小児歯科学雑誌
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37 巻 , 1 号
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  • 大須賀 直人, 窪田 光慶, 宮沢 裕夫
    1999 年 37 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎第三大臼歯の萌出に関する下顎骨の形態を明確にすることを目的に,男性,女性ともに第三大臼歯を萌出別に3群に分類し検討を行った。
    1.男性の距離的計測項目では,完全萌出(C群)の下顎骨全長(M),Cd-Gn ,U6-PTV,L6-MP'は完全埋伏(A群)に比べ大きい値を示し,有意差が認められ,角度的計測項目では完全萌出(C群)のFacialAngle,OP-MPは完全埋伏(A群)に比べ大きい値を示し,有意差が認められた。
    2.女性の距離的計測項目では,完全萌出(C群)の下顎骨全長(M),Cd-Gn,U6-PTV,L6-MP'は男性と同様に完全埋伏(A群)のそれより大きい値を示し,有意差が認められた。その他,完全萌出(C群)の下顎体長(C),下顎枝の幅(R),Go-Me,Xi-PM,Xi-L7,ABR-L7,U7-PPの値はいずれも大きく有意差が認められた。角度的計測項目では完全萌出(C群)のY-axisは小さく,SNAが完全埋伏(A群)より大きく,有意差が認められた。
    3.男性,女性ともに第三大臼歯が萌出している症例は,下顎骨自体が大きく,埋伏している症例に比べ,下顎第三大臼歯が萌出するために必要な後方の萌出容量が確保されていた。また,下顎第一大臼歯は,第三大臼歯の萌出により挺出傾向を示した。
  • 長谷川 信乃, 篠田 圭司, 林 寿男, 原田 洋, 龍崎 健栄, 田村 康夫
    1999 年 37 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学小児歯科外来に来院した小児の中から154名(IIA-IIC:38名,IIIA-IIIB:71名,IIIC-IVA:45名)を対象とし,開口路偏位,閉口時の咬合偏位,早期接触,不正咬合の有無を診査した。診査方法は,顎をリラックスさせた状態から術者の誘導で閉口させ,咬頭嵌合位に至る経路を肉眼的に観察した。なお,検者には顎機能異常診査・診断および治療のトレーニングを受けた臨床経験5年以上の歯科医師3名が行った。その結果,
    1)全体で26名(16.9%)に咬合偏位が認められ,咬合偏位は不正咬合の占める割合が正常咬合と比較して有意(p<0.01)に高かった。
    2)正常咬合群で咬合偏位を検討すると,IIA-IIC群は0.0%,IIIA-IIIB群は6.3%,IIIC-IVA群は17.9%と,歯列の成長に伴い咬合偏位の出現頻度は有意(p<0.05)に増加していた。
    3)不正咬合群ではIIA-IIC群は27.3%,IIIA-IIIB群は47.8%,IIIC-IVA群は25.0%と,歯列の変化と咬合偏位との間には有意な変化は認められなかった。
    4)不正咬合群では交叉咬合を伴う場合に咬合偏位が多く認められた。
    以上の結果より,正常咬合者において乳歯の咬頭嵌合が優先するIIA-IIC群の咬合は比較的安定しているが,第一大臼歯の萌出・咬合,また第二大臼歯の萌出・咬合で一時的に咬合偏位を示すこと,さらに不正咬合は咬合偏位を引き起こす可能性が高いことが示唆された。
  • 田邊 義浩, 神成 直子, 田口 洋, 野田 忠
    1999 年 37 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回著者らは乳歯列期反対咬合児の,側貌全体の特徴と上下顎の咬合関係について把握するため,側貌頭部エックス線規格写真を用いて調査を行った。対象として新潟大学歯学部附属病院小児歯科を受診した乳歯列期反対咬合児139人(男児74人,女児65人)の治療前に撮影した側貌頭部エックス線規格写真を用いた。患児を日本小児歯科学会が示す基準値と比較すると同時に,頭蓋底後方部の傾斜角であるCranial baseangle (NS-Ba)の大きさで3群に分けて分析を行った。
    その結果,
    1)正常咬合児と平均値で比較した場合,乳歯列前期の患児が乳歯列後期の患児より上顎骨の劣成長の傾向が強かった。
    2)乳歯列反対咬合児,基準値となった正常咬合小児のプロフィログラムには,どちらも大きなばらつきを認めた。
