日本門脈圧亢進症学会雑誌
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8 巻, 4 号
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  • 蓮見 昭武
    2002 年 8 巻 4 号 p. 243-244
    発行日: 2002/12/30
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 林 星舟, 佐伯 俊一
    2002 年 8 巻 4 号 p. 245-250
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤357症例を対象に, 左胃動脈造影の臨床的意義について検討した.1) 上腸間膜動脈・脾動脈 (SMA・SPA) 造影での左胃・短胃・後胃静脈いずれかの描出率はF1症例/F2症例/F3症例で41%/72%/87%, 左胃動脈 (LGA) 造影での食道静脈瘤の描出率はそれぞれ97%/100%/100%であった.左胃静脈の血流方向はF1症例では求肝性50%, to and fro 22%, 遠肝性22%, 不明6%であり, 静脈瘤形態の増大とともに求肝性およびto and froの頻度は低下し, 遠肝性の頻度は上昇した.2) 食道静脈瘤を, 胃体上部粘膜血流が主たる供血源である “LGA単独型食道静脈瘤” と, 供血源が胃体上部粘膜血流および門脈系血流の両者に由来している “混合型食道静脈瘤” とに分類すると, 前者はF1静脈瘤症例の約3/5, F2静脈瘤症例の約1/4を占め, 後者はF2静脈瘤症例の約3/4, F3静脈瘤症例の大部分を占めていた.3) 内視鏡的治療後の門脈血行動態を経時的にみると, “混合型食道静脈瘤” 症例では半数以上が左胃静脈の血流方向の変化あるいは口径の縮小を認めた.再発静脈瘤の62.5%は門脈血流の関与を認めておらず, “LGA単独型食道静脈瘤” 同様の再発形式を示していた.
  • 楢原 義之, 金沢 秀典, 片倉 玲樹, 厚川 正則, 滝 保彦, 木村 祐, 間宮 康貴, 長田 祐二, 中塚 雄久, 小泉 信人, 名知 ...
    2002 年 8 巻 4 号 p. 251-257
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    肝硬変腹水患者42例を当科で定めた難治性腹水の診断基準に基づき治療反応性腹水20例, 難治性腹水22例に分け比較し難治性腹水の臨床的特徴を検討した.肝静脈圧較差 (HVPG) は治療反応性腹水18.0±3.4mmHgに対し難治性腹水20.5±4.3mmHgと難治性腹水において有意に高値を示した.クレアチニンクリアランス (Ccr) は治療反応性腹水53.9±19.0ml/min, 難治性腹水40.9±22.8ml/minと難治性腹水において有意に低値を示した.血漿レニン活性, アルドステロン, ノルエピネフリンはいずれも難治性腹水例が有意に高値を示した.これに対し, 肝機能検査は両群間に有意な差を認めなかった.以上より, 難治性腹水の特徴としては腎機能悪化とレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系, 交感神経系の亢進がみられ, 肝機能重症度の関与は少ないものと考えられた.また, 難治性腹水の発生に門脈圧高値が関与することが示唆された.
  • 小西 晃造, 橋爪 誠, 金城 直, 山口 将平, 赤星 朋比古, 富川 盛雅, 前原 喜彦
    2002 年 8 巻 4 号 p. 258-262
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    当科ではバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) 無効胃静脈瘤やEIS抵抗性難治性食道静脈瘤に対してのHassab手術 (脾摘および胃上部血行遮断術) を選択している.また侵襲低減のため1995年より腹腔鏡下手術を導入しているのでその有効1生を明らかにする目的で, 1995年9月より2002年7月までに腹腔鏡下Hassab手術を施行した16例を対象に, 近年の手技の工夫を検討した.また同時期に施行した開腹Hassab手術29例と比較して安全性や有効性を検討した.手術時間は276±60分, 平均出血量532ml, 開腹への移行は1例, 術後合併症は出血と発熱が1例ずつで十分安全に施行できた.全例で胃静脈瘤の縮小または消失を得られ, 累積非出血率は100%であった.難治性食道胃静脈瘤に対する腹腔鏡下Hassab手術は手技を工夫することで開腹手術と同様に安全に施行でき, 治療効果も高いため, 有効な治療法のひとつであると考えられた.
