小児歯科学雑誌
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33 巻 , 3 号
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  • 中田 稔
    1995 年 33 巻 3 号 p. 448
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • 殿内 真知子, 青木 浩子, 中島 謙二, 松田 成彦, 田村 康夫
    1995 年 33 巻 3 号 p. 449-462
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成長発達期にある小児において咬合力の増大と,身体的要因,運動能力要因ならびに歯科的要因(不正咬合,顎機能異常,齲蝕)の個々の因子とが,いかなる関係にあるかを検討する目的で,3歳から14歳までの小児1992名を対象に咬合力測定を行った. その結果,以下の結論を得た.
    1.成長発達期にある小児において,咬合力は男子女子ともに年齢と高い正の相関を示して増大し,性差は正常群(形態的および機能的正常者),不正群(不正咬合,顎機能異常を有する者)とも全体的に男子が高く,5歳以降で差は明瞭になっていた.
    2.標準化偏回帰係数によって検討した結果,身長,体重の身体的要因では一定の傾向を認めなかったが,運動能力要因では男子女子ともに握力が,また女子の50m走が咬合力に対し高い寄与を示していた.
    3.正常群と不正群の咬合力を比較した結果,男子の4, 9歳,女子の4, 5歳で有意差が認められたが,全体では差はみられなかった.
    4.不正咬合ならびに顎機能異常の有無を数量化理論I類により評価した結果,女子では不正咬合および顎機能異常は咬合力に対して負の寄与を示していた.
    5.齲蝕経験と咬合力との関係を標準化偏回帰係数による評価を行った結果,DMF+df歯数は咬合力に対して負の寄与を示した.
    以上の結果より,咬合力の増大には増齢による性差を伴った全身的発達と同時に歯科的要因,運動能力要因とも関連していることが示唆された.
  • 柳瀬 博, 福田 理, 渥美 信子, 黒須 一夫
    1995 年 33 巻 3 号 p. 463-469
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学小児歯科外来を母親同伴で訪れた心身障害児37名を対象とし,田研式親子関係診断テストを用い,母親の養育態度と子供の歯科治療時に母親が治療室へ「入室する」「入室しない」という行動との関連性について分析を行い,以下の結果を得た.
    1)親子関係診断テストにおいて「入室する群」,「入室しない群」ともに『消極的拒否型』『積極的拒否型』『厳格型』『溺愛型』『矛盾型』の5型が危険地帯または準危険地帯を示し,また『盲従型』『不一致型』においては「入室しない群」で準危険地帯を示していた.
    2)親子関係診断テストのパーセンタイル値の比較において『厳格型』,『不安型』,『溺愛型』を除く7型で「入室する群」のほうが高い値を示し,相対的に良好な母親の養育態度を示す傾向が認められた.
    3)数量化II類の分析から『盲従型』『不一致型』の2型が母親の入室行動と関連の強い要因として抽出され,「入室する群」の母親に標準地帯の養育態度を示す者が多くなっていた.
  • 藤崎 みずほ, 松本 敏秀, 井口 享, 裵 宗玄, 森永 珠紀, 中田 稔
    1995 年 33 巻 3 号 p. 470-476
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    九州大学歯学部附属病院小児歯科外来において,1988年1月より1992年12月までの5年間に水酸化カルシウム製剤(カルビタール®)による生活断髄を行った乳歯のうち,定期診査時のデンタルエックス線写真が1枚以上存在し,読影可能であった252歯(男児83名,女児60名,計143名)に対し,臨床的かつエックス線学的にその経過を観察し,検討を加えた.
    結果は次に示すとおりであった.
    1.最終観察時における経過良好例は252歯中184歯(全体の73.0%)で,経過不良例は68歯(全体の27.0%)であった.
    2.前歯部で不良例の割合が低く,臼歯部で高い傾向がみられた. 特に,下顎第2乳臼歯において不良例の割合が高かった.
    3.全体の経過不良例のうち19.1%が施術後6か月以内に,58.8%が施術後12か月以内に認められ,24か月以上経過した後も不良例の出現が認められた.
    4.施術時年齢では5歳以降での不良例の割合がそれ以前に比べ高かった.
    以上のことより,処置後も交換期までは,エックス線診査を含めた定期的な経過の観察が必要であることがあらためて確認された.
