小児歯科学雑誌
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42 巻 , 3 号
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  • 鈴木 昭, 南 真紀, 渡部 茂, 市川 智久, 白 正華, 中川 貴美子, 角田 武也, 小野 義晃
    2004 年 42 巻 3 号 p. 365-374
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科臨床において唾液緩衝能に代表される唾液テストが種々行われている。本研究ではこれら唾液テストの結果を正しく評価するために,唾液分泌速度,pH,緩衝能および唾液中カルシウム,無機リン濃度の個人内変動について検討を行った。
    唾液採取は5名の成人に対して1日4回(9:00,11:00,13:00,16:30),8名の小児(5歳児)に対して1日1回(13:30)それぞれ3日間行った。安静時唾液は被験者を座らせ,頭部を軽く前傾斜させ,予め計重した紙コップに吐き出させた。刺激唾液は3分間ガムベースを噛ませて採取した。計測項目はそれぞれの唾液の分泌速度,pH(pHメーター),緩衝能(CAT21®),カルシウム(吸光光度計)と無機リン(比色計)の濃度である。
    その結果,各被験者の各測定値の変動は著しく大きいことが示された。さらに成人では分泌速度,pH,緩衝能の値,小児ではpHの値は,全被験者の変動範囲の50%以上を示した。唾液中カルシウム,無機リン濃度は安静時唾液より刺激時唾液の方が安定しており,採取する時間帯にそれほど影響を受けないことが示された。臨床において,個人の齲蝕感受性を評価する目的で唾液テストが行われているが,得られた値は必ずしもその個人の代表値を示すものではないことが明らかとなった。
  • 山崎 優
    2004 年 42 巻 3 号 p. 375-382
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本大学松戸歯学部小児歯科外来に来院し,被検歯以外に齲蝕がないと診断した小児37名の幼若第一,第二大臼歯咬合面を,視診・触診にて健全,CO,Cと診断し,さらに総レンサ球菌数に対するmutans streptococci数の比率,Dentocult SM®,Dentobuff Strip®,5分間咀噛唾液量,DIAGNO dent値を求め検討したところ,以下の結論を得た。
    1.幼若永久歯の咬合面小窩裂溝齲蝕の診査で健全歯,CO,Cの診断は,明視下での視診と軽い擦過による触診でほぼ満足できた。
    2.齲蝕の細菌学的診断には,被検歯歯垢の総レンサ球菌数に対するmutans streptococci数の比率を測定することが適当と思われた。
    3.被検歯歯垢の総レンサ球菌数に対するmutans streptococci数の比率とDIAGNO dent値との問には,正の優位な相関関係が認められた。
    4.1歯の齲蝕においてもDentobuff Strip®の測定結果に反映されていると思われた。
    5.翻蝕診断と事後措置を含めたその対応には,視診・触診だけではなく歯質破壊を評価できる光学的診断器であるDIAGNO dentTMと齲蝕活動性を評価できる細菌学的診断の併用が有効であることがわかった。
  • 外山 敬久, 大塚 章仁, 渥美 信子, 井鍋 太郎, 山上 健寿, 土屋 友幸
    2004 年 42 巻 3 号 p. 383-389
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児は成人に比べて唾液の分泌量が多く,舌の動きも激しく,また手術野も狭いことから,的確な歯科診療を能率良く,かつ安全に実施するためには,ラバーダム防湿は必要不可欠である。
    しかし現在市販されている乳臼歯用クランプは,製品の種類が少なく,乳臼歯に十分適合しているとはいい難い。また,耐久性や滅菌消毒などにおいても,改良すべき点が多い。
    そこで著者らは,新たな乳臼歯用クランプの試作を行った。
    今回試作した乳臼歯用クランプは,上下顎左右第一,第二乳臼歯の計8種である。試作品を臨床で使用して評価し,第一次から第四次まで改良を行った。
    試作を重ねた後の第四次試作クランプの特徴は,口腔内での操作性を向上するために,従来品と比較して全体の大きさを小型化した。ビークは防湿効果を高めるために適合性を向上させるとともに,隣在歯の接触を回避するために幅を小さくした。ウィングの形状はラバーダムシートを把持しやすく,装着時には外しやすい形状とした。