    3)プロフィログラムのばらつきはCranial base angleの大きさを基準とした側貌全体の傾斜として整理可能であることが示唆された。
    4)乳歯列反対咬合児においてCranial base angleの大きさの違いは上下顎の咬合関係や,Gonial angleに大きな影響を与えず,またCranial base angleの大きさと患児の年齢は関連が少ないことが示唆された。
  • 河合 利方, 福田 理, 中野 崇, 磯貝 美佳, 阿知波 達仁, 中田 和彦, 中村 洋, 土屋 友幸
    1999 年 37 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    外傷により歯が脱落した場合の処置法として脱落歯を乾燥から防ぐために何らかの溶液に浸漬する事が重要であるといわれている。この浸漬する溶液としては,これまで牛乳が有効であるとされている。一方,現在歯の保存液として2種類のものが市販されているが,歯根膜に及ぼす影響について牛乳との相違は明らかにされていない。
    そこで今回は,市販されている2種類の歯の保存液と牛乳の比較を歯根膜細胞を用い,短時間低温保存条件下での細胞数,細胞形態の観察から検討を加え,次の結論を得た。
    1.細胞数の測定
    牛乳は,これまでの報告と同様に高い細胞数を示した。保存液Nでは,作用直後牛乳に比べ低い細胞数を示すものの,経日的な増加が認められ,作用5日後では牛乳とほぼ類似した値に移行していた。保存液Dでは,作用直後から作用7日後まで常に低い細胞数を示していた。
    2.細胞形態の観察
    牛乳,保存液Nにおいては,まったく異常所見は認められなかった。保存液Dは,作用直後に変性が認められ,作用7日後では剥離していた。
    以上のことから保存液Dでは外傷による脱落歯の歯根膜細胞の活性を維持するという意味の保存液として,牛乳よりも劣ると考えられた。保存液Nでは牛乳とほぼ同程度の有効性が認められた。
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1999 年 37 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    半透明試料専用に開発された分光光度計センサーで求めた測色値の色彩学的評価を行うことを目的に研究を行った。村上色彩技術研究所製高速分光光度計CMS-35FSに半透明試料専用に開発したフレキシブルセンサーFS-TL型(円周照射透過散乱光受光)もしくはコントロールとしてFS-3型(45° 円周照射垂直受光)を取り付け,成人上顎中切歯唇面中央部(8名:16歯)と厚径1mmのコンポジットレジン試料(3M社SiluxPlus: U,Y,DY,L,UO,YO)を測色した。色の表示にはCIE1976 L*a*b*表色系を用い,YI,L*,a*,b*,C*ab,hab及びΔE*abを求めた。FS-TLによる測色値とFS-3による測色値を比較し,統計処理を行った。
    1)歯冠色についてはb*,YIとC*abが,またレジン色については背景色が白色の場合も黒色の場合もa*,b*,YIとC*abは,FS-3と比較し,FS-TLによる測色値の方が有意に高かった。一方,habは歯冠色並びに背景色が白色と黒色の両者の場合のレジン色について,FS-3と比較し,FS-TLの方が有意に低かった。
    2)FS-3と比較し,FS-TLで測色した場合のb*,YIおよびC*abは特に高い値を示した。
    3)FS-3と比較し,FS-TLで測色した場合には,低波長域における分光反射率は低く,高波長域における分光反射率は高かった。
  • 長谷川 あずさ, 三浦 真理, 小島 寛, 佐々木 恵, 小口 春久
    1999 年 37 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和62年12月から平成6年8月までの間に本学歯学部附属病院小児歯科外来に来院した患児のうち,永久歯に外傷を受けた5歳0か月から14歳7か月までの94名,のべ100症例,175歯について実態調査を行い,以下の結果を得た。受傷者数は男児67名,女児33名であった。
    受傷時年齢は7歳から10歳が全体の80%を占め,8歳が最も多かった。また,受傷歯数は最低1歯から最高6歯にわたり,1歯受傷が48例,2歯受傷が40例であった。歯種別では,上顎中切歯の受傷が最も多く全体の74%を占め,次いで上顎側切歯(11%),下顎中切歯(10%)の順であった。
