日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
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52 巻 , 5 号
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理事長挨拶
第56回日本小児血液・がん学会学術集会特集
会長講演
  • 小田 慈
    52 巻 (2015) 5 号 p. 347-353
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    2011年4月の日本小児血液・がん学会の発足と時を同じくして,日本小児血液・がん学会専門医制度はスタートした.2014年秋には第1回の専門医試験が行われ,待望の小児血液・がん専門医が誕生する.少子化時代を迎えた我が国において,小児医療全般のあり方について,様々な視点から議論が行われている.“専門医”についても,社会から,その資質について鋭い指摘がなされるようになり,学会が認定してきた専門医制度についても第3者機構による認定へと姿を変えようとしている.このような背景のなかで,小児血液・がん専門医制度設立の経緯,そして現状を検証し,そして今後,どのような方向を目指すのかについて論じる.いずれにしても,医療の質の向上に貢献し,一人でも多くの難治性疾患に苦しむ子どもたちやAYA世代の人たちを後遺症のない治癒に導くこと,そして被医療者の視点を忘れない,そして願わくば,私たち小児血液・がん医療にかかわる医療者・研究者の日常のQOLの向上も図れる,公平・公正で,実施可能な制度であるべきであろう.
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シンポジウム2: 小児血液・がんと臓器移植・再生医療
シンポジウム3: Joint Symposium: COG and JCCG
  • 中川原 章
    52 巻 (2015) 5 号 p. 359-364
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    わが国における小児腫瘍の臨床研究の歴史は長く,多くは戦後欧米に留学した学究達が帰国後に孤軍奮闘し,その礎を築いてきた.わが国の小児がん臨床研究に最も大きな影響を与えたのは,米国におけるCOG結成へ至る苦闘の歴史であり,欧州のSIOP-Europeの歴史であった.その中で,わが国初の小児血液腫瘍研究グループとして結成されたのが,1969年のTCCSGであり,その後,JCCLSG,KYCCSG,JACLSが立ち上がった.一方,固形腫瘍では,1991年にJPLTが初めて結成され,以後,JWiTS,JESS,JRSG,JPBTC,JNBSGの結成が続いた.しかしながら,小児がんの発生頻度は全がんの1%にも満たず,国からの研究費は極めて限られたものであったため,多くの研究者が大変な苦労と辛酸を舐め,それでも小児がん撲滅を夢見て頑張ってきたのが実情である.小児血液腫瘍研究は2003年にJPLSGとして一本化され,国際的に認められるレベルの小児がん臨床試験体制を組み,すでに多くの実績を挙げてきている.そして遂に,米国COGのように,わが国もすべての小児血液・がん臨床研究グループを統一したJCCGの結成へ向けて,動き出した.ここでは,COGとJCCG結成の歴史を比較し,これからの役割と意義について考察する.
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シンポジウム5: AYA世代に対するがん治療の問題点
  • 楠木 重範
    52 巻 (2015) 5 号 p. 365-368
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    近年AYA世代のがんについて,特に小児科・小児外科を中心に注目されつつある.医療者や患者の家族の共通の望みは,患者が不運にして若い時期にがんを経験しても,前向きに,自らの価値観を持って健やかに成長し,人生を全うすることであろう.そのためには,患者が自尊心を持つこと,ピアサポートがあること,この2点が必要である.私は13歳で悪性リンパ腫を発症し,約2年6か月間の闘病生活を経験した.その後,小児科医となり約16年間小児がんのこどもとその家族と関わらせていただいている.私は自分自身を,自尊心が乏しく,他人に心を許すことが苦手な,つまりピアと悩みを共有することを苦手とするタイプの人間と認識している.しかし2014年第3回社会イノベーター公志園というプログラムに参加し,1人で行う内省に加え,他者や集団の力を借りて内省することにより,ピアサポートの本当の意味を理解し,自尊心が芽生えた.このような経過をたどる症例は貴重と考え,ここに報告する.この一経験が,今後のAYA世代のがん医療に少しでも貢献できれば幸いである.またAYA世代のサバイバーたちからの情報を参考に,妊孕性の課題と医療施設におけるインターネット環境についても考察した.
