小児歯科学雑誌
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38 巻 , 1 号
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  • 長坂 信夫, 海原 康孝, 岡田 臨三, 粟根 佐穂里, 松下 愛, 三浦 一生, 五十嵐 清治, 小口 春久, 甘利 英一, 神山 紀久男 ...
    2000 年 38 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼若永久歯の保護と小児期の口腔健康管理法の確立を目的として,全国29大学歯学部小児歯科学講座および教室により,5歳0か月から16歳11か月までの男子2015名,女子2065名,計4080名の小児を対象として,萌出程度,歯の異常,歯列・咬合状態について調査集計し,以下の結果を得た。
    1)左右の同名歯の萌出程度は,全ての年齢で,男女ともに差が認められなかった。萌出程度の性差については女子の方が男子より早く萌出する傾向を認めた。男女ともに最も早く萌出する歯は下顎中切歯であり,第二小臼歯を除いて下顎が上顎同名歯に比べて早く萌出する傾向を認めた。
    2)歯質・形態異常が最も多く認められた歯は,男女ともに上顎側切歯であった。歯冠の白斑および白濁は,男女ともに上顎中切歯に最も多くみられ,下顎より上顎が高頻度である傾向を認めた。エナメル質減形成の発現頻度は,全ての歯種において1%以下であった。栓状歯および切歯盲孔は上顎側切歯に最も多くみられた。カラベリー結節は異常結節の中で最も出現する頻度が高かった。切歯結節・中心結節の出現する頻度は,全ての歯において1%以下であった。
    3)正常咬合以外のものの発現する頻度は,男女ともに叢生が最も高く,開咬が最も低い年齢が多かった。上顎前突は,女子より男子の方が多い傾向が認められ,ほぼ12歳まで発現頻度が高くなることが示唆された。反対咬合と開咬は男女ともに全ての年齢において10%以下であった。叢生は男子より女子の方が発現頻度が高く,早期に発現する傾向を認めた。
  • 長坂 信夫, 海原 康孝, 岡田 臨三, 粟根 佐穂里, 松下 愛, 三浦 一生, 五十嵐 清治, 小口 春久, 甘利 英一, 神山 紀久男 ...
    2000 年 38 巻 1 号 p. 14-29
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼若永久歯の保護と小児期の口腔健康管理法の確立を目的として,全国29大学小児歯科学講座および教室により,5歳0か月から16歳11か月までの男子2015名,女子2065名計4080名の小児を対象として,初期の齲蝕発症状態および齲蝕処置内容について,年齢別および萌出程度別に萌出歯全てについて調査集計し,以下の結果を得た。
    1)齲蝕状態
    齲蝕罹患者率は,6歳時で男子19.13%,女子20.11%,12歳時で男子80.33%,女子80.36%,16歳時は男子89.08%,女子93.08%を示した。一人平均DMF歯数は,6歳時で男子0.4本,女子0.5本であり,12歳時で男子3.8本,女子4.1本,16歳時で男子6.6本,女子8.6本を示した。DMF歯率は,年齢別では,12歳時で第一大臼歯が一番高く50~60%,次いで第二大臼歯が20~30%であった。萌出程度別では,萌出程度1および2を合計した場合,第一大臼歯,第二大臼歯ともすでに約30%の齲蝕罹患を示し,また,萌出程度全ての段階で第二大臼歯は第一大臼歯より高い罹患率を示した。
    2)処置内容
    一人平均処置歯数は,6歳時で男女ともに0.2本,12歳時で男子2.6本,女子2.9本,16歳時で男子4.6本,女子6.8本であった。前歯および小臼歯では,レジン充填が高い値を示した。大臼歯では,レジン充填,インレー修復が多くみられた。予防填塞処置は,小臼歯の萌出程度2で約20%,大臼歯の萌出程度3で第一大臼歯は約30~40%,第二大臼歯で約20~30%を示した。
  • 長坂 信夫, 海原 康孝, 岡田 臨三, 粟根 佐穂里, 松下 愛, 三浦 一生, 五十嵐 清治, 小口 春久, 甘利 英一, 神山 紀久男 ...
