日本小児血液・がん学会雑誌
検索
OR
閲覧
検索
53 巻 , 5 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
会告
第57回日本小児血液・がん学会学術集会記録
会長講演
シンポジウム1: Germline and somatic gene abnormalities in childhood neoplasms
  • 関 正史
    53 巻 (2016) 5 号 p. 342-348
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    近年急速に進歩を遂げた網羅的ゲノム解析技術により,腫瘍における遺伝子変異のスクリーニングが可能となっているが,これまで報告されている遺伝子変異は体細胞変異のみならず,生殖細胞変異の関与も含まれる.本稿においては,難治性小児固形腫瘍である胸膜肺芽腫(Pleuropulmonary blastoma, PPB)と横紋筋肉腫(Rhabdomyosarcoma, RMS)における網羅的なゲノム解析結果について概説する.

    PPBは極めて稀な悪性度の高い小児肺腫瘍であり,PPBを発症した家系よりDICER1変異が同定された.しかし,家族歴のない散発性PPBも知られており,散発性PPBにおけるゲノム異常の報告はなされていなかった.我々の研究により,散発性PPBでは67%でDICER1の両アレル異常が認められ,さらにDICER1のミスセンス変異はRNase IIIbドメインに集中し,散発性PPBとしての新規hotspotが同定された.

    また,RMSは近年の化学療法の進歩により,転移を認めない症例では75%以上の生存が得られるが,転移もしくは再発例では予後不良であり,新規治療法の検索や予後に応じた治療の最適化が求められている.我々の研究により組織型,遺伝子異常,予後と相関するDNAメチル化情報に基づいた新規病型分類が提唱され,これまで比較的予後は良いとされていた胎児型RMSから予後不良な群が抽出された.

    抄録全体を表示
  • Kevin Y. Urayama
    53 巻 (2016) 5 号 p. 349-355
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    Despite the challenges of studying the epidemiology of a rare disease, the last couple decades have uncovered tremendous knowledge about the probable causes of childhood leukemia, which currently suggests an important role for exposures that influence a child’s immune development and maturation in early life. Advances in our knowledge of fetal immune development and how it is affected by maternal exposures and in utero conditions provide reason to renew our interests in the pregnancy period for pursing immunological hypotheses in childhood leukemia etiology. This review provides a summary of the epidemiological evidence on immune-related exposures in childhood leukemia risk and places them in the context of known mechanisms for fetal immune development and postnatal immune modulation.

    抄録全体を表示
  • 柴 徳生
    53 巻 (2016) 5 号 p. 356-364
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    近年の分子生物学の進歩はめざましく,発現アレイ,SNPアレイ,アレイCGH,次世代シーケンサーの登場により,急性骨髄性白血病(AML)の診断技術は飛躍的に進歩している.成人AMLでは,米国のコンソーシアムであるThe Cancer Genome Atlasにより網羅的に遺伝子解析がなされ,主要なゲノム異常はほぼ明らかとなった.その中にはDNMT3ATET2IDH1/2といった成人では予後に影響を及ぼす遺伝子変異が多数同定されているが,これらの変異は小児ではまれである.一方,著者らが小児AML92例で施行したトランスクリプトーム解析では,複数の新規の融合遺伝子を同定するなど,小児と成人ではその病因が異なることが明らかとなってきた.さらに,著者らが解析した網羅的な遺伝子発現の見地から,小児AMLではPRDM16EVI1の高発現は有意に予後不良であることを見出し,正常核型症例やFLT3-ITD陽性例の予後層別化を可能にしつつある.今後,臨床研究と連動した検討がなされ,個々の遺伝子異常や遺伝子異常の組み合わせによる予後との関係が明らかとなり,より的確な予後層別化がなされるとともに,明らかになったゲノム異常から分子病態が解明され,新たな標的に対する有効かつ副作用の少ない分子標的薬剤が開発・臨床応用されることが期待される.

