日本小児血液・がん学会雑誌
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53 巻 , 2 号
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第57回日本小児血液・がん学会学術集会記録
シンポジウム(教育セッション)6: 小児凝固・線溶異常症の新たな治療戦略
  • 野上 恵嗣
    53 巻 (2016) 2 号 p. 69-74
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    小児血友病Aにおける現在の重大な課題として,第VIII因子製剤の頻回経静脈投与とそれに関わる血管アクセスの問題,製剤投与後に発生するインヒビター出現とその止血治療が挙げられる.これらの課題に対し,ヒト型bispecific抗体(ACE910,一般名emicizumab)が創薬された.本抗体の抗原部位の片方に第IX因子,もう一方に第X因子が結合し,両因子がリン脂質膜上で適切な位置関係を維持することにより,第VIII因子代替作用を発揮するコンセプトである.前臨床試験のサル後天性血友病Aモデルで,本抗体は出血に対する止血効果および自然関節出血の出血予防効果を示した.そこで,本抗体の薬物動態,薬効そして安全性に対しての第1相臨床試験が,本邦で健常人64名,血友病A患者18名を対象に開始された.本抗体関連の重篤な有害事象は認めず,本抗体の血中半減期は約30日であった.週1回の皮下投与により,出血回数はインヒビターの有無に関係なく減少した.現在,その継続試験である第1/2相臨床試験が継続中である.bispecific抗体は長時間作用を有し,皮下投与であり,さらにインヒビターの有無に関わらずに出血を予防し得る利点から,小児血友病A患者の長年の課題を克服し,その結果QOLが著しく向上することが期待できよう.
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  • 加藤 秀樹, 吉田 瑶子, 藤澤 まどか, 菅原 有佳, 南学 正臣
    53 巻 (2016) 2 号 p. 75-79
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    非典型溶血性尿毒症症候群は血小板減少,溶血性貧血,急性腎障害を三徴とし,末期腎不全に至る重篤な疾患である.補体関連遺伝子の異常による補体第二経路の異常活性化が原因であることが解明されつつあり,病態解明が近年急速に進んでいる疾患である.治療は血漿療法が中心であったが,病態の解明とともに抗補体療法であるエクリズマブが適応となり,aHUSの寛解が報告されている.本疾患の原因として,複数の遺伝子が報告されており,また未知の原因も含まれた症候群であり,診断が非常に困難な疾患である.本邦においても2016年2月に日本腎臓学会と日本小児科学会から「非典型溶血性尿毒症症候群 (aHUS) 診療ガイド2015」が公開され,aHUSの定義,診断,治療までの流れが明確になりつつある.本稿ではaHUSの病態,診断,治療について概説するとともに,aHUS診療ガイド2015の要点を概説する.
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シンポジウム7: Treatment strategy for childhood ALL
  • 加藤 元博
    53 巻 (2016) 2 号 p. 80-83
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ性白血病の治療成績はこの数十年で大きく向上した.治療骨格の最適化や層別化治療の導入などにより,長期生存率は90%を達成し,小児急性リンパ性白血病は不治の病ではなくなった.しかし,まだ再発や合併症死亡を完全に回避できておらず,治癒例においても晩期合併症をきたす例が一定の割合で存在する.長期生存率が改善してきたからこそ,残されたこれらの課題への取り組みが重要視される.これまでの成功の道筋を振り返ると,新たに同定された分子異常を予後因子として用いることや,微小残存病変の評価に基づいて層別化治療をさらに適正化することがまず目指す方向であるが,加えて,分子標的療法による標的治療を応用することや,免疫機構を利用した新薬の開発などを通じ,「再発を抑制する」と「合併症を最小化する」という相反する目的を同時に達成することが目指すべき方向であろう.また,90%以上の優れた生存率を達成した現在,単に生存率だけで治療の優劣を評価するのではなく,治療中・治療後などの生活の質もあわせて評価基準とすることも必要である.今後,思春期・若年成人までこの成功を外挿することや,達成した治療成績を支えてきた中央診断・中央検査の経済的基盤を維持することも大きな課題である.