  • 後藤 譲治, 細矢 由美子
    1995 年 33 巻 3 号 p. 477-483
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,歯の審美性に対する関心が高まり,歯の漂白もしばしば試みられている. 30%過酸化水素水及びエチル・エーテル,そして加温による歯牙表面からのバイタル・ブリーチング(Vital Bleaching)は,歯質を切削することなく,また,抜髄等の歯髄処置なしに行える生活歯の漂白法である. しかし,本法のヒト歯髄に及ぼす影響に関する臨床病理学的報告はみられない. そこで,咬合誘導上要抜去と診断されたヒト永久歯10歯に対して本法を施し,臨床病理学的に検索し,コントロール群3歯と比較検討した.
    その結果,臨床的不快症状の発現は極めて少なかった. 病理組織学的には,造歯細胞層に軽度の変化等が少数例に認められたが,歯髄内には炎症性の細胞は全く認められなかった.
    以上より,過酸化水素水及びエチル・エーテルと加温による生活歯の漂白は,臨床的にもまた病理組織学的にも歯髄に対して特に為害作用を及ぼすものではないと考えられた.
  • 池田 孝雄, 楠田 千春, 割田 ひろ子, 井上 景子, 田中 佳恵, 大森 郁朗
    1995 年 33 巻 3 号 p. 484-502
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和55年から平成2年までの11年間で鶴見大学歯学部附属病院小児歯科外来に永久歯の外傷を主訴として来院した260名の490歯をEllis分類に従って分類して臨床的な観察を行い,さらに経過観察し得た症例300歯については処置後の経過も観察し,次のような結果を得た.
    年度別受傷者数は,昭和61年以後から年々増加傾向を示していた. 受傷の発現年齢は8歳に集中していた. 性別は2:1で男子のほうが多かった. 受傷の月別分布は,2月,5月,10月に多くみられた. 受傷時刻は,午前8時,午後1~2時,および4時の時間帯に集中していた. 受傷原因は,転倒が126例(48.5%)で最も多く,衝突20.8%,交通事故9.6%,転落6.9%などとなっていた. 1人あたりの平均受傷歯数は1.9歯であった. 歯種別では上顎中切歯が357歯(72.9%)で最も多かった.
    外傷歯の分類では,7級が252歯(51.9%)で最も多く,次いで2級の78歯,3級の57歯,4級の38歯,1級の31歯,6級の14歯,8級の7歯の順となっていた. 歯冠破折の場合,露髄のないものは8歳に多く,髄腔に及ぶものは歯根完成時あるいは高年齢に多かった. 脱臼の場合には歯根が未完成な時期あるいは5~6歳で最も高い割合を示し,さらに10歳以降でも受傷の割合が比較的高かった.
    外傷歯処置後の再処置の頻度については,2級の外傷で3歯(6.8%),3級の外傷では8歯(22.2%)に歯髄壊死がみられ,歯内療法を要した. 7級の再処置の頻度は再植の70.4%,転位歯の65.2%,動揺のみの15.7%であった.
  • 春木 隆伸, 嘉ノ海 龍三, 下野 勉
    1995 年 33 巻 3 号 p. 503-510
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は成長発育期にある小児の永久歯の萌出時期及び石灰化度が,骨格性III級とII級との間に相違があるかどうか検討したものである. 骨格性III級の患児26名,II級の患児27名についてオルソパントモグラフ及び側方頭部X線写真を用いて,永久歯の石灰化度,臼歯部の萌出状態,及びそれらと不正咬合の状態との相関について検討した. その結果,
    1.骨格性III級とII級の石灰化状態についてNollaの分類で評価したところ,上顎第二大臼歯で有意な差が認められ,II級のほうが石灰化度が高い傾向にあった.
    2.骨格性III級とII級の臼歯部の萌出状態についてオルソパントモグラフでは,上下顎とも第二大臼歯で有意な差が認められ,III級では下顎が早く,II級では上顎が早い傾向にあった. また側方頭部X線規格写真では,上顎第二大臼歯で有意な差が認められ,II級で早い傾向にあった.