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シンポジウム6: 小児がん治療と機能温存,その意義は
  • 遠藤 誠, 川井 章
    52 巻 (2015) 5 号 p. 369-375
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    小児原発性悪性骨腫瘍には骨肉腫,ユーイング肉腫,軟骨肉腫などが存在し,骨肉腫が最も多く,その大半を占める.骨肉腫は10代の長管骨骨幹端部に好発し,特に膝関節周囲の発症が多い.化学療法を含む集学的治療の導入により,生存率の大幅な上昇とともに,切断術ではなく,患肢温存術が選択される症例が増加した.現在では,stage II骨肉腫患者の9割が患肢温存術を受けている.小児四肢悪性骨腫瘍に対する患肢温存術では,成人と異なり,骨成長がみられること,患者の活動性が高いこと,より長期的な耐久性に配慮する必要があること,などに注意を要する.脚長差を補正する目的で延長型人工関節などが用いられるが,耐久性に問題があり,患者の約半数は再置換術が必要となる.人工関節の耐久性には,年齢,性別,大腿骨切除長,大腿四頭筋合併切除,化学療法・放射線治療の有無などが関与し,低年齢,男性,長い大腿骨切除長,多い大腿四頭筋切除量,化学療法・放射線治療の併用が低い耐久率に関連する.小児四肢悪性骨腫瘍に対して,腫瘍用人工関節による患肢温存を行った患者の長期成績に関しては,いまだに不明な部分が多く,今後明らかとなることが期待される.
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シンポジウム7: Infantile Leukemia
  • 小野 林太郎, 青木 由貴, 水谷 修紀, 石川 文彦
    52 巻 (2015) 5 号 p. 376-380
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病の治療成績は近年飛躍的に向上したが,1歳未満に発症する乳児白血病の予後は未だ不良である.
    われわれは,これまでに高度免疫不全マウスであるNOD/SCID/IL2rgKO(NSG)マウスを用いたヒト化マウスのシステムを確立し,研究を行ってきた.このモデルでは,NSGマウスに,ヒト造血幹細胞を移植することで,マウスの体内でヒト造血・免疫細胞が再構築される.さらに,NSGマウスに,患者由来のヒト白血病細胞を移植することで,マウスの体内にヒト白血病状態を再現することに成功した.
    われわれは現在,乳児白血病の病態解明と治療成績向上を目指し,JPLSGとの共同研究を行っている.研究参加施設を通していただいた28例の患者検体の解析ならびに,これらの検体を用いた乳児白血病のヒト化マウスの作成を行った.これらの研究から,乳児白血病では,CD34やCD38の発現パターンや白血病発症能を有する分画(Leukemic Initiating cells: LICs)が,MLL融合遺伝子のサブタイプにより異なることを示した.また,乳児白血病患者のLICsと正常造血幹細胞の遺伝子発現プロファイルの比較検討により,LICsに特異的に発現する表面マーカーを同定した.
    近年,乳児白血病の病態生理について,理解が深まりつつある.われわれも,ヒト化マウスを用いた研究を通して,臨床へ還元したく考えている.
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原著
  • 柏瀬 しのぶ, 藍原 康雄, 海老原 京子, 深谷 寛, 高橋 麻利子, 高橋 賢成, 岡田 芳和, 木村 利美
    52 巻 (2015) 5 号 p. 381-386
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    【目的】小児脳腫瘍治療における化学療法では,高度・中等度催吐性抗がん剤が使用されることから,悪心嘔吐の発現頻度が高く,患児のQOLを損なうことがある.近年,NK-1(neurokinin-1)受容体拮抗剤であるアプレピタント(以下,APR)が新規制吐剤として開発されたが,小児における報告は少ない.我々はAPRを併用して化学療法を施行した20歳未満の脳腫瘍症例を対象に,APR非投与症例をコントロール群として安全性と有効性を比較検討した.【方法】各群治療法ごとに,化学療法開始後6日間の悪心嘔吐の発現状況,食事摂取状況,有害事象について調査し,統計処理を行った.意思表示可能な患児においては,MASCC制吐に関する質問票(MAT)による評価も併せて行った.【結果】シクロホスファミド+カルボプラチン+エトポシド療法(以下,CCE療法)ではAPR併用群において非嘔吐率,非悪心率,食事摂取可能な症例の割合がそれぞれ90.5%,66.7%,95.2%で,コントロール群に比してそれぞれ27.2%,16.7%,41.9%増加した.また,カルボプラチン+エトポシド療法(以下,PE療法)ではAPR併用群において非嘔吐率,非悪心率がそれぞれ100%,88.9%で,コントロール群に比してそれぞれ19.8%,4.5%増加した.重篤な副作用の発現はなく,特に高度催吐性抗がん剤を含むCCE療法においてAPRの有効性が認められた.【結論】APRは,小児に対する制吐剤として有用かつ安全な薬剤と考えられる.