    2000 年 38 巻 1 号 p. 30-46
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼若永久歯の保護と小児期の口腔健康管理法の確立を目的として,全国29大学歯学部小児歯科学講座および教室により,5歳0か月から16歳11か月までの男子2015名,女子2065名,計4080名の小児を対象として,歯垢付着状態および歯肉状態について,年齢的および萌出程度別に萌出歯全てについて調査集計し,以下の結果を得た。
    1)歯垢付着状態
    上顎前歯は男女ともに増齢に伴い歯垢の付着のないもの(P1I0)の割合が減少する傾向が認められた。大臼歯は男女ともに前歯および小臼歯よりもP1I0の割合が低い値を示す傾向にあった。また,16歳時の上下顎全歯種で,P1I0が最も低い値を示したものは,男女とも上顎第二大臼歯であった。男子より女子の方がP1I0の値が高い傾向にあった。男女ともに,萌出途中の方が萌出完了してからの歯よりも,P1I0の値が小さい傾向にあった。
    2)歯肉状態
    上顎の前歯では,正常歯肉のもの(GI0)の割合は,男子は12歳時から16歳時の間で,増齢に伴い高い値を示す傾向にあったが,女子は12歳時から16歳時の間では類似した値を示した。大臼歯のGI0の割合は,全ての年齢において,類似した値を示し,男女間で差が認められない傾向にあった。GI0の割合は,上顎は男女ともに小臼歯が前歯や大臼歯と比較して高い値を示し,下顎は前歯が低い値を示す傾向にあった。男女ともに犬歯において,萌出途上と萌出完了したものでGI0の値に差が認められる傾向があった。
  • 加藤 千恵, 尾辻 渉, 安井 清子, 原田 洋, 中西 正尚, 龍崎 健栄, 辻 甫, 田村 康夫
    2000 年 38 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    少子高齢化が進む中,地域における歯学部附属病院のあり方も変化しつつある。今回著者らは,この地域における大学附属病院の立場を理解するとともに,今後の小児歯科医療の充実を図る一助とする目的で1983年4月1日から1998年3月31日までの15年間に,朝日大学歯学部附属病院小児歯科外来を訪れた初診患者の動態について調査を行った。
    その結果,年間初診患者数は,1989年度までは減少傾向にあったが,それ以降1997年度までは増加を示した。主訴の推移は,齲蝕が年毎に減少し,予防処置・口腔内検診・歯並びの相談等が増加する傾向にあった。初診時年齢の15年間の平均は,3~5歳が34.5%,6~12歳が43.8%で約半数を占めた。0~2歳の低年齢児は19.9%であるが,年々来院数は増加してきた。初診患者の通院距離は,本大学から半径10kmまでが全体の72.2%を占めた。
  • 小柳 壽美子, 尾島 光栄, 隅田 百登子, 荻原 和彦
    2000 年 38 巻 1 号 p. 51-63
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    離乳期ラット舌の味覚受容器がどのように発達し,かつ味覚の受容が可能な状態に達しているか否かを調べる目的で,茸状乳頭に焦点を絞り,その微小血管構造の形態的特徴について検討した。生後20日前後の離乳期に達したwistar系ラットと,対照例として成熟ラットを使用した。茸状乳頭の微小血管鋳型標本の作製は尾島法によって行い,その標本の走査電子顕微鏡像の合成写真の観察により以下の結果を得た。
    1.離乳期ラット舌でも成熟期ラットと同様に微小血管鋳型標本の作製が出来た。
    2.ラット前舌部の全背表面に茸状乳頭が散在していた。
    3.茸状乳頭の基本構造は連絡血管からループ構造で構成されていた。
    4.茸状乳頭の微小血管鋳型標本像の外形は上,下面が開放された筒状で,その側面観は竹籠状で数重のループ構造を基本とする網状構造から構成されていた。
    5.成熟期ラットとの比較では大きさがやや小型であったが,形態的には相違点が観察されなかった。
    6.離乳期および成熟期ラットの比較では,性差による明確な相違は観察されなかった。以上の観察結果から,離乳期ラット舌の茸状乳頭は形態的,機能的に完成されていて,味覚の受容が十分に行われていると推察された。
  • 吉野 弘世, 鶴山 賢太郎, 生田 哲, 生田 剛史, 吉田 明弘, 前田 隆秀
    2000 年 38 巻 1 号 p. 64-72
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    平成9年3月から平成11年4月までに日本大学松戸歯学部小児歯科部に顎関節症症状を主訴に来院し,MRIの撮像が可能であった患児56名(男児15名,女児41名,平均年齢13歳4か月:範囲9~16歳)の112関節について,MRI所見と臨床症状について検討した。
