日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
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52 巻 , 2 号
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ガイドライン
会告
総説
  • 金兼 弘和
    52 巻 (2015) 2 号 p. 119-126
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    リンパ増殖性疾患(lymphoproliferative disorder: LPD)とはリンパ球が異常増殖をきたす疾患であり,多クローン性で良性なものから単クローン性で悪性なものまで幅広い.宿主の免疫異常によって生じることが多く,小児では原発性免疫不全症に伴うLPDが多く観察される.Epstein-Barrウイルス(EBV)はB細胞に感染し,不死化させるため,EBV関連LPDがしばしば認められる.遺伝性EBV関連LPDの代表疾患はX連鎖リンパ増殖症候群(X-linked lymphoproliferative syndrome: XLP)であるが,最近XLP以外の遺伝性EBV関連LPDがいくつか報告されている.ITK欠損症,CD27欠損症,MAGT1欠損症,STK4欠損症,Coronin-1A欠損症,activated PI3Kδ syndrome,CTP1欠損症,ALPS-FASのほかに,原因不明であるが慢性活動性EBV感染症も含まれる.これらの疾患では血球貪食性リンパ組織球症,慢性EBV血症,リンパ腫,異常ガンマグロブリン血症といった臨床的特徴に加えて,一部の疾患ではinvariant NKT細胞の欠損を伴い,EBVに対する易感受性の一因と考えらえる.EBV-LPDはヒト固有の疾患であり,遺伝性EBV-LPDの研究により,ヒト免疫学の理解が深まるものと考えられる.
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原著
  • 大曽根 眞也, 森口 直彦, 今井 剛, 篠田 邦大, 伊藤 剛, 岡田 恵子, 三木 瑞香, 田内 久道, 佐藤 篤, 堀 浩樹, 小田 ...
    52 巻 (2015) 2 号 p. 127-132
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    L-アスパラギナーゼ(ASP)による血栓症は重大な治療関連合併症だが,本邦における発症実態は不明であり有効な発症予防法は未確立である.そこでASP血栓症の発症頻度と発症例の詳細,ASPを投与中に行われる凝固検査や血栓予防法の現状を知るために,JACLSに加盟している96施設を対象にアンケート調査で後方視的に検討した.47施設(49%)から回答を得た.2002年~2011年の10年間にASPを使用した1,586例中,8例(0.50%)で血栓症を認め,うち7例は寛解導入療法中に生じ,このうち6例では中枢神経系に生じていた.血栓症を発症した時,全例でステロイドを併用しており4例は発熱していた.血栓症発症時のアンチトロンビン(AT)活性は中央値71%,フィブリノゲン同93 mg/dL,D-ダイマー同2.2 μg/mLであった.血栓症を発症する前に4例でAT製剤を,1例で新鮮凍結血漿(FFP)を使用していた.血栓症で1例が死亡し1例で後遺症が残った.有効回答のあった45施設中,寛解導入療法でASPを投与する時に40施設がAT活性を週2~3回測定し,43施設がATを補充し,21施設がFFPを補充すると回答した.本邦でのASP血栓症の発症頻度は国外より低かったが,現在の凝固検査でASP血栓症の発症を正確に予測することは難しい.ASP血栓症を予測する新たな指標や適切な血栓予防法の確立が望まれる.
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  • 細貝 亮介, 高地 貴行, 吉田 咲子, 岩渕 晴子, 今村 勝, 申将 守, 笠原 靖史, 齋藤 昭彦, 佐野 正和, 西山 健一, 阿部 ...
    52 巻 (2015) 2 号 p. 133-138
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    悪性脳腫瘍に対する全脳脊髄照射(CSI)では頭蓋骨及び全脊椎の骨髄組織が障害されるため,CSI後の強力な化学療法では骨髄抑制が著しく遷延し,結果的に治療全体の強度が低下することが大きな問題である.そこで我々は,CSI及び強力な化学療法を要する悪性脳腫瘍に対しG-CSF単独の末梢血幹細胞(PBSC)採取を試み,化学療法に自家末梢血幹細胞移植(aPBSCT)を併用することとした.早期にCSIを開始するため,術後2週以内の採取完了を目指した.初発未治療例6例では中央値12.6×106/kg(3.9–21.6×106/kg)のCD34陽性細胞採取が可能だったが,うち2例では複数回のaPBSCTに十分な細胞数に達しなかった.再発例の2例では少なくとも1回の移植に必要な量は採取できた.これら4例ではaPBSCT併用化学療法1コース終了後に再度PBSC採取を行い十分量が確保できた(13.7–42.1×106/kg).術後2週以内のPBSC採取では白血球数が増加しやすい傾向にあったが,重篤な有害事象はみられなかった.全例で予定した複数回aPBSCTを実施でき,骨髄抑制の遷延をきたすことなく規定の間隔で化学療法を完遂できた.術後2週以内のG-CSF単独PBSC採取は安全に実施できたものの少数例の経験であり,術後早期にCSIを要する悪性脳腫瘍の集学的治療における有効性に関しては更なる検討を要する.
