小児歯科学雑誌
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40 巻 , 4 号
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  • 千葉 有, 島村 和宏, 岡田 英俊, 菅島 正栄, 鈴木 康生, 五十嵐 治義
    2002 年 40 巻 4 号 p. 593-600
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは従来型の歯科用高分子材料の代替材料の一つとして天然樹樹脂に注目し,天然樹脂を歯科材料として用いた場合の有用性について検討を行った。材料は亜熱帯地方に生息する昆虫ラックカイガラムシが分泌する樹脂状物質を精製したもので,セラックと呼ばれる天然樹脂である。今回はセラックを填塞材として用いた場合のエナメル質との密着性,耐久性,辺縁封鎖性およびエッチングの影響について検討を行い,以下のような結論を得た。
    1.エナメル質表面に塗布したセラック被膜はサーマルサイクルによる温度負荷に対して抵抗性を示した。
    2.セラックにより小窩裂溝を填塞した場合,セラック濃度を40%にすることで辺縁封鎖性が向上した。
    3.セラックの辺縁封鎖性に対するエッチングの影響は認められなかった。以上より,今後さらに検討の必要はあるが,物性の改善がなされれば,セラックは新たな歯科用材料としての大きな可能性を有することが示唆された。
  • 嶋田 出, 下岡 正八
    2002 年 40 巻 4 号 p. 601-608
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    平成4年度社会保険診療報酬改定により齲蝕多発傾向者という用語が用いられ,歯科診療報酬は継続的管理料の算定が可能となった。しかし,このような診療報酬の改定も現在では必ずしも実態に即しているとはいえない。そこで,乳歯におけるフッ化ジアンミン銀塗布歯が齲蝕多発傾向者の歯冠修復終了歯として取り扱えるかどうかについて新潟県広神村の歯科健診結果を分析し,以下の結論を得た。
    1.未処置歯に占めるフッ化ジアンミン銀塗布歯の割合は,3歳から8歳までは34.0%から43.4%の割合であった。
    2.フッ化ジアンミン銀塗布歯数が多い歯種順に上顎乳犬歯(927本),上顎側切歯(881本),上顎乳中切歯(711本)であった。割合が最大となったのは,上顎乳犬歯の8歳で55.0%,上顎乳側切歯の6歳で31.0%,上顎乳中切歯の4歳で32.0%であった。
    3.乳歯では処置歯の未処置歯化率が高いなかで,フッ化ジアンミン銀塗布歯の齲蝕進行率は処置歯の未処置歯化率よりも,乳前歯部で低い傾向が認められた。
    以上の結果から,フッ化ジアンミン銀塗布歯が処置歯と同等以上の齲蝕進行抑制効果を示しており,歯冠修復終了歯と扱うことができる。よって,7歳以下の者では,上下顎乳中側切歯,上下顎乳犬歯のフッ化ジアンミン銀塗布歯を歯冠修復終了歯に含めることや5歳以上7歳以下の者では,永久歯の判定基準を除くことがより実態に即しているといえる。
  • 尾崎 正雄, 高田 圭介, 石田 万喜子, 城島 浩, 本川 渉
    2002 年 40 巻 4 号 p. 609-615
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科治療現場で必要な子どもからの心理情報をより簡単にしかも短時間で分析するために,歯科診療の場面に登場する歯科医師,歯科衛生士,母親などの人形と歯科医院をミニチュア化した箱庭を色彩心理および造形学的観点から作製し,歯科診療の経験がある3歳から6歳までの小児60名(男児29名,女児31名)に対して,自由にミニチュア歯科診療所に人形を配置させた。その結果,以下のことが明らかとなった。
    1.ミニチュア歯科診療室に設置したデンタルチェアーヘの配置状態により,以下のような4つのタイプに分類することができた。
    Type 1:デンタルチェアーには誰も乗せず自分を家族のそばに配置する。
    Type 2:自分以外の人間をデンタルチェアーに配置する。
    Type 3:1列または,1か所に固めて人形を配置する。
    Type 4:小児が自分自身をデンタルチェアーに乗せる。
    2.Type 3とType 4との間には有意差が認められ,Type 4では増齢と共に増加傾向にあることが分かった。