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  • 福岡 講平, 柳澤 隆昭, 渡辺 祐子, 鈴木 智成, 白畑 充章, 安達 淳一, 三島 一彦, 藤巻 高光, 松谷 雅生, 西川 亮
    52 巻 (2015) 5 号 p. 387-391
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    【緒言】脳幹部腫瘍は, 極めて予後不良な疾患であり, 生存期間の延長に寄与したと証明された化学療法は, 未だ存在しない.今回我々は,放射線治療後再進行を来した脳幹部腫瘍に対する低用量持続経口エトポシド療法の投与経験を報告する.
    【方法】当院で加療した脳幹部腫瘍症例に対し,後方視的に経口エトポシド療法の効果および有害事象に関し検証した.
    【結果】対象症例は,11例で,診断時年齢中央値5歳(3–10歳),男女比は1:10であった.10例が画像所見のみで診断し,1例が他院にて生検施行され,膠芽腫と診断された.診断から中央値7か月(2–19か月)で放射線治療後の腫瘍再進行を認め,経口エトポシドが開始になっていた.経口エトポシドへの治療反応性に関しては,画像所見が改善,または変化無であった症例は,画像評価の行われた9例中3例であったのに対し,臨床症状は11例中8例で改善または維持,ステロイド投与量は投与中であった8例のうち,2例で中止,2例で減量を行うことができた.エトポシド投与期間は,中央値6か月で,最長24か月投与が可能であった症例も認められた.症例の全生存期間は,中央値19か月(6–38か月)であった.
    【結語】脳幹部腫瘍,放射線治療後再進行例において,経口エトポシド療法により明らかに臨床症状の改善が得られる症例が認められ,試みるべき治療方法であると考える.
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  • 角田 治美, 古舘 和季, 日野 もえ子, 落合 秀匡, 太田 節雄, 種山 雄一, 沖本 由理
    52 巻 (2015) 5 号 p. 392-398
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    今回我々は,当施設(一小児専門病院として)での,最近24年間に行った思春期男性患者の精子保存の経験を報告する.2003年以前は,成人男性患者に対しても精子保存に関する全国的なガイドラインは存在しなかった.しかし我々は1990年以降思春期男児とその家族に治療関連性不妊と精子保存の説明を行い,同意が得られれば精子保存を行ってきた.現在まで精子保存の対象者は15例となり11例にはその説明を十分に行った.しかし2例は治療の緊急性により説明を行わず,2例は医師側の手違いにより説明を怠った.説明を行った11例中4例は精子保存を拒否している.保存を行った7例のうち2例が結婚し,1例は生殖補助技術により挙児を得,もう1例は妊孕性が回復し妻が自然妊娠した.1例は未婚であるが前処置軽減により造精能が回復した.現在まで精子保存を継続している患者は2例である.精子保存の本来の目的は妊孕性温存であるが,そのこと自体が精神的な励みになり,患者のQOL向上に寄与していると考えられる.良質な精子を得るためには治療前に精子を凍結保存するべきで,血液・腫瘍専門医は常にそのことを念頭に置き,患者に対して情報提供を行い他の医療者にも啓発していくことが必要である.精子保存に関する問題点として患者の適応基準,医療者側の情報提供の乏しさ,患者へのコミュニケーション不足,高い未婚率, 費用面などが挙げられ,今後我々は検討と対策を講じていかなければならない.
