体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
45 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 小川 徳雄
    1996 年 45 巻 2 号 p. 289-300
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
  • 第1報 気管支肺胞洗浄液中細胞に及ぼす幼若期からの影響
    熊江 隆, 荒川 はつ子, 内山 巌雄
    1996 年 45 巻 2 号 p. 301-310
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    好中球やマクロファージに代表される貪食細胞が関与する非特異的な細胞性免疫が感染症の防御において重要な役割を担っている事は良く知られているが, 運動と免疫に関して非特異的な貪食細胞の活性に着目した研究は少ない.
    そこで, 我々は実験動物に運動ストレスを負荷し, 非特異的細胞性免疫能への影響を明らかにすることを目的に研究を行って来ている.本研究においては, 運動ストレスとしてトレッドミル走行による強制運動と昼夜逆転による睡眠妨害を組み合わせて慢性疲労モデルの一つとした.幼若期 (5週令) から成熟期 (17週令) まで12週間にわたって運動ストレス等を負荷し, 6週目と12週目の時点において非特異的細胞性免疫能として気管支肺胞洗浄液中の細胞分画, 細胞数及び肺胞マクロファージ活性を検討した.
    本研究の結果より, 慢性疲労モデルとしたT+J群では11週令までは肺胞洗浄液中の細胞数の減少を細胞の機能向上で補って適応できたが, 17週令では他の群と比較して細胞の機能向上が起きておらず, 感染症にかかり易くなっていると考えられた.さらに, 11週令になってから慢性疲労モデル状態に移行させた場合には比較的運動負荷量が小さくとも大きな生体負担となり, 非特異的な細胞性免疫能にまで影響がでることが示された.また, 体重の経時的変化でみれば, 11週令から休養させた場合には幼若期からの慢性疲労モデルの影響は17週令までに順調に回復しているように思われた.しかし, 成長 (11週令) してからは強制運動や睡眠妨害だけでも非特異的細胞性免疫能に影響を及ぼしている可能性が示唆され, 成長後のストレスは幼若期と比較してより大きく影響を及ぼすと思われた.
  • 梅村 義久, 石河 利寛, 桜井 佳世, 益子 詔次
    1996 年 45 巻 2 号 p. 311-317
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    ジャンプと走トレーニングが, ラットの大腿骨と脛骨に及ぼす影響につてついて研究がなされた.4週齢のF344系ラットを1週間の予備飼育の後, 8週間トレーニングさせた.実験Aでは強制走運動群 (スピード30m/min, 1時間/日) とコントロール群を比較した.実験Bでは自発走運動群およびジャンプトレーニング群 (高さ40cm, 100回/日) をコントロール群と比較した.ジャンプトレーニング群の下肢の骨は横断面の面積が顕著に増加して破断試験の最大負荷が大きくなったが, 骨長は長くならなかった.強制走運動群と自発走運動群の骨の適応はよく類似していた.両群の下肢の骨はそれぞれのコントロールより長かった.両群の横断面の面積と最大負荷は各々のコントロールよりも増加したがジャンプトレーニング群よりは低値を示した.本実験の結果から, ジャンプトレーニングに対する骨の適応は走トレーニングに対する適応と異なること, 骨を強化する為にはジャンプトレーニングが有効なトレーニング方法であることが指摘された.
  • 露木 和夫, 小野 奈緒子, 池田 将, 亀田 祥子, 尾形 珠恵, 木村 康雄, 長谷 弘記, 奥田 隆博, 相原 正彦, 二宮 健次, ...
    1996 年 45 巻 2 号 p. 319-328
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    A study was conducted to clarify the effect of hyperoxia (HO) on exercise tolerance andhemodynamics in patients with ischemic heart disease (IHD) . The subjects were 10 patients with serious IHD who showed ischemic ST depression during low-intensity exercise testing. In all subjects, cardiopulmonary exercise testing (CPX) was performed using two types of inhalation : normoxia (NO) and HO (O2: 60%, N2: 40%) . Heart rate (HR), blood pressure (BP), rating of perceived exertion (RPE), elapsed exercise duration and pressure rate product (PRP) were measured, and ECG was recorded during CPX according to the Bruce protocol. The peak oxygen uptake (VO2peak) was calculated using the appropriate formula. These data were compared between the NO and HO groups, and the following results were obtained.
    ST depressions on ECG, BP, HR and PRP after 20 min of rest showed no changes under NO. The other hand, only ST depression was improved after 20 min of rest under HO. The exercise duration in HO group was longer than in the NO group, and the VO2peak in the HO group was higher than in the NO group. However, peak RPE showed no significant difference between the HO and NO groups. The incidence of ST depression as an endpoint of CPX showed no significant difference between the two groups. BP, HR and PRP at the CPX endpoint showed no significant differences between the HO and NO groups. In patients whose exercise duration was prolonged beyond the mean value by HO, peak HR and PRP were increased significantly. However, this tendency was not seen in patients whose exercise was prolonged for less than the mean value.