    3.上顎骨の前後径ANS-PNSと上顎臼歯部の石灰化度及び萌出程度の間に有意な相関が認められ,上顎骨前後径の長い患児のほうが,上顎の石灰化度が高く,萌出も早い傾向にあった. しかし,下顎骨の長さと下顎臼歯部の萌出状態においては,上顎のように有意な相関は認められなかった.
    4.ANBと上顎第二大臼歯の石灰化度及び萌出程度の間に有意な相関が認められ,ANBの大きい患児のほうが,上顎の石灰化度が高く萌出も早い傾向にあった.
  • 小出 武, 村上 由見子, 山賀 まり子, 大東 道治
    1995 年 33 巻 3 号 p. 511-516
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    GICからのF徐放については種々の因子が影響すると考えられるが,口腔ず内で生る咬耗や摩耗などの外力との関連性については推測の域を出ておらずたも,基礎的に検討しのはない. そこで,著者らは独自に開発した歯ブラシ摩耗試験機を用いて,荷重500g,負荷回数10,000回の条件で,2種類のGICの摩耗試験を実施し,摩耗中および摩耗後にF徐放量を測定するとともに,摩耗面を観察し,以下の結果を得た.
    1.歯ブラシ摩耗中GICの摩耗面からFの放出を認めた.
    2.歯ブラシ摩耗後GICの摩耗面からのF徐放量は増加した.
    3.摩耗面は気泡やコアの脱落による凹凸が観察された. 摩耗による新生面の露出とともにこの凹凸が摩耗後のF徐放量の増加と関連したと考えられた.
  • 福田 理, 柳瀬 博, 渥美 信子, 小野 俊朗, 入野田 芳子, 黒須 一夫
    1995 年 33 巻 3 号 p. 517-526
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    笑気吸入鎮静下の歯科治療時にマスク装着やガス吸入に抵抗し,歯科治療が極めて困難であった5歳から20歳の心身障害児43名を対象にミダゾラム0.2mg/kg(22名)および0.3mg/kg(21名)を経鼻投与し,笑気吸入鎮静法との併用下で歯科治療を実施し,その鎮静効果,回復時間,不快事項の発現状況ならびに臨床的有用性について検討し,至適鎮静濃度を検索し以下の結論を得た.
    ミダゾラム経鼻投与の鎮静効果は両群とも投与後5~10分後に発現しはじめ,投与10分後には安定した鎮静効果が得られ,本法の処置別有効率は0.2mg/kg群が66.7~89.5%,0.3mg/kg群が83.3~95.2%と高い値を示し,その有効率に両群間の差は認められなかった. しかし,0.3mg/kg投与は0.2mg/kg投与に比べ不快事項の発現頻度や種類が多く,その程度も相対的に重度であった. 臨床効果,回復時間,不快事項の発現状況の総合的評価である有用性は0.2mg/kg投与77.3%,0.3mg/kg投与76.2%と両群間に差はなく,0.3mg/kg投与の利点は臨床的には全く認められなかった.
    そのため,歯科外来での有意識下鎮静法にはミダゾラム0.2mg/kgの経鼻投与と笑気吸入鎮静法の併用が安全で効果的な鎮静法であると考えられる.
  • 石川 雅章, 孫 暁玲, 斉藤 亮, 舩山 研司
    1995 年 33 巻 3 号 p. 527-535
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    チンキャップによる乳歯列反対咬合治療10例およびチンキャップに上顎側方拡大装置を併用した乳歯列と混合歯列初期の反対咬合治療7例について,歯列模型と頭部X線規格写真により,切歯交換後の下顎永久前歯部に観察される叢生を定量的に評価し,初診時の歯列と顎・顔面頭蓋形態,およびその後の変化量との関連を調査した.
    チンキャップによる乳歯列反対咬合治療群10名の下顎永久前歯部には,1~5度の叢生が観察され,切歯交換に伴う下顎乳犬歯間幅や下顎前方長径の拡大量が,上顎に比べ著しく劣っていた. 叢生度を目的変量とした重回帰分析では,乳切歯と永久切歯の大きさの差,切歯交換後の開咬傾向の他に,術前の下顎前方歯列弓形態とその後の変化量が有意な説明変量として選択された.
    上顎側方拡大装置併用群7名では,下顎永久前歯部叢生の発現が緩和されていた. これを検証するために,拡大保定終了1年後までの併用群の下顎乳犬歯間幅径変化量を調査したが,特殊な例を除いて同時期の見積もり成長量に相前後していた.
