体力科学
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27 巻, 2 号
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  • 永見 邦篤
    1978 年 27 巻 2 号 p. 45-55
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    筋力発揮における反動々作の役割を, 運動速度ならびに筋パワーを指標として検討した一1運動には, 肘関節を支点とした上肢の伸展一屈曲動作を用いた。被検者は健康な成人男子4名, 負荷は最大屈腕力の10%と30彩とした。反動々作は3つの条件で行なわせたが, 屈曲動作はいずれも最大努力で行なわせた。おのおのの条件はつぎのごとくである。
    Type Iは装置のギヤーが停止状態の時, 上肢を脱力させておく, ついで検者がストッパーを解除すると同時に負荷の落下を停止させる筋活動を行い, つぎに素速く屈曲動作に移行する。
    Type IIはそれぞれの負荷を肘関節90°で支持し, 一時的に上腕二頭筋の活動を消失させて伸展する。
    Type IIIはIIと類似していたが, 筋活動を消失させないで伸展する緩慢な動作であった。
    また, 拮抗筋として上腕三頭筋の筋電図を記録し, 各Typeの特徴を検討した。
    各Typeで伸展角度の大きさに違いがあるので, それぞれに対応した肘関節角度から屈曲動作のみを行なわせ対照とした。
    (1) 筋パワーはType IIIがI, IIに比較して大きくなる傾向を示した。対照に対する増減率でも, 同様な成績を認めた。
    (2) 立ち上り速度は, Type間に明らかな差異が認められなかった。対照との比較では, 10%P0においてTypeH, 30%P0ではType IとIIが有意に速くなる例がみられた。
    (3) 伸展速度は, Type II, I, IIIの順に速かった。TyperIIとIIIでは, 同一被検者の場合10%P0と30%P0がともに近似した値を示したのに比べ, TypeIでは30%P0の方が10%poより速く, 他のTypeとは異なる成績を示した。
    (4) Type IIの伸展動作時の筋電図に, 2つのパターンが認められた。ひとつは上腕三頭筋を積極的に活動させて上腕二頭筋の活動を抑制する例, 他の1つは拮抗筋をともに弛緩させる活動様式であった。後者の筋活動を示したものは, 伸展速度が速い傾向にあった。
    (5) Type IIの伸展動作に対応させて弛緩動作を行なわせ, おのおのの動作時の筋電図を検討した。弛緩動作は等尺性に10%P0と30%P0の筋力を発揮させ, ついで随意に脱力して肘関節を伸展させる方法である。この時, 上腕三頭筋の活動が完全に消失しないものとするものがいた。消失しないものは, 反動々作の伸展時に上腕三頭筋を積極的に収縮させる傾向が認められた。拮抗筋をともに弛緩させたものは, 反動々作においても同様な弛緩状態を示した。
    反動々作にみられる主運動に先立つ逆方向への動作は, 主運動の口的に応じて, その速度ならびに筋活動が異なってくるものと考えられる。筋の弾性要素や, 伸張受容器への伸張効果が, 逆方向への動作の行い方により異なってくるとすれば, 相反神経支配に依存した筋活動, あるいは拮抗筋をともに弛緩する方法を適切に利用しうることも重要なことと考えられる。
    以上, 機敏な動作ならびにある時点で最大の筋力を発揮しようとするための有効な反動々作について, 2, 3の成績を得た。
  • 山田 敏男, 佐藤 尚武, 田中 信雄, 千賀 康利, 長谷川 豪志, 辻 忠, 堀 清記
    1978 年 27 巻 2 号 p. 56-63
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    Physiological responses to heat and heat tolerance were examined in summer and winter on 13 male athletic university students and male nonathletec university students. After staying for 30 min. in a climatic chamber maintained at 30°C with 70% relative humidity, sweating reaction was examined far 90 min, by immersing both legs up to the knees in a stirring water bath of 42°C.
    Both groups showed significantly greater sweat volume, significantly lower Na concentration in sweat and considerably lower rise in rectal temperature and less increase in heart rate in summer than in winter. In both seasons, athletes showed smaller volume of sweat, lower Na concentration in sweat, lower rise in rectal temperature and less increase in heart rate than nonathletes.
    It is concluded that heat tolerance of athletes was superior to that of nonathletes when assessed by our heat tolerance indices and this superior heat tolerance of athletes could be explained due to a result of physical training. Heat tolerance index, representing the magnitude of physiological strain in the body induced by heat load, was modified by using relative increase in heart rate in place of salt loss. It can be said that the modified heat tolerance index is useful as a substitute of the original heat tolerance index in field studies.
