体力科学
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21 巻, 4 号
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  • 吉沢 茂弘
    1972 年 21 巻 4 号 p. 161-175
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    1.皮脂厚は男子, 女子ともに都市が農村よりも大きい。
    2.PWC170 (kpm) においては男子ではすべての年令で有意差が認められなかった。しかしPWC170 (kpm/kg) に換算してみると12才以降有意差をもって農村が都市を上回わった。
    一方女子では11才までは都市が農村を上回る傾向を示したが, 13才以降になるとPWC170 (kpm/kg) において農村が都市を有意に凌ぐようになった。
    3.Vo2max. (ml/kg) に関しては, 男子の場合15才以降になって有意に農村が都市を上回わっている。これは女子についてもいえるが, 17才では有意差が認められなかった。
    4.dPWC170 (kpm) /△Body weight (kg) において, 男子は農村の場合都市の2倍の勾配を示したが, 女子は12才から14才のグループでわずかに高いだけで, 他のグループでは差がなかった。
    5.△Vo2max. (1) /△Body weight (kg) においては, 男子の場合PWC170と同様農村が都市よりも高い勾配を示したが, 女子の場合殆んど差がみられなかった。
    6.相対成長においてPWC170 (kpm) についてみると, 男子の場合変移点における身長が都市と農村でそれぞれ157.1cm, 156.4cmというように殆んど差がなく, そしてこの変移点までのαは3.744, 4.968というように農村が圧倒的に高かった。女子の場合都市には変移点がみられず, α=2.537であったが, 農村では男子よりもほぼ10cm小さいh=145.3cmで変移点がみられ, その前, 後のαは6.303, 3.263であった。
    7.同じくVo2max. (1) についてみると, 男子の都市と農村における変移点はそれぞれ155.6cm, 163.7cmで, 農村が身長で都市8.1cm大きい所で変移点をむかえている。変移点までのαは都市が4.147, 農村が3.818であり, 変移点をすぎると2.180, 2.000であった。女子の場合は都市で変移点がみられずa=2.838であったが, 農村においては身長146.9cmで変移点がみられ, その前, 後のαは4.220と3.029であった。
    本研究は文部省特定研究「IBP: ヒトの適応能に関する研究」のうち「日本人青少年の有酸素的作業能に関する研究」と題して昭和45年, 46年の2ケ年にわたり行なわれた研究の一部である。稿を終るにあたって恩師故猪飼道夫先生の御指導と文部省ならびに御協力いただいた関係学校職員, 児童生徒に対して深く感謝いたします。
  • 倉田 博
    1972 年 21 巻 4 号 p. 176-182
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    運動単位の特性を検討することを目的として, 人のm.vastus medialisの単一運動単位の放電を筋内埋入電極でとらえて膝関節伸展張力と同時記録し, 次のような結果を得た。
    1) 徐々に張力を増大させ, ブラウン管の現象波形を見て張力を減少させる時, 単一のスパイク放電が54.5~86.2%の割合で記録された。
    2) ほぼ一定の張力を保持する時, 単一運動単位のスパイク放電が90分以上持続する例が記録された。
    3) 単一運動単位の最初のスパイクが発現する時の張力を約15秒の間隔で記録すると, 30~60分間にわたって多少の動揺を示しながらもほぼ特定張力値を示すunitが多く観察された。
  • 倉田 博
    1972 年 21 巻 4 号 p. 183-187
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    筋力調節機序の一断面を解明することを目的として, ヒトの内側広筋の単一運動単位の放電を筋内埋入電極でとらえて膝関節伸展張力と同時記録し, 運動単位の特性について2, 3検討を加えた。
    1) τ-S関係において, K, Tunitの間に中間的なunitが区別された。
    2) 15秒間隔で測定した各運動単位の活動に参加する時点の張力の平均値とその標準偏差との関係はほぼ正比例関係にあった。そしてKunitが相対的閾値の低いところに位置し, T及びMunitが高いところにも存在した。
    3) 相対的閾値の平均値と単一スパイク放電の発現する頻度との間には一定の規則性は見られなかったが, KunitはTunitよりも幾分発現頻度が小さい傾向が見られた。
    4) 2~10kgの張力を3~10分間負荷することによって相対的閾値及びその標準偏差は一般に減少傾向にあった。また, その張力負荷によって単一スパイクの発現頻度も減少傾向を示した。
    擱筆に当り, 終始御懇篤なる御指導, 御校閲を賜わった名取教授に深甚の謝意を表する。
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