    以上より,乳歯列反対咬合治療後の下顎永久前歯部叢生の出現には,永久切歯萌出に伴う歯列弓の側方拡大量が特に下顎で不十分なことに一因があり,積極的な上顎歯列側方拡大が下顎叢生の緩和にも有効なことが示唆された.
  • 後藤 讓治, 一瀬 暢宏, 細矢 由美子, 冨永 礼子, 張 野, 大井 久美子
    1995 年 33 巻 3 号 p. 536-542
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    経皮性に電気刺激を伝えることにより疼痛のコントロールを行う電気歯科麻酔(以下DEA)の小児歯科領域での臨床的評価に先立ち,本学歯学部小児歯科学講座医局員及び歯学部学生計16名を対象として予備実験を行った.
    下顎第2小臼歯にラバーダムクランプを装着する操作において,浸潤麻酔及びDEA間の除痛効果を比較し,また,浸潤麻酔針刺入時の表面麻酔とDEAの除痛効果を比較検討した. 疼痛程度のスコアは,3:強度の疼痛,2:中程度の疼痛,1:軽度の疼痛,0:無痛として記録し,以下の結果を得た.
    1)無麻酔下でのクランプ装着時の疼痛程度の平均値は1.69±0.79であった.
    2)クランプ装着時の評価平均値は,浸潤麻酔下では1.00±0.89,DEA下においては1.25±0.68であった. 浸潤麻酔とDEA間に有意差は認められなかった.
    3)浸潤麻酔刺入時の評価平均値は,表面麻酔下では1.81±0.75,DEA下においては1.19±0.83であった. 表面麻酔とDEA間に有意差(P<0.05)が認められ,DEAの方が除痛効果が高かった.
    4)DEAと表面麻酔を比較し,どちらが好ましいか比較したところ,16名中11名(68.8%)はDEAを,4名(25.0%)は表面麻酔が好ましいと回答し,1名(6.3%)がどちらとも言えないと回答した. また,DEAと浸潤麻酔については,16名中6名(37.5%)がDEAを,6名(37.5%)が浸潤麻酔が好ましいと回答し,4名(25.0%)はどちらとも言えないと回答した.
    5)以上より,電気歯科麻酔(DEA)により,効果的な疼痛管理が行える可能性が示唆された.
  • 永田 めぐみ, 田中 克明, 早崎 治明, 渡辺 里香, 山崎 要一, 中田 稔
    1995 年 33 巻 3 号 p. 543-551
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新規登録患児の全容及び経年的推移を把握する目的で,初診時の問診表及びカルテをもとにして実態調査を行った. 対象は,九州大学歯学部附属病院小児歯科が開設された1979年4月から1993年3月までの過去14年間に当科を来院し新規登録を行った患児のうち,問診表等の記載が不十分であるものを除く,男子3107名,女子3122名の計6229名であった. その結果,次の結論を得た.
    (1)当科を来院した患児の初診時年齢は2歳及び3歳の割合が高く,全体の26.2%を占めていた.
    (2)主訴は,齲蝕が最も多く,以下,歯列咬合異常,外傷,検診,軟組織異常と続いていた. 主訴の経年的変化では齲蝕が年々減少し,齲蝕以外はいずれも年々増加の傾向にあり主訴の多様化がみられた.
    (3)紹介されて当科を来院した患児の場合,一般歯科からの紹介が最も多く,以下,医学部附属病院,知人,当病院口腔外科,当病院職員,総合病院からの紹介と続いていた. 紹介患児の率は年々上昇し,91年度以降は新規登録患児の55%以上を占めた.
    (4)有病児および障害児は全体の20.4%を占めていた. そのうち紹介患児は,医学部附属病院からが最も多く,また,総合病院からの紹介が年々急増していた.
    (5)全体の61.8%が,過去に歯科受診経験を有していた. 歯列咬合異常を主訴とする患児のなかには歯科受診経験のある患児が多く,逆に主訴が検診または軟組織異常である場合は歯科受診経験のない患児が多かった.
