体力科学
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30 巻, 3 号
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  • 北川 薫, 宮下 充正
    1981 年 30 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    VO2maxにみる呼吸循環器系機能について肥満の影響を明らかにするために, 肥満者と非肥満者の身体組成研究から検討を加えた。そして以下のような結果を得た。
    (1) VO2maxの絶対値には3郡間で差はみられなかった。
    (2) 体重あたりのVO2maxは痩身者と一般人との間には有意差はなかったが, 肥満者は非肥満の両群に対して有意に低い値を示した。
    (3) LBMあたりのVO2maxは3群間で有意差はみられなかった。
    (4) 非肥満者に負荷実験をしたところ, 無負荷状態に比べてVO2maxの絶対値およびLBMあたりのVO2maxに有意差はみられなかった。
    以上の結果から, 本研究で対象とした肥満者ではVO2maxでみる呼吸循環器系機能に対して肥満は影響しないものと考えられる。したがって肥満者の過剰な脂肪重量は単なる不活性な負荷にすぎないと推察される。しかし肥満者は持久走などの作業成績では肥満の影響は顕著となろう。一方, 痩 身者と一般人との問にはVO2maxの絶対値も相対値も差異はなく, 非肥満者では脂肪重量の多少のはVO2maxに全く関係しないことがわかった。
  • 小原 達朗, 小川 新吉, 浅野 勝己, 古田 善伯, 藤牧 利昭, 矢野 徳郎, 富原 正二
    1981 年 30 巻 3 号 p. 137-147
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    40~87才の男子中高年者235人について10km, 25kmおよび42km走における走行前後の血圧, 心電図および体重の変動について測定し, さらに走行中あるいはゴール後卒倒した者の血圧について測定し, 長距離走が中高年者の循環機能に及ぼす影響について検討した。その結果を要約すると以下のとおりである。
    1) 走行前後の血圧は, 収縮期血圧および拡張期血圧とも走行前値の高い者ほど, また, 走行距離が10km, 25kmおよび42kmと延長するほど高度の陰性相を示した。
    2) 走行前後の脈圧も, 走行前値の高い者ほど陰性化する傾向がみられたが, 42km群を除いて距離による差は認められなかった。
    3) 走行前後の心電図の比較では, 走行後PQ間隔は短縮傾向に, QTcは延長傾向にあり, 特に42km群において9例中4例に高度の延長が認められた。また, T波高は減高傾向にあり, 25km群で7例中3例に平低化が認められた。
    4) 走行による卒倒者の血圧および脈圧の変動では陰性化が著明であり, 特に血圧の高い者においてきわめて著しい低下を示した。
    5) 走行後の体重は, 走行前に対して10km群が1.24kg, 25km群が2.21kgおよび42km群が2.69kgの有意な低下を示し, 血圧陰性化の主因が発汗によるものと考えられた。
    以上の結果, 中高年者の長距離走は距離が延長するほど, また, 血圧の高い者ほどその循環機能に大きな変動を来す点が明らかになった。
  • 荒木 秀夫, 西平 賀昭, 藤田 紀盛
    1981 年 30 巻 3 号 p. 148-156
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    単純反応動作において, 予告刺激に伴うα-blockingの変動と動作の準備状態との関連性を明らかにするために平均加算法によって得られたα波包絡線と緩電位変動の頭皮上分布に関して比較検討を行った。結果は以下のとおりであった。
    (1) 緩電位 (準備電位, CNV早期および後期成分) は中心野, 前頭野に優位であった。準備電位は同側中心野と比べ対側中心野で優位であったが, CNV早期成分は両側性に出現した。CNV後期成分は準備電位と類似した頭皮上分布を示したが, 後者の方がより非対称性が著明であった。
    (2) 動作なしの光刺激によるα-blocking (コントロール) は, 中心野, 後頭野とも両側性に生じたが, 反応動作の予告刺激に伴うα-blockingはコントロールと比較すると, 前頭野, 中心野で著明であり, 同側中心野に比べ対側中心野で優位に生じた。
    (3) 同一条件下ではα-blocking率が増大するほどその潜時は短縮するが, 反応動作一条件をコントロールと比較するとα-blocking率が増大しても潜時は逆に延長し, 動作時まで相対的にα-blockingが維持された。さらにまた駆動刺激が呈示される時点でのα-blocking率1が, コントロールの同時点でのα-blocking率に比べて増大するほど反応時間は短縮した。
    以上のことから, 予告刺激に伴うα-blockingは感覚刺激の入力系のみならず, 準備電位成分も反映し, 経時的には動作遂行時でのα-blocking率が増大することが示唆された。
  • 伊藤 一生
    1981 年 30 巻 3 号 p. 157-166
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    生後300の雌のラットに, トレッドミルによる持久的トレーニングを15週間負荷し骨格筋線維に及ぼす影響を組織化学的に検討した結果は次の通りである,
    1.体重, 筋重量についてはトレーニング群, コントロール群の問に差はみとめられなかった。
    2.FOG, FG, SOのfiber type別にみた筋線維構成は, トレーニングによっても変化しなかった。
    3.収縮速度に関係が深いといわれるmyosin ATPase染色により, FT, ST線維にわけて検討してみると, ヒラメ筋ではSTfiberが85%を占め, 反対に, 長指伸筋では95%が, 足底筋では90%がFT fiberで, それぞれの筋の特性をよくあらわしているが, トレーニング群とコントロール群の問に有意差は認められなかった。
    4.トレーニングによる筋線維の横断面積の変化は, FG fiberでは殆んど肥大がみとめられなかったがSO, FOG fiberでは8~11G%の増大があり, 疲労耐性の増強が考えられる。
    本研究の一部は, 昭和52, 53年度文部.省科学研究費補助金総合研究A (代表者東京大学宮下充正) により行なった。
  • ―日常練習時の運動強度―
    辻 幸治, 武山 秀, 小石 秀夫, 片山 吉穂
    1981 年 30 巻 3 号 p. 167-174
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    アーチェリー選手のトレーニング処方を作成するための基礎資料を得る目的で, 大学の男子アーチェリー部員6.名 (20~21才) につき, 使用している弓具の調査, 測定を行って後体格, 体力の測定を行い, 併せて策を3本発射した後矢取りのために30mの距離をかけあしで往復した運動時と回復期のエネルギー消費量からアーチェリーの運動強度を求めた。
    1) 体格測定では身長, 体重で被検者, オリンピック強化選手の問に差はなかったが, 胸囲では被検者が明らかに劣っていた,
    2) 体力では肩腕力で被検者にやや弱い傾向が認められたが, 他の種目では被検者, オリンピック強化選1三問に差はなかった。
    3) 弓の実質ポンド数と肩腕力との間に正の相関が認められ「押す」ではr=+0.73, 「引く」ではr=-0.50となっていた.
    4) 基礎代謝量測定の結果平均で38.3kcal/m2/hrとなっていて, 厚生省の基準値から算出した平均値と比較しても差はなかった。
    5) 総エネルギー消費量と体重及び体表面積との間に正の相関が認められ体重ではr=+0.73, 体表面積ではr=+0.76となった。また経験年数との間には負の相関が認められr=-0.68となった。
    6) 運動時の消費熱量からR.M.R.を算出すると最大で2.7, 最小で1.9となり平均すると2.2となった。
  • 1981 年 30 巻 3 号 p. 175-180
    発行日: 1981/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
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