    抄録全体を表示
シンポジウム3: Advances in cell therapies against childhood neoplasms
  • 佐野 秀樹
    53 巻 (2016) 5 号 p. 365-370
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    ハプロ移植は,重篤な移植片対宿主病(GVHD)の発現,移植片の拒絶などによる移植後早期の合併症死亡が多いことから,歴史的にHLA適合ドナーからの移植が推奨されてきた.しかし,ここ10年ほどの間に,海外において,移植後大量シクロフォスファミドを併用したT細胞未処理HLA半合致移植(ハプロ移植)が導入され,安全性が急激に改善し,ドナーソースの拡大のため成人を中心として多くの施設で行われるようになってきた.一方で,ハプロ移植では同種免疫反応によりHLA適合ドナーからの移植より強いGraft versus Leukemia(GVL)効果が得られることが知られており,再発・難治性白血病への応用が期待されている.治療の進歩により小児急性白血病の予後はかなり改善してきたが,予後不良因子を有する再発症例,移植後再発や治療抵抗性が強く寛解導入が困難な白血病症例の予後は明らかに不良であり,長期生存率は30%以下と予測される.これらの難治性急性白血病症例を対象として,我々はGVL効果を最大限に利用した細胞免疫療法としてのハプロ移植を2000年から開発してきた.単一施設の成績ではあるが,3年全生存率は56.5%と良好であり,今後は多施設による臨床試験として前方視的に評価していくことが重要と考えられる.

    抄録全体を表示
シンポジウム4: 小児ならびにAYA世代腫瘍に対する放射線療法の進歩
  • 溝脇 尚志
    53 巻 (2016) 5 号 p. 371-375
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    放射線治療は,多くの小児がんにおいて必須の治療手段の一つとして位置付けられている.一方,放射線治療に起因する晩期有害事象は小児がん患者にとって大きな問題であり,併用化学療法の強度を上げて放射線量を低減したり放射線照射範囲を縮小する試みが行われてきた.近年の技術革新の結果,強度変調放射線治療(intensity-modulated radiation therapy: IMRT)が日常臨床現場に普及するようになり,高線量照射域に含まれる正常組織の体積を大幅に軽減可能となった.一方で,IMRT照射法での実照射時間の延長に起因する低線量全身被曝の増加に伴う二次がん発生リスクの増加が懸念材料となり,小児がんへの普及は極めて緩やかであった.しかしながら,IMRTの回転照射版であるvolumetric-modulated arc therapy(VMAT)の実用化によって,実照射時間が大幅に短縮された結果,小児への積極的な適用が広がっている.IMRTは,特に中枢神経系腫瘍に対する有用性が高く,粒子線治療を上回る線量分布を実現可能な場合もある.京都大学においては,全脳照射にIMRTを用いて頭皮線量の低減を図り,永久脱毛を防止することによって患児の生活の質を向上させることに成功している.このような治療は粒子線では実施不可能であり,IMRTの特徴を生かした臨床適用の今後の広がりが期待される.

    抄録全体を表示
シンポジウム (教育セッション) 6: 小児凝固・線溶異常症の新たな治療戦略
  • 小阪 嘉之
    53 巻 (2016) 5 号 p. 376-383
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    トロンボモジュリン(TM)は,血管内皮細胞表面に存在し,抗血栓作用のうえで,極めて重要な役割を果たしている.

    遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)は,分子量約64,000の糖タンパクで,わが国で開発された播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬として,2008年5月から臨床使用されている.

    rTMは質の高い国内の臨床試験や使用成績調査において,DICに対する有効性・安全性が証明されており,小児・新生児領域でも,多数例の使用成績調査の結果が報告され,成人と遜色のない良好な結果を得ている.

    またrTMは,抗炎症作用や補体活性経路の制御作用を合わせ持ち,血管内皮細胞を保護する作用があることから,造血幹細胞移植 (HSCT) 後の血栓性病態,すなわち類洞閉塞症候群(sinusoidal obstructive syndrome: SOS)や移植後血栓性微小血管障害(transplantation-associated thrombotic microangiopathy: TA-TMA)に対する有効性も報告されている.

    現在HSCT後のSOSやTA-TMAには確立された治療法が存在せず,rTMは大いに期待できる薬剤ではあるが,SOSやTA-TMAに対する使用に際しては,保険適応がないことには注意を要する.