  • 長谷川 信乃, 松田 成彦, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1995 年 33 巻 3 号 p. 552-564
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    第一大臼歯萌出期の小児13名を対象に第一大臼歯萌出開始期(平均年齢6歳5か月)および萌出完了期(平均年齢7歳7か月)各期の経年的歯列模型(平均経過月数14か月)を作製し,咬合接触面数の変化,咬合接触面積の変化および第二乳臼歯上における咬合接触面の移動について検討した. 分析には本教室において考案した画像解析“Occlusogram”を用いた. まず本装置の再現性の検討を行ったのち,上記の各項目についての検討を行い以下の結論を得た.
    1)CCDカメラー試料問の距離による本装置の精度を検討すると,200mm:0.096%,250mm:-0.106%,300mm:0.276%,350mm:0.326%の誤差であり,高い再現性が認められた.
    2)咬合接触面数は第一,第二乳臼歯では開始期および完了期で有意な差は認められなかった. しかし第一大臼歯は平均1.3個から3.3個に有意に増加していた.
    3)第一,第二乳臼歯の総接触面積値は開始期および完了期で有意な差は認められなかった. しかし第一大臼歯の総接触面積値は平均0.69mm2から2.29mm2へと有意に増大していた.
    4)下顎第二乳臼歯上の各接触面の重心の移動は左右側で各々平均移動距離1.11mm,1.09mm平均角度54.46゜,61.88゜ を示し,主に遠心頬側方向に移動する傾向がみられた.
    5)“Occlusogram”を用い咬合面方向から上下顎歯列弓の観察を行ったところ,重心の移動方向と下顎第二乳臼歯の近心舌側方向への位置変化との間に相関が認められた.
  • 渡部 知帆子, 入江 一元, 小澤 英浩, 野田 忠
    1995 年 33 巻 3 号 p. 565-571
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯根の安定期および生理的歯根吸収を認める乳歯32本を用いて,破骨細胞のマーカー酵素である酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性(TRACP-ase活性)を検出した後,光学顕微鏡・共焦点走査型レーザー顕微鏡(レーザー顕微鏡)で観察し,乳歯歯根吸収機構の解明を試みた. その結果,歯根吸収のごく初期においては,象牙芽細胞内にレーザー顕微鏡で微弱なTRACP-ase活性が検出された. 歯根吸収の開始した乳歯では,吸収部位から離れた部位のレーザー顕微鏡観察で象牙芽細胞内に顆粒状のTRACP-ase活性が検出され,歯根吸収部位の近くでは,光学顕微鏡でもTRACP-ase活性が検出された. また,これらの部位の象牙前質は厚さが不均一で象牙芽細胞の数は減少し形態は多様化していた. 破歯細胞による石灰化象牙質の吸収が活発に行われている部位では,象牙芽細胞・象牙前質は認められず,破歯細胞と周囲の細胞および破歯細胞直下の象牙細管内に強いTRACP-ase活性を検出した. これらの結果から,本来形成系の細胞である象牙芽細胞も歯根吸収の開始機構に関与している可能性が示唆された. また,活発に吸収を行っている破歯細胞直下では吸収象牙質の深部にわたって吸収が進行しやすい環境がつくられている可能性が示された.
  • 谷口 晃一, 八若 保孝, 小島 寛, 小口 春久
    1995 年 33 巻 3 号 p. 572-580
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    根尖性歯周炎あるいは歯根の病的吸収のため,保存不可能と診断され抜去された下顎乳臼歯6歯10根を用いて,象牙細管内への細菌侵入を組織学的に検索し,細菌の侵入部位およびその侵入程度を走査型電子顕微鏡を用いて調べた.
    その結果,象牙細管内に細菌の侵入が認められた試料は10根中6根であった. そのうち4根は歯冠側1/3,とくに根管口付近にのみ細菌侵入が認められ,1根は中央1/3の象牙細管にも細菌侵入が認められた. また,根尖側1/3においても象牙細管内に細菌侵入が認められた試料は1根であったが,細菌侵入は観察された細管の一部にすぎず,また,細菌の侵入度は象牙細管内へわずかに侵入しているにすぎなかった.
    以上の結果から,保存不可能と診断された根尖性歯周炎や病的歯根吸収が生じている乳歯において,歯根中央や根尖側部分の象牙細管内への細菌侵入はそれほど著明ではないことが明らかになった.