    3.Type 2とType 3には,年齢的変動は認められず,家族間のアタッチメントに何らかの問題があると考えられた。
  • 太田 宅哉, 鶴山 賢太郎
    2002 年 40 巻 4 号 p. 616-626
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は若年者に発症する関節円板障害と下顎頭の病的骨変形(変形性顎関節症)との関連を調べることを目的として行った。対象者は平成8年6月から平成13年12月までの5年6か月の間に日本大学松戸歯学部付属病院小児歯科部を受診した7~15歳(平均年齢13歳0か月)の男子20名,女子72名(男女比1:3.6)の計92名とした。MR撮像は0.5Tまたは1.0TのMRスキャナーおよび顎関節専用コイルを用いて両側性に行った。顎関節MR撮像は,矢状断,前頭断のスライスを各々5枚ずつとし,スライス厚は4.0mm以内とした。
    下顎頭の病的骨形態は,骨皮質の断裂を伴う吸収性骨変化をsurface irregularities,骨辺縁部の局所的不透過性増生をosteophyteに分類した。その結果,被験者92名中12名(男子1名,女子11名)に下顎頭の病的骨変形が認められ,うち1名は両側の下顎頭に認められた。病的骨変形が認められた下顎頭形態の内訳はsurface irregularitiesが7関節,osteophyteが6関節であった。下顎頭の病的骨変形が認められた12名における関節円板復位の有無は,2名(17%)が復位を伴う関節円板前方転位であり,10名(83%)は復位を伴わない関節円板前方転位であった。関節円板前方転位の程度の内訳は,軽度関節円板前方転位が1名(8%),中等度関節円板前方転位が8名(67%),高度関節円板前方転位が3名(25%)であった。関節円板形態は12名中2名(17%)が変形を認めないbiconcaveであり,10名(83%)が変形の進行したbiconvexであった。joint effusionは下顎頭に病的骨変形の認められた12名中3名(25%)に認められた。
    本研究より,若年者に発症する下顎頭の病的骨変形は関節円板障害と高い相関があり,関節円板前方転位の病的なステージが進行する(中等度~高度の関節円板前方転位,関節円板変形の進行)に従い下顎頭の病的骨変形発症の危険性が上昇することが示唆された(p<0.01)。
  • 小宮 城治, 清水 邦彦
    2002 年 40 巻 4 号 p. 627-632
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    骨格性不正咬合の遺伝子診断法開発のためにSMXA Recombinant近交系(RI)マウスを用い,上顎の近遠心方向の大きさを規定している遺伝子の探索を,量的形質遺伝解析(QTL解析)法にて行った。21系統のSMXA RIマウスを90日齢まで飼育した後,上顎骨の切歯孔前縁と蝶形骨基底部後縁の距離を測定した。上顎の大きさは最大で11.5mm(SMXA-8),最小で10.4mm(SMXA-24)であり,その他のSMXARIマウスの顎骨の大きさはこの値の間に分布したため,得られた値を量的形質値とした。
    これまでに報告されているSMXA RIマウスのStrain Distribution Patternと量的形質値とを指標としてQTL解析ソフトMap Manager QTb 28を用いて全染色体を対象にQTL解析を行った。その結果,第10番染色体と第11番染色体に有意な値を得た。第10番染色体の57.9cMに位置するマーカーD 10 Mit 70でLODスコアーが2.9のsuggestiveの値を示し,第11番染色体の9.8cMおよび13.1cMに位置するマーカーD 11 Mit 152およびD 11 Mit 63でLODスコアーが5.8のsignificantの値を示した。この結果から,第10番及び第11番染色体のこれら領域に上顎の近遠心方向を規定する遺伝子が存在していることが示唆された。
  • 加我 正行, 枝広 あや子, 櫻井 誠人, 大岡 貴史, 野田 守, 吉村 善隆, 弘中 祥司, 小口 春久
    2002 年 40 巻 4 号 p. 633-640