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  • 歌野 智之, 田中 庸一, 木津 純子, 神谷 尚宏, 小川 千登世, 石田 也寸志, 細谷 亮太, 真部 淳
    52 巻 (2015) 5 号 p. 399-404
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    【背景】メルカプトプリン(6-MP)及びメトトレキサート(MTX)の臨床効果や副作用は個体差が大きく,個々によって至適投与量は大きく異なる事が知られている.本研究は,両薬剤の投与量推移を調査し,患者背景及び再発との関連性について調査した.【方法】1995年4月~2010年3月の期間に当施設で急性リンパ性白血病(ALL)と診断され,維持療法が終了した患児を対象とした.両薬剤の投与量推移を調査し,投与量推移別に患者背景(性別,診断時:白血球数,年齢,immunophenotype,維持療法開始時:体表面積,Prednisolone反応性,リスク分類,肥満度)を比較した.また,再発患者と非再発患者の6-MP及びMTXの投与量推移を比較した.【結果】維持療法開始1年以内に6-MP投与量の変更を要した患児は50名中34名(増量20名,減量14名),MTX投与量の変更を要した患児は50名中18名(増量3名,減量15名)であった.投与量因子の検討では,6-MP及びMTXの投与量の変更を要した事と患者背景に関連性は認められなかった.また,再発を来した患者7名中4名において維持療法開始6ヶ月以内に50%以上の6-MPの増量が必要であった.【結論】維持療法における6-MP及びMTXの投与量推移は,本研究においても個体差が大きい事が認められた.また,6-MP及びMTX投与量推移と患者背景との関連性は認められなかった.しかしながら,6-MPの維持療法早期の増量と再発は関連する可能性がある.
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  • 児玉 祐一, 岡本 康裕, あべ松 貴成, 中川 俊輔, 倉内 宏一郎, 西川 拓朗, 田邊 貴幸, 新小田 雄一, 河野 嘉文
    52 巻 (2015) 5 号 p. 405-408
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    難治性固形腫瘍に対する緩和的化学療法として,様々な組み合わせの抗癌剤が試みられている.その一つであるイリノテカン・テモゾロミドの併用療法(IT療法)について,海外での報告は散見されるが,国内ではまだ報告が少ない.我々はfirst lineまたはsecond line以降の治療後再発または進行性の症例で,IT療法を受けた難治性固形腫瘍の8例を後方視的に検討した.疾患はEwing肉腫/PNETが3例,未分化肉腫,肝芽腫,乳児線維肉腫,腎芽腫,神経芽腫がそれぞれ1例であった.8例が計27コースのIT療法を受けた.各症例は中央値で3コース(範囲1–11コース)の治療を受け,最大治療反応でpartial responseが3例, stable diseaseが4例, progressive diseaseが1例であった.最終予後は,4例が原病により死亡し,3例が担癌生存,1例が無病生存(手術後)であった.Grade 3–4の好中球数減少を9コース(33.3%),血小板数減少を2コース(7.4%),Grade 3の下痢を3コース(11.1%)で認めたが,有害事象による治療の遅延はなかった.IT療法は日本人にも実行可能な薬剤の組み合わせであり,また一定の抗腫瘍効果を認めたことから,難治性固形腫瘍の緩和的化学療法として有望である.
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  • 片山 菜穂子, 加藤 元博, 渡邉 健太郎, 樋渡 光輝, 張田 豊, 滝田 順子, 岡 明
    52 巻 (2015) 5 号 p. 409-413
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    背景:小児血液・腫瘍患者において中心静脈カテーテル(CVC)は広く用いられているが,カテーテルへのcolonizationがしばしば問題となる.colonizationの治療はCVCの抜去が原則であるが,抗生剤ロックを用いてCVCを抜去せず救済しうることが報告されている.今回我々は,小児血液・腫瘍患者に対して抗生剤ロック療法を施行した経験について報告する.