    アンケート調査では,第四次試作品を用いた114症例のうち,試作品が従来品と同等もしくはそれ以上と判定された症例は,「安定性」90.4%,「総合的な使用感」95.6%,「ウィングの形状」99.1%,「ビークの適合性」93.9%であった。
  • 辻野 啓一郎, 金子 かおり, 坪倉 亜希子, 望月 清志, 大多和 由美, 藥師寺 仁
    2004 年 42 巻 3 号 p. 390-396
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    永久歯を喪失する理由については歯周疾患,齲蝕によるものが多いことはよく知られている。しかし,乳歯は成長に伴い脱落するものであり,その喪失原因を特定することは困難である。乳歯の早期喪失原因を明らかにすることは,今後,小児や保護者への指導を含め,小児の長期的口腔健康管理における有用な資料となる。この目的で,平成12年4月からの3年3か月間に東京歯科大学水道橋病院小児歯科で交換期の診断による抜歯例を除く乳歯の抜去手術を受けた小児のうち,抜歯理由が明確であった105名の小児の症例を選択し,年齢,性別,歯種,抜歯理由などを調査し,以下の結論を得た。
    1.対象となった乳歯は,上顎125歯,下顎47歯の合計172歯であった。
    2.歯種別では,上顎乳中切歯が最も多く52歯,次いで上顎乳側切歯24歯,上顎第一乳臼歯22歯であった。
    3.抜歯理由は,上顎では全歯種とも齲蝕を原因とするものが多かった。しかし,乳中切歯では外傷,第二乳臼歯では第一大臼歯の異所萌出による歯根の異常吸収が,齲蝕によるものとほぼ同数であった。下顎では,乳切歯はすべて外傷が原因であり,乳臼歯はほとんどが齲蝕が原因で抜歯していた。なお,乳犬歯の抜去例は皆無であった。
    4.抜歯後に再来院しなかった患児は105名中29名であった。齲蝕が原因で抜歯した患児のうち,抜歯後に再来院しなかった患児の割合は,他の理由で抜歯した患児におけるそれに比べ多い傾向がみられた。
  • 金子 かおり, 坪倉 亜希子, 辻野 啓一郎, 望月 清志, 大多和 由美, 藥師寺 仁
    2004 年 42 巻 3 号 p. 397-403
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    都心の大学病院における障害者歯科診療の現状を把握する目的で,東京歯科大学水道橋病院小児歯科に2000年4月から2003年6月までに来院した障害者185名,延べ来院障害者1,213名を対象に,障害の種類,年齢,来院経緯,処置内容および対応法に関する実態調査を行った。
    調査期問中の来院患者延べ総数に占める割合は6.0%であった。
    障害別にみると,言語・咀嚼機能障害が最も多く40.6%で,次いで中枢神経・筋障害は28.1%,情緒障害13.0%,その他18.3%であった。年齢別延べ患者の割合は,6~11歳が52.4%,0~5歳が206%,12~18歳が19.9%,19歳以上が7,1%であった。
    来院経緯は,院内他科からの紹介が最も多く43.2%,次いで開業歯科医院21.1%,他大学口腔外科9.7%,障害者施設8.7%,その他17.3%であった。
    処置内容は,保存処置が最も多く50.8%で,次いで予防処置27.1%,外科処置14.9%,咬合誘導処置6.0%,検査および資料採得1.2%であった。
    障害別対応法は,中枢神経・筋障害では通常に歯科治療を行えた者が66.4%,抑制下が29.5%,金身麻酔下の治療が4.1%であった。情緒障害では,抑制下の治療が52.3%,通常治療が40.6%,全身麻酔下が7.1%,言語・咀嚼機能障害では,通常治療がほとんどであった。その他の障害では,通常治療が855%,抑制下が13.3%,鎮静が0.8%,全身麻酔下が0.4%であった。
  • 有田 憲司, 山内 理恵, 福留 麗実, 友竹 雅子, 山口 公子, 木村 奈津子, 栗林 伸行, 森川 富昭, 西野 瑞穗
    2004 年 42 巻 3 号 p. 404-411
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    徳島県某町における地域乳幼児歯科保健事業のデータベースを利用して,1歳6か月から3歳0か月の間に本保健事業が提供している4回の保健サービス(歯科検診,口腔保健指導およびAPF歯面塗布など)を受診した小児(250人)と,1歳6か月時の1回だけ保健サービスを受診した小児(412人)の2群に分類した。さらにその2群をそれぞれ母親の出産年齢別(22歳以下,23-28歳,29-34歳,35歳以上)に4分類し,1歳6か月時から3歳6か月時の齲蝕罹患状態について分析し,以下の結果を得た。
