小児歯科学雑誌
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46 巻 , 3 号
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  • 諸星 弘世, 鶴山 賢太郎
    2008 年 46 巻 3 号 p. 321-329
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    片側性の顎関節に顎関節症状を訴えた患児80名について,臨床診断ならびにMR画像検査から症状側ならびに無症状側における関節円板の前方転位の有無,前方転位の程度,変形の有無,開口時における復位の有無との関係について評価を行った。
    その結果,9歳9か月から15歳11か月の80名の片側性顎関節症状を訴える患児は,女児では9歳から,男児では11歳から認められ,15歳まで増齢に伴い増加した。患児の顎関節MR画像において,症状側のみに関節円板前方転位が認められたのは31名(38.8%),両側に認められたのは40名(50.0%),無症状側のみに認められたのは2名(2.5%)であり,80名中73名(91.3%)に関節円板前方転位が認められた。症状側における関節円板前方転位は,80関節中71関節(88.8%),無症状側では,80関節中42関節(52.5%)に認められた(p<0.01)。
    関節円板の変形は,症状側では80関節中,44関節(55.0%),無症状側では80関節中,27関節(33.8%)に認められた(p<0.05)。
    本研究から,片側性関節円板前方転位を認める小児の無症状側における関節円板前方転位は,症状側と比較すると軽度の関節円板前方転位が多く,関節円板の変形が少なく,開口時の関節円板の復位が多いことが明らかとなった。
  • 天井 砂波里, 清水 武彦
    2008 年 46 巻 3 号 p. 330-335
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    SMXAリコンビナント近交系(RI)マウスを用い,上顎第一臼歯の顎骨に対する前後的位置を規定している遺伝子の探索を,量的形質遺伝解析(QTL解析)法にて行った。23系統のSMXA RIマウスの骨格標本を作製し,上顎骨の切歯孔前縁と蝶形骨基底部後縁の距離に対する切歯孔前縁から上顎第一臼歯近心歯頸部までの距離の割合(以下:上顎第一臼歯の上顎骨前方からの割合)を求めた。この割合は23系統内で0.350~0.389の範囲にあり,すべての系統において同一系統内での変動係数が極めて小さかったことから,上顎第一臼歯の前後的位置は遺伝要因により強く支配されていることが示唆された。また,23系統の上顎第一臼歯の上顎骨前方からの割合は最小値と最大値の範囲内で分布に偏りがない連続的な値を示したため,量的形質値とした。QTL解析ソフトMap Manager QTXbを用いて,過去に報告されているStrain Distribution Pattemと量的形質値とを指標とし,全染色体を対象にQTL解析を行った。その結果,第18番染色体の遠位に位置するマーカーD18Mit7でLODスコアが雄雌ともに有意な値を示した。この結果から,上顎第一臼歯の前後的位置を規定する遺伝子が第18番染色体の遠位に存在する可能性が示唆された。
  • 平川 貴之, 壺内 智郎, 森裕 佳子, 堀 雅彦, 玉川 秀樹, 松村 誠士, 下野 勉
    2008 年 46 巻 3 号 p. 336-341
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    岡山大学小児歯科外来は1984年4月の開設以来,地域歯科医療に貢献し,現在に至っている。その間,小児の口腔を取り巻く環境や患者の歯科医療に対する要望など変化していると思われる。著者らは,その変化を十分に把握し,適切に対応しなければならない。今回,当科における初診患者の現在と過去の実態の変動を把握するため,2006年の初診患者を現在の実態として調査するとともに開設時の1984年と開設後10年目となる1993年の初診患者を過去の実態として調査し,現在と過去との比較検討を行い,以下の結論を得た。
    1.初診患者数は,1984年の開設から1980年代後半にかけて増加した。1990年代前半は減少を認めたが,1990年代後半以降は著しい変動を認めなかった。
    2.主訴は,齲蝕の占める割合が未だに高いが,近年その割合は減少している。6歳未満の患者では予防・精査を主訴とする割合が増加し,6歳以上の患者では咬合・歯列不正の割合が増加した。
    3.全身疾患・発達障害を有する患者の割合は増加した。
    4.本学病院および学外の医療機関(歯科,医科)から紹介された患者の割合は増加した。
    5.患者の居住地域は,岡山市内の割合は高いが,近年では減少傾向にあり,岡山市以外の割合が増加した。