    MRIにて関節円板の前方転位が認められた症例は48.2%であり,その内訳は,軽度前方転位18.7%,中等度前方転位28.6%および高度前方転位0.9%であった。復位を伴わない関節円板前方転位が61.1%に認められた。
    関節円板形態については,関節円板前方転位が認められた54関節中68.5%に円板変形が認められた。また,復位を伴う関節円板前方転位が認められた21関節中33.3%に円板変形が存在していたのに対し,復位を伴わない関節円板前方転位が認められた33関節中では90.9%と高頻度に円板変形が認められた。
    joint effusionについては,112関節中の関節円板27.7%に認められた。転位なし群および復位を伴う関節円板前方転位群と比較して,復位を伴わない関節円板前方転位は高頻度にjoint effusionが認められた。
    臨床症状別にMRI所見をみると,疼痛および開口障害は復位を伴わない関節円板前方転位に高頻度に認められた。雑音については復位を伴う関節円板前方転位と復位を伴わない関節円板前方転位に同程度に高く認められた。
  • 細矢 由美子, 川下 由美子, 末藤 千香子, 後藤 譲治
    2000 年 38 巻 1 号 p. 73-83
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    10%過酸化尿素配合のhome bleaching剤であるColgate Platinum®の漂白効果とエナメル質ならびにコンポジットレジン材(Clearfil APX®)への影響を分光光度計により測色し,走査電子顕微鏡で観察した。
    臨床観察:全顎にわたり原因不明の変色歯を有する30歳5か月(症例1)と27歳5か月(症例2)の女性の前歯に対して,Platinum®により1日30分から1時間の使用で2週間home bleachingを行った。視診と測色により漂白効果が観察されたが,漂白効果は変色の程度と種類により異なっていた。症例1では,bleaching中止1か月後に後戻りがみられ,症例2では,漂白効果が不十分であった。bleaching中の副作用として,症例1では,一過性の歯頸部歯肉の疼痛と中切歯部の温・冷水痛が,また,症例2では,一過性の舌側歯肉の発赤と疼痛がみられた。
    in vitro観察:抜去小臼歯頬面と直径10mm,厚さ1mmのレジン試料にPlatinum®を塗布し,ラップフィルムで被い,ガラスビン中に保管した。術前に対するbleaching 1日,3日および7日後のΔE*abは,抜去歯では1日(5.68),3日(10.47),7日(20.50)と大きく変化したが,背景が白色と黒色の場合のレジン試料では1日(0.94,1.00),3日(0.87,0.65),7日(1.96,1.98)であった。SEM所見として,bleaching期間の延長に伴い,抜去歯のエナメル質表面構造が明瞭になったが,レジン試料では形態変化はみられなかった。
  • 平間 雅博
    2000 年 38 巻 1 号 p. 84-92
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成人の歯科診療に対する不安や恐怖は,小児期における医療従事者の心理学的配慮に欠けた対応により生じるものもあると報告されている。このような不安や恐怖をコントロールするため,診療中に患者のストレスを知ることは非常に有用である。今回の研究は心身の変化にとむ小児への研究の前段階として,成人(歯学部6年次生82名)を被験者とし,実験的ストレスを負荷した。方法は被験者に顔面皮膚温を計測することのみ知らせたのち,5分間の安静時間4回とその間に与える3つの刺激(統制刺激,中立言語,ストレス喚起言語)からなる実験を行ない,被験者の鼻部皮膚表面温度変化と主観的ストレスの訴えの関係から,被験者のストレス認知が鼻部皮膚表面温度に及ぼす影響を検討した。
    結果より次の結論が得られた。
    1.反応起点,初速度,温度幅を指標として用いることによって,鼻部皮膚表面温度は時系列データとして処理が可能であった。
    2.ストレス認知をすると有意に鼻部皮膚表面温度に変化をもたらした。
    3.ストレスレベルによる鼻部皮膚表面温度の反応開始時間の差は認められなかった。
    4.ストレスレベルと鼻部皮膚表面温度変化の初速度に正の相関が認められた。
    5.ストレスレベルと鼻部皮膚表面温度の変化幅に正の相関が認められた。
  • 平澤 雅利
    2000 年 38 巻 1 号 p. 93-103
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の唾液分泌に関する基礎的なデータを得るために,混合唾液および耳下腺唾液について安静時分泌速度ならび,四基本味含有チューインガム咀嚼,咬合圧刺激および味質溶液刺激による耳下腺唾液分泌速度と刺激後最大分泌速度に達するまでの時間を測定し,成人と比較した。
