焼津地区の小中学生の身体計測, 筋力測定並びに運動能力テストを行つた結果大要次のような成績を得た。
1) 同県修善寺地区に比較して体型はずんぐり型である。長育及び幅厚育の年令別増加率は修善寺地区と殆んど同じであるが, 比上肢長値が高学年になつて増加してくる点が異つており, 長管状骨発育の遅れが推定される。
2) 幅厚育値及び筋力も一般的に修善寺地区より劣つている。
3) ステップテスト点は6~11才までは年令差も性差もなく65~70点である。男子では12, 13才でも11才以前と同等であるが, 女子では12, 13才は著しく低下55点前後となる。14才では男女ともそれ以前に年令よりもすぐれた値を示し75点前後となる。女子12, 13才の著明低下は比体重値及び体重/下腿囲比の当年令における急激増加と関係があると推定され, 13才以前の児童におけるステツプテスト点の意味は下肢筋群に対する重量負担度の凾数的なものが主であると思われる。
4) 時間肺活量の1秒率, 2秒率, 3秒率には6~14才の範囲で性差, 年令差は認められないが, 1秒率は成人値より称々劣つている。最大呼出速度の原法による測定法を11才以下の年令に摘用することについては疑問がある。
5) 垂直跳は男子では年令と共に増加するが女子では11才以降あまり増加しない。
6) 懸垂屈腕回数, 懸垂持続時間いつれも男子では年令に従い増加するが, 女子の懸垂持続時間は12才以降に低下する。
7) 懸垂持続時間×体重値の6才から14才までの増加率は女子は男子の約2/1である。
8) 垂直跳×体重値の6才から14才までの増加率は女子は男子の約3/2である。
9) 運動能力性差は13才以降で著明となる。
抄録全体を表示