    1.3歳6か月時の齲蝕有病者率および一人平均齲歯数は,4回受診においては29.6%および114本であり,1回受診での51.9%および4.88本に比べ,有意に低い値を示した(p<0.001)。
    2.1回受診において,3歳6か月時の齲蝕有病者率は,母親の出産年齢が22歳以下の群は75 .0%で,その他の年齢群より有意に高い値を示し,母親の年齢は乳幼児期の齲蝕有病者率と関連性の有ることが認められた。
    3.4回受診における3歳6か月時の齲蝕有病者率および一人平均齲歯数は,いずれの母親の出産年齢群においても差は認められず,全ての出産年齢群において1回受診より低値であることが認められ,母親の年齢の影響は受診回数を増やすことにより軽減できることが認められた。
    以上の結果から,1歳6か月から3歳6か月の間において6か月ごとに口腔保健指導およびAPF歯面塗布等の保健サービスを実施することは乳幼児齲蝕の予防に有効であることが示唆された。
  • 白須賀 明子, 浅里 仁, 井上 美津子, 佐々 龍二
    2004 年 42 巻 3 号 p. 412-417
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    保育園児・幼稚園児を対象に歯の外傷(平成13年4月-平成14年3月)に関するアンケート調査を行い,以下の結論を得た。
    1.けがの原因は保育園・幼稚園とも受傷場所にかかわらず「友達の頭にぶつかった」が最も多かった。
    2.受傷時間は保育園では「午前」次いで「寝起き直後および帰宅直前の時間帯」が多く,幼稚園では特にけがの多い時間帯はなかった。
    3.保育園・幼稚園とも97%の園で応急処置を行っていた。
    4.脱落歯については幼稚園では「よく洗ってティッシュなどに包む」が多かった。
    5.応急処置マニュアルを常備していない園は,保育園では58%,幼稚園では80%であった。
    6.園では外傷の予防や応急処置に対する情報が少なく,歯科医院に連れて行く目安についても一定の基準がないように思われた。
  • 北岡 裕子, 郡由 紀子, 山口 公子, 西野 瑞穗
    2004 年 42 巻 3 号 p. 418-429
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の発育に伴う咬合状態の変化が,顎運動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に本研究を行った。個性正常咬合を有する混合歯列期(IIIA期)小児5名と永久歯列期(IIIC期)小児5名を対象に6自由度顎運動の測定を行い,同時に歯列の精密印象を採得し歯列模型から3次元形態を計測した。得られた顎運動と歯列の3次元形態データとの対応を図り,側方滑走運動中の咬合接触状態を解析し,以下の結果を得た。なお咬合接触状態は,すべての被験者について左右をそれぞれ1例として判定した。
    1.IIIA期からIIIC期への顎運動の変化として,矢状切歯路角および顆路角は増加し,作業側顆頭移動量は有意に減少した。
    2.側方滑走運動初期における咬合接触状態は,IIIA期では,作業側の永久側切歯および乳犬歯に接触を認める例(6例/10例)と,作業側のほぼ全歯に咬合接触を認める例(4例/10例)があった。IIIC期では,作業側の犬歯および小臼歯に接触を認めた。
    3.側方滑走運動時の作業側顆頭移動量および作業側咬合接触面積において,IIIA期の方がIIIC期より左右差が大きい傾向にあった。
    以上の結果から,永久歯とくに永久犬歯による側方ガイドの出現が,発育に伴う顎運動の変化に関与していることが示唆された。
  • 野中 俊哉, 吉田 昌史, 岩崎 真紀子, 木嶋 直人, 内田 淳, 山口 武人, 中島 一郎
    2004 年 42 巻 3 号 p. 430-435
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    重度精神発達遅滞者では,食事環境において誤燕の危険が指摘されており適切な対応が望まれている。本研究では,重度精神発達遅滞者の摂食・嚥下機能の特徴を明らかにすることを目的とし,福祉施設における精神発達遅滞者(41名,41.6±10.9歳)を対象に,嚥下可能な食事内容の調査を行い,さらに口腔機能の障害度,日常生活活動状況との関連性について定量的に検討した。
