小児歯科学雑誌
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45 巻 , 4 号
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  • 杉林 篤徳, 木下 承子, 田口 洋, 野田 忠
    2007 年 45 巻 4 号 p. 451-457
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    サッカーは,野球とバスケットに次いで顎口腔領域の受傷件数が多い。本研究では,歯の外傷やマウスガードへの一般の認知度と関心度を把握する目的で,サッカーチームに所属する小児の保護者86名と指導者19名を対象に,1)歯の外傷についての一般的事項,2)完全脱臼歯の再植に関する事項,3)マウスガードに関する事項についてアンケート調査を行った。その結果,保護者と指導者の間に,歯の外傷に関する認知度と関心度には違いが認められず,歯の再植に関連する項目では,指導者の方が認知度は低い傾向にあった。歯の外傷に関するアドバイスを受けたことがあったのは,保護者で9.3%,指導者ではいなかった。
    一方,歯の外傷についての講習会参加希望者は保護者で65.1%,指導者で84.2%であった。脱落歯が再植可能であることを保護者の74.4%と指導者の85.2%が,脱落歯の牛乳保存については保護者の75.6%と指導者の94.7%が知らなかった。今後小児のマウスガード使用を考えた保護者は35.7%,指導者は41.2%と半数以下であった。以上の結果から,特に指導者に対して,講習会への参加希望が多いことを利用して,脱落歯が再植可能であること,脱落歯の牛乳保存,そしてマウスガードの利用等について,科学的根拠に基づき啓蒙する必要のあることが示唆された。
  • 中原 順子
    2007 年 45 巻 4 号 p. 458-468
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者は小児の診療に対する適応性を精神運動機能発達(以下,発達)という側面から調査してきた。今回は3歳児における精神運動機能の発達検査結果と診療に対する適応性との関連を調査する目的で,都内のA歯科医院へ来院した3歳児35名(男児18名,女児17名)を対象に,発達検査と歯科診療に対する適応性総合判定を行い,以下の結果を得た。
    1.歯科診療に対し適応性が高い小児ほど,発達指数100未満の発達検査領域をもつ割合は低かった。
    2.発達指数と歯科診療に対する適応性との相関がある領域は「基本的習慣」,「対人関係」,「発語」であった。
    3.治療に対する適応性総合判定結果から分類した「不適応群」「適応群」「高適応群」,各グループでの発達指数の平均値の差を検討した結果,「移動運動」で「高適応群」は「適応群」より有意に高い値を示し,「対人関係」で「高適応群」は「不適応群」より有意に高い値を示し,「発語」で「適応群」は「不適応群」より有意に高い値を示した。以上の結果から,発達検査をすることは,小児の診療に対する適応性を予測する上で有用な判断資料になると示唆された。
  • 青柳 暁子, 島津 徳人, 佐藤 かおり, 苅部 洋行, 青葉 孝昭
    2007 年 45 巻 4 号 p. 469-480
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    生後3日齢から28日齢のICRマウス下顎第一臼歯遠心根を観察対象として,臼歯の歯根形成におけるヘルトウィッヒ上皮鞘(HERS)の細胞動態と機能的役割を検討した。免疫組織化学によるHERSの表現型と動態に関する観察結果から,上皮2層構造のHERSは歯髄組織と歯根膜組織を隔壁しており,FGF8産生などを介して象牙芽細胞系譜の分化誘導に働くことが示された。HERS上皮細胞は複数の増殖因子に対する受容体を発現しているが,その増殖活性は象牙芽細胞系譜の増殖と象牙基質産生によって規定される歯根形成速度に追随できず,歯根形成の開始直後にHERSは歯冠部エナメル上皮から分離された。