    本稿では,小児血液疾患に対するrTMの位置付け・役割について自験例を交えながら概説する.

    抄録全体を表示
多診療科シンポジウム (教育セッション): 造血幹細胞移植
  • 秋庭 健志
    53 巻 (2016) 5 号 p. 384-390
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    造血幹細胞移植前処置の目的は適切な免疫抑制と抗腫瘍効果である.このため大量化学療法とともに放射線の全身照射(TBI)が用いられる.前処置にTBIを用いる利点として,強力な免疫抑制効果と化学療法の聖域への抗腫瘍効果がある.疾患の状況や患者の状態,移植ソースの適合状況などにより,TBIを含むか否か前処置レジメンが検討される.小児では特に移植後の成長や発達,二次癌などの影響を考慮する必要がある.一般に低年齢児へのTBIはできるだけ避けるべきとされる.近年では静注ブスルファン(BU)の導入によりTBIと同等の成績が報告されている.放射線治療装置はTBI用には作成されておらず,各施設の状況に合わせた技術的な工夫が必要である.TBIの方法はさまざまであるが,線源体軸間距離を長くとったLong SAD法が,特殊な追加設備を要さず比較的導入が容易なため多くの施設で用いられている.他に寝台移動法などが一部の施設で用いられている.線量分割に関しては,骨髄破壊的前処置では肺線量を8 Gyに補正した12 Gy/6回/3日が,骨髄非破壊的前処置では2–4 Gy/1–2回が多く用いられている.非腫瘍性疾患の場合には抗腫瘍効果は不要のため,TBIの代わりに主要なリンパ組織や造血骨髄をターゲットとした全リンパ節照射(TLI),胸腹部照射(TAI)も用いられる.新たな方法として,トモセラピーや強度変調回転放射線治療(VMAT)技術を用いた全骨髄照射(TMI)が導入されている.今後も長期的なQOLの向上を目指した移植前処置の開発が望まれる.

    抄録全体を表示
  • 伊藤 雅文
    53 巻 (2016) 5 号 p. 391-396
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    造血細胞移植後合併症の多くは,非感染性炎症性病変であり,本稿では,移植後合併症を,移植後免疫回復のプロセスから病理組織学的,免疫組織学的に解析する.移植後免疫は,ドナー型免疫が再構築されるまでは,前処置抵抗性マクロファージによる原始免疫が遺残する.このマクロファージによると考えられる病変は,生着不全,移植後血球貪食症候群,皮膚病変である.重症な移植後合併症の代表である腸管病変の多くは,GVHDではなく微小血管障害であり,活性化された遺残マクロファージが重要と考えている.アロ細胞免疫反応による合併症は古典的GVHDである.皮膚,腸管,肝臓の細胆管を標的とし,ドナー由来の細胞障害性Tリンパ球が,標的上皮細胞にアポトーシスを引き起こす病変がその基本的メカニズムである.COP(BOOP)は臍帯血移植で比較的頻度が高く,肺胞腔がマクロファージを主体とする細胞浸潤により閉塞する実質性肺障害である.浸潤するマクロファージはドナー由来で,ドナー由来の組織在住マクロファージ再構築の時期に発症するアロ細胞免疫反応と考えられる.

    移植後早期合併症で,レシピエント由来の残存マクロファージの増加,活性化が重要であることを指摘し,移植後合併症を,免疫回復の階層性,回復の時系列と比較して,組織学的,免疫組織学的所見から考察する.

    抄録全体を表示
  • 村瀬 有紀子
    53 巻 (2016) 5 号 p. 397-402
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    造血幹細胞移植を受ける時,子ども達にとって家族は治療を乗り越える気持ちの支えであり,身体的なつらさも家族がそばにいる安心感で和らぐように見える.そのため治療中は家族からの支援は欠かせない.しかしながら子どもを支える家族も病院生活と家庭生活の両立,家庭にいるきょうだい児のケア,無事生着するかどうかの不安など様々なストレスを抱えている.また,きょうだい児も病気の子どもが中心になる生活にいろいろな思いを抱く.このようなストレスを抱える家族にも医療者からの支援が必要である.チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)は主に小児病棟で入院患児及びその家族へ心理社会的支援を提供している.ここでは,造血幹細胞移植において,CLSが提供しているきょうだい児も含めた家族への支援について具体的に述べる.