  • 小郷 克敏, 新立 義文, 野見山 俊一, 松元 尚大, 緒方 昇, 井本 岳秋, 瀬井 起生, 澤田 芳男
    1978 年 27 巻 2 号 p. 64-72
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    オリンピック出場候補女子ハンドボール選手14名の12分間走前後における尿中成分の変動と走速度, 脈拍数変動との関係などを検索し, つぎのような結論を得た。
    1) 12分間の走行距離は2385mから3050mまでの範囲にあり, 平均値は2830.4±196.6mである。
    2) 走後の脈拍数の回復は5分頃までは速いが, 以後は緩やかに低下し, 30分後でも走前レベルよりかなり高い例が多い。
    3) 尿量は走前より走後に明らかな減少を示している。
    4) 尿中pyruvateおよびlactateは走行中を含む1時間後尿で非常に多量排出され, 以後回復している。Pyr/CreatおよびLac/Creatでみても同様な傾向を示している。
    尿中Pyr/Creatの走前後比は走速度が230m/分以上では走速度と正の相関関係を示し, 30分後の脈拍数回復率が60%以上では明らかな負の相関関係が認められ, 走速度が速く酸素負債が大きくてエネルギー産生に無酸素的要素が多いほど尿中pyruvateの排出が多くなることを示唆している。
    5) 尿巾citrateは走直後明らかな減少を示し, 2時間後尿ではかなり回復している。
    Cit/Creatでも走直後に低値を示しており, 単純な腎クリアランスの低下による変化ではなさそうである。
    6) 尿中creatinineは走後1時間尿では減少する傾向があり, とくに尿巾pyruvateが50μg/ml以上では無酸素的要素が多くなるにつれてcrea-tinineは低濃度を示す明らかな負の相関関係が認められ, この状態においては腎のクリアランスの低下があるもののようである。
  • 小郷 克敏, 井本 岳秋, 野見山 俊一, 澤田 芳男
    1978 年 27 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    運動性タンパク尿の発生要因を追究するため・大学陸上競技部に所属する, 19歳から21歳までの4名の選手の10マイルロードレース前後における尿中諸物質の排出変動ならびに尿中タンパクの組成を酵素 (LAPおよびγ-GTP) 活性の変動としてとらえ, つぎのような結論を得た。
    1) 運動中および回復初期では尿中Creat, 尿酸, 尿素窒素の排出は減少し, この時期で腎のクリアランスの低下がみられる。ゴール後60分以上経過するとこれらの物質の排出は走前レベルに回復している。
    2) 尿pH値は走直後尿から上昇し走後30~60分尿では全員pH7を越えpH8以下のアルカリ性を呈し, 走後の90~120分尿以後でようやく走前レベルに回復している。
    3) 上記1) に示した各物質の排出の減少している時期でタンパクは非常に多量排出され, 60~90分尿以後では漸減するが走前レベルよりはるかに高い排出量を示している。
    4) 尿中タンパクのA/G比は安静時では低いが, 回復初期では1以上の高値を示し, 回復後期では低下している。
    5) LAPおよびγ-GTP活性もタンパク排出の多い時期で高活性を示し, 回復時間が進むにつれ漸減している。LAPは走後120~150分尿では, 走前レベルに近くなっているが, γ-GTPはかなり高活性のまま推移し, 運動性尿タンパクに組成の違いがあらわれている。
    6) 運動性尿タンパクには腎の透過性増大による血漿成分の漏出による部分だけではなく, 腎組織山来のものも存在するようである。
  • 長谷部 昭久, 寺田 せつ子, 松木 秀明, 逢坂 文夫, 春日 斉, 福田 照代, 横山 公通, 酒巻 敏夫, 柚木 斉, 桑島 利充, ...
    1978 年 27 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    As regards obesity screening tests, it's a widly known fact that there are many problems in the existing notation of various body indices.
    Moreover, in regards to the determination of skin-fold thickness, measurments must be taken at two or three places, and this, plus the fact that a certain amount of expertise is necessary, represent a shortcoming.
    Using abdominal girth, which can be relatively easily measured, together with the chest girth measurment, the author examined a method for assessing obesity.
    Various body indices were computed from height, weight, chest measurement, abdominal girth, etc. and the correlation between their value and skin fold thickness and average skin fold thickness was determined.
    As a result of this, abdominal girth measurement and evaluation may be used in obesity screen tests in the following way.
    1. Method for measuring abdominal girth.
    [1] Have the patient assume normal posture.
    [2] Girth is measured (in centimeters) around the area mid way above the navel while the patient resting expiratory state with arms hanging limp and shoulders relaxed.
    2. Method for computing obesity index.
    obesity index=height (in cm) ×10/abdominal girth (in cm)
    The subject of the above research is extreamly limited in respect to age range. Therefore, the authors would like to examine further to see if this method is applicable to all age renges.
  • 1978 年 27 巻 2 号 p. 86-89
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
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