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    オールインワンステップボンディング材(リアクトマーボンド,ワンナップボンドF,クシーノCFボンド,Prompt L-Pop)の細胞親和性をラット歯髄由来細胞を用いて検討した。また,フッ素徐放量を測定し,以下の結果を得た。
    1.細胞に対する親和性はリアクトマーボンドが最も良く,次にワンナップッボンドF,クシーノCFボンド,Prompt L-POPであった。
    2.蒸留水にPrompt L-PoPを浸漬した24時間後のpHは強い酸性を示した。いずれの材料も蒸留水中で酸性を示したが,細胞培養液中でのpHは緩衝作用によりアルカリ性にシフトした。これにより,pHの低下は酸性モノマーの溶出によると考えられ,細胞増殖に影響を与えた。リアクトマーボンドとワンナップボンドFは蒸留水中で弱酸性を示したが,細胞培養液中では弱アルカリ性となり,細胞の生育も良かった。
    3.ボンディング材から溶出するフッ素量は細胞培養液と蒸留水中での溶出に差がみられ,材料間でも違いがみられた。クシーノCFボンドから多量にフッ素が溶出し,48時間後に急激に減少した。リアクトマーボンドは24時間後から25日目まで17から5ppmの安定したフッ素徐放を示した。prompt L-PoPとワンナップボンドFではわずかであった。
    以上の結果から,各種ワンステップボンディング材のラット歯髄細胞への親和性とフッ素徐放の相違が確認された。
  • 岡本 亜祐子, 河上 智美, 白瀬 敏臣, 大出 祥幸
    2002 年 40 巻 4 号 p. 641-656
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児がんの治療に用いる抗腫瘍薬は,治療効果の反面副作用や障害などの問題が注目されている。
    本研究は抗腫瘍薬の投与が歯根形成および歯周組織におよぼす影響を明らかにするため,硫酸ビンクリスチン(以下VCRとする)とシクロフォスファミド(以下CPAとする)をラットに腹腔内注射し,歯および歯周組織におよぼす変化を比較検討し,以下の所見を得た。
    1.薬剤投与後の体重は,VCR群では対照群と同様の増加率を示したが,CPA群では緩やかな増加に止まり,生後19日目から対照群との間に有意差を認めた。
    2.歯冠形態については,VCR群およびCPA群ともに同時期の対照群とくらべ著しい変化はなかった。
    3.歯根形成は,VCR群は対照群と全観察期間を通して顕著な差はなかった。CPA群では,生後19日目では対照群にくらべ根長はわずかに短く,歯根端の形成を障害していた。さらに生後54日目では対照群にくらべ根長は明らかに短く,歯根形態は粗造な硬組織で形成され蜂巣状を呈していた。
    4.歯槽骨改造は,VCR群と対照群との間に差を認めなかった。CPA群では,19日目で固有歯槽骨は肥厚していたが海綿骨はすう疎であり,54日目では歯根膜腔の拡大を生じていた。
    以上より,抗腫瘍薬の投与により歯牙は1次的変化として歯根の短縮化などの組織変化を生じ,さらに継続し2次的変化として,機能的な障害がおこることが示唆された。
  • 由井 公貴, 伊原 昌宏, 菊池 元宏, 赤坂 守人
    2002 年 40 巻 4 号 p. 657-666
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レーザー光を利用した非接触型測定装置,LPX-250を用いて,歯列石膏模型をスキャン,計測することを目的に,歯列石膏模型の測定方法,距離の再現性をみる寸法精度,形態の再現性をみる再現精度について検討したところ,以下の結果を得た。
    1)スキャン方法について歯列石膏模型をスキャンさせる際には,平面スキャン4面が適していた。咬合面のみスキャンを行う場合は,回転スキャンよりも平面スキャン1面にて測定を行う方が,スキャン状態や時間的な面からも適していた。
    2)寸法精度についてスキャンピッチは平面モードの場合,幅方向,高さ方向ともに0.2mmであるが,1点を除きそれ以下で収まっており,補間により再現された測定点が実際の寸法と大差がないことが示唆された。
    3)再現精度について各軸とも突出した誤差は認められず,スキャンピッチの0.2mm以下に収まっており,立体モデルをほぼ歪まない状態でスキャンできた。
  • 田邊 義浩, 佐野 富子, 田口 洋, 野田 忠
    2002 年 40 巻 4 号 p. 667-674