    1.小児(平均年齢6歳5か月)の安静時混合唾液分泌速度は0.25±0.22ml/minで成人(平均年齢27歳3か月)の約79%であった。
    2.四基本味含有チューインガム咀嚼刺激による小児の混合唾液分泌速度は酸味,塩味,甘味,苦味の順で多く,この順序は成人と同じであった。また,混合唾液分泌速度は味質濃度に依存し,高濃度で速く,その増加率も成人とほぼ同程度であった。
    3.本実験で用いた小児における咬合圧刺激(第二乳臼歯間)は平均7.47±2.20kgで,成人(第一大臼歯間)の36%であった。この咬合圧刺激条件下における耳下腺唾液分泌速度は,安静時の約6倍(成人:6.5倍)に増加した。咬合圧刺激を加えてから刺激後最大分泌速度に達するまでの時間は13.83±3.60秒で,これは成人とほぼ同じであった。
    4.クエン酸溶液,塩化ナトリウム溶液による耳下腺唾液分泌速度はいずれも高濃度の溶液が低濃度の溶液より大きく,有意差が認められた。最大分泌速度に達するまでに要する時間は濃度間に有意差はなく,平均して6.73±3.16秒であった。
    5.今回の実験から,小児と成人の唾液分泌機能を比較すると,小児の唾液分泌速度は成人より少ないが,刺激の強さや分泌開始後,分泌速度が最大値に達するまでの時間などについてはほぼ成人と等しいことが示唆された。
  • 関口 浩, 原 麻子, 吉田 昊哲, 藥師寺 仁
    2000 年 38 巻 1 号 p. 104-110
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕がなく,咬耗の殆ど認められない3歳0か月から3歳1か月未満の小児の正常乳歯列模型を使用し,下顎第一乳臼歯および第二乳臼歯の頬側溝展開角について計測した結果,以下の結論を得た。
    1)頬側溝展開角の平均値は,近心中央小窩寄り1/3では,下顎第一乳臼歯で119.71゜,下顎第二乳臼歯で123.46゜であった。頬側縁寄り1/3では,下顎第一乳臼歯で125.69゜,下顎第二乳臼歯で125.67゜ であった。
    2)第一乳臼歯と第二乳臼歯の頬側溝展開角は近似し,また,頬側溝展開角は中央小窩から頬側縁に向かって変化なく経過していた。
    3)下顎乳臼歯における窩洞形成時の頬側溝追及の有無を調査したところ,第一乳臼歯では,頬側溝を追及した症例は48%,頬側溝が存在していたにもかかわらず,追及されていなかった症例は52%であった。一方,第二乳臼歯では全ての症例において頬側溝が追及されており,頬側溝追及の有無は展開角の大小に一因があるものと思われた。
  • 矢田部 晃
    2000 年 38 巻 1 号 p. 111-122
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    糖尿病における味覚応答の変化を検討する目的で,糖やそれ以外の甘味物質を用い,鼓索神経応答と,味細胞において特異的に甘味抑制を起こすペプチド,グルマリンによる抑制効果について調べた。さらに糖尿病db/dbマウスにグルマリン非感受型受容器を導入することによる甘味応答の変化を検討した。その結果,次の結論を得た。
    1.遺伝的肥満糖尿病db/dbマウスにおける鼓索神経の甘味応答増大は,グルマリン非感受型受容器を介して起こっていることが示唆された
    。2.鼓索神経の甘味応答の増大は,細胞内伝達過程の興奮抑制が起こらないことによるものと推定された。
    3.db/db遺伝子による肥満糖尿病の発現は,遺伝背景により修飾されることが示唆された。
  • 春藤 真知子, 白石 明子, 赤間 智之, 高森 一乗, 平澤 雅利, 時安 喜彦, 渡部 茂
    2000 年 38 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,アレルギー疾患の増加に伴い,同疾患をもつ患児の歯科受診も増加しつつある。
    今回,著者らは重度の食物アレルギーを有する患児の歯科治療を通じて,アレルギー疾患の実態を把握する必要性を感じ,本学小児歯科近隣の幼稚園児(3~6歳児計270名)を対象にアレルギー疾患に関するアンケート調査を行った。調査内容は,園児および2親等までのアレルギー疾患(気管支喘息,蕁麻疹,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,食物アレルギー)の既往ならびにアレルギー疾患の原因についてである。アンケートの集計の結果,なんらかのアレルギー疾患を有するものは,園児全体の約半数に認められ,その頻度は,アトピー性皮膚炎が最も多く,ついで,気管支喘息,アレルギー性鼻炎,食物アレルギー,アレルギー性結膜炎の順であった。また,複数のアレルギー疾患を持つ園児の割合は,約3人に1人であり,加齢に伴うアレルギー疾患の変化においては,従来報告されているアレルギーマーチにそった変化を示した。アレルギーの原因としては,ハウスダストが最も多く,ついで花粉,食物,ダニの順であった。食物アレルギーの原因としては,卵,牛乳が約半数を占めていた。両親および兄弟にアレルギー既往が認められた園児にアレルギー疾患が高率に認められた。