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教育セッション1: 胚細胞腫瘍(脳腫瘍を除く)
  • 上原 秀一郎
    53 巻 (2016) 2 号 p. 84-90
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    胚細胞腫瘍とは胎生期に出現する胚細胞(germ cell,原始生殖細胞)に由来する様々な腫瘍の総称であり,奇形腫群腫瘍とも呼ばれる.未分化な胚細胞の性格を示すものから,胚外組織への分化を示す腫瘍,さらに三胚葉への分化を示す腫瘍が含まれ,成熟奇形腫,未熟奇形腫,卵黄嚢癌,絨毛癌,胎児性癌,未分化細胞腫などに分類される.原発部位は卵巣が最多であり,精巣と合わせて性腺が半数以上を占め,これに仙尾部,後腹膜,縦隔が続く.
    腫瘤触知や周囲臓器への圧迫による症状で発症することが多いが,組織型と年齢,発生部位により様々な病態を呈する.悪性腫瘍では血清αフェトプロテイン(AFP)やβ-ヒト絨毛ゴナドトロピン(HCG)などの腫瘍マーカーが上昇することがある.
    治療の原則は良性腫瘍の場合は周囲臓器の機能温存に留意しつつ,腫瘍を全摘する.悪性腫瘍の場合は,初診時に一期的に摘出困難,あるいは大きな手術侵襲が予測される場合はまず腫瘍生検に留め,化学療法により腫瘍の縮小を図り,摘出術が行われる.代表的なプロトコールは,PVB, PEB, JEBなどである.化学療法の有効例が多いため,進行例でも予後は比較的良好である.
    JCCG胚細胞腫瘍委員会も設立され,今後,国際的な共同研究も期待される.
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教育セッション3: 感染制御
  • 堀越 裕歩
    53 巻 (2016) 2 号 p. 91-96
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    WHOは耐性菌に対して“No action today, no cure tomorrow 今,行動を起こさなければ,明日の治療はない”という声明を出した.新たな耐性菌の出現に対して,新規抗菌薬の開発が追いついておらず,抗菌薬のない時代に逆戻りしてしまうことが真剣に危惧されている.既に医療だけでなく,国際的な公衆衛生上の問題として考えられている.人での菌の耐性獲得のリスクは,腸内細菌群などに代表される菌叢へ抗菌薬が曝露することで選択圧がかかり,病原性菌に耐性遺伝子が水平伝播することである.抗菌薬などの抗微生物薬の適正使用を勧めるには,Antimicrobial stewardship program (ASP) が有効である.広域抗菌薬の処方に制限をかけるだけでなく,治療の標準化,培養適応の適正化,Therapeutic drug monitoring (TDM) などの介入は多岐に渡る包括的なプログラムである.医師個人の経験的な治療のみに依存せず,病院がシステムとして適正使用を推進する.感染症診療の原則である臓器診断,病原体診断をして,予想される微生物のスペクトラムをカバーする治療を適切に行う.組織的な適正使用の推進によって,少しでも耐性菌の出現を遅らせて,未来の子供たちに治療の選択肢を残してあげることが重要である.
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原著
  • 渋谷 温
    53 巻 (2016) 2 号 p. 97-104
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    遺伝性球状赤血球症(hereditary spherocytosis: HS)は赤血球膜タンパク異常を有する溶血性貧血として最も代表的な疾患である.本研究ではHSをその他の溶血性貧血であるサラセミア,ヘモグロビン異常症,赤血球酵素異常症,自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia: AIHA)それに鉄欠乏性貧血と健常人の末梢血液塗抹標本〔Wright-Giemsa (WG) 染色〕での赤血球形態観察とeosin-5'-maleimide (EMA) による赤血球の染色像を共焦点レザー顕微鏡で観察,それに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でのヘモグロビン分画,SDS-polyacrylamide gel electrophoresis (PAGE) による赤血球膜タンパク量の測定を行い,HSを他の溶血性貧血から鑑別を試みた.その結果,脾臓摘出前のHSの多くは末梢血液像で小型球状赤血球が多数出現し,それらの赤血球EMA染色像は健常人に比し暗く染色されていた.HPLC像ではHSは異常波が出現しなかったが,他の貧血例ではそれぞれ特徴のある波形がみられた.脾摘前のHSではSDS-PAGEでのband 3タンパク量の減少しているものがあり,EMA染色像も暗いという相関がみられた.また脾臓摘出後のHSの赤血球EMA染色像は健常人のそれに比し暗いが,脾臓摘出より明るく染色されていた.その他の溶血性貧血では赤血球のEMA染色像は明るくそれぞれ特徴のある染色像を示し,また,SDS-PAGEでのband 3タンパク量や他のband像も健常人との差はみられなかった.