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の年齢,歯科恐怖心,浸潤麻酔経験が歯科に対する適応とどのように関係するかを明らかにする目的で,新潟大学歯学部附属病院小児歯科診療室を受診した5歳~12歳の小児795名から,歯科受診時に不適応と評価された58名と適応していた121名を抽出し,Dental Sub-scale of Children's Fear Survey Schedule(CFSS-DS)を行うと同時に,診療録から浸潤麻酔の経験時期と回数を調査した。
    結果は以下の通りであった。
    1. 5歳~8歳の低年齢層と9歳~12歳の高年齢層に分けたCFSS-DS値は,低年齢層の不適応群では平均31.3点,適応群では24.8点となり,高年齢層の不適応群では32.5点,適応群では22.8点となった。
    2.CFSS-DS各設問の値を比較したところ,適応群では高年齢層で得点が低い傾向を認めたが,不適応群では低年齢層と高年齢層の得点は同程度であった。
    3.両年齢層で,不適応群と適応群のCFSS-DS値の得点分布をみると,不適応群の中にも恐怖心が少ない患児,適応群の中にも強い恐怖心を持つ患児を認めた。
    4.過去の浸潤麻酔経験とCFSS-DS値の関係を低年齢・高年齢,不適応・適応に分けて分析した結果,高年齢・不適応群で過去1年以内に浸潤麻酔の経験がなく浸潤麻酔経験の少ない患児のCFSS-DS値は39.4点で,経験の多い患児と比較して高い値を示した。
  • 高崎 千尋
    2002 年 40 巻 4 号 p. 675-682
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    三叉神経核は,口腔領域の体性感覚系伝導路の脳幹部中継核であり,ここでグルタミン酸を介するシナプス伝達が行われる。マウスの三叉神経核には,洞毛とよばれる顔面の触覚毛に対応するバレレット構造が存在し,その形成や発達にはグルタミン酸受容体の活性化が不可欠である。一方,グルタミン酸トランスポーターは,シナプス間隙からのグルタミン酸の速やかな除去機能を介して,グルタミン酸シナプス伝達の重要な調節分子として機能している。GLT1はグルタミン酸トランスポーターのサプタイプの一つで,胎生期の成長軸索に一過性に発現後,アストログリアに発現スイッチすることが知られている。しかし,どのような発達段階において,この細胞発現スイッチが起きているかという点については未だ不明である。本研究では,酵素組織化学および免疫組織化学を用いて,GLT1の細胞発現スイッチとバレレット形成との時期的関連性について検討した。その結果,バレレットが三叉神経核に出現する生後第1週に一致して,GLT1の発現が軸索からグリアヘスイッチしていることが判明した。この結果は,体性感覚系のシナプス回路発達と連動してグルタミン酸除去機構がプレシナプス膜からグリア細胞膜へと転換することを示しており,新生児期の口腔機能発達に対する機能的関与を示唆する。
  • 佐伯 克彦, 嘉藤 幹夫, 大東 道治
    2002 年 40 巻 4 号 p. 683-692
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児がスポーツ時に顎顔面領域への損傷を受ける機会は多い。顎顔面領域における外傷のうち約1割がスポーツ時の受傷である。外傷は,上顎前歯部の損傷ならびに下顎骨骨折の頻度が高くなっている。そこで,小児のスポーツ時の下顎歯および下顎骨の損傷に注目し,下顎歯にマウスガードを装着した場合の損傷様式を有限要素法にて解析し検討した。その結果,
    1.マウスガード装着により,下顎歯に対する外力の影響が少なくなることが認められた。
    2.マウスガード材の厚みが増すほど,下顎歯に対する外力の影響は少なくなるが,逆に,下顎頸部で外力の影響が高くなることが認められた。
    3.マウスガード正中部の荷重では,下顎頸部で外力の影響が低くなることが認められた。
    4.マウスガード側方部の荷重では,下顎頸部で外力の影響が高くなることが認められた。以上の結果より,マウスガード装着により,歯に対する外傷予防の効果を認めたが,下顎頸部への影響も考慮すべきであることが示唆された。
  • 岡崎 好秀, 宮城 淳, 堀 雅彦, 東 知宏, 中村 由貴子, 小坂田 弘子, 紀 螢, Bazar Oyuntsetseg, Rodis ...