    今回のアンケート調査の結果より,各アレルギー疾患の病態の理解ならびに医科との連係強化,十分な問診を行う必要性が再確認された。
  • 山口 公子
    2000 年 38 巻 1 号 p. 129-137
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の顎口腔機能を6自由度顎運動データに基づいて評価診断する目的で本研究を行った。個性正常咬合を有する混合歯列期(Hellmanの歯年齢IIIA期)小児7名と成人10名を対象に6自由度の顎運動測定を行い,限界運動範囲および滑走運動に関する各項目について比較検討し,以下のような結果を得た。
    1.小児の限界運動について,最大顆頭移動量は成人より有意に小さく,最前方咬合位における顆頭移動量,最側方咬合位における作業側顆頭移動量は成人に比較して有意に大きかった。
    2.小児の前方滑走運動において矢状面における切歯路角,側方滑走運動において矢状面,前頭面における切歯路角が成人に比較して有意に小さかった。
    3.その他の項目については,小児と成人との間に有意差は認められなかった。
    以上の結果から,小児では成人と比較して前方および側方滑走運動時,顆頭運動の可動性が高く,その一因として下顎全体の水平的な運動が関与していることが示唆された。
  • 木村 奈津子, 有田 憲司, 西野 瑞穗
    2000 年 38 巻 1 号 p. 138-154
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,生活歯髄切断面における硬組織形成の外的誘導因子について明らかにすることである。実験方法は,ラット臼歯の生活歯髄切断面に,水酸化カルシウム,Life®,炭酸カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,リン酸カルシウムセメント,10%フッ化カルシウム添加リン酸カルシウムセメント,水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液,強電解アルカリ水および強電解酸性水の各被験試料を作用させ,28日後の硬組織形成を病理組織学的に評価した。次に,硬組織形成と被験試料の殺菌性,カルシウムイオン,アルカリ性,水酸基,フッ素イオンおよび無刺激性の各因子との相関性を分析した結果,以下の知見を得た。
    1)水酸化カルシウム,Life®,強電解アルカリ水4回作用,水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液および10%フッ化カルシウム添加リン酸カルシウムセメントに硬組織誘導能が認められた。
    2)切断歯髄面の硬組織形成の誘導因子として無菌環境の明らかな関与が認められ,強アルカリ性,カルシウムイオンおよび水酸基についても関与が認められた。
    以上の結果から,歯髄切断面の硬組織形成を促す刺激となる因子は単一ではなく,無菌環境,強アルカリ性条件,カルシウムイオンおよび水酸基の存在など,複数の因子が関与していることが示唆された。水酸化カルシウムは,それらの因子を保有しているため,他の薬剤にない優れた硬組織誘導能を示したものと考える。
  • 廣田 陽出代, 後藤 讓治
    2000 年 38 巻 1 号 p. 155-187
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    生活歯髄切断法で遭遇する止血困難な症例に対し,既親和性を有す存の方法や薬剤の欠点を補う製剤として,生体るフィブリン製剤ボルヒール®(以下BHとする)に着目した。雑種幼犬15頭の幼若永久歯を生活歯髄切断し,綿球止血を対照群A,BH止血を実験群Bとし,Ca(OH)2製剤カルビタール®(以下CVとする)を包摂した。またBH単独の実験群Cを設けた。症例数193歯,観察期間3,7,14,30,60日で,止血効果と治癒経過の病理,免疫組織学的な検討を行った。
    1)止血効果はBHが綿球より有意に高く(p<0 .01),糊剤包摂後再出血も少なかった(p<0.01)。
    2)病理成績は,3日はB-C群間(p<0.05),7日以降は全てA-C群間,B-C群間で有意差を認め(p<0.01),C群は不良であり,BHの有するとされている創治癒促進能力単独では良好な治癒は期待できなかった。H.E.染色,鍍銀染色によるA,B群の病理組織像では,B群の象牙質橋形成過程にやや遅れがみられたが,最終的にA-B群間で著明な差は無かった。象牙質橋位置は切断部からA:721 .3μm,B:260.9μm,C:23.0μmで全群間に有意差が認められた(p<0 .01)。B群はCVの強アルカリ性がBH介在で緩和され壊死層が減少し象牙質橋位置が上昇して死腔が減少したと考えられた。。