    以上からEMA染色像の暗さやHPLC像それにSDS-PAGE像からほとんどの脾摘前や脾摘後のHSでも他の貧血例から鑑別できたが,その他の検査のSDS-PAGEによる膜タンパク分析でも確定できず,DNA解析が必要とされる診断が困難な症例もあった.
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  • 坂本 謙一, 今村 俊彦, 友安 千紘, 矢野 未央, 後藤 幸子, 田村 真一, 大曽根 眞也, 石田 宏之, 森本 哲, 黒田 啓史, ...
    53 巻 (2016) 2 号 p. 105-111
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    【はじめに】同種造血細胞移植後に再発した急性白血病症例は極めて予後不良である.今回我々は,当院および関係施設で初回同種造血細胞移植後に再発した19例を後方視的に解析し,予後因子を探索した.【対象】2000年1月から2013年12月の間に初回同種造血細胞移植を施行した造血器腫瘍のうち,移植後再発した19例(acute lymphoblastic leukemia(ALL):12例,acute myeloid leukemia(AML):5例,therapy related AML(tAML):2例)の臨床経過および移植後微小残存病変(Minimal residual disease; MRD)モニタリングの有用性について後方視的に解析した.【結果】移植後再発からの観察期間中央値は804日であり,3年全生存率および無病生存率は25.2±9.9%,18.5±10.3%であった.再発の内訳は,骨髄単独14例,髄外単独4例,骨髄髄外複合再発1例であった.再移植は合計14例(骨髄単独12例,髄外単独2例)に施行された.骨髄単独再発のうち血液学的再発をきたした12例中11例は再寛解を達成できず死亡した.一方,分子生物学的再発の時点で治療介入を行った2例はいずれも分子生物学的寛解を達成後に再移植を行い無病生存中であり,WT1 mRNA定量PCRにより経時的にMRDを測定された5例中4例で分子生物学的再発が診断できた.移植後骨髄単独再発例の無病生存に関わる予後因子は再移植施行年代のみが有意であった.【考察】移植後再発症例の予後を改善するためには,積極的なMRDモニタリングにより移植後再発を早期発見し,分子生物学的再発の時点で治療介入を行うことが必要と考えられた.
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  • 三上 真充, 梅田 雄嗣, 上野 浩生, 才田 聡, 平松 英文, 平家 俊男, 足立 壯一
    53 巻 (2016) 2 号 p. 112-116
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    様々な小児固形腫瘍に対する自家造血幹細胞移植を併用した大量化学療法としてmelphalan (Mel),etoposide (VP16),carboplatin (CBDCA) からなるHiMECレジメンが広く用いられているが,時に腎不全・感染症等の致死的な有害事象発生例が認められる.今回,当院でHiMECレジメンを用いた患者17例のうち,VP16,CBDCAの後にMelを投与した9例(Mel後行群)と,先行してMelを投与した8例(Mel先行群)について,有害事象の発症頻度や重症度について後方視的に比較検討した.Mel後行群は高血圧の発症頻度が有意に高く(0% vs. 66.7%, p=0.009),有意差はないものの腎障害の発症頻度が高かった.一方,Mel先行群ではMel後行群と比べて重度の好中球減少期間が有意に長く (13日(中央値,範囲10~18)vs. 10日(中央値,範囲8~14), p=0.028),粘膜障害の発症頻度が有意に高かった(87.5% vs. 33.3%, p=0.049).今回の結果から,Mel後行投与に伴う腎障害や血管障害のリスクを考慮して,多くの症例でMel先行投与が望ましいことが示唆された.ただし,Mel先行投与に伴う感染症や粘膜障害のリスクを軽減するため,より安全性の高い投与スケジュールを検討する必要があると考えられた.
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  • 岡田 恵子, 森口 直彦, 畠山 直樹, 今井 剛, 大曽根 眞也, 篠田 邦大, 伊藤 剛, 田内 久道, 三木 瑞香, 原 純一, 西村 ...
