9~14才の東京に在住する小中学校生徒, 男237名, 女220名に対し, Benedict-Roth型高速レスピロメーターを用い, 立位にて呼吸図をとり, 性別, 年令別肺機能に分析を加え, 次の結果をえた。
1.男子において, 肺活量, 一秒時限肺活量, ならびに最大換気量が, 突如として12才に著増し, 肺活量呼出所要時間は著減した。また, 最大換気率は12才に山をもつように見受けられた。
2.女子の肺機能は, 9~11才の一秒時限肺活量を除き, すべて男子に劣るが, とくに12才以後に両者の差が大きくなつた。これは女子では12才以後も, 肺活量は思春期前と同じ程度に発達するが, 他のより動的な一秒寿限肺活量, 肺活量呼出所要時間, 最大換気量の発達がこれにともなわず, ために, 最大換気率のように思春期前よりもかえつて劣悪化する機能もあるためである。
3.このような12才という思春期の初期を契機とする男女肺機能の高度な分裂傾向の主因としては, 男女による筋力の発達の差異が考えられ, したがつて, この時期における性ホルモンとくに男子のtestosteroneの影響が指摘される。
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