    方法:2008年4月から2013年8月に当院小児科で皮下トンネル型CVCを使用した小児血液・腫瘍患者113名,のべ28942 CVC日について後方視的に検討した.172回のcolonizationのうち15回で抗生剤ロックが行われた.抗生剤ロックにはバンコマイシンを主に用い,原則として1週間継続した.抗生剤ロック終了後の血液培養陰性をもって成功とした.
    結果:15回の抗生剤ロックのうち13回(86.7%)でCVC温存に成功した.2回は血液培養が陰性化しない等の理由でCVCを抜去した.温存後の感染発生率は5.70 event/1000 CVC日であり新規に挿入されたCVCの5.95 event/1000 CVC日とほぼ同等であった.抗生剤ロック群と新規カテーテル群で初回カテーテルへのcolonizationの累積発生率,全使用可能期間について比較したが両群間に有意差は認めなかった(それぞれp=0.399, p=0.267).抗生剤ロックに関連した有害事象はなかった.
    結語:小児血液・腫瘍患者のカテーテルへのcolonizationにおいて抗生剤ロック療法はCVC温存に一定の効果があると考えられた.
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  • 上久保 毅, 橋本 圭司, 清谷 知賀子, 寺島 慶太, 師田 信人, 荻原 英樹, 藤 浩, 竹厚 誠, 池田 夏葉, 松本 公一
    52 巻 (2015) 5 号 p. 414-420
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    【目的】髄芽腫治療後の知的機能について検討したので報告する.
    【方法】当院での髄芽腫の治療終了後,2011年7月~2014年11月までに,発達評価センターにおいてウェクスラー児童用知能検査第4版を実施した患児10名を対象とし,後方視的に知的機能について検討した.診断時年齢の中央値は5.0歳,治療終了後から検査実施までの期間の中央値は59.5カ月であった.全症例に腫瘍摘出術および化学療法が,9例に放射線療法が施行されていた.対象10例の言語理解指標(VCI),知覚推理指標(PRI),ワーキングメモリー指標(WMI),処理速度指標(PSI)と全検査IQ(FSIQ)の比較および,経時的評価した5例に対して,その変化を比較した.また水頭症合併例および放射線療法施行例の評価点について検討した.
    【結果】対象10例の評価点すべてが70以上であった.中央値は,FSIQ:92.0,VCI:90.0,PRI:97.5,WMI:95.5,PSI:84.5と処理速度指標が最も低値であった.経時的に2回検査した5例の比較および水頭症合併例,放射線療法例の比較では,評価点に統計学的有意差を認めなかった.
    【結論】知的機能の推移を評価する際には,全検査IQ, 4指標ばかりではなく,下位検査の評価点にも着目し,その内容に応じた対応方法について,当事者家族をはじめ,教育機関や地域に対して,具体的に情報提供することが求められる.
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症例報告
  • 今吉 美代子, 飯盛 智子, 尾形 善康, 山本 修一, 市丸 智浩, 濱崎 雄平
    52 巻 (2015) 5 号 p. 421-425
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    症例は9歳女児.発熱,顔面紅斑,および四肢の紅斑のために当科に入院.身体所見と検査所見から全身性エリテマトーデス(SLE)と診断し,プレドニゾロン(PSL)の経口投与を開始した.入院1カ月後に左後頭部の激しい頭痛が出現.MRIで上矢状静脈洞とS状静脈洞の血栓が確認された.凝固因子および抗凝固因子に異常なく,ループスアンチコアグラントは希釈RVVT法の検査では陰性,血栓症に関連のある自己抗体についてはフォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)のみが陽性であった.本例をSLEに合併した抗リン脂質抗体症候群(APS)に伴う静脈血栓症と診断したが,経過より血栓形成にPSLも一部関与した可能性が考えられた.APSにおける新たな診断法としてのaPS/PTの重要性を含め検討した.