    脱臼性外傷のうち,歯冠破折や重度齲蝕の併発による歯髄感染などを除き,さらに最低6か月以上の予後調査が可能であったものについて歯髄の予後を調べた結果,脱臼性外傷後の歯髄壊死の頻度は43歯中3歯(7%)であった。
    固定処置を必要とした46歯のうち歯根吸収が認められたものは5歯であった。そのうち3歯は完全脱臼症例,1歯は挺出症例であり,残りの1歯は歯根破折症例で根尖側破折片が吸収されたものであった。
    固定除去時の動揺度について検討したところ,動揺がなくなるまで固定を行っても歯根吸収がみられた症例がある一方で,固定除去時にある程度の動揺が残っていても予後観察中に歯根吸収が認められなかったものも12歯あった。
  • 八若 保孝, 秋山 明美, 長内 正数, 弘中 祥司, 原田 理恵, 小口 春久
    1999 年 37 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎乳前歯部唇側傾斜を目的とした矯正力が後継永久中切歯に及ぼす影響を検索した。
    本学歯学部附属病院小児歯科外来において,乳歯列期中に動的咬合誘導治療を行った乳前歯部反対咬合を有する小児,男児7名,女児9名,合計16名を対象とした。使用した装置は,舌側弧線装置およびチンキャップで,咬合誘導治療開始年齢は,平均5歳2か月であった。
    対象小児の乳前歯部被蓋改善前後の撮影間隔が平均7か月の2枚の側貌頭部エックス線規格写真を用い,各計測項目の変化を調べた。距離項目として,i=SN(上顎の後継永久中切歯切縁からSN平面までの距離)とi=Occ(上顎の後継永久中切歯切縁から咬合平面までの距離)を,角度項目として,SNA,U1-SNと新しく設定したD(後継永久中切歯の傾斜度)を計測した。
    結果は,被蓋改善後において,i=SNの増加,i=Occの減少およびU1-SNの増加が認められた(P<0.01)。しかし,SNA,Dにおいては,被蓋改善前後で統計学的有意差は認められなかった。
    以上のことより,上顎乳前歯部への矯正力が後継永久中切歯の萌出に大きな影響を与えていないことが示唆された。
  • 岡本 亜祐子, 河上 智美, 大出 祥幸, 金子 万由里, 角田 貴子, 荻原 和彦
    1999 年 37 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    水酸化カルシウムの根尖周囲組織におよぼす影響を調べるため,ヒト二倍体線維芽細胞(WHE-7細胞)およびヒト歯肉由来線維芽細胞(GFB細胞)に水酸化カルシウムおよびホルモクレゾールを作用させ比較検討をした。その結果,ホルモクレゾールでは濃度の上昇にしたがい細胞が増殖抑制され,細胞形態は変性,萎縮が認められた。一方,水酸化カルシウムでは細胞増殖の抑制もなく,細胞の形態変化はなかった。水酸化カルシウムを作用させた場合のカルシウムイオンは,水酸化カルシウムの濃度に依存することなく一定であった。
    以上の結果,水酸化カルシウムはホルモクレゾールにくらべ細胞毒性がなく組織為害性が少ない根管貼薬剤といえる。
  • 浅里 仁
    1999 年 37 巻 1 号 p. 69-82
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新しく開発した乳幼児食品用プランジャーと容器を用いた試験方法と従来の試験方法との比較を行うことにより,乳幼児用食品の物性試験システムの検討を行った。
    物性試験は,クリープメーターにより行い,被験食品は,嚥下困難者用に開発された増粘食品を蒸留水に混和し,3段階に調整したものを使用した。試験は3種類のプランジャーと容器を用い,それらの組み合わせによって,6通りの試験方法とした。
    結果は,最大応力,最大エネルギー,かたさ応力,付着性は今回用いたすべての試験方法で,粘度が上がるにつれ,粘度に対応して値が大きくなった。なかでも,乳幼児食品用プランジャーと容器の組み合わせで,最も値の差が顕著であった。凝集性は,3段階の粘度で値が一定になった試験方法はみられなかった。弾性率は,試験方法によって値に一定の傾向を示さなかった。粘性率は,乳幼児食品用プランジャーと容器を用いた試験方法のみが,3段階に調整した粘度に対応した値を示した。
    以上の結果から,乳幼児の口腔の形態や機能を考慮して作製したプランジャーと容器を用いた乳幼児用食品の物性試験システムは,乳幼児の摂食機能に必要とされるかたさ,粘度,付着性といった多くの食品物性について,感度が高く,客観的に評価しやすい値を示すことがわかった。