    抄録全体を表示
多職種医療者合同シンポジウム: 小児がんの子どもと家族の治療・検査・処置における意思決定プロセスを支える多職種連携
  • 平田 美佳
    53 巻 (2016) 5 号 p. 403-412
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    小児がんの子どもは,長く辛い治療のプロセスの中で,病気を治すというゴール,そして,病気と闘った体でその後の人生を生きていくという長期的なゴールをめざして闘っている.我々医療者のひとつの使命は,この長い道のりを,少しでも明るく照らし,子どもたちが歩みやすいように道を整えることである.まず最初に,闘う術を与えるため,闘う相手や闘いの内容,ゴールの場所と,そこにはいつ頃辿り着けるのかの見通しを伝えることが大切である.次に,数えきれないほどの苦痛を伴う検査や処置に「嫌だけどやってみよう」と向かっていけるよう,単に検査や処置の説明や説得にとどまらず,ゴールへの向かい方を子どもと考えていくことが重要である.また,この闘いのプロセスで子どもは多くの部署や職種の人たちと出会う.そのため,子どもを専門とする我々のもうひとつの使命は,小児患者に慣れていない部署や職種のスタッフにも子ども中心の視点を伝え,最善の医療やケアが提供できるような風土づくりである.さらに,病院という生活の場が,安全に治療を受けられる場であるだけでなく,子どもの意見や意思が尊重される場,たとえ病気であっても子どもの健康な部分をのばしていける場となり,ひいては病気と闘う力を高め,退院後の生きる力にもつなげていくことが大切である.このように,子どもに関わるすべての職種や部署が協働して関わるケアの積み重ねは,子どもによい結果をもたらす.

    抄録全体を表示
  • 後藤 真千子
    53 巻 (2016) 5 号 p. 413-418
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    ホスピタル・プレイ士(以下HP士と記載)がプレパレーションをすることによって,恐怖心から処置や検査,治療を行うことが困難な患児に対し,処置や治療,検査がスムーズに行われることが可能となることがある.

    まず,本人と保護者の話をよく聞き,児が処置/検査/治療の意味や必要性を理解しているか,何が不安なのか,親の思いはどうか,を確認する.その後,処置/検査/治療がどういうものかを患児の認知に合わせて説明し,必要があれば,事前に機械,機器を見たり,触れたり,遊んだりするなどして,児の不安を一つずつ取り除いて,児が大丈夫と思えるまで関わる.分離不安がある場合は,HP士と仲良くなることにより,処置/検査/治療にHP士が一緒に入って支えながら乗り切っている.処置/検査/治療が度重なる恐怖体験になり,トラウマになって,体に変調を来すようなときも,不安の原因を一つ一つ解きほぐしながら,患児と一緒に乗り越えるための対処戦略を考え,乗り切っていく.その際に,様々な段階において,各部署のスタッフと連携し,綿密に段取りを決めて,患児の恐怖を最小限にし,乗り越えるためのモチベーションを上げるように工夫している.そのような関わりが,効果的であった症例について,具体的な経過を報告し,HP士と他職種の連携によるプレパレーションの意義について考察したい.

    抄録全体を表示
教育セッション8: 緩和・社会支援
  • 前田 浩利, 戸谷 剛
    53 巻 (2016) 5 号 p. 419-427
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    わが国では,がんの子どもを自宅で看取るのはまれだが,緩和ケアの先進国英国では,がんの子どもの7割から8割が自宅で亡くなっているという報告もあり,WHOの小児緩和ケアの定義でも,自宅においても緩和ケアが提供されるべきという一文が記載されている.近年成人でも,がんの在宅緩和ケアは積極的に推進されている.