    歯根象牙質表面では,HERS由来の上皮細胞集団は連続したシート構造を維持できず,歯根膜組織へ遊離あるいはセメント基質に埋入されて,歯根形成の完了時には歯根象牙質表面から消失した。歯根膜組織に遊離した上皮集団の一部はラミニン陽性の基底膜に囲まれてマラッセ上皮遺残として存続するが,基底膜を失って遊離した上皮細胞は上皮形質を喪失すると推定された。顎骨外萌出期に至ると,HERSにおける増殖因子受容体の発現は不明瞭となり,HERSは退縮した。以上の形態学的所見から,HERSとHERS由来の上皮細胞の運命とその分断化は時空間軸に沿って進行する歯根形成と萌出現象を制御する上で基軸となる役割を果たしていることが示唆された。
  • 荒井 清司, 松井 智, 松根 健介, 呂 朋君, 曹 宏, 西村 眞, 辻本 恭久, 松島 潔, 前田 隆秀
    2007 年 45 巻 4 号 p. 481-486
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,ラットの露髄面に新規ハイドロキシアパタイトに炭酸カルシウムもしくはβ-TCPを含有させ,覆髄材としての有効性を報告した.そこで,本研究では,ヒト歯髄培養細胞における炭酸カルシウムの硬組織形成能を解明する一助として,細胞増殖試験ならびに硬組織形成の分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)を指標とし,検討を行った。
    炭酸カルシウムは,1mM,100μM,10μM,1μMの濃度を含有させた培地に最大12日間作用させた。培養24時間後の細胞毒性試験において,各濃度の炭酸カルシウム作用群において著しい細胞毒性は認められなかった。また,細胞増殖試験において,10μM炭酸カルシウム作用群をピークとして,細胞数の増加が認められた。培養3日後の細胞にアゾ染色を行い,10μM炭酸カルシウム作用群において,ALPの濃染が認められた。また,培養12日目のALP活性においても10μM炭酸カルシウム作用群をピークとし,無添加のコントロール群と比較し,有意な差が認められた。以上のことから10μMの炭酸カルシウムをヒト歯髄培養細胞に作用させることで,硬組織形成能を促進させる可能性が示唆された。
  • 松石 裕美子, 湯浅 健司, 福山 可奈子, 長谷川 智一, 岩本 勉, 福本 敏, 野中 和明
    2007 年 45 巻 4 号 p. 487-493
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    九州大学病院小児歯科では,積極的に外来外科手術を行っている。その内容は主に埋伏過剰歯抜去,埋伏永久歯開窓・牽引,粘液嚢胞摘出,歯牙腫摘出,上唇小帯・舌小帯切除等である。今回著者らは,当科での外来外科手術について,画像および手術所見により臨床統計的検討を行った。対象は,2003年1月から2006年10月までの3年10か月間に,外来手術を目的に当科を受診した患児のうちエックス線写真,診療記録の資料が揃っている114名とした。外来外科手術の患児のうち,男女比は2対1と男児に多くみられた。手術内容については埋伏過剰歯抜去が全体の6割を占めていた。そこで,埋伏過剰歯抜去の内容について詳細に検討しところ,部位的には,上顎前歯部に最も多くみられ,萌出方向は逆生歯が8割であった。男女比は5対1で男児に多く,摘出時の平均年齢は7歳4か月であった。さらに,パノラマエックス線写真より過剰歯の位置関係の分類を行った。その結果,著者らが示した埋伏過剰歯の深度分類における深度1級(図5参照)においては,ほぼ全ての症例で骨削除が必要であった。また抜歯の難易度の判定としてこの分類が有効であることが示唆された。外来外科手術をおこなう際の術前診査において,抜歯等の歯科治療経験のない患児に行う採血(血液検査)は術中での協力状態をみる上で有効であった。血液検査において白血球増多症などの血液所見の異常をみつけることがあった。血液検査を行えない患児は手術の時期を延期するなどの措置をとり,比較的協力状態の良好な患児に絞って処置を行ったことは,時間の短縮につながったと言える。
  • 松本 大輔, 広瀬 弥奈, 八幡 祥子, 福田 敦史, 水谷 博幸, 藏口 潤, 広瀬 公治, 五十嵐 清治