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  • 鈴木 大介, 小林 良二, 岸本 健治, 佐野 弘純, 安田 一恵, 小林 邦彦
    52 巻 (2015) 2 号 p. 139-143
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    近年,間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)が免疫抑制作用を持つことが報告され,造血幹細胞移植後の難治性の移植片対宿主病(graft-versus-host disease; GVHD)に対する治療効果が期待されている.今回われわれは臍帯血移植後にステロイド抵抗性のgrade IIIの急性GVHDに対してMSCを投与した2症例を経験した.1例は若年性骨髄単球性白血病の4歳男児で,肝,消化管にgrade IIIの急性GVHDを発症した.ステロイドに不応であったがMSCを投与し軽快した.他の1例は急性骨髄性白血病の6歳女児で,消化管のgrade III急性GVHDに対してMSCを投与したが,反応に乏しく免疫抑制剤の調節で徐々に軽快した.この2症例は本邦にて小児に対しMSCを投与した初の報告と考えられる.
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症例報告
  • 石原 卓, 野上 恵嗣, 竹下 泰史, 中田 佳世, 嶋 緑倫
    52 巻 (2015) 2 号 p. 144-148
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病のL-アスパラギナーゼ(L-Asp)療法の合併症に凝固障害症がある.症例は第1寛解期の再寛解導入療法2例と初発時寛解導入療法1例で,全例で症候性の凝固障害はなかった.今回,包括的な凝固線溶能をトロンビン・プラスミン生成試験(T/P-GA)で検討した.T/P-GAで得たトロンビン総生成量(T-EP)とプラスミンpeak生成量 (P-peak)を対正常血漿比で評価した.全例L-Asp投与中にT-EP比は上昇しP-peak比は低下した.フィブリノゲン(Fbg)最低値を示すL-Asp投与後期では両比の差が最大であった(1.5~2.6倍).Fbg低下時は向凝固・低線溶状態であり,血栓傾向になりやすいことが示唆された.今後,L-Asp関連凝固障害の病態解明のため症例の蓄積が求められる.
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  • 石田 和夫, 中原 さおり, 畑中 玲, 大石 芳久, 石垣 瑞彦, 武村 民子
    52 巻 (2015) 2 号 p. 149-153
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    出生時仙尾部腫瘤を主訴に入院した男児.画像検査にて頭蓋内腫瘤,心臓内多発腫瘤,縦隔腫瘤が認められ結節性硬化症に伴う先天性脊索腫と診断した1例を経験した.遺伝子検索でTSC2の変異が証明された.腫瘤は6×5 cmで,直腸を圧排しまたL3の脊椎管内へ進展していたため新生児期に小児外科と脳外科にて仙尾部腫瘍を切除した.生後5ヶ月に斜台の腫瘍が増大したためこれも切除した.心臓内,縦隔腫瘍については縮小傾向であり4歳の現在,経過観察されている.結節性硬化症は小児期から成人に至るまで知能発達遅延や全身の腫瘍性病変を伴う多彩な病態を示す難病疾患である.
    新生児仙尾部腫瘤の鑑別疾患として奇形腫の他に稀ではあるが脊索腫を念頭に診察を進める必要がある.脊索腫の場合は,結節性硬化症の合併としての検索が必要である.
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  • 小林 千恵, 鈴木 涼子, 酒井 愛子, 穂坂 翔, 福島 敬, 里見 介史, 野口 雅之, 南木 融, 中澤 温子, 小野寺 雅史, 今留 ...
    52 巻 (2015) 2 号 p. 154-159
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    生来健康で,易感染性や免疫不全症を疑わせる家族歴のない12歳男児.半年間持続する間欠的な発熱と倦怠感,頸部リンパ節腫大を主訴に来院した.頸部リンパ節生検を行いEBV関連リンパ増殖症 (EBV-B-LPD) と診断した.ステロイド投与により一時的に症状は軽快したが,ステロイドの減量に伴い,左頸部,左腋窩,右頸部~鎖骨上リンパ節とリンパ節腫大は移動して再燃した.ステロイド開始から4か月の時点で行った末梢血フローサイトメトリーではCD19(+), CD27(+)からなるmemoryB細胞分画が著減しており,分類不能型免疫不全症が疑われたが,低ガンマグロブリン血症は認めなかった.発症から2年4か月,リツキシマブを投与したところ,腫大したリンパ節は著しく縮小し,ステロイドは減量中止した.リツキシマブ投与から2年が経過し,症状の再燃は認めていない.
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  • 横山 能文, 遠渡 沙緒理, 篠田 邦大, 豊島 由佳, 安江 志保, 山下 達也, 門井 絵美, 森 真理, 鷹尾 明, 林 秀樹, 西垣 ...
    52 巻 (2015) 2 号 p. 160-164
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は4か月女児.顔面蒼白,嘔吐にて当院救急搬送.来院時血圧,酸素飽和度は測定不能.Hb 4.7 g/dL,pH 7.066,BE –17.9 mmol/Lであり出血性ショックが疑われた.CTにて,肝右葉前区域に80 mm大の巨大腫瘤と腹腔内に液体貯留を認め,AFP 960,215 ng/mLより肝芽腫の腹腔内破裂と診断した.赤血球輸血にて一時的に安定したが,来院5時間後に腹部膨満の急速な悪化,血圧低下を認め,出血性ショックとなった.腹部膨満により下肢の血流途絶,循環不全を認め,肝動脈塞栓術のため大腿動脈,内頸動脈の確保を試みるが困難であった.その後腋窩動脈が触知可能であることに気づき,左腋窩動脈より肝動脈塞栓術を施行した.腫瘍崩壊症候群や急性腎不全を合併したが,徐々に安定し,右肝3区域切除術および術前術後の化学療法を施行し退院.現在発症後約4年経過,無病生存中.腹部膨満のため血管確保が困難であった肝芽腫例に対し,腋窩動脈は血管確保の選択肢となりうると思われた.
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