乳幼児の齲蝕罹患者率を減少させるためには,齲蝕発生および進行の可能性の高い集団を早期にスクリーニングし,かつ適切な保健指導を行うことが重要である.今回我々は,1歳6か月児歯科健診,2歳児歯科健診をともに受診した児1641人を対象とし,1歳6か月児歯科健診時点での初期齲蝕(C
0)の有無に着目して,齲蝕を有しない児,C
0のみ有する児,C
1以上の齲蝕を有する児の3群に分類し,それぞれの群の齲蝕罹患傾向,生活習慣について調査を行った.その結果,
1.C
0のみ有する児の群は,齲蝕を有しない児の群と比較し,2歳時で高い齲蝕罹患傾向にあった.
2.カリオスタット試験では,C
0のみ有する児の群は,C
1以上の齲蝕を有する児の群と比較し,ハイリスクの割合が有意に少なかった.
3.生活習慣に関するアンケートの回答分布において,1歳6か月時点で,C
0のみ有する児の群は,C
1以上の齲蝕を有する児の群と比較し,授乳を継続している児が有意に少なく,また,C
0のみ有する児の群は,齲蝕を有しない児の群と比較し,おやつの時間が不規則である児が有意に多かった.
以上より,不可逆性の齲蝕に進行する前に,初期齲蝕(C
0)をスクリーニング基準の一つとし,早期に適切な指導を行っていく必要性が示唆された.
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