水泳の鍛練度の相異により, 最も高いVO
2maxが得られる運動様式が異なるか否か, また各種運動時の呼吸循環系の反応が異なるか否かを明らかにするために, 3種類の運動 (回流水槽泳, ペダリング, ランニング) の最大下負荷および最大負荷時に, 水泳選手の酸素摂取量と呼吸循環諸指標を測定した.被検者として鍛練度の低い水球選手5名 (水球群) , よく鍛練された男子大学水泳選手5名 (大学群) , および男子一流水泳選手14名 (エリート群) の3群を用いた.
水球群では水泳時のVo
2max (3.11 l/min) はペダリング時の値より5%低いが, 大学群では逆に水泳時 (3.631/min) に9%高く, エリート群でも水泳時 (4.12 1/min) に11%高い (P<0.01) 値を示した.ランニング時との比較では, 水球群のVo
2maxは水泳時に19%低いが, 大学群では両運動時の値がほぼ一致した.
エリート群の最大負荷を除けば, すべての群の最大下負荷と最大負荷において, 水泳時のV
EとV
E/Vo
2はペダリング時やランニング時のそれより低かった.水泳時のV
Eの低下はfとV
Tがともに低下したことに起因した.V
Eに比べてV
Aでは, 水泳時と陸上運動時との差が小さくなった.
いつれの群のいつれの運動時にも, Vo
2の増加 にともないQは直線的に増加した.そして一定の 最大下負荷では, 3種類の運動時のQに顕著な差は認められなかった.最大負荷では, 水球群と大学群の水泳時の値 (19.7 1/minと21.3 1/min) はペダリング時の値とほぼ一致したが, ランニング時の値に対してはそれぞれ16%および11%低い値を示した.エリート群の水泳時 (23.8 1/min) にはペダリング時より5%高い値が得られた.
Vo
2の増加にともないHRは直線的に増加し, 最大下負荷の全過程を通して, ペダリング時よりランニング時に4~5 beats/min低く, 水泳時には10~20 beats/min低かった.最大負荷でもすべての群で, 水泳時のHRは陸上運動時の値より低かった.水泳時にHRが低いにもかかわらず, 一定の最大下負荷において3種類の運動時のQがほぼ一致したのは, 水泳時にSVが高いことに起因した.
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