    2002 年 40 巻 4 号 p. 693-700
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕のない3~5歳の小児114名を対象として,Dentocult-SM®strip Mutansテスト(Orion Diagnostica社製)を用い,ミュータンス連鎖球菌数について調べた。また小児の生活習慣に関する15問のアンケートを実施した。そしてミュータンス連鎖球菌数とアンケート項目との関係について数量化理論II類を用い解析した。
    さらに上位にランクされた項目についてはχ2検定を用い検討を加えた。
    1.Dentocult-SM(R) Strip mutansテストの判定結果の分布は,クラス0は69.3%(79/114名),クラス1は21.9%(25/114名),クラス2は8.8%(10/114名)であり,クラス3は1人もいなかった。
    2.以下の項目はミュータンス連鎖球菌数と有意に関係していた。
    1)間食の不規則摂取(χ2検定p<0.01)
    2)間食回数3回以上(χ2検定p<0.01)
    3)甘味飲料を多く飲む(χ2検定P<0.05)
    4)保護者の齲蝕が多い(χ2検定p<0.05)
    5)間食後の歯磨きをしない(χ2検定P<0.05)以上より,これらの項目に対する保健指導を行えば,ミュータンス菌の定着のリスクが減少し,ひいては小児の齲蝕予防につながることが期待できる。
  • 石井 信行, 嘉藤 幹夫, 大東 道治
    2002 年 40 巻 4 号 p. 701-708
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    未治療上顎前突児12名の縦断的な側面頭部エックス線規格写真(セファロ)を用い,上顎前突児における顎顔面頭蓋の成長発育について検討した。各患児につき2枚の連続したセファロを研究資料として用いた。セファロ撮影時の平均年齢は,それぞれ7歳10か月(D1),および11歳0か月(D2)であった。側面頭部エックス線規格写真は,距離計測13項目,角度計測10項目をもって分析し,同時期に撮影した正常咬合児のものと比較した。未治療上顎前突児における顎顔面頭蓋の成長発育の特徴は以下の通りである。
    1.Dlにおいて,前方に偏位した上顎骨が観察された。
    2.D2において,劣成長かつ後退した下顎骨が観察された。
    3.上顎骨,下顎骨とも,D1-D2間の前方成長量が正常咬合児群と比較して少なかった。
    これらの結果は,患児の発育段階によって上顎前突の構成要因が異なっていることを示唆した。上顎前突児における顎顔面頭蓋の成長様式は,上顎骨の前方への偏位により惹起され,その上下顎の咬合関係が,その後の下顎の劣成長につながっていると推察された。
  • 岡田 貢, 土井 貴子, 林 文子, 曽田 芳子, 光畑 智恵子, 椿本 優子, 松崎 陽子, 山下 佳織, 海原 康孝, 三浦 一生, 香 ...
    2002 年 40 巻 4 号 p. 709-714
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    中学生における歯周状態の変化を把握するために広島市内の中学生を対象として経年的に調査した。検診後には歯周保健指導を行い,歯周状態の変化について検討した。対象は1998年度に1年次であった生徒,116名(男子59名,女子57名)であった。歯周状態の評価は,Oral Rating Index(ORI)を用いた。
    検診後は生徒自身のORI値による評価を知らせ,歯周病に関するプリント「保健室便り」を配布した。
    1. 3年次を除きORIの平均値に性差が認められ,女子の方が男子よりも歯周状態は良好であった(1年次:p<0.05,2年次:p<0.01)。
    2.男子では学年が上がるにしたがってORIの平均値が上昇した(p<0.05)。女子においては3年次でORIの平均値が減少したが,1年次から2年次にかけてORIの平均値が上昇した(p<0.01)。
    3.男子は学年が上がるにしたがって歯周状態が不良を示す-1の割合が減少した。女子において-1あるいは-2を占める割合が減少した。以上より,経年的調査においてORIによる歯周状態の評価とプリント形式で配布される「保健室便り」を活用した歯周保健指導が生徒の口腔衛生意識向上の一助になると思われた。
  • 岩崎 浩, 齋藤 珠実, 韓 娟, 内山 盛嗣, 中山 聡, 園田 尚弘, 村上 由見子, 寺本 幸代, 小口 久雄, 高梨 登, 宮沢 裕 ...