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  • 片岡 伸介, 宮島 雄二, 國島 伸治
    52 巻 (2015) 5 号 p. 426-429
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    患児は日齢1の男児.初期嘔吐のため当院新生児センターへ搬送され,初診時の検査で血小板数が3.0×104/μLと低下していた.入院当初は同種免疫性血小板減少症を疑ったが,対応する血小板抗体は検出されなかった.17ヵ月時にも血小板減少症が遷延し,血液塗抹標本で巨大血小板を認めた.先天性巨大血小板性血小板減少症の系統的鑑別診断を施行し,血小板膜糖蛋白(GP)I b/IX低下を認め,遺伝子検査によりGP IX遺伝子変異を検出したためBernard-Soulier症候群(BSS)と診断した.GP IX遺伝子変異は,BSSを来たす既知のp.Cys89Tyr変異と一塩基欠失により未熟終末となる新規p.Gly40fsX43変異の複合へテロ接合体であった.幼児期に診断出来たことで,今後適正な生活指導や出血管理が望める.合併症のない新生児血小板減少症の原因としては,同種免疫性血小板減少症の頻度が比較的多いが,BSSに代表される先天性巨大血小板減少症も稀ながら存在する.血小板減少症の診断には血液塗抹標本で血小板形態を観察することが重要である.
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  • 代居 良太, 木下 義晶, 林田 真, 家入 里志, 宗崎 良太, 孝橋 賢一, 西江 昭弘, 相島 慎一, 小田 義直, 田尻 達郎, 田 ...
    52 巻 (2015) 5 号 p. 430-434
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    画像所見が非典型的で,肝細胞癌との鑑別が困難な小児多発性肝限局性結節性過形成類似病変(FNH-like lesion)の症例を経験した.症例は10歳女児で,右下肢痛の経過観察中,MRIで偶然多発肝腫瘤影を指摘された.ガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA)による造影MRIで,大部分の腫瘤は限局性結節性過形成(FNH)に一致する所見だった.ところがS3の腫瘤が高分化型肝細胞癌を疑う所見だったため,腹腔鏡下肝腫瘍切除を行った.切除組織の病理診断は肝細胞の過形成性病変で,肝細胞癌は否定された.しかし,FNH以外の他の過形成性病変との区別は困難で,最終診断はFNH-like lesionとした.
    FNHと同様に肝内血管走行異常が原因で生じる過形成性病変で,FNHの病理所見を満たさないものをFNH-like lesionと呼ぶ.本症は組織像だけでなく画像上もFNHに非典型的な所見を呈し得る.画像上肝細胞癌が疑われるが,他の臨床像が悪性を示唆しない場合,本疾患も念頭に置く必要がある.
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  • 樋口 紘平, 安井 昌博, 清水 真理子, 近藤 統, 佐藤 真穂, 澤田 明久, 田中 水緒, 田中 祐吉, 井上 雅美
    52 巻 (2015) 5 号 p. 435-439
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    大量腹水による腹部膨満を主訴とし,急性巨核芽球性白血病(AMKL)の診断に至った生後2か月の女児について報告する.エトポシド・シタラビン少量持続療法を先行した後,JACLS AML99共通プロトコールの寛解導入療法(エトポシド,シタラビン,ミトキサントロン)を施行した.コントロール困難な大量の腹水による呼吸障害のため,3か月間の人工呼吸管理を含む集中治療を必要とした.大量腹水は,OTT-MAL(RBM15-MKL1)キメラ遺伝子陽性AMKLの特徴の一つである肝線維化による門脈圧亢進症が原因と考えられた.寛解導入療法後の造血回復に伴い腹水量は減少傾向となったが,高度な門脈圧亢進症のため以後の治療を断念した.しかし治療開始後2年9か月が経過した現在も寛解を維持しており,全身状態は良好である.
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  • 青木 孝浩, 康 勝好, 川口 裕之, 久保田 泰央, 大山 亮, 森 麻希子, 荒川 ゆうき, 磯部 清孝, 野々山 恵章, 花田 良二
    52 巻 (2015) 5 号 p. 440-443
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ®,以下GO)は,本邦において2005年にCD33陽性の再発・難治性急性骨髄性白血病(以下AML)に対して保険承認された.しかし,成人AMLに対しては用法・用量が定まっている一方で,小児AMLに対する用法・用量は定まっていない.我々はこれまでに寛解導入療法後に非寛解であった小児難治性AML4症例に対し,分割GO単剤療法(9 mg/m2 3分割投与)を行い,4例中2例でGO投与後に完全寛解となった.分割GO単剤療法中にGrade 2のinfusion reactionを2例で認め,肝中心静脈閉塞症(以下VOD)は認めなかった.Grade 3の感染症を全例で認めたが,他に重篤な非血液毒性は認めなかった.分割GO単剤療法後は全例で同種造血幹細胞移植(以下HSCT)を行い,3例が再発した.治療関連死亡はなかったが,HSCT後に2例でVODを発症した.有害事象を軽減しうる分割GO単剤療法であっても感染症やその後のHSCT時におけるVODには十分な注意が必要である.