  • 長谷川 浩三, 常岡 亜矢, 山邊 陽出代, 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1999 年 37 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    有針注射器による麻酔の欠点として,鋭利な針先からくる痛みへの潜在的な不安や,実際の刺入時の疼痛等が考えられる。これらの不安や疼痛を解消する目的で針がなく,比較的刺入時の痛みが少ないとされている無針注射器の小児歯科領域における有効性を検索したところ以下の結論を得た。
    1.成人ではアンケート調査ならびに刺入後の軟組織の状態から,必ずしも精神的不安や麻酔刺入時における疼痛の軽減に効果的でないと考えられた。
    2.小児においてはアンケート調査の結果,無針注射器の方が良いと答えた小児が多く,精神的不安や麻酔刺入時における疼痛の軽減には効果的であったと考えられる。
    3.麻酔効果を考慮すると,無針注射器は現時点ではラバーダム防湿や交換期の抜歯などの簡単な処置や,表面麻酔と同様に局所麻酔の前処置としての使用に適しているものと考えられた。
  • 大山 洋, 熊坂 純雄, 檜山 雄彦, 斉藤 良幸, 進士 久明, 内村 登
    1999 年 37 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    不正咬合は,齲蝕や歯周疾患の誘発,咀嚼機能の低下に加え,精神的にも為害作用を及ぼす。著者らは小児期の不正咬合が総合的咀嚼器官にどのように影響するかを知るため,デンタルプレスケール®の50Rを用いて,採得した資料を基に小児の咬合評価を行い,咬合状態別に分類を行い,比較検討し,以下の結論を得た。1.咬合接触面積,咬合力において上顎前突群,反対咬合群,開咬群は正常咬合群,過蓋咬合群,交叉咬合群,切端咬合群,叢生群に比較し有意に低い値を示した。2.咬合接触面積において正常咬合群は過蓋咬合群に比較し,咬合力において正常咬合群は過蓋咬合群と交叉咬合群に比較し有意に低い値を示した。3.最大咬合圧力において開咬群は正常咬合群,過蓋咬合群に比較し有意に低い値を示した。4.平均咬合圧力において過蓋咬合群は正常咬合群,叢生群,上顎前突群に比較し,正常咬合群は上顎前突群に比較し有意に低い値を示した。本結果から不正咬合のなかで,上顎前突,反対咬合,特に開咬は総合咀嚼器官の発達に影響を与えることが示唆され,早期の咬合改善が必要と考えられた。
  • 山根 秀文
    1999 年 37 巻 1 号 p. 95-103
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    不安,恐怖を感じた場合の鼻部皮膚表面温度変化には,上昇,下降の2つの様式が存在していることが報告されているが,変化様式発生の理由は不明である。本研究では,局所麻酔時の変化様式に注目し,暦年齢,社会生活年齢,性別,麻酔部位,麻酔量,麻酔経験率およびサーモグラフィー変動係数の7つの因子について,変化様式への影響度の検討を行い,以下の結論を得た。
    1.暦年齢別の変化様式分布より,学童期は,鼻部皮膚温度変化が小児期の特徴である上昇様式から成人の特徴である下降様式への移行時期であることが示された。
    2.変化様式の境界暦年齢は,精神発達の方面で節目といわれている9歳であった。
    3.上昇様式から下降様式への変化には,社会生活年齢,暦年齢および麻酔経験率が影響を与えていた。
    4.変化様式の判別に最も有効な因子は,精神発達の指標の一つである社会生活年齢であった。
  • 岡崎 好秀, 東 知宏, 福島 康祐, 久米 美佳, 中村 由貴子, 田中 浩二, 壼内 智郎, 松村 誠士, 下野 勉, 黒田 和博
    1999 年 37 巻 1 号 p. 104-111
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    某小児歯科診療室において,3-5歳時から12歳時まで継続管理を受けた127名を対象として定期健診の効果について検討した。また3歳時から12歳時まで経年的に口腔内検診の結果が得られた小児665名をコントロール群とし比較した。
    1.定期健診群の初診時の齲蝕罹患者率は84.3%,一人平均df歯数は6.74歯であった。コントロール群ではそれぞれ65.6%,3.80歯であった。
    2.定期健診群とコントロール群の12歳時の齲蝕罹患者率はそれぞれ59.8%,93.4%であり,定期健診群の方が齲蝕罹患者率は低かった。
