飲酒, 喫煙習慣を有さない17~68歳の女性250名を対象として, 女性の体脂肪率による肥満判定基準について, 体脂肪率と医学的検査項目との関係から, 年齢とVO
2max/wtの影響を消去して検討した結果, 以下のような知見を得た.
1) 偏相関において年齢とVO
2max/wtの影響を消去しても体脂肪率と有意な相関関係を示した項目について, 対境界値に相当する体脂肪率を求めたところ, それらの値は30.7~36.4%に分布していた.
2) 体脂肪率を30%から35%まで, どこで区切っても以上群の医学的検査項目の異常値の出現率は未満群に比較して有意に高率であった.
3) 被検者をN, MO, 0の3群に分けて比較したところ, O群はN, MO群に比較して医学的検査項目の異常値の出現率において有意な高率を示し, DBPの平均値においてもそれぞれ有意な高値を示した.またO群はN群に比較して, HDL-Cにおいて有意な低値を示し, 逆にTC/HDL-C, UA, GOT, GPT, SBP, FBSにおいて有意な高値を示した.N, MO群を平均値で比較すると, MO群はHDL-Cにおいて有意な低値を示し, 逆にTC/HDL-C, UA, β-Lにおいて有意な高値を示した.以上の結果から, 女性の場合, こまれまで本邦において広く用いられてきた肥満の判定基準を超えると, 医学的検査値が悪化することが分かった.また運動指導や栄養指導を行う際には, 体脂肪率と有酸素性能力を総合的に判定することが望ましいと思われた.
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