    In conclusion, these results suggest that an increase in the oxygen supply to peripheral working muscles may play an important role in increasing exercise tolerance under HO in IHD patients.
  • 鈴木 政登, 清水 桃子, 河辺 典子, 高尾 匡, 町田 勝彦, 川上 憲司
    1996 年 45 巻 2 号 p. 329-344
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    加齢およびlife styleに起因した有酸素性作業能 (VO2max) の低下, 高血圧, 血清脂質の上昇および筋量や骨密度 (BMD) の低下は「寝たきり, 痴呆性老人」発症の危険因子とされる.
    本研究は, 年齢やlife styleおよび運動の習慣化の動機などそれぞれが異なる20~76歳の健康女性165名を対象とした横断的研究であり, これらの危険因子が習慣的運動によって改善または除去されるか否かを調べる目的でなされた.1回30分間以上, 週2回以上の頻度で水泳, ジョギング, エアロビックダンス等の運動を2年間以上継続している者を運動群 (Ex群, n=82) , Ex群としての条件を満たさない者および運動習慣がない者を対照群 (Cont群, n=83) とし, 40~60歳までは5歳刻みで, それ以下およびそれ以上の年齢の者は一括して比較した.運動習慣の有無のみならず閉経年齢や嗜好品および就業状況などlife styleの調査も行い, 次のような研究結果を得た.
    1) 本被検者165名のうち閉経者は89名 (54%) おり, 閉経年齢の平均は49.7±3.1歳 (閉経期間1~23年間) であった.
    2) 常習的喫煙者は35名, 週1回以上の頻度の飲酒習慣を有する者は100名みられた.
    3) 加齢にともなって体重あたりVO2max (n=165, r=-0.590) およびHRmax (r=-0.722) は有意 (p<0.001) に減少した.Ex群のVO2maxはCont群に比し有意な高値を維持しつつ加齢にともない減少したが, HRmaxには2群間の差はなかった.
    4) 安静時血圧は40歳未満の群が有意な低値を示した他は隣合う年齢間に有意差こそなかったが, 明らかに加齢にともないSBP (r=0.391) , DBP (r=0.315) ともに有意 (P<0.001) な上昇を示した.しかし, 本被検者165名の中には160/95mmHg以上の者はいなかった.安静血圧にはEx, Cont群間に有意差はなかったが, 運動前後の差 (ΔSBP, ΔDBP) はEx群がやや高い傾向であった.
    5) 血液成分のうち, 明かな年齢変化が認められたのは血清TC (r=0.346, p<0.001) およびLDL-C濃度 (r=0.339, p<0.001) であった.HDL-Cには年齢変化はみられなかった.Ex, Cont群間の比較では, TC, HDL-CいずれもEx群が高値傾向を示し, HDL-C/TC比には差がなかった.しかし, 本被検者のうち10, 30kmおよびフルマラソンなど公式試合出場者 (n=11, 49.7±7.7歳) では同年代の者に比し血清TCは低く (189.2±23.3mg/dl) , HDL-Cは有意に高値 (72.2±10.9mg/dl) であった.さらに, 飲酒と運動習慣を併用している者 (n=26) のHDL-C (75.8±15.8mg/dl) およびHDL-C/TC比が高かった.
    6) 体重や肥満度には年齢変化も2群間の差もみられなかったが, 加齢にともない%FTMが増加し, %LTMが減少する傾向であった.2群間の比較ではEx群の%LTMが高く, %FTMは低値傾向を示した.
    7) 閉経前にはEx群のTBMDおよびLegBMDが有意に高値であったが閉経後では2群間に有意差はなかった.しかし, 閉経後の者でもフルマラソン等公式大会に出場している者 (n=5, 52.6±1.5歳) のTBMDおよびLegBMDはCont群 (51~55歳) のそれに比し有意に高値であった.
    8) VO2max, 体組成, 骨密度および血清脂質濃度相互の関連を調べた結果, VO2max総量はLTM (kg) と高い相関 (r=0.669) を示し, VO2max/LTMは加齢にともなって減少したが, いずれの年齢でも常にEx群が有意な高値であった.体重あたりVO2maxは%FTMとは逆相関 (r=-0.442) , %LTMとは正相関 (r=0.422) を示した.しかし, 血清TC, HDL-C濃度とは関連がなく, 安静時SBP (r=-0.232, p<0.01) およびDBP (r=-0.192, p<0.05) とは低い相関係数しか示されなかった.一方, BMDは年齢の他に体重, それもLTMの影響を強く受けた.しかし, TBMDと体重あたりVO2maxとの相関は必ずしも高くはなかった (r=0.354, p<0.001) .