    3)増殖細胞核抗原陽性細胞は,歯髄切断部でA,B群とも14日まで観察され,C群では3日までであった。A-B群間で歯髄細胞の増殖能および分化状態に顕著な差は認められなかった。
    以上から,BHはCVによる生活歯髄切断法において歯髄での有害性を認めず,迅速かつ確実な止血効果を備えた有効な止血製剤であることが示唆された。
  • 柏原 陽子, 福本 敏, 細矢 由美子, 後藤 讓治
    2000 年 38 巻 1 号 p. 188-200
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    前報では生体親和性材料コラーゲンの応用によって象牙細管内液の浸出抑制が可能であることを報告した。本研究では,象牙質にコラーゲン処理を行う場合の,処理時間による象牙質透過性の抑制効果への影響,接着性レジンの浸透性および象牙質接着性への影響などについて検討した。前報と同様の方法で,コラーゲン処理の時間を30 ,60,180,300秒とした場合の象牙質透過性を測定し,抑制効果を判定した。次に,レジンー象牙質接着界面に形成されるハイブリッド層をSEMで観察し,コラーゲン処理の有無別に比較した。またコラーゲン処理の有無別にレジンー象牙質問の剪断接着試験を行った。接着システムには,Superbond D-Liner II®およびAll Bond 2®を用いた。その結果,以下の知見が得られた。
    1.コラーゲン処理によって象牙質透過性を抑制するためには,処理時間は60秒間で十分であり,処理時間を延長してもそれ以上抑制効果は向上しなかった。
    2.ハイブリッド層は,いずれの接着システムを用いた場合でも,コラーゲン処理した象牙質の方が有意に厚く,コラーゲン処理は,接着性レジンの浸透を阻害しないことがわかった。
    3.剪断接着試験の結果,いずれの接着システムを用いた場合でも,象牙質に対する接着強さはコラーゲン処理の有無によって統計学的有意差を示さず,コラーゲン処理は,象牙質接着性に対して有意な影響を及ぼさないことがわかった。
  • 松下 愛, 海原 康孝, 桑原 さつき, 池上 明雄, 森本 英樹, 天野 秀昭, 長坂 信夫
    2000 年 38 巻 1 号 p. 201-211
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯癒合歯が後継永久歯の状態,および歯列へ及ぼす影響を検討することを目的とし,乳歯癒合歯を有する80名の口腔内状態および37名のHellmanの歯齢IIA期の研究用模型について,癒合歯の発現部位別に検討した結果,以下の結論を得た。
    1.乳歯癒合歯は107症例中,上顎18症例,下顎89症例であり,下顎に多く認められた。また,下顎AB癒合が最も多く46症例あり,ついで下顎BC癒合で43症例であった。双生歯は上顎に2症例認められた。
    2.両側性に乳歯癒合歯を認めたものは80名中22名(275%)であり,そのほとんどは左右対称に癒合歯を有していたが,下顎において左右非対称な部位に癒合歯を有したものを2名認めた。
    3.乳歯癒合歯の後継永久歯の状態は,上顎AB癒合15症例中9症例(60.0%)に後継永久歯の欠如を認めた。下顎AB癒合では46症例中9症例(19.6%)に後継永久歯の欠如,4症例(8.7%)に後継永久歯の癒合,下顎BC癒合の場合,43症例中29症例(67。4%)に後継永久歯の欠如,7症例(16.3%)に後継永久歯の癒合が認められた。
    4.ターミナルプレーンは癒合側と非癒合側とで大きな差は認められず,上顎もしくは下顎AB癒合歯保有歯列では垂直型が多く,片側性下顎BC癒合歯保有歯列では近心型が増加する傾向にあった。乳犬歯咬合関係では片側性下顎AB癒合歯保有歯列では癒合側で皿型が増加する傾向が認められた。
    5.下顎に癒合歯が存在する場合,下顎歯列弓幅径が狭窄する傾向にあり,特に下顎BC癒合歯保有歯列では顕著であった。下顎の歯列弓長径は両側性に癒合歯が存在する場合,短縮する傾向が強く認められた。
  • 浅香 めぐみ, 太田 勲, 坂口 也子, 菅原 美佳, 五十嵐 清治
    2000 年 38 巻 1 号 p. 212-217
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは小児期における咀嚼機能を把握するため一連の研究を行っている。今回は,小児の鼻閉が呼吸周期と咀嚼周期にどのように影響を与えるかを探る目的で研究を行った。すなわち,人為的鼻閉状態下で咬筋筋電図と呼吸曲線を同時に記録して検討し,以下の結論を得た。
    1.呼吸周期時間は安静時ならびにガム咀嚼時ともに鼻閉下において延長した。ガム咀嚼時の呼吸周期時間のみ統計学的に有意な延長が認められた(p<0.001)。