    しかし,がんの子どもの在宅緩和ケアは,成人と共通点も多いが異なる点も少なくない.大きく異なる点は3つで,ひとつは,緩和ケアが必要な時間が,人生全体の中で占める割合である.大人は,その人生をある程度生きたところで,治らない状態,life-threatening conditionsになる.しかし,子どもは人生の多くの割合を,life-threatening conditionsで生きる.したがって,緩和ケアも,子どもの特性の成長と発達を支えることが重要になる.2つ目は,緩和ケアの受け入れの問題である.多くの親にとって,いくら良いケアを提供されても,わが子を看取る体験などしたくない.「緩和ケア」を掲げて,在宅介入するのは,両親の強い抵抗に会う場合がある.3つ目は,子どもは成人に比較して,疼痛,呼吸苦などの症状コントロールが困難なことである.しかし,これらの困難さを超えて,がんとともに人生の最期の限られた時を生きる子どもと家族にとって,在宅緩和ケアを実現することの意義は大きい.

    抄録全体を表示
教育セッション9: 組織球症
  • 森本 哲
    53 巻 (2016) 5 号 p. 428-435
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    組織球症,すなわち,組織球が増殖する疾患の代表的なものとして,血球貪食性リンパ組織球症(Hemophagocytic LymphoHistiocytosis: HLH)とランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans Cell Histiocytosis: LCH)がある.前者はマクロファージ,後者は未熟樹状細胞の増殖症である.

    HLHは,細胞傷害性T細胞またはNK細胞の過剰活性化に伴う二次的なマクロファージの増殖症である.一次性HLHは,T細胞/NK細胞の殺細胞分子のperforin自体,または,perforinを内包する殺細胞顆粒の細胞内輸送・細胞外放出の障害による,細胞傷害能の低下が根本にある.EBウイルス関連HLHでは,EBウイルスに感染したCD8陽性T細胞のクローナルな増殖により生じる.HLHの標準治療はetoposideとdexamethasoneによる免疫化学療法であるが,抗interferon-γ抗体の治験が行われており有望である.

    LCHは,骨髄に由来する未熟樹状細胞の形質を持つLCH細胞の腫瘍性増殖に,重度の炎症が合わさった「炎症性骨髄性腫瘍」である.LCH細胞にはRAS/ERKシグナル経路の遺伝子にBRAF V600Eを代表とする活性化変異がある.病変部位にはLCH細胞以外に好酸球やリンパ球,マクロファージ,破骨細胞様巨細胞などの炎症細胞浸潤があり,これらが互いに活性化し合い,オステオポンチンやIL-18, CCL2を代表とする炎症性サイトカイン/ケモカインが多量に分泌され,組織破壊が生じる.リスク臓器病変陽性多臓器型LCHの生命予後はシタラビン/ビンクリスチンの導入により著しく改善したが,再発と非可逆的病変が問題である.今後,BRAF阻害剤などの分子標的療法が期待される.

    抄録全体を表示
原著
  • 石田 也寸志, 手束 真理, 林 三枝, 井上 富美子
    53 巻 (2016) 5 号 p. 436-447
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    小児がん経験者の成人期医療移行への準備状況や長期フォローアップ (FU) 支援ツールの周知状況について調査した.方法:研究デザインは,自記式の紙を媒体とした横断研究で,対象はハートリンク共済保険加入者/問い合わせした方またはミルフィーユ小児がんフロンティアーズ登録者で研究に同意した小児がん経験者である.結果:解析対象の小児がん経験者は,男性132人,女性110人で,調査時年齢の中央値は26歳(12歳~47歳) であった.「ある程度~十分わかる」 と答えたのは,病気説明では74%,病期・リスクと治療内容列挙では51~52%,晩期合併症リスクに関しては31%であり,生活習慣注意点や病院に連絡すべき場合についても45~49%であった.一方抗癌剤の種類は50%が,個々の抗癌剤使用や総量は80%が「全くわからない」と答えた.支援ツールについて「ある程度~十分わかる」と答えたのは,治療サマリーで43%,FU手帳の活用では18%,長期FUガイドラインの存在の周知は13%であった.それぞれの理解・周知度に関連していた因子の検討では,年少期発症/小児固形腫瘍(芽腫)や主観的健康度良好なものの認知が低く,高学歴のものは認知が高かった.結論:長期FU支援ツールの認知度は予想以上に低く,小児がん経験者でこれらの支援ツールの周知や活用は不十分である.年少期発症や低学歴では周知に特別の配慮が必要である.