    53 巻 (2016) 2 号 p. 117-122
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    キャンディン系抗真菌薬ミカファンギン(MCFG)は,好中球減少期発熱(FN)に用いる場合の小児の薬物動態(PK)に関して,詳細な検討は行われていない.そこで小児白血病研究会(JACLS)支持療法委員会にて,MCFGのPKパラメータを算出し,安全性の評価を行った.FN患者7例(3–9歳)を対象に,MCFGを3.8–10 mg/kgを1日1回1時間点滴し,初回投与時の点滴終了直前(ピーク),点滴開始1.5, 4, 6, 24時間後,および定常状態(4–7日目) のトラフとピークのMCFG血中濃度を測定した.初回投与時における全身クリアランス(CL)は0.351 mL/min/kg,定常状態時分布容積は0.354 L/kg,消失半減期は13.4 hであった.これらのPKパラメータは,健康成人での報告値とほぼ同じであったが,小児のCLは成人よりもやや高かった.また,MCFG投与前後で肝機能および腎機能に関する検査データ変動はなく,MCFGに関連する有害事象は認めなかった.MCFGは,小児FN患者に対して安全に投与できる薬剤であると思われた.
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症例報告
  • 中川 夏季, 橋井 佳子, 松村 梨紗, 吉田 寿雄, 宮下 恵実子, 宮村 能子, 大薗 恵一
    53 巻 (2016) 2 号 p. 123-128
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    我々は横紋筋肉腫治療後に発症した急性骨髄性白血病(AML)の2症例を経験した.症例1は4歳女児.3歳時に後腹膜原発胎児型横紋筋肉腫を発症, 化学療法, 手術, 放射線治療にて寛解に至ったが,治療終了後6ヶ月にAML (M4)と診断された.化学療法にて寛解が得られ,HLA3座不一致の母より同種末梢血幹細胞移植を施行され,13年寛解を維持している.症例2は6歳男児.3歳時に膀胱原発胎児型横紋筋肉腫を発症し,化学療法,放射線治療,手術にて寛解に至った.5歳時に横紋筋肉腫再発, 化学療法, 手術, 陽子線治療により寛解に至ったが, 治療終了後6ヶ月にAML (M2)と診断された.化学療法施行後にHLA2座不一致の父より同種骨髄移植を行い,3年間寛解を維持している.二次性AMLは治療に難渋する症例が多いが, 化学療法により早期に寛解を獲得し造血幹細胞移植を行うことで良好な予後が得られる可能性が示唆された.
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  • 舩越 康智, 谷岡 真司, 岡田 雅彦, 大畠 雅之, 田口 潤, 安倍 邦子, 林徳 真吉, 森内 浩幸
    53 巻 (2016) 2 号 p. 129-134
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    肺ムコール症は血液腫瘍性疾患の治療中に問題となる重篤な真菌感染症であり,早期診断と積極的な治療が必要となる.フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)に対するイマチニブ併用多剤併用化学療法での寛解導入療法中に肺ムコール症を発症した15歳男性例を経験した.肺の摘出病変からムコール症と診断,アムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)投与を継続し,寛解導入療法後の化学療法はダサチニブ単剤で継続した.肺ムコール症の残存病変に対しては外科的切除を行った.Ph+ALLの中枢神経再発を起こしながらも非血縁者間同種骨髄移植を行ったが,重症の移植片対宿主病を発症し移植後day 93に死亡した.剖検は行われておらず確定はできないが,肺ムコール症の再燃を強く疑う経過はとらず,その管理には十分な期間のL-AMB投与と肺病変の外科的切除が有効と思われた.
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  • 三上 貴司, 本倉 浩嗣, 宮本 尚幸, 田中 邦昭, 秦 大資, 梅田 雄嗣, 平松 英文, 渡邉 健一郎, 藤野 寿典, 住本 真一, ...
    53 巻 (2016) 2 号 p. 135-138
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫において腎臓は浸潤頻度の高い臓器の一つである.症例は11歳男児.5日前から微熱,受診日未明より高熱と耐え難い腰背部痛を認めた.造影CTで両側腎に乏血性多発結節状腫瘤を,造影MRIでは多発骨髄病変を認めた.腎機能は正常で末梢血中に芽球や貧血・血小板減少・白血球増多を認めなかったが,画像と尿酸・LDH高値などから血液腫瘍も考慮し骨髄検査を施行した.有核細胞の10.8%に芽球を認め,表面抗原より前駆B細胞性リンパ芽球型リンパ腫(stage IV)と診断した.日本小児白血病リンパ腫研究グループの進行期小児リンパ芽球型リンパ腫に対するプロトコルに従い加療し,寛解を維持している.造影CTで腎に多発乏血性病変を認めた場合には様々な疾患の可能性があるが,診断時に5–10%の症例で腎浸潤を伴うとされる小児悪性リンパ腫も鑑別に挙げるべきである.