  • 八若 保孝, 谷口 晃一, 小島 寛, 小口 春久
    1995 年 33 巻 3 号 p. 581-593
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    根尖性歯周炎あるいはそれに伴う歯根の病的異常吸収により,保存不可能と診断され抜去されたヒト乳歯3歯について,光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察を行い,以下の結果を得た.
    1)多量の細菌(塊)が,根管内,特に根管に張り付くように観察された.
    2)根管壁象牙質への細菌の侵入は,3歯とも,歯冠側1/3では著明に,また歯根中央1/3においては,1歯を除いて細菌侵入が認められた. しかし,残存している根尖部においては,3歯とも象牙質への細菌侵入は認められなかった.
    3)以上のことより,乳歯において,根尖領域の象牙質内に細菌が侵入するより早く,根尖周囲や分岐部に病巣が成立し,進行する可能性が示唆された.
    4)透過型電子顕微鏡による根尖領域の観察において,象牙細管壁に電子線不透過な物質の不規則な沈着が観察された. この物質が何であるかについては明らかにできなかったが,根尖領域の感染および炎症と密接な関係があるものと考えられた.
    5)根尖領域の根管壁に,部分的なセメント質様組織の添加が観察され,病的異常吸収過程においても修復機構の存在が明らかになった.
  • 清水 良昭, 佐藤 直芳, 吉村 譲, 巣瀬 賢一, 鈴木 昭, 落合 明子, 吉田 美香子, 諸星 孝夫, 五嶋 秀男, Rosalia ...
    1995 年 33 巻 3 号 p. 594-601
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Cornelia de Lange症候群は特徴的な顔貌,多くの合併する奇形,知能障害,発育障害を伴った疾患である. 今回われわれは,本症候群と診断された6歳2か月,男児の症例と遭遇したので全身および口腔所見について報告する.
    1) 1.知能障害,2.生下時低体重,3.身体発育障害,4.小さな頭,5,睫毛,眉毛の過剰発育,6,耳介の低位付着,7.短い四肢,8.母指の近位付着,9.足指の合指等が認められた.
    2) 手根骨の発育遅滞を認め,骨年齢は3~4歳と推定された.
  • 園本 美惠, 嘉藤 幹夫, 大東 道治, 菊池 優子, 四井 資隆
    1995 年 33 巻 3 号 p. 602-607
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Crouzon症候群は,頭蓋縫合早期癒合,中顔面形成不全および浅い眼窩による眼球突出の三徴候を呈し,そのほかの神経症状を示す疾患である. 今回,私たちは大阪歯科大学付属病院小児歯科外来に来院した水頭症を伴う4歳4か月女児のCrouzon症候群に遭遇し,その臨床的所見およびエックス線的所見から次のような知見を認めた.
    1)水頭症であった.
    2)高度の眼球突出と外斜視が認められた.
    3)中顔面が発育不全で,鷲鼻を呈し,上唇は薄かった.
    4)口腔内所見において,前歯部の開咬,臼歯部の下顎近心偏位,歯列弓の狭窄,高口蓋および弄舌癖を認めた.
    5)P-Aおよび側方向エックス線写真において,頭蓋骨は塔状を示し,指状圧痕を認めた. また,上顎の劣成長と下顎の前下方への発育を認め,下顎骨体の変形もみられた.
    6)パノラマエックス線写真において,歯牙石灰化年齢を約4歳7か月と診断した.
    7)臨床検査の結果,平均値よりもALPが高い値を,Caが低い値を示し,骨疾患を思わせる様相を呈していた.
  • 萩原 智子, 岩田 典子, 音山 考子, 新門 正広, 人見 さよ子, 嘉藤 幹夫, 大東 道治, 菊池 優子
    1995 年 33 巻 3 号 p. 608-613
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Pierre Robin症候群はフランスの病理学者Pierre Robbinの名にちなんで名付けられた,新生児において小顎症,舌根沈下,吸気性気道閉塞の三徴候を含む複合症状である. 今回,私たちはPierre Robin症候群の一例に遭遇し,その臨床的所見ならびにエックス線所見から次の様な知見を認めた.
    1)聴力,視力に異常は認められないが,発語がほとんどみられなかった.