    骨密度およびVO2maxにおよぼす諸要因の重回帰分析を行った結果, 次のような回帰式を得た.
    全身骨密度 (TBMD; g・cm-2)
    =0.9525-0.0045×Age+0.0059×FTM (kg) +0.0072×LTM (kg)
    (n=165, R=0.669, p<0.001)
    VO2max (ml・kg-1・min-1)
    =47.97-0.391×Age+0.175
    ×Leg BMD (g・cm-2) -0.531×%FTM (%)
    (n=165, R=0.715, p<0.001)
    尚, 上記二式の偏回帰係数はすべて0.1%水準で有意であった.
    以上の研究結果から, 習慣的運動によって全身持久性能力 (VO2max) や筋の最大酸化能 (VO2max/LTM) は高く維持されるが, 加齢による骨密度の減少や血清脂質の改善を期待することは困難であり, これらの改善にはより厳密な運動処方が必要であることがわかった.しかし, 体重あたりVO2maxは骨密度 (例えば, 脚骨密度; r=0.395) や筋量指標 (%LTM; r=0.422) と有意 (p<0.001) な正相関を示したことから,
  • 久枝 光, 中村 好男, 久野 譜也, 福永 哲夫, 村岡 功
    1996 年 45 巻 2 号 p. 345-355
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    本研究では1) レジスタンストレーニングにおける高速度運動が, トレーニング後の運動速度に与える影響を明らかにすること, および, 2) トレーニングでの運動速度の差異が筋の肥大に与える影響を明らかにすることを目的とし, 健常な一般人に対して, 週4回8週間の肘関節屈曲トレーニングを行った.トレーニングには一定負荷を用い, 急速な力発揮を伴う高速度運動によるトレーニング (Type R) と, 低速度運動によるトレーニング (Type S) の2種類を行った.トレーニングに用いた運動速度の差異がトレーニング効果に与える影響を明らかにするために, 一定負荷のもとにおこなう肘関節屈曲の運動速度, 肘関節屈曲の等速性筋力および上腕屈筋群の筋横断面積を検討した.その結果, Type Rは高速度域 (300deg/s) での等速性筋力を有意に増加させなかった.一方, 一定負荷のもとに行う運動速度の増加率はType Rにおいて高い傾向がみられた.これらの結果より, 急速な力発揮を伴う高速度運動によるトレーニングは同様式の運動速度を増加させるが, 運動様式が異なる高速度域の等速性筋力を必ずしも増加させないことが示唆された.さらに, 筋横断面積の増加率はType Rにおいて有意に高値を示した.このことから, 低速度運動に比べ急速な力発揮を伴う高速度運動は, 8週間のトレーニングにおいて, より筋の肥大を起こしやすいということが示唆された.
  • 佐藤 敏郎, 村瀬 智彦, 藤井 輝明, 岩尾 智, 小林 由樹, 佐藤 祐造
    1996 年 45 巻 2 号 p. 357-363
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    本研究では, 中高年者の健康度と体力測定における成績との関係を多次元的に分析するために重判別分析を用いて検討を行った.対象は30歳~60歳代の男女889名であった.健康群と治療群の判別のための評価基準によって分類された2群を体力測定の結果から最も適切に判別することが可能な判別関数を算出した.
    その結果, 正判別確率は男性で70.2%, 女性で68.2%であり, 中高年者の健康と体力との間には男女共に比較的高い関係があることが示唆された.また, 判別関数を用いて各個人の健康度を判別得点で表わし, その得点と各体力測定項目における成績との間の相関係数を算出したところ, 男女共に年齢及び筋持久力を代表する指標と健康度との間に高い相関関係が認められた.さらに, 男性においては特に全身持久力の指標と健康度との関連が高く, 女性では形態における項目で高い相関関係が認められた.つまり, 男性では日常生活における全身あるいは筋持久力の変化が健康状態の指標として重要であり, 女性では筋持久力の低下に加えて体格における変化が健康状態と密接な関係にあることが明らかになった.また, 健康度に対する各体力構成要素の貢献度は男女間で異なることが認められた.
    以上の結果は, 中高年者を対象とした運動指導の実践においては, 男性では筋持久力あるいは全身持久力の向上・維持を念頭におき, 女性では筋持久力だけではなく体格における変化にも注意して運動指導を行うことが重要であることを示唆していると考えられる.
  • 柳 敏晴
    1996 年 45 巻 2 号 p. 365-372
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 45 巻 2 号 p. 373-375
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top