    6.当科受診前に歯科治療経験がなかった患者の割合は増加した。6歳未満の患者では,約70%が当科受診前に歯科治療経験がなかった。
  • 金子 かおり, 坪倉 亜希子, 辻野 啓一郎, 望月 清志, 大多和 由美, 藥師寺 仁
    2008 年 46 巻 3 号 p. 342-346
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    最近の大学病院小児歯科の実態調査をみると,3歳未満の受診患児が増加しているとする報告が多く,3歳未満の低年齢児の占める割合は高くなりつつあると推測される。3歳未満は乳歯萌出期に相当する重要な時期であるが,歯科治療適応年齢は3歳以上とされており,それ以下の年齢での治療は困難なことが多い。
    そこで,大学病院小児歯科における初診時年齢3歳未満の低年齢児について,来院動機(主訴),来院経緯などを詳細に把握,検討する目的で,平成11年1月からの5年6か月間に,東京歯科大学水道橋病院小児歯科に来院した3歳未満の初診患児を対象に実態調査を行い,以下の結論を得た。
    1.対象患児の最低年齢は生後1か月であった。患児数は1歳6か月以上2歳未満が最も多かった。
    2.来院動機は齲蝕処置が最も多く,次いで外傷であった。齲蝕処置を希望して来院したものは1歳6か月以降で増加し,外傷は6か月未満を除く各年齢階級でみられた。他の来院動機も含め小児歯科専門医での診断,処置が望ましいと考えられるものがほとんどであった。
    3.来院経緯は,「紹介なし」と「開業歯科医から紹介」が,それぞれ約3割程度であった。
    4.居住地域としては東京23区内が最も多かった。
    低年齢で大学病院小児歯科に来院する患児は,小児歯科専門医による診断,治療や長期管理が必要な症例が多く,専門医療機関である大学病院小児歯科の役割は重要であると考えられた。
  • 柏村 晴子, 柳田 憲一, 久保山 博子, 馬場 篤子, 中川 功子, 尾崎 正雄, 本川 渉
    2008 年 46 巻 3 号 p. 347-353
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    現在,根未完成永久歯の根管治療は,アピカルバリアにより根尖孔の閉鎖を促すアペキシフィケーションが一般的である。しかし,アペキシフィケーションによって,根尖孔閉鎖にかかる期間は症例によって様々である。そこで,本学小児歯科外来において,アペキシフィケーションを施し,固形根管充填まで至った根未完成永久歯について,根尖孔閉鎖期間に影響を与える因子を検討したところ,以下のことが明らかになった。1.臼歯部より切歯部の方が,根尖孔閉鎖に長期間を有した。2.歯内療法開始から糊剤による暫間的根管充填までの期間が短いほど,根尖孔閉鎖が遅い傾向が認められた。3.糊剤根管充填剤の交換間隔が短いほど,根尖孔閉鎖が早い傾向が認められた。
  • 堀川 康弘, 河田 正江, 冨永 真澄, 坂下 かやの, 龍珠 美子, 板垣 優美, 浅里 仁, 井上 美津子
    2008 年 46 巻 3 号 p. 354-359
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    少子化や小児齲蝕の減少,さらには歯科医院の増加により,地域の中核病院である大学病院へ紹介される患者の特徴も変わってきていることが予測される。そこで著者らは,地域歯科医院と大学病院との医療連携のあり方を熟慮することを目的に,当科への紹介患者の実態について調査・検討を行った。対象は,2003年から2006年までの4年間に,本学小児歯科を受診した初診患児のうち,診療情報提供書あるいは紹介状を持参した620名とした。その結果1.紹介患者数は年々増加傾向を示し,紹介年齢の多くは3歳から4歳代で,8歳までが紹介の大半を占めていた。2.紹介理由は3歳代までは齲蝕・外傷が多く,6歳代以上でも齲蝕が半数を占めていたが,年齢の増加に伴い萌出・咬合に関する相談が増加し,外傷は減少していた。3.紹介元の9割が一般開業歯科医院を占め,開業歯科医院の6割が近接地域に所在していた。4.紹介された症例は,低年齢でコミュニケーションのとりにくい小児の齲蝕治療や,外傷・外科処置といった専門的な知識・技術が必要なものが多かった。今後は,紹介元との治療後管理や特殊症例の対応について協議することで,病診連携の向上を図る必要性が示唆された。
  • 小平 裕恵, 本強矢 直子, 藤橋 あすか, 井出 正道, 大野 紘八郎, 朝田 芳信
    2008 年 46 巻 3 号 p. 360-366