    2002 年 40 巻 4 号 p. 715-731
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    中国天津市の幼稚園歯科健診を実施し,同時に得た小児の上下顎歯列模型を基に乳臼歯歯冠形態の解剖学的観察を行い,先人の報告との比較検討を加え,以下の結論を得た。
    1.咬合面型は日本人小児と中国人小児に顕著な差は認められなかった。
    2.上下顎第一乳臼歯の歯帯,上顎第二乳臼歯の頬側面浮彫像,上顎第一乳臼歯のカラベリー結節,下顎第二乳臼歯の第6咬頭の出現頻度は日本人小児と中国人小児に差は認められなかった。
    3.上顎第二乳臼歯および上顎第一乳臼歯の近心結節の出現頻度は中国人小児間で差は認められなかった。
    4.同一歯列内の上顎第二乳臼歯のカラベリー結節の出現と上顎第一乳臼歯のカラベリー結節の出現には相関が認められた。
    5.上顎第二乳臼歯の同一歯牙におけるカラベリー結節の出現とProtoconuleの出現には相関が認められた。
    6.下顎第二乳臼歯の第7咬頭およびProtostylidの出現頻度は日本人小児や中国人小児では高率に認められた。
  • 伊藤 みや子, 中島 一郎, 駱 嘉鴻, 坂部 潤, 小野寺 妃枝子
    2002 年 40 巻 4 号 p. 732-738
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の下顎側方偏位を評価する機能学的意義を明らかにするため,乳歯列期小児9名を対象に,下顎側方偏位側とその対側間における咀嚼筋活動の相違について咀嚼筋筋電図記録により比較検討を行った。被験者の正面頭部エックス線規格写真により上顔面の基準平面に対する下顎オトガイ部の移動側を判定し,下顎側方偏位側(以下,下顎偏位とする)とした。規定動作として最大かみしめ(以下,クレンチングとする),タッピング(以下,タッピングとする)および下顎偏位側と対側別にチューイングガム咀嚼(以下,ガム咀嚼とする)を行わせた。
    クレンチングでの偏位側と対側の咀嚼筋活動の非対称性はAsymmetry Index(A.I.)を用いて評価した。その結果,側頭筋では偏位側優位を,咬筋では対側優位な傾向を示した。また,偏位側の咬筋筋活動量はガム咀嚼の方がタッピングよりも有意に増加し,同側の側頭筋は有意な差は認められなかった。一方,対側では側頭筋または咬筋ともにガム咀嚼の方がタッピングよりも有意に増加した。これらの結果から,クレンチングでは偏位側側頭筋の筋活動は対側より優位であったにも関わらず,タッピングと比較したガム咀嚼の筋活動量の有意な増加はみられなかった。その原因として口腔感覚のフィードバック機構に下顎偏位が影響していたことが考えられる。
  • 井上 友紀, 大西 智之, 大嶋 隆
    2002 年 40 巻 4 号 p. 739-743
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    4~9歳の患児8名の乳臼歯14歯に対し,Er:YAGレーザーを応用した生活歯髄切断を施した。そのうち13歯においては,臨床的およびエックス線的に不快症状は生じなかったが,1歯に,術後1年時に歯根内部吸収を認めた。その1歯について病理組織学的検査を行ったところ,歯髄に炎症を示す所見は認めなかったものの,細胞成分は消失し,被蓋硬組織の形成や根管壁の閉鎖を認めなかった。
    以上の所見より,Er:YAGレーザーを用いた生活歯髄切断法は臨床的には良好な結果が得られるものの,レーザー照射により歯髄が壊死に陥る場合もあることが示された。しかしながら,Er:YAGレーザーを用いた生活歯髄切断法は,1)すみやかな止血を得られる,2)診療時間が短縮される,3)術後の疼痛はほとんどない,など多くの利点を有しており,今後照射出力を検討することにより有効に利用できると考えられる。
  • 大須賀 直人, 紀田 晃生, 岩堀 秀基, 鬼澤 良子, 岩崎 浩, 宮沢 裕夫, 谷山 貴一, 澁谷 徹, 廣瀬 伊佐夫
    2002 年 40 巻 4 号 p. 744-749
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回,著者らは齲蝕を主訴としたvon Recklinghausen病の4歳6か月女児の歯科治療を経験したので報告する。
    1.頸部には広範囲にわたるカフェオレ斑がみられ後頸部が膨隆していた。
    2.頸椎脊柱管内には腫瘍が認められ,環軸椎亜脱臼により第2 ,3,4頸椎で後方凸の彎曲変形が認められた。
    3.患児のHellmanの咬合発育段階はIIA期に相当し,臼歯部では齲蝕による崩壊が著しく,前歯部で過蓋咬合を呈した。
    4.手根骨の化骨状態は骨核数が4個認められ,暦年齢とほぼ一致していた。
    5.側面頭部エックス線規格写真分析では異常はみられなかった。
    6.歯科治療に対し協力状態が悪く,頭位を安定にすることが不可能であるために,全身麻酔下で集中歯科治療を行った。
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