日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
53 巻 , 1 号
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会告
原著
  • 山崎 夏維, 中野 嘉子, 田中 千賀, 岡田 恵子, 藤崎 弘之, 大杉 夕子, 原 純一
    2016 年 53 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/21
    ジャーナル フリー
    (背景)高リスク神経芽腫の治療成績は未だ不良である.当院では骨髄非破壊的前処置による同種臍帯血移植(CBT)による治療強化を試みたためその治療成績を報告する.
    (対象と方法)2005~2012年に当院で治療を行った神経芽腫15例を後方視的に検討した.
    (結果)発症年齢の中央値は2.9歳で男児7例,女児8例だった.化学療法および大量化学療法を行った後に手術および放射線治療による遅延局所治療を行った.大量化学療法開始前の治療反応はVery good partial response(VGPR)2例,Partial response(PR)11例,Mixed response(MR)2例であり,大量化学療法後にVGPRの1例がComplete response(CR) となり,PRの2例がVGPRとなった.5例が無病生存,8例が再発,2例が合併症死した.再発例のうち7例は初発時に見られた骨病変を含む再発であり,5yr-Event free survivalおよび5yr-Overall survivalは各々33.3±12.2%,26.7±12.6%だった.
    CBTは6例に対して局所治療終了後に行われた.前処置はBusulfan/FludarabineもしくはMelphalan/Fludarabineを用いた.GVHDはGrade I/IIが3例で,Grade III以上は認めず,治療関連死亡はなかったが2例で生着不全が見られた.5例が再発し無病生存は1例のみであった.再発までの期間の中央値はCBT群で17.8か月,非CBT群で22.7か月と有意差を認めなかった(p=0.23).
    (結論)高リスク神経芽腫に対するRIC-CBTは安全に施行できたが,治療成績の向上は得られなかった.
  • 長澤 武, 渡邉 健太郎, 加藤 元博, 関口 昌央, 樋渡 光輝, 岡 明, 滝田 順子
    2016 年 53 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/21
    ジャーナル フリー
    ALK阻害剤であるcrizotinibは進行神経芽腫の予後を改善させ得る分子標的薬として期待がもたれているが,本邦におけるcrizotinibの小児神経芽腫に対する使用経験は極めて乏しい.今回,ALK増幅が認められた難治性神経芽腫に対してcrizotinibを使用した症例を経験したため報告する.症例は診断時1歳4ヶ月女児.左副腎に原発の神経芽腫であり,多発する遠隔転移を認めstage 4と診断した.MYCNは非増幅であったが,ALKの増幅が確認された.05A1/05A3療法,大量化学療法,手術を行ったが,術後17日目に頭痛,下肢痛覚の鈍麻,運動障害及び排尿障害を発症しMRIで脊髄転移が認められた.FISH法による髄液中細胞のALK増幅が確認されたため,放射線照射とともにcrizotinibの投与を行い計26日間の内服を行った.画像上部分奏功を得たが,grade 3の嘔吐のために投与が困難となり,治療を中止した.crizotinibの安全性と有効性について今後の症例の蓄積が必要と考えられる.
症例報告
  • 小林 真紀, 恩田 恵子, 山田 浩之, 斉藤 洋平, 藤村 純也, 齋藤 正博, 近藤 聡英, 清水 俊明
    2016 年 53 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/21
    ジャーナル フリー
    間脳症候群は著明なるいそうや多動などを特徴とする症候群で,乳幼児では視床下部の腫瘍が原因として多いことが知られている.乳幼児期発症の脳腫瘍では,骨縫合線が離開しやすく頭痛や嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状が出現しにくいことや,神経学的所見の評価が困難であることから,診断までに時間を要することが少なくない.今回我々は,初期症状として生後7か月頃から体重増加不良を認め,2歳時に視床下部毛様細胞性星細胞腫と腫瘍に起因する間脳症候群と診断された1例を経験した.乳幼児における原因不明の体重増加不良の鑑別では,脳腫瘍も考慮する必要があると考えられた.
  • 藪本 仁美, 石原 卓, 本田 晃生, 金廣 裕道, 越智 聡史, 竹下 泰史, 嶋 緑倫
    2016 年 53 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/21
    ジャーナル フリー
    【緒言】肝芽腫ではシスプラチン(CDDP)をキードラッグとした術前化学療法が重要である.本邦ではCDDPとピラルビシンの併用によるCITA療法が主流であるが,今回,初回のCITA療法中に合併症を来し,CDDP単剤療法を施行した中間リスク群肝芽腫の1例を報告する.【症例】1歳女児.PRETEXT IIIの中間リスク群肝芽腫に対し,開腹生検後8日目からCITA療法を開始したが汎発性腹膜炎を合併し,骨髄抑制と創部離開が遷延した.CITA開始後38日目からCDDP単剤療法に変更したところ,骨髄抑制も軽微で予定通り術前化学療法を遂行できた.【結論】中間リスク群肝芽腫において,合併症をきたした場合には,CDDP単剤療法が治療間隔を間延びさせずに施行できる治療法の一つとして許容される可能性が示唆された.
  • 木村 俊介, 長谷川 大輔, 松井 俊大, 代田 惇朗, 石田 悠志, 吉本 優里, 平林 真介, 細谷 要介, 吉原 宏樹, 熊本 忠史, ...
    2016 年 53 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/21
    ジャーナル フリー
    最重症再生不良性貧血の治療として,重症感染症などにより早期の移植が必要にも関わらずHLA適合ドナーが得られない場合,非血縁者間臍帯血移植やHLA不適合血縁者間移植が選択肢となる.しかし,このような代替ドナーからの移植では,移植片対宿主病や生着不全の危険が高いことが問題である.我々は,感染を反復する最重症再生不良性貧血の2歳男児に対して,HLA 5/6抗原一致非血縁者間臍帯血移植を行った.総有核細胞数とCD34陽性細胞数の豊富な臍帯血を用いるとともに,前処置に低線量放射線照射を併用した.また,移植前に鉄キレート療法を行った.移植後day 20に生着が得られ,重篤な急性移植片対宿主病は認めなかった.前処置に用いた抗胸腺グロブリンの影響も疑われるサイトメガロウイルス抗原血症が5か月遷延したが,非血縁者間臍帯血移植は最重症再生不良性貧血の治療選択肢のひとつとなりうると考えられた.
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