    2007 年 45 巻 4 号 p. 494-502
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,S村保育所4か所の小児(3~5歳)を対象とした歯科健診事業を1986年から行っている。1986年の3歳児の齲蝕有病者率(df者率)は高い値を示し,1994年においても同様だった。そこで1996年度からは歯科健診およびフッ化物歯面塗布を年2回から3回に変更した。そこで,その効果について検討することを目的に,2002年度から2004年度までの3年間の齲蝕有病状況について調査し,前回調査した1986年,1994年の値と比較検討した。また,生活習慣について質問紙調査を行い,今後の啓蒙活動に必要な項目について,オッズ比による順位づけを行った。その結果,
    1.df者率は,2002年度に比較して,2003,2004年度では3歳児から5歳児の全ての年齢で減少していた。
    2.歯科健診およびフッ化物歯面塗布が年2回の1986年,1994年に比較して全ての年齢で,df者率は減少していた。
    3. 2002年度の3歳児のうち,3年間歯科健診およびフッ化物歯面塗布を行った32人では,df者率は3歳で53.1%。1年後の4歳児では68.8%,2年後の5歳児では71 .9%に増加していた。
    4.質問紙による調査では,「ガム・チョコレート・キャラメルをよく食べますか」「ジュースや清涼飲料水をよく飲みますか」の2項目でそれぞれ危険率5%,1%で齲蝕の有無とこれらの要因が関連していることが明らかとなった。それぞれのオッズ比は6.07 ,3.52であった。
  • 平野 慶子, 尾形 小霧, 岡崎 好秀, 木村 有香, 下野 勉, 山岸 敦, 押野 一志
    2007 年 45 巻 4 号 p. 503-509
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    定期健診中に初期齲蝕を認めた患者14人37歯(平均開始年齢11歳10か月)について2剤型歯磨剤の使用を含む口衛生指導を行い,初期齲蝕の変化を観察するため初期齲蝕の大きさを表す面積と脱灰深さを表す輝度の測定を行ったところ,以下の知見を得た。
    1. 対象集団の開始直前時の平均カリオスタット値は1.8,対象歯はすべて永久歯前歯であり上顎中切歯が62%,上顎側切歯が22%であった。
    2. 1歯あたりの初期齲蝕の広がりを意味する脱灰部面積は開始直前時の平均値は7.4mm2,最大値は34.3mm2最小値は1.1mm2であった。開始直前時と1回目定期健診時,開始直前時と2回目定期健診時,開始直前時と3回目定期健診時において有意な差を認め,いずれも健診が進むに従い脱灰部面積は低下した。
    3. 1歯あたりの脱灰深さを意味する脱灰部相対輝度における変化は開始直前と他の定期健診時においてはいずれも有意な差を認めなかった。
  • 丸山 明華, 松根 健介, 荒井 清司, 渋谷 功, 山内 隆弘, 西山 典宏, 前田 隆秀
    2007 年 45 巻 4 号 p. 510-515
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Nd-YAGレーザーは,齲蝕予防,根管治療,軟組織の切開などに歯科臨床に応用されている。また,Nd-YAGレーザーに酸化チタン懸濁液を併用することでNd-YAGレーザー単独よりエナメル質や象牙質が効果的に削除できることを報告した。しかし,酸化チタン懸濁液は齲蝕部に停滞させることは困難であり臨床応用は難しい。本研究では,齲蝕部への停滞性が良好な酸化チタンペーストを用いてNd-YAGレーザーを齲蝕部に照射し,容易に齲蝕部を除去できるかといった臨床応用を前提に健康象牙質と脱灰象牙質で検討した。
    その結果,酸化チタンペーストを介在させた場合,コントロールであるグリセリンと比較して有意に切削量が増え,さらに酸化チタンの含有量依存的に健全歯質,脱灰象牙質ともに削除量は増加した。
