運動部に所属している女子大学生19名と運動部に所属していない女子大学生15名を対象に, 身体10ケ所の皮脂厚を1年間にわたって4回 (1月, 5月, 10月, 1月) 測定し, 次の結果を得た。
1) 身体10ケ所の皮脂厚のうち, 運動群, 非運動群ともに, また, いずれの測定時期においても, 平均値 (第1回目測定) が比較的小さい部位は頬上部, 顎下部, 上腕部, 胸部で, 平均値の比較的大きい部位は腋下部, 背部, 腹部, 腰部, 人腿部, 下腿部であった
2) 皮脂厚には運動群, 非運動群ともに季節差が認められ, 多くの部位で10月に最も低い値を示した。すなわち, 皮脂厚は冬に増大し夏に減少する傾向を示し, 10月においてもなお皮脂厚は低値を示す。
3) 皮脂厚にはかなりの個体差が認められた。頬上部, 顎下部では個体差が比較的小さいが, 他の部位の皮脂厚では個体差が大きく, 変異係数は30%以上であった。
4) 非運動群の1年後の皮脂厚は多くの部位で前年値にほぼ一致するのにくらべて, 運動群では前年値より有意に低下する部位が多かった。これは, 運動クラブ活動の影響が考えられる。とくに, 運動クラブ活動開始後約8ケ月の1年生では, 各部位 (下腿部を除く) の皮脂厚低下量がすでに1年以上運動クラブ活動していた2年生以上にくらべて大きかった。
5) 運動クラブ活動による身体各部位の皮脂厚の低下は, 運動クラブ活動開始後約8ケ月の1年生では腰部に1しく認められた。また, 1年間の上腕部と背部の皮脂厚の和の変化量は, 体重の変化量と大きな正相関を示した.
抄録全体を表示