    3.定期健診群とコントロール群の12歳時の一人平均DMF歯数は,それぞれ1.71歯,4.78歯であり,定期健診群は有意にDMF歯数が低かった(P<0.001)。
    4.初診時df歯数に関わらず定期健診群では,いずれの場合にも12歳の齲蝕罹患者率は低かった。
    5.初診時df歯数に関わらず定期健診群では,いずれの場合にも12歳のDMF歯数は低く,コントロール群と比較しても有意にDMF歯数は低かった。(P<0.01)。
    6.定期健診群の80%以上の者は,WHOの西暦2000年の目標であるDMF3歯以下を達成していた。
    以上の結果より定期健診による齲蝕予防効果が認められた。
  • 松本 大輔, 広瀬 弥奈, 五十嵐 清治, 中垣 晴男
    1999 年 37 巻 1 号 p. 112-118
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼若永久歯の萌出後成熟に伴うエナメル質表層フッ素濃度の経時的変化を明確にするために,エナメル質生検法(酸エッチングによるウインドウ法)を用いて口腔内歯の萌出直後および完全萌出時の2回の測定を行った。萌出直後の値を基準値として一定の深さ(1,3,5,10,20μm)におけるエナメル質表層フッ素濃度,Ca/P(重量比),酸溶解性の経時的変化について比較検討し,次の結果を得た。
    1.萌出直後および完全萌出時のエナメル質表層フッ素濃度は,表層で高く内層ほど低くなるフッ素の濃度勾配が認められた。
    2.萌出直後に比較して完全萌出時のエナメル質表層フッ素濃度は,表層ほど多くのフッ素が取り込まれ,表層1μm-10μmの深さにおいて,萌出後の成熟に伴い有意に上昇した(p<0.01-0.05)。
    3.Ca/P(重量比)は萌出直後で2.03,完全萌出時で2.06と化学量論的組成比に近似した値を示した。
    4.酸溶解性は表層で低く,内層で高い傾向にあり,萌出直後と完全萌出時の値を比較すると,後者は全ての層で酸溶解性が減少する傾向にあった。
  • 坂口 也子, 太田 勲, 浅香 めぐみ, 菅原 美佳, 五十嵐 清治
    1999 年 37 巻 1 号 p. 119-127
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究では咀嚼時間を一口の咀嚼時間で規定することによって,食物咀嚼に対する鼻閉の影響を定量化し,咀嚼回数,嚥下時食塊水分量,咀嚼効率について,正常時と鼻閉時を比較検討し,次の結果を得た。なお,被験者は鼻疾患,顎口腔系に異常が認められない成人9名で,ノーズクリップを使用して人為的に鼻腔を閉塞し,この状態を鼻閉時とした。1.自由咀嚼時においては,鼻閉時で正常時に比べ一口咀嚼時間の有意な延長,ならびに咀嚼回数の有意な増加が認められた(p<0.01,p<0.05)。しかし,嚥下時食塊水分量,咀嚼効率には有意差は認められなかった。2.咀嚼時間を一口咀嚼時間に規定した時の嚥下時食塊水分量,咀嚼回数の減少,および咀嚼効率は有意な低下が認められた(p<0.01)。以上のことより,鼻閉時では嚥下時食塊水分量,食物の粉砕程度を正常時と同様にするためには,正常時と同じ咀嚼回数が必要であり,鼻閉時における咀嚼時間の延長は,嚥下時食塊水分量,食物の粉砕程度,咀嚼回数の関与することが示唆された。
  • 石倉 行男, 森主 宜延, 小椋 正, 豊島 正三郎, 横山 幸三, 椙山 加網, 入船 正浩, 城 茂治
    1999 年 37 巻 1 号 p. 128-136
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    鹿児島大学歯学部小児歯科において実施された17年間(1981年-1997年)の障害者(児)の全身麻酔下集中歯科治療症例について衛生統計学的検討を行い,以下の結果を得た。
    1)症例数は合計375症例(男性235症例,女性140症例)で全身麻酔下集中歯科治療を開始してから6年目にあたる1986年に急増した。8年目の1988年に50症例と最多症例数を示し,その後症例数はほぼ一定していた。
    2)平均年齢は10歳6か月であり,4歳から6歳が全体の約35%と最多頻度を示し,12歳以下が全体の約68%を占めていた。また,平均年齢は年々高くなる傾向を示した。
    3)地域別症例分布は,鹿児島市外および県外,離島を含めて約69%を占めていた。
    4)障害別分布は,精神発達遅滞が23.5%と最多頻度を示した。次に自閉症・脳性麻痺が多頻度を占めた。