    抄録全体を表示
  • 光永 哲也, 齋藤 武, 照井 慶太, 中田 光政, 小原 由紀子, 三瀬 直子, 川口 雄之亮, 吉田 英生
    53 巻 (2016) 5 号 p. 448-452
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    小児悪性固形腫瘍経験者の成人診療科へのトランジションについての現状報告は少ない.外来転帰を調査し,現状と方策について検討した.2004年に当科を外来受診した15歳以上の悪性固形腫瘍経験者42例(男性21例,女性21例) を対象とし,2014年までの10年間の診療経過を診療録より後方視的に検討した.疾患内訳は,神経芽腫11例,ウィルムス腫瘍10例,胚細胞腫瘍6例,肝芽腫5例,膵腫瘍5例,その他5例である.小児がん治療後の長期フォローアップガイドラインに基づくフォローアップレベル (FL) は,FL1:7例 (17%),FL2:2例 (5%),FL3:21例 (50%),FL4:1例 (2%),FL5:11例(26%)だった.外来転帰は,脱落17例(40%),トランジション11例(26%),継続診療中9例(21%),終診・その他5例(12%)だった.脱落症例のうち13例(76%)はFL3以上で成人期以降も継続診療を行うことが望ましい症例だった.トランジションした症例のうち9例(82%)はFL5であり,腎不全や心不全,高血圧,ウィルス性肝炎など成人診療科での専門治療が必要な合併症を認めた.継続診療している症例の多くはFL3以上であるが合併症がなく,成人診療科との接点がなかった.FL3以上で合併症がない症例のトランジションは円滑とは言えず,診療情報が途絶する可能性がある.思春期以降の患児にはトランジションを見据えた診療を行うべきであり,早期の移行教育と円滑な診療体制の構築が必要である.

    抄録全体を表示
  • 浜田 聡, 宮下 倫江, 山本 雄一, 宮本 二郎, 屋冝 孟, 大城 登喜子, 浜田 有為子, 喜友名 しのぶ, 新垣 真弓, 百名 伸之
    53 巻 (2016) 5 号 p. 453-458
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    造血細胞移植後の晩期障害である皮膚硬化性慢性GVHDはQOLが著しく損なわれ,管理に難渋する合併症である.多くはステロイド抵抗性もしくはステロイド依存性慢性GVHDであり,2次治療を行うも必ずしも満足できるものではない.我々は2012年7月より2015年5月までに強皮症様皮膚硬化による多発性関節拘縮に対して短波長紫外線照射(Narrowband Ultraviolet B: NB-UV-B)を施行した4例において,その有効性を後方視的に検討した.

    全例ともNIH重症度分類は皮膚スコア2以上であり,Performance Scale(PS)は70%以下であった.ステロイド投与例は3例(依存性1例,抵抗性2例)であり,2次治療としてイマチニブを併用するも副作用や効果不十分であったため照射を施行した.残り1例は再発高リスク白血病であったため免疫抑制剤減量目的にて照射を選択した.治療効果判定はNIH効果判定基準による関節可動域スケールを用いて評価した.照射治療期間は中央値718日(368–1039日)で照射回数は中央値69回(53–159回),累積照射量は中央値75 J/cm2(51–221 J/cm2)であった.全例において関節可動域が拡がり,PSにおいて治療開始前は中央値40%であり,治療開始後は中央値75%まで改善が得られた.欧米では強皮症様硬化性慢性GVHDに対する2次治療は体外循環光療法(Extracorporeal photopheresis: ECP)が主流の治療であり,現在,本邦にて治験が行われており有望な治療法として期待される.しかしながらECPはコストや施設アクセシビリティなど課題が多く,代替療法としてNB-UVB療法は2次治療として有効な選択肢になりうると考えられる.