    臨床においては,齲蝕歯質の選択的な削除が求められる。すなわち齪蝕歯質は効果的に削除でき,健全歯質の削除は可及的に抑えることが求められる。両面を完全に満足することは難しいが,酸化チタン濃度が10%~20%の濃度を用いることによって両面を考慮した臨床応用できると考えられた。
  • 小川 京, 許田 依里, 池松 奈々, 宮本 桃江, 岡本 春憲, 清水 邦彦, 前田 隆秀
    2007 年 45 巻 4 号 p. 516-520
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,系統間で咬耗程度が異なるC57BL/6およびC3H系統マウスを用いて,咬耗の関連因子を検討することにより,咬耗原因因子の解明を目的とした。
    2系統マウスを2種類の飼料(固形標準食および粉状高脂食)により2群に分け,実験開始の21日齢から飼料を与え,240日後に下顎骨を摘出した。これらを用いて,以下の3点について検討した。
    1.固形・標準食群の下顎角は,C57BL/6系統よりもC3H系統の方が有意に小さかった。このことから,C3H系統の方が強い咬合力を有する可能性のあることが示唆された。
    2.粉状・高脂食群の咬耗面をSEM撮影したところ,露出象牙質面がC57BL/6系統で滑らかだったのに対し,C3H系統は粗造であり,系統間で歯質が異なると考えられた。
    3. 90日齢の固形・標準食群マウスにピロカルピンを投与し,3分間に採取された唾液量を測定した。C57BL/6系統よりも,C3H系統の方が有意に多く,唾液と咬耗について今後検討する必要があると考えられた。本研究より,咬耗は下顎角および歯質との関連が示唆された。
  • 倉重 多栄, 広瀬 弥奈, 八幡 祥子, 松本 大輔, 九津見 茂子, 五十嵐 清治
    2007 年 45 巻 4 号 p. 521-530
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤の使用状況を把握するために,本学近隣小学校の1~6年生の児童181名を対象に,質問紙による調査を行い,以下の結論を得た。
    1.フッ化物配合歯磨剤の使用割合は,本研究対象者全体の82.3%で,健康日本21の学齢期における目標値である90%に7.7ポイント少なかった。
    2.歯磨剤の使用量は,歯ブラシの刷毛部の「1/3~2/3」が46.8%と最多を示したが,「1/3まで」と答えた者も43%であった。これらの量は,6歳以上の小児への適正使用量より少ないと判断された。また,高学年になるほど歯磨剤を「子供自身」でつける者が多かった。
    3.洗口回数については,2回以内が推奨されているが,「3回」と答えた者が70.3%と最多を示した。
    4.歯磨剤を選択する理由(複数回答)としては,「虫歯予防のため」が22.2%,「フッ素が入っているから」が18.4%であり上位を示した。
    5.歯磨剤を使用していない保護者では,「今まで使用したことがない」,「泡立ちにより長く磨けない」との理由が多かった。
    以上のことより,今後の齲蝕予防を推進するに当たっては保護者のみならず学齢期の小児に対してもフッ化物配合歯磨剤の使用を強力に推奨するとともに,正しい使用法を啓蒙していく必要性が示唆された。
  • 八幡 祥子, 広瀬 弥奈, 福田 敦史, 松本 大輔, 九津見 茂子, 五十嵐 清治
    2007 年 45 巻 4 号 p. 531-535
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    プラーク酸産生能の部位特異性を明らかにすることを目的として,上顎前歯部唇側面(UAB)および下顎前歯部舌側面(LAL)から採取したプラークに10%スクロース溶液を添加し,経時的にpHを記録した。この結果から,酸産生能を算出し,部位の差の有無について比較検討した。
    1.初期pHでは有意な部位の差を認め,LALがUABよりも高かった(p<0.01)。
    2.酸産生能は,UABがLALよりも有意に高かった(P<0.01)。以上より,UABのプラークはLALと比較して酸産生能,すなわち齲蝕誘発能が高かった。
  • 吉田 光秀, 工藤 理子, 真柳 秀昭