  • 塙 勝博, 西田 均, 石川 晶久, 竹内 義明, 米山 啓一郎, 三田村 圭二
    2002 年 8 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    門脈の分枝変異は20%以下に認められる.門脈分枝変異を伴う肝線維症に発症した肝細胞癌 (HCC) に門脈本幹腫瘍栓を形成し, 治療が奏効した症例を報告する.症例は78歳, 男性.1年前にHCCが疑われたが本人の希望にて放置していたところ, 腫瘍の増大をきたし入院した.肝機能はChild-Pughスコア6点, grade A, 肝障害度Aであった.AFPは3090ng/ml, PIVKA-IIは501AU/mlと高値で, HBs抗原およびHCV抗体は陰性であった.画像診断では肝S6のHCCより門脈本幹から独立分岐したP6を介し直接門脈本幹内へ伸展するportal venous tumor thrombus (PVTT) (Vp4) の形成が認められた.PVTT (Vp4) に対し自己凝血塊を用いた選択的リピオドールTAE (selective TAE;S-TAE) を実施し, その後PVTTを含む肝拡大後区域・右尾状葉切除を施行した.切除標本の病理組織学的所見では背景肝は肝線維症で, 癌部は低分化・索状型HCCであり, PVTTの大部分は壊死に陥っていた.術後AFPおよびPIVKA-IIは正常域に速やかに低下し, 術後6カ月現在無再発生存中である.門脈分枝変異を伴う症例では早期にVp4をきたすことがあり, 慎重な経過観察が必要である.Vp4に対するS-TAEはPVTTの制御に加え非担癌領域の代償性肥大も得られることから, 外科的治療の前治療としても有用である.
  • 安田 宏, 山田 雅哉, 吉田 生馬, 若杉 聡, 鈴木 良洋, 遠藤 豊, 井上 和明, 本田 実, 与芝 真
    2002 年 8 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    内視鏡下クリップ止血法は消化性潰瘍の止血や内視鏡的粘膜切除術 (EMR) 後の創部縫縮など, 内視鏡医が施行する機会が非常に多い手技となっている.胃穹窿部静脈瘤出血3例に対し, 内視鏡下クリップ止血を施行し, 全例, 良好な一次止血が可能であった.緊急内視鏡検査時に活動性の出血あるいはフィブリン栓が胃静脈瘤に認められた場合にクリップ止血を施行した.施行3例における使用クリップの個数は平均2.3個 (範囲1-4) であった.止血後に経過観察目的に施行した内視鏡検査では, 潰瘍等のクリップによる粘膜損傷は認められなかった.CTによる排出路の十分な評価後, 止血後1-2週間後に待機的にバルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) を行い永久止血を得た.本法は熟練を要する静脈瘤直接穿刺薬剤注入法と比べて, 比較的容易に一次止血が得られ, 止血後の組織障害は少なく, 有効な治療法と考えられた.
  • 小林 博之, 村林 晃二, 丸山 達志, 中島 千春, 石戸 浩之, 伊吹 重雄
    2002 年 8 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は52歳, 女性.肝性脳症で入退院を繰り返しているアルコール性肝硬変患者.食欲低下, 黄疸を主訴に平成14年3月6日入院.血液検査で貧血, 蛋白合成能の低下, 肝胆道系酵素の上昇, 高アンモニア血症を認めた。腹部CTで複数の短絡路と思われる異常血管を認めた.PTPで上腸間膜静脈-下大静脈 (SMV-IVC) と下腸間膜静脈-下大静脈 (IMV-IVC) に2本の短絡路が存在した。上・下腸間膜静脈の短絡路流出による求肝性血流の低下が高アンモニア血症を誘発させたと判断した.そこで2本の短絡路に対しスチールコイルとヒストアクリル-リピオドール混和液にて経皮経肝的短路絡寒栓術 (PTO) を施行した.PTO後に求肝1生血流の増加と門脈圧の上昇を認めた.術後アンモニア, アルブミン値の改善がみられた.合併症として食道静脈瘤が出現したが腹水, 血栓症は認めなかった.SMVとIMVの両血流がIVCへ短絡している例は稀で, 短絡路に対するPTOが臨床的に有効であったと思われ報告する.