    2)頭蓋骨に指状圧痕を認め,顎関節部の形成異常,左右下顎枝の非対称を認めた.
    3)口蓋裂は伴っていないが,二分口蓋垂,上咽頭閉鎖不全を認めた.
    4)咬合状態は前歯部開咬,下顎遠心咬合で,歯列弓の狭窄および高口蓋を認めた.
    5)永久歯胚は上下顎第二小臼歯,第二大臼歯,第三大臼歯の石灰化は認められなかった.
  • 岡田 貢, 桑原 さつき, 田口 裕子, 志俵 千賀子, 市川 史子, 信家 弘士, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1995 年 33 巻 3 号 p. 614-623
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Odontodysplasiaは,McCallら(1947)により初めて記載された疾患で,非対称性,局所性にあらわれ,エナメル質,象牙質の著しい形成不全と石灰化不全を主な特徴としている. エックス線像で特有な幻影状を呈することからRushton(1965)は,Ghost teethとも呼び,原因不明な特異な形成異常である. 本症は稀な症例で,約100例程度が記載されているにすぎず,本邦での報告はほとんどない. 今回我々は,E CBにOdontodysplasiaを認める3歳4ヵ月の男児の症例に遭遇した. 全身的に発育栄養状態は良好で,手根骨の化骨状態も正常であった.
  • 細矢 由美子
    1995 年 33 巻 3 号 p. 624-632
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎左側のすべての乳歯とそのすべての後継永久歯がOdontodysplasiaであり,下顎左側第1大臼歯もOdontodysplasiaが疑われる一症例について,乳歯列期から永久歯列期までの11年間に亘る口腔管理を行った.
    1)DEは,初診時より骨膜炎症状を呈していた為抜歯した.
    2)Cは,D抜歯時に抜歯鉗子が歯面に接触して露髄した為,抜髄と根管充填を行い,アマルガムを充填したが,1か月後に予後不良となり抜歯した.
    3)ABは,コンポジットレジン冠による歯冠修復を行ったが,Aは10か月後に膿瘍を形成した為抜歯し,Bは3年後に2の歯胚に炎症性変化がみられた為,2とともに抜歯した.
    4)1は,コンポジットレジン冠による歯冠修復を行ったが,5年後にX線写真上に根端病巣が観察された.
    5)6は,コンポジットレジン充填を行ったが,予後は良好で不快症状は認められない.
    6)13歳9か月の現在,345は未萌出である.
    7)乳歯並びに永久歯ともに抜歯部もしくは歯牙未萌出部には,床型保隙装置を装着した.
    8)患児の歯列,歯槽部並びに顎,頭蓋の成長発育は正常であり,歯列については,正中の偏位も認められない.
    9)1345の抜歯時期が今後の問題である.
  • 熊谷 和美, 富沢 美恵子, 野田 忠, 鈴木 誠
    1995 年 33 巻 3 号 p. 633-642
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1979年9月から1994年6月までの14年10か月間に,新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診し,粘液嚢胞と診断された55例について臨床病理学的観察を行った.
    患児の性別は,男児23例,女児32例で,年齢は1歳2か月から14歳10か月に分布し,5歳から9歳までが多かった.
    口腔粘膜の腫脹を主訴に受診したのは28例で,これ以外は齲蝕治療(20例),咬合異常(3例),その他歯の外傷など(4例)を主訴に受診し,発見された.
    発生部位は下唇37例,香9例,口腔底7例,上唇と頬粘膜に1例ずつみられた.
    臨床所見では,肉眼的には腫瘤または膨隆としてみられ,大きさは下唇および舌では直径5mm以下の病変が多いのに対し,口腔底では直径6mm以上のものが多かった.
    下唇では乳前歯の脱落と永久歯の萌出に伴い,発生部位が正中から犬歯部へと変化しているのがみられた.
    30例に摘出術を,4例に開窓術を行った. このうち4例に再発がみられたが,その後縮小傾向を示したため再手術を行わなかった. 残りの21例は経過観察を行い,このうち17例が自潰後,消失した.
    病理組織学的には,全例が溢出型であった. 10例はいわゆる粘液肉芽腫型を示し,7例は明瞭な壁を有するもの,3例はいわゆる粘液肉芽腫が器質化したものであった.
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