    抄録全体を表示
症例報告
  • 神鳥 達哉, 今井 剛, 赤杉 和宏, 常念 大輔, 石塚 潤, 美馬 隆宏, 木村 暢佑, 樋口 嘉久, 廣田 常夫
    53 巻 (2016) 5 号 p. 459-463
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    2度の重度出血をきたしたインヒビター保有先天性血友病Aの1例を報告した.初回は転倒5日目に血便が出現し,回腸出血と診断した.2度目は筋力トレーニングの11,15,および16日目にそれぞれ右側腹部痛,血尿,左下腹部痛が出現し,腸腰筋出血,腎出血と診断した.受傷直後に初回は肘・足関節出血を,2度目は母指球筋出血を発症し,遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤の自己注射が行われていた.また患児は血便を2日間,血尿を1日間自己判断で放置していた.本例の重度出血の症状出現に日数を要した一因として,不適切なバイパス治療を自己注射で実施したことが考えられた.また受診が遅れた背景に医療者の指導不足が考えられ,大いに反省させられた.出血症状とその対応に関し定期的に十分な説明が必要と思われた.

    抄録全体を表示
  • 入江 慎二, 興梠 健作, 永田 裕子, 加納 恭子, 平井 克樹, 貞松 智貴, 岡本 真一郎, 右田 昌宏
    53 巻 (2016) 5 号 p. 464-468
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    硝子血管型のキャッスルマン病は,腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus: PNP)を併発し,その経過で閉塞性細気管支炎をきたすことは知られているが,今回我々はPNPの症状を伴わないにも関わらず,キャッスルマン病に閉塞性細気管支炎を合併した症例を経験した.症例は15歳女性.前医で呼吸障害および腹部腫瘤を認め,当院を紹介受診した.開腹生検術の結果,腹部腫瘤はキャッスルマン病(硝子血管型)と診断した.腫瘍全摘出術を施行したが,受診時より認めていた呼吸障害は術後も改善されなかった.呼吸障害の原因は閉塞性細気管支炎と診断し,ステロイド投与,大量免疫グロブリン療法を行ったが,呼吸状態の改善なく,現在肺移植の待機登録を行っている.また,患者はキャッスルマン病診断時に皮膚や粘膜病変を認めなかったが,患者の血清からPNPに特徴的なプラキンファミリー蛋白に対する自己抗体が検出されたため,潜在的にPNPを伴っていることが示された.

    抄録全体を表示
  • 谷 有貴, 石原 卓, 越智 聡史, 竹下 泰史, 嶋 緑倫
    53 巻 (2016) 5 号 p. 469-473
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    【緒言】小児不応性血球減少症 (RCC) に対する免疫抑制療法(IST)のキードラッグである抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)はウマ製剤(horse ATG [Lymphogloblin® (LG)])からウサギ製剤(rabbit ATG [Thymogloblin® (TG)])に変更され,未だ至適投与量は定まっていない.今回,RCCに対して低用量TG(low dose TG: LDTG)によるISTが奏功した1例を経験したので報告する.【症例】2歳女児.入院3週間前に発熱と出血斑が見られ,汎血球減少(WBC 2,100/μL, Hb 4.6 g/dL, Plt 3,000/μL)があり当科紹介となった.骨髄検査からRCCと診断し,LDTG(2.5 mg/kg/dayを5日間)によるISTを施行した.IST開始1か月で輸血依存から脱し,6か月時点では再生不良性貧血の治療反応基準のComplete Response相当であった.【結論】LDTGによるISTは汎血球減少には有効だった.しかし,原疾患の再燃や感染症,clonal evolutionなどのリスクは不明であり,TGの至適投与量の確立が待たれる.

    抄録全体を表示
  • 野村 優子, 西川 拓朗, 岡本 康裕, 河野 嘉文, 廣瀬 伸一
    53 巻 (2016) 5 号 p. 474-476
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    小児の急性リンパ性白血病(ALL)では骨減少症を合併しうる.小児におけるビスフォスフォネート(BP)の使用は増えているが,化学療法中のBPの安全性や有効性は確立されていない.今回,九州山口小児がん研究グループALL-96およびALL-02に登録した小児B前駆型ALLのうち,化学療法中にBPを使用した3症例を報告する.3例のALL発症時年齢は3(9歳時に再発),11,16歳で,いずれも維持療法中の11(第2寛解期),13,19歳時に骨減少症と診断された.週1回のBP内服(アレンドロン酸35 mg,またはリセドロン酸17.5 mg)を30〜72か月以上行ったが副作用は認めなかった.2例では,Zスコアが–2.4から–0.2,–3.7から–1.4へと改善した.全例で予定の化学療法を終了し,3年〜5年7か月間寛解を維持している.化学療法中でもBPは安全に使用することができた.