  • 木本 直哉, 岡部 純弘, 織野 彬雄, 鹿毛 政義
    2002 年 8 巻 4 号 p. 280-285
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は25歳男性.突然の吐血を主訴に平成14年2月11日当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にてLmF2CbRC (+) の食道静脈瘤と同部より噴出性出血を認め, 食道静脈瘤破裂と診断し, 内視鏡的硬化療法を施行した.血液検査では軽度の胆道系酵素の上昇がみられたが, 肝予備能は正常であった.腹部超音波検査では, 肝脾腫を認め, 肝実質が不均一に描出された.腹部血管造影検査では肝動脈, 門脈の異常は認めなかった.肝動脈造影下CT (CTA), 門脈造影下CT (CTAP) では肝全体が不均一に造影された.経皮的肝生検では門脈域の不規則な線維性拡大と, 肝小葉構築の改変を認めた.門脈域に細胆管の増生がみられたが, 胆汁うっ滞や炎症細胞の浸潤はみられず, 先天性肝線維症と診断された.本疾患は若年の門脈圧亢進症の稀な成因の1つである.他の画像所見が特発性門脈圧亢進症 (IPH) と類似するが, 本症例のようにCTA, CTAPにて特徴的な造影所見が認められ, その鑑別において有用であると考えられたため, 報告する.
  • 松永 隆裕, 辻 邦彦, 姜 貞憲, 渡辺 晴司, 真口 宏介
    2002 年 8 巻 4 号 p. 286-290
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は69歳, 男性.1995年よりC型肝硬変で通院中。食道静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法を2回施行し, 静脈瘤の再発なく経過していたが, 2001年12月7日にタール便が出現したため来院.緊急内視鏡検査でEGJ直上のF0食道静脈瘤からの出血を認め, endoscopic variceal ligation (EVL) で止血後, 1%ASの血管外注入, およびヒートプローブによる地固め療法を追加した.その約1カ月後, 再度, タール便が出現し来院した.緊急内視鏡検査では, 胃噴門部の静脈瘤としての形態を有さない部位より噴出性の出血を認めた.出血点に対しEVLで止血し, 待期的にF0RC (-) 食道静脈瘤から供血路を含めた内視鏡的硬化療法を施行し, その後, 現在までの11カ月間再出血は認めていない.静脈瘤としての形態を有さない胃噴門部静脈叢からの出血例では, 出血部位の同定が難しく, かつ治療に苦慮することが経験される。治療に際しては初発静脈瘤と同様に, 可能な限り, 食道側からの内視鏡的硬化療法にて背景の静脈叢・静脈瘤を治療することが肝要と考えられた.
  • 野村 尚弘, 末永 昌宏, 武内 有城, 三輪 高也
    2002 年 8 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性.1999年3月,慢性腎不全にて人工透析導入.肝硬変にて他院で追跡中であったが,2001年11月トランスアミラーゼの上昇を認め精査目的で紹介され入院した.上部消化管内視鏡にて食道・胃静脈瘤[Lm,F2,Cb,RC(-);Lg-c,F3,Cb,RC(+)(CRS)]を認めた.入院時GOT 49 IU/i,GPT 63 IU/i,T-Bil 0.4mg/dl,Alb 3.4g/dlで,ICG試験はKICG 0.126/min,R1511.7%であった.食道・胃静脈瘤に対しての治療の希望に当たって,肝硬変による門脈圧亢進症の状態に加えて透析患者であるという不利な条件を伴っていることを考慮し,また安全かつ確実な治療法について検討した結果,まずHassab手術を行った後,胃壁内を通って食道側へ排出して残存した食道静脈瘤に対してEVLを行い食道静脈瘤の消失を得た。透析患者というリスクをもった症例に対しても安全かつ確実な治療法であると考えられた.