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  • 深尾 大輔, 濱畑 啓悟, 高橋 俊恵, 古宮 圭, 井上 美保子, 原 茂登, 儘田 光和, 吉田 晃, 百井 亨, 田中 庸一
    53 巻 (2016) 2 号 p. 139-142
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    T細胞性急性リンパ性白血病の維持療法中に6-メルカプトプリン (6-MP) によると思われる著明な骨髄抑制を認めた12歳男児を経験した.6-MPを大幅に減量することにより化学療法を継続することができた.6-MPの各種代謝酵素の関与を疑い, 6-MP代謝に関わる酵素の遺伝子多型の検索を行ったところ,TPMTITPAMTHFRABCC4はいずれもwild typeであった.一方,近年6-MP不耐容に相関すると報告されたNUDT15のヘテロ接合体変異を認めた.
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  • 倉内 宏一郎, 岡本 康裕, 棈松 貴成, 中川 俊輔, 児玉 祐一, 西川 拓朗, 田邊 貴幸, 新小田 雄一, 川上 清, 河野 嘉文
    53 巻 (2016) 2 号 p. 143-146
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    初発時2歳の男児.CTで肝右葉を占める巨大腫瘍と肝S2,両側肺に多発転移巣を認めた.AFP高値から肝右葉原発肝芽腫,Stage IVと診断した.化学療法後にまず肝原発巣,肝内転移巣の切除を行った.さらに両肺転移巣切除術を行ったが,両肺下葉転移巣は残存した.自家骨髄移植,化学療法を追加し,発症から41か月で右肺転移巣切除術および左肺下葉切除術により肺転移巣は完全切除できた.44か月で右大脳に転移を認めたが,腫瘍摘出術,全脳照射を行い,以後19年無病生存している.肝芽腫では,完全摘出できることが最も重要な予後因子で,肝芽腫治療の原則は腫瘍の完全摘出である.本例は多発転移があり予後不良の肝芽腫であったが,集学的治療の一環として腫瘍を完全に摘出することで治癒につながった.
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  • 舩越 康智, 岡田 雅彦, 森山 薫, 谷岡 真司, 石橋 麻奈美, 楊井 章紀, 山根 裕介, 大畠 雅之, 安倍 邦子, 林 徳真吉, ...
    53 巻 (2016) 2 号 p. 147-151
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    Kaposiform hemangioendothelioma(KHE)は乳児に好発する稀な血管腫瘍で,Kasabach-Merritt現象(KMP)を合併すると重篤な血小板減少や凝固障害により致死的な経過をとることもある.ステロイド全身投与が第一選択薬となるが,治療抵抗性を示す場合も多い.今回我々は,口腔から前胸部に及ぶKHEにより新生児期から重篤なKMPと気道閉塞による呼吸障害を合併し種々の治療に抵抗した乳児が,インターフェロンα(IFNα)に反応し改善した症例を経験したので報告する.IFNαは副作用への懸念はあるものの,乳児においても治療抵抗性のKHEに対する治療の選択肢となりうる.
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  • 甲原 貴子, 梅田 雄嗣, 才田 聡, 加藤 格, 平松 英文, 平家 俊男, 荒川 芳輝, 足立 壮一
    53 巻 (2016) 2 号 p. 152-157
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    症例は7歳男児,1年前より四肢・体幹に散在する小丘疹を認め,多飲・多尿の精査目的に当院入院となった.頭部MRIで下垂体柄の腫大と小脳半球に多発性班状病変を認めた.腰部の丘疹の病理所見で真皮樹状細胞由来の組織球の集蔟を認めた.皮膚・中枢神経系に多数の病変を認めたことよりdisseminated juvenile xanthogranulomaと診断した.多剤併用化学療法を開始し,6週間後には下垂体病変と皮疹は縮小傾向を認めた.1年間の維持療法終了から6か月が経過し,病状の増悪なく生存中である.本疾患は中枢神経系浸潤を来しうるため,適切な治療選択のためにも頭蓋内病変または他の浸潤部位からの組織診断が必須と考えられた.
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