    抄録全体を表示
  • 矢本 香織, 北河 徳彦, 細川 崇, 臼井 秀仁, 望月 響子, 武 浩志, 新開 真人, 浜之上 聡, 後藤 裕明, 吉田 美沙, 田中 ...
    53 巻 (2016) 5 号 p. 477-480
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    小児がんの治療成績向上に伴い,晩期合併症として二次がんの発生が問題となっている.今回小児固形腫瘍治療後に発生した二次性甲状腺癌の4例を経験したので報告する.一次がんはanaplastic sarcoma of the kidney・atypical teratoid/rhabdoid tumor・胸膜肺芽腫・卵黄嚢腫瘍であり,全例に手術・術後化学療法が施行された.2例に術後放射線照射が施行され,うち1例は頸部も照射野に含まれていた.二次性甲状腺癌の発生までの期間は中央値7年6ヵ月(4年4ヵ月~8年9ヵ月),組織型は乳頭癌が1例,濾胞癌が3例であった.二次性甲状腺癌の発生の原因として,放射線照射・化学療法・遺伝性素因等が挙げられる.高リスク群に対しては長期にわたって触診や超音波検査による甲状腺の観察が必要である.

    抄録全体を表示
  • 植村 優, 宮田 憲二, 矢内 友子, 齋藤 敦郎, 横井 健人, 二野 菜々子, 高藤 哲, 神前 愛子, 石田 敏章, 長谷川 大一郎, ...
    53 巻 (2016) 5 号 p. 481-486
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    頭痛,嘔気を主訴に近医受診した11歳男児.頭部MRIで左前頭葉に腫瘤性病変を認め,当院紹介となった.開頭腫瘍部分摘出術を施行し,病理組織からCentral nervous system primitive neuroectodermal tumor(CNS-PNET)と診断した.化学療法と放射線治療を実施した.その後自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を施行したが,画像上腫瘍は増大傾向であった.手術は適応外と判断し,vinorelbine(VNR)+cyclophosphamide(CY)の低侵襲性外来治療を開始した.有害事象によりVNRの減量を要したが,減量後は重篤な副作用は認めなかった.約2年間の外来治療を継続したが腫瘍の増大はなく,治療終了後1年経過した現在も原病の進行は認めていない.再発・治療抵抗性のCNS-PNETの標準的治療は確立しておらず,今後の多数の症例蓄積による検討が必要と思われる.

    抄録全体を表示
  • 川島 弘之, 古屋 武史, 植草 省太, 金田 英秀, 越永 従道
    53 巻 (2016) 5 号 p. 487-490
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル 認証あり

    横紋筋肉腫は間葉系細胞を起源とする悪性腫瘍であり,全身のどの部位にも発生する.鼠径部に発生し,非還納性鼠径ヘルニアとの鑑別を要した横紋筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は2歳女児で鼠径部腫瘤を認め,当院へ紹介受診した.超音波検査の結果,非還納性鼠径ヘルニアが否定できないために同日手術を施行した.手術所見で鼠径ヘルニアは認めず,鼠径部腫瘤は腫瘍性病変であり,腫瘍の部分切除術を施行し手術を終了した.病理結果で胞巣型横紋筋肉腫の診断を得た.日本横紋筋肉腫研究グループのプロトコールに準じて腫瘍全切除術を含めた治療を行い,治療終了後2年で再発は認めていない.

    非還納性鼠径ヘルニアの診断で手術を施行した際に腫瘍性病変を認めた場合には,術中に腫瘍進展を的確に評価し,腫瘍の全切除が不可能と判断した場合は腫瘍生検術や部分切除術による病理診断を得ることが治療方針を決定していく上で重要であると考えられた.

    抄録全体を表示
報告
審査員リスト
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top