    嚥下可能な食事内容の調査では,嚥下の難易度を基準として,食物の形態(以下,食形態)を,咀嚼の必要がなく嚥下可能な食形態から常食の形態までの6段階に点数化し食形態スコアとした。
    口腔機能の障害度は,摂食時における口唇閉鎖不全や舌の運動障害などを指標として,点数化し評価した。日常生活活動は,機能的自立度評価法(FIM)により運動の自立度について評価した。
    その結果,以下の知見を得た。
    1.食形態スコアと口腔機能障害度との相関性を検討したところ,有意な正の相関関係が認められた(P<0.05)。
    2.食形態スコアとFIMの運動項目との相関性を検討したところ,有意な負の相関関係が認められた(P<0.05)。これらのことから,重度精神発達遅滞者の摂食・嚥下機能は,口腔機能や日常生活活動の運動機能と関連していることが明らかになった。
  • 吉田 良成, 大塚 章仁, 坂井 志穂, 眞鍋 視里, 鬼頭 佳子, 小野 俊朗, 神谷 省吾, 土屋 友幸
    2004 年 42 巻 3 号 p. 436-440
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,小児の口腔機能において口唇閉鎖力が,重要な役目をはたしていると考え,現在さまざまな角度より,口唇閉鎖力の強弱が小児の口腔形態や機能に及ぼす影響を調査している。そこで今回は,まずその基盤ともなる,各年齢における口唇閉鎖力について検討を行うことを目的とし,名古屋市内の3歳から12歳までの健常児621名(男児316名,女児305名)を対象とし,LIP DE CUM®(コスモ計器製)により,口唇閉鎖力を測定したところ,以下の結論を得た。
    1.男女間の口唇閉鎖力に,有意差は認められなかった。
    2.年齢の増加に伴い,口唇閉鎖力は増加を示した。3歳-4歳間,4歳-5歳間,6歳-7歳間においては有意差が認められた。
  • 小野 俊朗, 吉田 良成, 大塚 章仁, 青山 哲也, 村田 宜彦, 相澤 節世, 阿知波 恒仁, 神谷 省吾, 土屋 友幸
    2004 年 42 巻 3 号 p. 441-446
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児期における口唇閉鎖力の経年的変化と咬合との関係を調査することを目的に,Hellmanの歯齢IIA期からIVA期までの保育園児および児童を対象に咬合診査を行い,正常咬合,開咬,上顎前突,反対咬合,過蓋咬合および叢生の計560名の口唇閉鎖力を測定した。
    1.口唇閉鎖力は,Hellmanの歯齢と咬合状態ともに影響しているが,咬合状態因子の寄与率は10.0%と小さかった。
    2.口唇閉鎖力は,歯齢とともに高くなった。
    3.開咬者と上顎前突者の口唇閉鎖力は,他の咬合状態と比較してIIIA期以降低かった。
    4.開咬者は,IIIA期以降口唇閉鎖力の上昇があまりみられなかった。
    5.永久切歯交換期から口腔周囲筋の機能と歯列の形態との関係が顕著に現れた。
  • 林 芳裕, 片倉 朗, 黒須 美佳, 松坂 賢一, 藥師寺 仁
    2004 年 42 巻 3 号 p. 447-452
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    石灰化歯原性嚢胞は幅広い年齢にわたり報告されているが,低年齢児での報告は少ない。今回,著者らは,6歳男児の下顎乳臼歯部に発現した,歯牙腫を伴う石灰化歯原性嚢胞の1例を経験したので報告する。
    患者は,6歳8か月の男児である。下顎右側乳臼歯部の膨隆を主訴として来院した。視診では,顔貌左右非対称で下顎右側第一乳臼歯部頬側歯槽部にクルミ大の膨隆が認められ,触診によって羊皮紙様感を触知し,骨の菲薄化が疑われた。エックス線画像検査では,クルミ大の単房性透過像を認め,境界明瞭な嚢胞腔様の構造を呈し,第一乳臼歯直下に歯牙腫様の硬組織像を認めた。処置は,嚢胞内部に歯牙腫を含み,後継永久歯の萌出障害をきたす恐れが大きかったこと,ならびに患児の精神的影響も考慮し,生検を兼ねて摘出術を選択し,歯牙腫を含め嚢胞を一塊にて摘出した。
    病理組織検査の結果,不規則な形態を示す歯牙腫の歯冠相当部に連続して,上皮内にエナメル髄様の細胞からなる部分が認められた。裏装上皮には,歯牙腫の歯冠部分を中心に,いわゆるghost cellの集簇が広範囲に認められ,裏装上皮と接して不規則な外形を有する象牙質様の硬組織形成が認められた。以上のことから,本例は歯牙腫を伴う石灰化歯原性嚢胞と診断した。