    5)麻酔方法として,前投薬はスコポラミンとペンタゾシンの組み合わせが約80%で,緩徐導入法・経鼻的挿管による吸入麻酔が顕著に高頻度を占めた。
    6)処置内容はレジン充填・抜歯・歯髄処置の順に高頻度を示した。一人平均処置歯数は13.6歯だった。
    7)全身麻酔下集中歯科治療に関しては,安定した受け入れが行われていることが示されたが,今後,対象者の高齢化が予測され,歯科治療ならびに管理に留まらず内科的疾患の対応も生じ,病院全体のサポートシステムの充実の必要性が示された。
  • Rosalia Contreras Bulnes
    1999 年 37 巻 1 号 p. 137-146
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎骨の成長発育に関する研究の一環として下顎頸部の皮質骨および骨梁の骨塩量の定量評価を行った。小児歯科学講座所有のヒト乾燥頭蓋骨よりHellmanの歯年齢に従い各発育段階毎に10体,計100体の下顎骨を選定後,左右の下顎頸部のエックス線写真を正面および側面の2方向から規格撮影を行った。
    このエックス線フィルムから骨塩量の定量にはマイクロデンシトメータPDS-15(コニカ社製)を使用し,有効スリット幅10μmに対して開口値を50μm×500μmとして資料を0.2mm/secの送りで通過させた。皮質骨の骨塩量はアルミ当量として評価した。骨梁の骨塩量はパワースペクトルより算出し,測定面積(cm2)として表示した。その結果
    1.骨塩量による評価では下顎頸部の皮質骨と骨梁の成長発育は異なるパターンを示した。
    2.皮質骨ではIA-IIA期,IVA-VA期には急速な増加を,IIC期-IIIC期には緩やかな増加を示すScammonの臓器発育曲線の一般型に類似したシグモイド曲線を呈していた。
    3.骨梁はIA期-IIA期にスパートがみられ,それ以降は大きな変化はみられなかった。
    以上のことから皮質骨の成長発育は形態的な要因に,骨梁の成長発育は咬合機能の発達による力学的な要因に関連性があることが示唆された。
  • 巣瀬 賢一, 時安 喜彦, Rosalia Contreras Bulnes, 佐藤 直芳, 山田 英彦, 奥村 泰彦, 渡部 茂
    1999 年 37 巻 1 号 p. 147-152
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科における定期検診は必要不可欠なものであり,処置歯の予後観察や齲蝕の早期発見のためエックス線写真診査は多用されている。
    今回,明海大学(以下本学と略す)小児歯科外来で約10年間継続して6か月ごとの定期検診を受診した男児2名,女児2名計4名の歯槽骨計測の可能な左側咬翼法エックス線写真,計46枚を利用し,コンピュータを用い画像解析を行い,第二乳臼歯と第一大臼歯間の歯槽骨骨梁の成長発育による変化を検討した。
    1)6歳児の骨梁パターンを100%とした場合の9歳までにおける相関値は約40%まで減少し,歯槽骨骨梁は大きく変化していることが示された。
    2)骨梁パターンの10歳以降相関値は上昇し,14歳頃で約90%となり,それ以降この部位での骨梁変化が少なくなることが示された。
    3)空間周波数特性の測定結果では,強度傾向が6-9歳頃まで比較的低い領域にみられ,この期間の大きな骨梁変化は,骨髄腔の空間部分の拡大に起因することが示唆された。
    4)空間周波数特性の強度傾向は加齢的に高い周波数領域へ移行しており,基質部分の成長に伴い空間部分が減少していると考えられた。
    5)この一連の過程と骨梁パターンの変化より骨梁の発育変化には乳歯から永久歯への交換という生理的な変化と力学的因子の関連性が示唆された。
  • 南 真紀, 鈴木 昭, 鈴木 欣孝, 時安 喜彦, 渡部 茂
    1999 年 37 巻 1 号 p. 153-158
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    唾液クリアランスの部位特異性については,幾つかの報告がみられるが,それらは全て平滑面を対象に行われており,臼歯咬合面については,ほとんど研究が行われていない。
    本研究では,1mol/l塩化カリウムを含む寒天を上顎前歯部唇側面,下顎前歯部舌側面,上下顎第三大臼歯咬合面相当部に10分間装着し,口腔内にカリウムが流出した後の寒天中のカリウム残量を計測することにより,唾液のクリアランスについて比較検討を行った。