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯内歯は,歯冠部の象牙質の一部が表層のエナメル質とともに歯髄腔内に深く陥入した形態異常歯であり,エナメル質形成前に内エナメル上皮の一部が歯乳頭内に深く侵入,増殖したことにより生じたものと考えられている。出現部位は上顎側切歯に多く,まれに小臼歯,大臼歯,乳前歯,過剰歯にも認められることがある。歯内歯の出現率は報告者や歯種によりまちまちではあるが,0.04~10%と報告され,性差はないとされている。本症例のように下顎第二小臼歯に歯内歯がみられることは稀である。本症例は,下顎右側頬側歯肉の腫脹を主訴に来院した12歳の女児の症例報告であり,視診から当該歯の歯冠幅は大きく,咬合面に中心結節破折様の象牙質の露出がみられた。エックス線画像所見より,根尖部に透過像とともに歯内歯様構造物が認められた。当該歯の長期間にわたる感染根管治療および修復処置と,その後の臨床経過から以下のように結論づけられた。臨床上,口腔内診査およびエックス線画像より歯内歯が疑われた場合には,形態異常歯である歯内歯の根管治療が技術的に非常に困難であることから,小窩裂溝填塞などによる歯髄への細菌感染の予防を第一選択とし,且つ継続的な経過観察を行う必要がある。さらに歯髄感染の徴候がみられた場合には出来るだけ早期に歯内療法を施すことが肝要である。
  • 湯浅 真理, 山田 亜矢, 岩本 勉, 福本 敏, 野中 和明
    2008 年 46 巻 3 号 p. 367-372
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の癒合/癒着は,小児歯科の臨床で認められる発症頻度の高い歯の形態異常のひとつである。健常児における癒合歯/癒着歯発現部位の大半は下顎乳前歯部であり,下顎乳臼歯部の癒合歯/癒着歯は稀である。今回,当科で定期管理中の唇顎口蓋裂児の2症例に,下顎右側乳臼歯部の癒着歯あるいは癒合歯を認めた。
    唇顎口蓋裂児は,裂隙の存在または骨欠損による口腔前庭欠如のため,ブラッシングが困難であり,プラークコントロール不良傾向にある。加えて,エナメル質形成不全等の歯の形成異常も多いことが知られている。これらの理由で,健常児と比較して齲蝕罹患率が高いとされてきた。さらに今回,顎裂との関連性がほとんどないように思われる下顎乳臼歯部にも癒着歯あるいは癒合歯が出現することが明らかとなった。これらのことから,唇顎口蓋裂児の歯科的定期管理を行う際このような特徴を考慮した積極的齲蝕予防処置を継続して行っていく必要性が示唆された。
  • 奥 猛志, 井形 紀子, 堀川 清一, 重田 浩樹, 山崎 要一
    2008 年 46 巻 3 号 p. 373-377
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らの開発した,脱灰・再石灰化時間の割合を算出する齲蝕予防管理ソフトを用い,初回齲蝕活動性試験時の脱灰時間の割合と1年間の新たな齲蝕発症との関係を評価することで,齲蝕発症予測のための基準値を設定できるかについて検討した。
    対象患者は158名(男児74名,女児84名)平均年齢6歳3か月(3歳~14歳)である。安静時唾液pH(ORAL pH TEST),カリオスタット®値,唾液緩衝能(シーエーティー21バフ),飲食の回数,年齢,フッ化物の使用状況の6つのリスク因子から脱灰時間の割合を算出する齲蝕予防管理ソフトを用い,得られた脱灰時間の割合と1年間に発症した齲歯数との関係について分析した。統計解析にはSpearmanの順位相関ならびにStudentのt検定を用い,以下の結果を得た。
    1年間で新たに発症した齲歯数と初回検査時の脱灰時間の割合との間に正の相関が認められた。また,1年間に新たな齲蝕が発症しなかった患者の脱灰時間の割合は19.3%であり,新たな齲蝕が発症した患者の23.6%と比較して有意に小さかった。これらの結果から,脱灰時間の割合が19%以下になるように口腔環境を改善することで,1年後の新たな齲蝕発症が抑えられる可能性が示され,脱灰時間の割合19%が齲蝕抑制の基準値となると考えられた。
  • 小林 義樹, 梁瀬 由紀, 遠藤 敏哉, 下岡 正八
    2008 年 46 巻 3 号 p. 378-383
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    管楽器吹奏は,楽器を口に街えて吹奏するため,成長期に顎顔面形態と口腔周囲組織に大きな影響を及ぼす。今回著者らは,成長期にある不正咬合者が,顎関節症状の発現と咬合状態の悪化の原因に,1年2か月間の管楽器吹奏が著しく関係していると考えられる症例を経験した。不正咬合と管楽器吹奏の関係性を提言することは,歯科医学的に有意義である。管楽器吹奏と成長期にある顎顔面形態の関係を,形態的,機能的に検討することを目的として,本報告を行った。
    本症例は,管楽器吹奏により,上顎前歯の唇側傾斜,下顎前歯の舌側傾斜,下顎下縁平面角の急傾斜,下顎枝高の減少,オトガイ部の後退および口蓋平面の前方部の上方への湾曲が生じたと推察する。
    成長期にある不正咬合者は,管楽器吹奏を開始する前に,上下顎骨の偏位を改善する早期治療と楽器の種類を慎重に選択する必要があると考える。
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