    2007 年 45 巻 4 号 p. 536-540
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    出産歯抜去後に硬組織を含むエプーリスを認めた症例を報告する。患児は初診時生後44日齢の女児で,出生時,下顎乳中切歯相当部に2つの歯牙様の硬組織が認められ,左側の歯牙様の硬組織は生後3日目に小児科にて抜去された。その後同部位に粘膜腫瘤がみられ精査のため当科を受診した。初診時,右側乳中切歯相当部に出産歯と思われる歯牙様の硬組織がみられ,左側乳中切歯相当部には有茎性の粘膜腫瘤がみられた。哺乳障害等は認められず,経過観察を行った。生後約2か月半時,腫瘤内に歯牙様の硬組織がみられ,生後8か月時に腫瘤部分から出血することがあるため,粘膜腫瘤を切除摘出し,生後3日目に抜去された歯牙様の硬組織とともに病理組織検査を行った。生後3日目に抜去された歯牙様の硬組織は,臨床所見および病理組織学的所見より出産歯と診断された。
    出産歯抜去後に認められた粘膜腫瘤は病理組織学的所見より肉芽腫性エプーリスと診断され,出産歯抜去後の刺激により同部位に炎症性反応が起こり発現したものと考えられた。
    エプーリス部にみられた歯牙様硬組織には不規則な象牙細管構造,骨様セメント質が認められ,出産歯抜去後に残存した歯乳頭あるいは歯髄に連続する下方の組織に象牙芽細胞の分化がおこり,骨様象牙質,骨様セメント質の形成が行われたと考えられた。
    先天性歯の自然脱落あるいは抜去後にはその部位に歯牙様の硬組織がみられることがあるので,その後の経過観察が重要である。
  • 山田 亜矢, 福本 敏, 藤原 卓, 野中 和明
    2007 年 45 巻 4 号 p. 541-545
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天性胆道閉鎖症は新生児,乳幼児に多くみられる疾患で現在では生体肝臓移植が行われるケースが増えている。これまで先天性胆道閉鎖症に関してはビリルビンによる緑色の着色歯,肝臓移植のために使用する免疫抑制剤による歯肉増殖症や顔面多毛症,口唇ヘルペスなどの歯科的報告はあるが,過剰歯についての報告はない。今回著者らは3歳11か月の時に生体部分肝臓移植を受けた9歳10か月の患児の下顎小臼歯部に多発性の埋伏過剰歯が認められた症例を経験した。
    そこで生体肝臓移植後,免疫抑制剤による副作用や易感染性およびエナメル質形成不全に関しての歯科的管理だけでなく,過剰歯に関する観察が必要であることが示唆された。
  • 稲田 絵美, 齊藤 一誠, 石谷 徳人, 岩瀬 陽子, 山崎 要一
    2007 年 45 巻 4 号 p. 546-551
    発行日: 2007/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列期の前歯部反対咬合や交叉咬合は患者が主訴として訴える咬合異常の中でもその割合が比較的高い。乳歯列期の咬合異常に対する早期治療については意見の分かれるところであるが,当科では,早期の対応がその後の顎顔面頭蓋の成長発育を良好に導くことができること,口腔領域の機能障害を増悪させる因子の除去が可能であること,そして患者や保護者の要望に対し可能な限り対応するという小児歯科医療の基本的な姿勢のもとに,早期治療を行う場合が多い。
    今回著者らは,年齢的に装置使用が困難な1歳5か月の幼児の乳切歯交叉咬合について,口蓋側へ傾斜し逆被蓋となっていた上顎乳切歯のヘラ押し指導で対応した。その結果,5週間の指導期間で乳切歯部の被蓋は改善した。ヘラ押し指導終了後は患児の歯や顎の成長発育に伴い,上顎歯列の形態が是正され,乳切歯部を正常な被蓋へ導くことができた。指導開始後26週では正常な咬頭嵌合位と正常な被蓋を維持し,良好な結果が得られた。
    本症例を通して,早期に発現した歯列咬合の異常に対し,小児の発育段階に応じた効果的な対応を図ることにより,顎顔面形態の正常な成長発育,正常な咬合機能の発達へと導くことが可能であると考えられた。
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