    嚢胞摘出後9か月を経過した現在,下顎骨膨隆は縮小傾向にあり,再発は認められず経過は良好である。しかしながら,石灰化歯原性嚢胞は,腫瘍性の性格を有しており,さらには歯列・咬合への影響も考慮し,長期にわたっての経過観察が必要である。
  • 河上 智美, 杉山 さおり, 苅部 洋行, 奈良 史子, 小方 清和, 白瀬 敏臣, 内川 喜盛
    2004 年 42 巻 3 号 p. 453-457
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列完成前の幼児において口腔内異物埋入の2例を経験した。
    患児らは,近医にて乳中切歯の形態異常を指摘され来院した。1例目は,1歳7か月の女児で,下顎両側乳中切歯に白色硬組織様構造物を認め,わずかな歯の動揺と歯肉の炎症および退縮があった。2例目は,1歳9か月の男児で,上顎左側乳中切歯に白色硬組織様構造物を認め,歯の動揺と歯肉の炎症を認めた。2例とも,硬組織様構造物に一致するエックス線不透過像を認めず,触診では構造物の動揺を認めたため異物埋入と診断し摘出した。処置後の経過は良好であった。摘出物はプラスチックチューブで,保護者が使用している枕のポリエチレンチューブと判明した。
    歯科医師は,原因が不明瞭な歯周組織の異常を認めた際には,異物の埋入も考慮に入れて診査をすることが望ましい。また保護者や保育担当者に,小児が異物をくわえることによって起こる口腔内への為害作用などの情報を,早期に提供する必要性が示唆された。さらに,製造者もより安全な形態の商品を開発し,事故防止に努めることが重要であると思われた。
  • 齋藤 亮, 田中 光郎, 三輪 全三, 高木 裕三, 鈴木 寿
    2004 年 42 巻 3 号 p. 458-463
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,下顎突出癖が原因と思われる低年齢児の顎関節症を経験した。症例は下顎の突出癖および顎関節雑音を主訴に来院した4歳2か月の女児。2歳頃から下顎を前方に突き出す癖がみられ,3歳半頃から就寝前に右側顎関節雑音および疼痛が生じた。その後,何もせず放置していたが,下顎を突出させる頻度が増加したため保護者が心配し来院した。最大開口量は45mm ,右側クリック音が認められた。Over-bite1.5mm,Over-jet 1.0mmで咬合関係に異常は認められなかった。疼痛は初診来院時には認められず突出させる癖以外,下顎をに習癖はなかった。エックス線所見では顎関節部に異常は認められなかった。切歯点の顎運動所見では,開閉運動において往路と復路の軌跡は一致しなかった。また,前頭面限界運動範囲において右側に一部欠落が認められた。患児および保護者に下顎を前突させないよう指導し,そのまま経過観察した結果,9か月後には顎関節雑音と痛みおよび下顎突出癖は消失していた。
  • 山本 一郎, 藤田 義典, 藤原 百合, 飛梅 悟
    2004 年 42 巻 3 号 p. 464-474
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    発音補助装置は,口蓋裂,脳血管障害後遺症,もしくは先天性に生じる鼻咽腔閉鎖機能不全に起因する構音障害の治療に用いられる。発音補助装置は歯科領域の技術を用いて作製されるものであるがが高,専門性いなどの理由から限られた医療機関でしか作製されていないのが現状である。本稿では,多くの歯科医師にこの装置についてより理解を深めていただくために,当院での発音補助装置を用いた治療法について症例を通して報告する。
    発音補助装置には,軟口蓋挙上装置(Palatal Lift Prosthesis; PLP),バルブ付加型軟口蓋挙上装置(Bulb attachedPalatal Lift Prosthesis; Bulb-PLP)などがある。今回,当院での症例のうち,PLPもしくはBulb-PLPで治療した片側性唇顎口蓋裂術後例,粘膜下口蓋裂未手術例,口蓋裂術後の鼻咽腔閉鎖機能不全症例および先天性鼻咽腔閉鎖不全症の4例を報告した。
    その結果,4例全てにおいて当院で作製,調整した発音補助装置が有効であることが示された。
    当院のように個人開業の歯科医院においても発音補助装置の作製,調整が可能であり,鼻咽腔閉鎖機能不全に起因する構音障害の治療の一端を担うことができると考えられた。
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