    2.呼吸数は安静時,ガム咀嚼時ともに鼻閉下において減少が認められた。ガム咀嚼時における呼吸数の減少は有意であった(p<0.05)。
    3.相対呼吸量は安静時ならびにガム咀嚼時ともに増加を示した。
    4.咀嚼周期時間は非鼻閉下と鼻閉下で有意な差は認められなかった。
    5.咀嚼回数は鼻閉下で減少を示した。
    以上のことより,小児の鼻閉は安静時の呼吸に対して軽微な影響を与えるにすぎなかった。しかし,ガム咀嚼時における鼻閉は呼吸数を有意に減少させ,呼吸周期時間を延長させることによって相対呼吸量を確保していることが明らかになった。
  • 富沢 美恵子, 野田 忠, 鈴木 誠
    2000 年 38 巻 1 号 p. 218-224
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1979年から1998年の19年間に,新潟大学歯学部附属病院小児歯科において治療した口腔軟組織の良性限局性線維性組織病変22症例について,臨床病理学的に検討し次の結果を得た。
    1.性別症例数は,男児9例,女児13例で,年齢は8か月から11歳4か月に分布し,1歳以下の乳児の症例が3例あった。
    2.発生部位は,歯肉が16例と多く,次いで口蓋4例,頬粘膜2例で,病理診断は,歯肉症例は線維性エプーリス,口蓋と頬粘膜症例は線維性過形成あるいは線維上皮性過形成であった。
    3.線維性エプーリス16症例は,上顎10例,下顎6例で,16例中15例が前歯部にみられた。病理組織像は,粘膜下の結合組織に膠原線維の密な増生がみられた。
    4.口蓋症例の4例中3例は,切歯乳頭に接して,ほぼ同部位にみられたが,切歯管との連続性はなかった。
    5.治療は,全例摘出術が行われ,再発症例はなかった。
    6.小児の口腔軟組織における線維性病変では,線維性エプーリスの頻度が高いと思われた。
    7.頬粘膜症例は,粘液嚢胞と臨床的に診断されており,摘出物の病理組織検査は,確定診断を得るために重要である。
  • 船越 禧征, 藤田 雅恵, 森実 英雄, 杉田 やよい, 石川 春美, 大東 道治
    2000 年 38 巻 1 号 p. 225-230
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ランゲルハンス組織球症は,Histiocytosis Xともよばれ,骨や口腔内にも病変をきたす疾患である。本疾患児に抗ガン剤療法を行うが再発を繰り返し,そのため末梢血造血幹細胞移植を行うことになった。今回,末梢血造血幹細胞移植を行う前に感染予防のため口腔管理を依頼された。患児は14歳1か月,女児である。口腔内所見として上下顎とも歯槽骨は異常吸収し,臼歯部は舞踏様の動揺が認められた。歯列不正ならびに咬合異常がみられた。パノラマ型エックス線写真では骨梁はやや粗で,上下顎に異常吸収像が観察された。歯科治療は局所麻酔下で7は生活歯髄切断後,複合レジン充填,〓は複合レジン充填,5は抜歯した。また全身麻酔下で〓を抜歯し,上下顎に義歯を装着した。本症は歯周疾患同様の口腔内病変をきたすことがあるので,早期から歯科での管理が必要である。
  • 本田 真紀, 飯沼 光生, 鈴木 康秀, 安井 清子, 柿原 秀年, 田村 康夫
    2000 年 38 巻 1 号 p. 231-236
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    不適切なブラッシングが原因で歯肉退縮が生じたと考えられる幼児の2例を報告した。
    症例1
    患児:初診時2歳,女児。
    主訴:上顎前歯唇側の歯肉退縮,出血,発赤。
    患児がブラッシングを嫌がるため,母親が無理矢理おさえてブラッシングを行っており,2歳2か月で発症。ガーゼで歯および歯肉の清掃を行うよう指導し,6週間で歯肉の炎症は消退し,歯肉退縮は改善した。
    症例2
    患児:初診時3歳6か月,女児。
    主訴:上顎左側唇側の歯肉退縮。
    患児がブラッシングを退縮部位のみ集中的に行っていた。ガーゼで歯および歯肉の清掃を行うよう指導した。1か月後,歯肉の炎症はかなり消退し,歯肉退縮も改善した。
    今回の2例では不適切なブラッシングにより歯肉退縮が発症したが,原因が消失することで歯肉の位置も正常に戻った。幼児期には保護者および本人への適切なブラッシング指導が重要であることが再認識させられた。
  • 仲野 和彦, 朱 建華, 川口 護, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    2000 年 38 巻 1 号 p. 237-241