  • 石川 晶久, 西田 均, 森川 賢一, 塙 勝博, 三田村 圭二
    2002 年 8 巻 4 号 p. 296-301
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    門脈-大循環短絡路を有する肝硬変合併肝性脳症に対して, バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) などの短絡路閉塞術が施行され, 良好な成績が報告されている.今回, 内科的治療抵抗性の反復性肝性脳症に対し, コイルによる巨大短絡路閉塞術が奏効した肝硬変症例を経験したので報告する.症例 : 62歳, 男性, アルコール性肝硬変.飲酒歴 : 日本酒5合/日, 35年間.55歳時, 肝機能障害を指摘されたが放置していた.56歳時, 腹水貯留, 57歳時, 食道静脈瘤破裂, 60歳時, 肝性脳症にて他院へ入院し, 内科的治療および内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) を受けた.61歳時, 同院で肝S5に20mm大の肝細胞癌 (HCC) を指摘され, 当科紹介受診した.HCCは経皮的エタノール注入療法 (PEIT) により改善したが, その後, 肝性脳症を反復したため, 精査加療目的で再入院した.入院時羽ばたき振戦を認め, 血中アンモニア値は210μg/dlと上昇していた.入院後も内科的治療にかかわらず肝性脳症を反復した.各種画像検査および循環動態検査にて脾腎短絡路に加えて回結腸静脈-腎皮膜静脈-下大静脈 (IVC) 短絡路を有する正常圧門脈圧亢進症で, 脾腎短絡路内のアンモニア値は125μg/dl, 回結腸静脈-IVC短絡路内は368μg/dlであったため, 回結腸静脈-IVC短絡路に対しコイルによる閉塞術を施行した.施行後, 症状は軽快しアンモニア値も78μg/dlと低下した.巨大短絡路を有する正常圧門脈圧亢進症に合併した難治性肝性脳症に対する短絡路閉塞術は有効で, QOL、を改善させる治療法である.
  • 小嶋 清一郎, 渡辺 勲史, 渡辺 光行, 長田 成彦, 高清水 眞二, 五十嵐 宗喜, 土井 淳, 小笠原 総, 峯 徹哉, 小泉 淳, ...
    2002 年 8 巻 4 号 p. 302-308
    発行日: 2002年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は67歳, 女性。1999年腹部CT上, 肝に多発性結節性病変を認め当科受診.CTA, CTAPにより非B非C型肝硬変による再生結節と診断された.2001年4月, 食道静脈瘤 (LmF2CbRC (+) Lg-c (+)) に対し予防的にEISを食道に3回, 胃に5回施行, 同年10月, 胃静脈瘤出血に対し内視鏡的硬化療法 (EIS) を4回施行したが, 2002年3月再吐血を来し入院となった.内視鏡上, 静脈瘤破裂は認めず, diffuse haemorrhageを示すsevere portal hypertensive gastropathy (PHG) による出血と診断.門脈圧減圧のため右肝静脈と門脈右枝間に経頚静脈的肝内門脈静脈短絡術 (TIPS) を施行.門脈圧は23mmHgから14mmHgに低下, 肝静脈との圧較差7mmHgと十分な減圧が得られた.食道静脈瘤はF2からF1となり, PHGは明らかに改善したが, TIPS29日後, 胃静脈瘤から再出血を来した。門脈造影ではステントは開存, 左胃動脈の血管造影では胃静脈瘤部へのpoolingと左胃静脈および短胃静脈への血流を認めた.脆弱な組織からoozingを来していると考え, コイルおよびgelfoamを用いた左胃動脈塞栓術によって完全な止血が得られ, 以後再出血はみられなかった.
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