側乳犬歯の抜去,同部よりの開窓術を施行し,切除した嚢胞壁の病理組織学的検索を行った.病理組織学的所見は,菲薄な重層扁平上皮に裏装された嚢胞壁で,部分的に上皮の肥厚と,小石灰化物および少数の幻影細胞を認め,また線維性の嚢胞壁内には散在性に歯原性上皮の小塊が観察された.本疾患は,腫瘍的性格を有すること,再発などの報告もあり,長期にわたり慎重に経過観察を行うことが重要である.
  • 阪田 美智江, 長谷川 順子, 大島 邦子, 富沢 美恵子, 野田 忠
    1994 年 32 巻 3 号 p. 624-633
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天性心疾患を持つ小児が歯科外来を受診する機会は決してまれではなく,その実態を把握することは,これからの患児の口腔管理を行ううえで重要なことである.
    著者らは昭和54年9月1日から平成5年12月31日までに,新潟大学歯学部小児歯科外来を受診した先天性心疾患を持つ患児220名についてその実態を調査し,以下の結論を得た.
    1)先天性心疾患を持つ新患患者は,全患者に対して1.7%を占めた.初診時年齢は3,4歳がピークで,平均は5.6歳であった.
    2)66.8%は医療機関からの紹介患者で,医学部胸部外科からの,開心術前の感染源除去としての齲蝕治療の依頼が最も多かった.また,開心術前の来院患者では,開心術まで2週間以内という場合が46.2%であった.
    3)病型で最も多かったのは心室中隔欠損症であった.合併症を持つ患児は31.4%おり,Down症候群,精神発達遅滞などが多かった.
    4)初診時の齲蝕罹患率は高く,一人平均df歯数は各年齢とも高い値を示した.
    5)歯科処置の内容は,保存修復処置が最も多かったが,抜歯,歯髄処置も多くみられた.全処置終了した患児は73.2%で,平均処置歯数は7.3本,平均治療回数は4.3回であった.
    6)定期診査の来院率は55.0%であった.
    以上より先天性心疾患児に対して,医療機関との連携のもとに,早期から口腔健康管理を行うことが必要で,口腔健康管理の継続に一層の努力が求められることが明かになった.
  • 有波 昌子, 富沢 美惠子, 野田 忠, 鈴木 誠
    1994 年 32 巻 3 号 p. 634-642
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1979年9月から1993年5月までの13年9ヵ月間に新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した12,406人のうち,臨床的,病理組織学的にエプーリスと診断された21症例中混合歯列期以降の10症例について検討し,当教室で既に報告した乳歯列期のエプーリス11症例と比較した.
    1)性別は男子2例,女子8例であり,年齢は6歳から28歳であった.成人例が2例含まれていたが,自閉症及び精神発達遅滞の各1例であった.
    2)主訴としては歯肉の腫瘤を訴えて来院したものが4例で,その他の6例は全て歯科治療時あるいは検診時に発見された.
    3)発生部位としては上顎に7例認められ,前歯部に6例,小臼歯部に1例みられた.下顎には3例認められ,2例は前歯部,1例は大臼歯部にみられた.
    4)病変は全て10mm以内の腫瘤であった.
    5)付着の状態は有茎性5例,広基性3例であった.
    6)病理組織学的にはすべて炎症性のエプーリスで,肉芽腫性1例,肉芽腫性から線維性への移行型3例,線維性6例であった.
    7)処置は10例中9例で局所麻酔下に摘出術を行った.1例は試験切除後自然消失した.再発した例はなかった.
    8)誘因については歯の萌出,唇側弧線,外傷,歯の動揺が一因と考えられるものがあった.
  • 富沢 美惠子, 河野 美砂子, 野田 忠, 福島 祥紘
    1994 年 32 巻 3 号 p. 643-652
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来において昭和54年9月から平成6年1月までの14年4ヵ月の間に経験した12例の小児の顎骨嚢胞について臨床病理学的観察を行った.
    患児の性別は男児7例女児5例で,年齢は5歳7ヵ月から13歳4ヵ月までで,10歳未満6例,10歳以上6例であった.
    嚢胞発見のきっかけは,顔面の腫脹5例,口腔内歯肉の腫脹3例,X線写真で偶然発見されたもの4例で,疼痛を訴えたものはなかった.
    部位は,上顎2例下顎10例で,上顎は側切歯・犬歯部,下顎は全例小臼歯部であった.
    上顎の2例は,上顎前歯の外傷の既往があり,病理組織診断は,原始性嚢胞の疑いであった.
    下顎の10症例の嚢胞は,パノラマX線写真上15~42mmの近遠心径があり,全例嚢胞上に,何らかの歯内療法を受けた乳歯が存在した.X線写真所見から,永久歯の歯冠を内腔に有するタイプと歯の側方に嚢胞が接するタイプに分類し病理組織学的に考察した.病理診断は,1例が原始性嚢胞,9例が含歯性嚢胞であった.
    治療は,上顎の1例に嚢胞摘出一次閉鎖術を行ったが,11例では開窓療法を行い,嚢胞内の永久歯は全例保存した.
    後継永久歯には,2例に歯根形成の異常が認められたが,エナメル質形成不全は認められなかった.
  • 1994 年 32 巻 3 号 p. 659-
    発行日: 1994年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 32 巻 3 号 p. 660-661
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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