    その結果,カリウム残量は,上顎前歯部唇側面が最も多く,下顎前歯部舌側面が最も少ない値を示した。そして,上下顎第三大臼歯咬合面相当部はその中間の値を示し,下顎のほうが上顎より少なかった。すなわち,後方臼歯部咬合面の唾液クリアランスは,下顎前歯部舌側面よりは悪いものの,上顎前歯部唇側面より良いこと,また,臼歯部では,上顎より下顎のほうが良いことが示唆された。
  • 森本 彰子, 森本 泰宏, 牧 憲司, 安井 久人, 有住 隆史, 楠崎 晴規, 吉永 久秋, 木村 光孝
    1999 年 37 巻 1 号 p. 159-164
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年移植法改正により今後益々臓器移植者が増加することが予測される。その歯科治療に遭遇する歯科医も増えることと思われるが,肝移植患者に対する歯科治療に関する文献はほとんどない。そこで今回我々は,肝移植予定患者の2症例の歯科治療について次の結果を得た。
    1)症例1では〓〓〓に齲蝕が認められ,〓〓〓の計10本は抜歯し〓〓〓の計7本にはアマルガム充填を行った。抜歯後は縫合しペリパック®と止血シーネを1週間施し抗生剤の1日投与を行った。抜歯後1週間でペリパック®と止血シーネを除去し抜糸した。
    2)症例2では〓〓〓の全歯のに齲蝕が認められ,_??_の失活歯に対しては,感染根管治療後アマルガム充填を行った。
    歯科治療後患者は,生体肝移植を受け現在も通常の日常生活を送っている。
  • 中川 優香, 新谷 誠康, 林原 哲之, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1999 年 37 巻 1 号 p. 165-169
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Regional odontodysplasiaはエナメル質と象牙質とに著しい形成不全と石灰化不全をきたす疾患であり,レントゲン写真に特有の幻影状の像を程する。発症は非対称性,限局性で上顎前歯部に多発することが多い。今回1萌出遅延を主訴に来院した7歳9か月男児を臨床的診査およびレントゲン診査したところ,123のregional odontodysplasiaと診断した。
    この歯から作成した脱灰標本と非脱灰標本を病理組織検査した結果,その発生と成長の過程において,エナメル質はその石灰化の過程で,また象牙質は基質形成の過程から強く障害されていることが示唆された。
  • 土井 立子, 船越 禧征, 西村 亜子, 平尾 彰規, 河口 理, 大東 道治
    1999 年 37 巻 1 号 p. 170-176
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ellis-van Creveld症候群は軟骨形成不全,多指症,外胚葉形成不全および先天性心疾患を四主徴とする常染色体劣性遺伝性疾患である。今回,審美障害を主訴として来院した6歳5か月,男児のEllis-vanCreveld症候群の1例を経験した。全身的な異常所見として骨格系の異常,外胚葉形成不全,多指症ならびに先天性心疾患などがみられた。また口腔内の異常所見として先天性欠如歯,歯の形態異常,咬合の異常,口腔前庭の異常ならびに小帯の異常などがみられた。模型分析では個々の歯の歯冠近遠心幅径ならびに歯列弓の大きさは標準値よりも小さい値を示した。頭部エックス線規格写真の分析では下顎角の開大が認められた。歯科処置として咀嚼障害ならびに審美障害回復のため上下顎に乳歯義歯を装着した。
  • 井上 吉登, 熊坂 純雄, 進士 久明, 内村 登, 佐藤 久美子, 久保寺 友子, 池田 正一
    1999 年 37 巻 1 号 p. 177-183
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    2pトリソミーは,第二染色体短腕部分に付加的に過剰な染色体が結合した症候群で,心肺機能に障害を呈していることが多く,予後はその障害の程度に依存するといわれている。今回,大臼歯部の清掃困難を主訴に来院した2pトリソミー患児に対して咬合治療を経験したので報告した。
    治療方法として二段階の方法を計画し,第一段階では下顎第一大臼歯を整直する目的と咬合治療に対する患児と母親の適応性を判断するためにバイトプレートを適応した。第二段階では下顎第一大臼歯の整直と下顎歯列弓の拡大のために,3Dリンガルアーチを適応した。
    バイトプレートを使用させることで咬合の改善はできなかったが,矯正装置使用に対する母子の対応が良好であると判断できた。また,3Dリンガルアーチを適応することで臼歯部咬合改善がなされた。しかし,上顎両側側切歯が捻転して萌出し,また,齲蝕の発生もみられた。