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  • 松野 良介, 外山 大輔, 塚田 大樹, 秋山 康介, 池田 祐一, 林 高樹, 磯山 恵一
    52 巻 (2015) 5 号 p. 444-448
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    これまでに急性白血病の診断にMRIが有用であることが報告されてきた.骨痛や関節痛を主訴に受診した急性白血病では骨・骨髄に異常所見を呈することが多い.症例は7歳,女児.下肢痛を主訴に来院しB前駆細胞型急性リンパ性白血病と診断された.治療開始前のMRIで左大腿骨に白血病浸潤を示す異常信号を認め,寛解導入療法終了後,骨髄の完全寛解とMRI異常信号の改善を確認した.しかし治療途中で左大腿骨骨髄に新たな異常信号が出現し,再発と鑑別を要した.MRIの異常所見以外に再発を疑う所見がないこととFDG-PET/CTを施行し異常集積を認めなかったことから,化学療法後の骨髄再転換であると推察し,治療を継続とした.MRIの異常信号は徐々に改善し,全治療を終了することができた.骨髄のMRI異常信号は必ずしも再発を意味するものではなく,経時的な観察が重要であることが示唆された.
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  • 平本 梨花, 大曽根 眞也, 今村 俊彦, 石田 宏之, 高島 健浩, 今井 耕輔, 森尾 友宏, 細井 創
    52 巻 (2015) 5 号 p. 449-453
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    重症複合型免疫不全症(SCID)の根治療法は同種造血細胞移植であるが,移植前にサイトメガロウイルス(CMV)感染症を併発すると移植成績は不良である.今回我々は,CMV感染症を合併したSCIDの児に臍帯血移植(CBT)を行い良好な経過を得た.症例は3カ月男児,主訴は発熱と呼吸困難.精査の結果CMV肺炎と腸炎を合併したSCIDと診断された.ガンシクロビル,γ-グロブリン,ステロイドパルス療法を行ったがCMV感染症は改善せず,ホスカルネットを追加したところ改善した.HLA一致血縁ドナーがなく非血縁CBTを行った.前処置はブスルファン4 mg/kgとフルダラビン180 mg/m2を用いた.好中球は移植後10日で生着し,CMV感染症の再燃なく経過した.移植後1年5カ月まで易感染性なく経過し,成長発達は良好で晩期合併症を認めない.CMV感染症を移植前に制御できたことが,CBT成功の要因と考えられた.
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  • 堂 淳子, 宮地 充, 桒原 康通, 中野 宏, 中村 聡明, 小西 英一, 黒田 啓史, 大津 修二, 家原 知子, 細井 創
    52 巻 (2015) 5 号 p. 454-460
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    13歳女性.頸部痛と聴力障害が進行し近医耳鼻咽喉科を受診,ファイバースコープで上咽頭に腫瘤を認め基幹病院の耳鼻咽喉科へ紹介,生検による病理診断の結果EBV関連上咽頭癌と診断された.stage IV B (T3N3M0)の進行癌であり,CDDP, 5FU, Leucovorinを用いたneoadjuvant chemotherapy (NAC)を3コース施行後,IMRT (59.4 Gy)とCDDPによるconcurrent chemoradiotherapy (CCRT)を施行し,完全寛解が得られた.その後6か月間IFN-β投与を行い,診断より24か月の観察期間において完全寛解を維持している.IMRTを用いた放射線治療により有害事象を軽減することができた.また,血清EBV-DNAは治療効果を反映していた.小児上咽頭癌に対する治療法は確立していないが,本治療法は有効かつ安全な治療戦略である可能性が示唆された.
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