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レントゲン診査において歯根部に縦走する線状の透過像を認めることは稀である。今回われわれは,下顎側切歯部に歯肉腫張を呈した11歳女児のレントゲン診査をしたところ,歯髄腔の遠心部に歯頸部から根尖部に及ぶ縦走する線状の透過像を認める症例に遭遇した。同部の洗浄と抗生物質の局所投与および全身投与を行ったところ,炎症所見は改善したが,歯冠の半分ほどを覆う腫張はなおも存在し続けたため,浸潤麻酔下にて同部の切除を行った。病理組織像は,多数の好中球や形質細胞の浸潤を呈し,肉芽腫性エプーリスと診断された。その後,プローブにて同部歯根面を触診したところ遠心部に裂溝と思われる陥没部を認めた。また,CTを用いた診査では歯根中央部に歯髄腔にまでおよぶ裂溝を認めた。これらのことから,本症例の歯肉腫張は歯根面に存在する裂溝により惹起されたものと考えられた。
  • 宮崎 修一, 久保山 博子, 豊村 純弘, 劉 中憲, 石田 万喜子, 本川 渉
    2000 年 38 巻 1 号 p. 242-248
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,13歳8か月の男子で複数の部位に埋伏歯を認め,さらに上顎右側第2乳臼歯と第2小臼歯の位置の逆転を認めた非常に稀な症例に遭遇した。
    1.エックス線所見より,上顎左側犬歯の埋伏,下顎両側小臼歯部に過剰歯および,上顎右側第2乳臼歯と第2小臼歯の位置の逆転,埋伏,ならびに上顎右側第2小臼歯の遠心に過剰歯が認められた。
    2.上顎右側第1小臼歯,第1大臼歯間の近心側に位置した歯牙様物は,組織学的検討を行った結果,遠心側の過剰歯によって歯の形成が阻害され,顎骨内に埋伏した上顎右側第2小臼歯と考えられた。
    3.右側上顎洞相当部に存在した歯牙様物は,組織学的検討を行った結果,発生の過程において上顎第2小臼歯の原基と上顎第2乳臼歯の原基とが入れかわったまま残留し,上顎洞付近に埋伏した上顎第2乳臼歯と判断した。
    4.過剰歯が,下顎小臼歯部に左右対称性に,また上顎小臼歯部に片側性に存在したのは比較的稀と考えられた。
  • 豊村 純弘, 久保山 博子, 宮崎 修一, 秋本 光子, 馬場 篤子, 本川 渉
    2000 年 38 巻 1 号 p. 249-254
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    過剰歯の好発部位は上顎前歯部で,発生頻度は0.5-2.5%程度とされているが,小児歯科臨床において過剰歯を有する症例に遭遇することは稀ではない。今回著者らは9歳4か月の男児において,上顎前歯部の埋伏過剰歯の摘出後同一部位に再び埋伏過剰歯が出現した症例を経験した。
    1)上顎右側中切歯の萌出遅延が認められた。
    2)上顎前歯部に順生の埋伏過剰歯が認められた。
    3)埋伏過剰歯抜歯の3年2か月後に同一部位に順生の埋伏過剰歯が認められた。
    4)このような埋伏過剰歯はエックス線写真では,永久歯胚と重なってみられるため確認が困難なことが多く,注意深い診査が要求される。
  • 坂口 也子, 丹下 貴司, 松本 大輔, 庄内 喜久子, 前山 善彦, 野呂 大輔, 廣瀬 光枝, 五十嵐 清治
    2000 年 38 巻 1 号 p. 255-260
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科領域において口腔内に異物が迷入し,放置された症例の報告は比較的稀である。今回,我々はストロー片と推察される異物が下顎左側乳中切歯歯頸部に嵌入し,発見が遅れたために高度の歯槽骨破壊を来した症例を経験したので報告する。
    患児は初診時年齢3歳7か月の女児。下顎前歯の歯ぐきと歯の付け根が腫れているとの主訴により本学小児歯科外来を受診。患児は歯科的恐怖心が強く,2歳6か月頃よりナイロン製のものを咬む癖,吸指癖および咬爪癖が認められた。
    患歯の歯根相当部歯肉は発赤・腫脹し,エックス線写真より根尖側4/5付近までの歯槽骨吸収および動揺(++)が認められた。治療方針は基本的な歯周処置とし,スケーリングを行ったところ,患歯の歯周ポケット下部より透明チユーブが出現した。異物は色調・形態から判断すると清涼飲料水に添付されていたストロー片と推察された。
    異物除去後の経過は良好で,4か月後においては歯槽骨添加による歯周組織の修復,歯周ポケットおよび動揺の軽減が認められた。
    本症例のような口腔内における異物の存在を予防するためには,1.我々歯科医は口腔内診査を行う際,異物存在の可能性も念頭において診査すること。2.保育関係者に対しては,口腔習癖を含め乳幼児が口腔内に物を入れる行為が歯科的弊害を引き起こす可能性のあること。3.その発生予防のための安全対策について啓蒙していく重要性のあることが示唆された。
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