  • 辻野 啓一郎, 望月 清志, 大多和 由美, 米津 卓郎, 藥師寺 仁
    1999 年 37 巻 1 号 p. 184-189
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において過剰歯を有する症例に遭遇することは稀ではなく,上顎正中部に2歯の過剰歯を有する症例も多いが,同部に3歯以上の過剰歯を有する症例についての報告はわずかである。
    著者らは,上顎正中過剰歯を主訴に東京歯科大学水道橋病院小児歯科を受診し,上顎正中部に2歯の過剰歯を有し,さらに上顎右側中切歯が過剰歯との双生歯であった症例を経験した。
    患児は全身所見には特に異常を認めない8歳2か月の男児で,過剰歯の経過を観察していた近医から,過剰歯についての精査および抜歯を依頼され当科に来院した。上顎左側中切歯部に単錐型の過剰歯が萌出しており,さらに右側中切歯口蓋側には尖頭のみ出齪した過剰歯が存在している。上顎右側中切歯は近心唇側部に過剰歯が癒合したと思われる形態を呈していた。デンタルエックス線写真から単錐型,単根の過剰歯が2歯確認でき,上顎左側中切歯は未出齪であった。上顎右側中切歯は近心に単錐型あるいは二錐型の過剰歯が癒合したと思われるいわゆる双生歯の形態を呈していた。エックス線写真から根部歯髄腔は共有しているが,冠部歯髄腔は分かれていた。
  • 山本 誠二, 壼内 智郎, 田中 浩二, 福島 康祐, 下野 勉, 藤本 誠司
    1999 年 37 巻 1 号 p. 190-196
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回,鎖骨頭蓋異骨症と診断した症例に遭遇し,小児歯科学的に長期にわたり管理し得たので報告する。患児は,上顎前歯部永久歯萌出遅延を主訴として来院した年齢13歳5か月の男児で,以下の臨床所見を呈していた。1.全身所見は,低身長で,両肩は下垂し撫で肩であった。顔面所見は,眼窩間距離が大きく鼻根部は陥没し,上顎骨の発育は不良で,下顎が突出した特異な顔貌を呈していた。2.エックス線所見より,左右側鎖骨外側1/3に形成不全,釣鐘状の胸郭を認めた。頭蓋骨では,大泉門の顕著な開存を認めなかったが,前頭洞の発育は不良であった。3.口腔内所見は,7本の乳歯の晩期残存,13本の永久歯の萌出遅延を認めた。残存する乳歯に動揺を認めなかった。また,上下顎には6本の埋伏過剰歯を認めた。咬合関係は,全顎反対咬合であった。左右側とも上顎に比べ下顎第一大臼歯が極度に近心に位置していた。高口蓋で,狭窄しており口蓋正中縫合に溝状の陥没を認めた。処置経過は,残存する7本の乳歯および埋伏過剰歯の抜歯を適宜行った。経過観察を行うとともに,萌出傾向の認められない6本の埋伏永久歯に開窓術を施行した。自然萌出の期待できない3本の埋伏永久歯に対しては,開窓後牽引処置を施した。現在,初診より6年3か月が経過し,11本の永久歯の萌出をみた。
  • 白石 明子, 平澤 雅利, 木根淵 真知子, 阿部 真之介, 福島 理恵, 金井 三千代, 森 安弘, 戸田 智子, 時安 喜彦, 渡部 茂
    1999 年 37 巻 1 号 p. 197-200
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    クォードヘリックスは,上顎歯列弓の側方拡大および前方拡大を目的とする固定式拡大装置で緩徐拡大法と急速拡大法の中間的な作用を期待して使用される。ヘリカルループに弾力のかかった状態で装着されることにより歯列弓を側方に拡大する。またこのヘリカルループの調節方法により,正中口蓋縫合の開大による歯槽骨の拡大,アーム部による前歯の移動も可能である。今回我々は上顎左側中切歯の萌出余地不足により埋伏がみられた8歳男児に対して,3Dクォードヘリックスを用いて上顎歯列弓の側方拡大を行ったところ,十分な萌出余地を確保することができた。その後,直に開窓および牽引を行い,スムーズに誘導を行うことができた。現在咬合状態は良好に確保されている。本症例のような萌出余地不足が原因で生じた埋伏歯を牽引誘導する場合にクォードヘリックスを用いることは大変有効であると思われた。
  • 1999 年 37 巻 1 号 p. 201-244
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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