日本小児血液・がん学会雑誌
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54 巻 , 1 号
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第57回日本小児血液・がん学会学術集会記録
シンポジウム2: Novel molecular targets against childhood neoplasms
  • 樋渡 光輝
    54 巻 (2017) 1 号 p. 1-7
    公開日: 2017/05/26
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    進行性神経芽腫は,近年の小児悪性腫瘍における集学的治療の発達にもかかわらず,長期生存率は50%に満たない.このためより疾患特異的な新しい治療法が必要である.近年,神経芽腫においてm-TOR異常やanaplastic lymphoma kinase ALK)変異が造腫瘍性に関わっていることが報告され,m-TORおよびALK阻害剤の臨床応用が行われているが劇的な成功にまでは至っていない.これまでの検討ではALK阻害剤は染色体転座関連ALK融合遺伝子を持つ腫瘍細胞には細胞増殖抑制効果を認めるがALK自体に変異を持つ腫瘍細胞には効果がないことが知られている.本研究では神経芽腫細胞株に対して,さまざまな腫瘍発生に関わる蛋白キナーゼを標的とした低分子化合物ライブラリーを用いてスクリーニングを行った結果,Cucurbitacin I(JAK2-STAT3阻害剤)が,神経芽腫治療効果が期待される低分子化合物の一つであることを同定した.まず,Cucurbitacin Iが,神経芽腫細胞株(SJNB-4, TGW, GOTO, UTP-NB18)において,細胞増殖性や細胞生存性に与える影響をin vitroにて検証した結果,Cucurbitacin Iは,濃度依存性に神経芽腫細胞株の増殖を抑制した.次にALK変異を持つTGWを用いたシグナル系の解析により,Cucurbitacin Iは,JAK2のリン酸化を阻害する事を介してその下流シグナルであるSTAT3のリン酸化を阻害することにより作用することが示唆された.ALKの下流シグナルにはJAK-STATが存在することから,これらの結果よりALK変異を持つ神経芽腫発生に対するJAK2-STAT3経路が治療標的となり,その阻害剤であるCucurbitacin Iによる治療効果の期待が示唆された.

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シンポジウム9: AYA世代に優しいがん治療を目指して ~内科的・外科的新治療の試み~
  • 宮地 充
    54 巻 (2017) 1 号 p. 8-10
    公開日: 2017/05/26
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    米国の統計では,Ewing肉腫や横紋筋肉腫のAYA世代の治療成績は15歳未満の成績に比べて劣る.また,英国のがん登録によると,AYA世代のEwing肉腫と横紋筋肉腫は5年生存率が50%に満たず,この内,横紋筋肉腫は予後の改善を認めない腫瘍として挙げられている.原因として,AYA世代の臨床試験への参加率が低く,また,適切な治療を受けられていないことが挙げられている.Ewing肉腫,横紋筋肉腫においては,後方視的検討でAYA世代も小児型プロトコルで治療を受けた方が,治療成績が良いことが示唆されており,欧米の臨床試験では,AYA世代にも臨床試験参加の機会を提供している.

    こうした国際的な知見と,日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)の初代臨床試験(JRS-I)において得られた結果を統合し,JRSGの次期臨床試験(JRS-II)では,低・中間リスク群においては急性毒性,不妊など長期合併症の軽減,高リスク群においては治療成績の改善を目指し,AYA世代への臨床試験参加の機会を提供するプロトコルとした.AYA世代がん患者は,自己同一性を確立する重要な時期に,がんの診断・治療に伴い様々な喪失を経験する.治療を継続する気持ちを支えるために,多職種の連携による集学的治療と心理社会的支援を含むトータルケアが必要であり,小児がん専門医はコーディネーターの役割を担う必要がある.

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原著
  • 寺田 和樹, 植木 英亮, 小泉 奈美, 土持 太一郎, 宮嶋 暁世, 木川 崇, 高橋 聡子, 櫻井 彩子, 野口 靖, 五十嵐 俊次, ...
    54 巻 (2017) 1 号 p. 11-14
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル 認証あり

    【緒言】小児急性リンパ性白血病(ALL)の5年生存率は約90%まで上昇したが,成長期に受けた各種がん治療により出現する合併症(晩期合併症)が近年問題となっている.晩期合併症は年月を追うごとに罹患率が上昇するため,長期のフォローアップが重要である.しかし,患者や家族に対する晩期合併症の周知は十分でなく,外来通院を自己中断する小児がん患者がみられる.当院で経験した小児ALL患者の外来通院状況について検討した.【方法】1986年から2016年に当院で加療し,追跡可能な小児ALL 107例を後方視的に検討した.最終受診予約日から1年以上受診のない症例を通院継続なし群と定義した.【結果】107例中13例が通院継続なし群に分類され,12例が外来を自己中断していた.治療終了日から10年後の通院継続率が91%であるのに対し,20年後の通院継続率は43%と低値であった.また,最終観察日の年齢による検討では19歳時の通院継続率が93%であるのに対し,30歳時の通院継続率は43%と低値であった.当院の検討では19歳以下で通院を中断した症例が5例みられ,うち2例は治療終了後早期に外来を自己中断していた.【結語】患者,家族に対して治療終了時に長期フォローアップの必要性に関する啓発を行い,治療終了後10年,患者年齢19歳を目安に改めて啓発を行うべきと考えられた.

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症例報告
  • 岩本 麻友美, 手束 真理, 杉田 敦郎, 河上 早苗, 宮脇 零士, 米澤 早知子, 城賀本 敏宏, 桑原 こずえ, 小泉 宗光, 中野 ...
    54 巻 (2017) 1 号 p. 15-20
    公開日: 2017/05/26
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    小児のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の予後はチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の使用により改善しつつあるが,副作用や合併症など解決すべき課題も残っている.症例は13歳男児.Ph+ ALLと診断されimatinib併用による化学療法を開始したが,再寛解導入療法開始day 14から発熱性好中球減少症と血圧低下を認めた.抗菌薬を開始したが敗血症性ショックに至り,急性腎不全,腸管浮腫,急性呼吸窮迫症候群の進行により再寛解導入療法day62に死亡した.剖検所見からは敗血症性ショックからの多臓器不全が死因と考えられたが,血液培養で大腸菌が検出され,敗血症の機序は腸管を通じたbacterial translocation (BT) の可能性が示唆された.Ph+ ALLの治療中に遷延する骨髄抑制時にはimatinib併用によってBTが増強する可能性があり,速やかな抗菌薬の使用が必要である.

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  • 遠渡 沙緒理, 横山 能文, 篠田 邦大, 豊島 由佳, 野田 美香, 安江 志保, 山下 達也, 門井 絵美, 森 真理, 鷹尾 明
    54 巻 (2017) 1 号 p. 21-24
    公開日: 2017/05/26
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    症例は現在25歳の女性.14歳時に慢性骨髄性白血病を発症し,イマチニブ(IM)にて分子遺伝学的寛解を得た.18歳時にHLA一致の姉より同種骨髄移植を施行したが,移植後3カ月で再発したため,IMにて再度治療を行った後,同一ドナーよりリンパ球輸注を行った.皮膚の慢性移植片対宿主病(cGVHD)を発症し,次第に色素沈着や硬化性病変を伴う強皮症様皮膚へと増悪し,関節拘縮も来した.プレドニゾロン単剤ではコントロール困難であり,エトレチナート,ミコフェノール酸モフェチルを併用したが無効だった.他の薬剤による治療も試みたが,様々な重篤な副作用のため中断せざるを得なかった.IMを100 mg/dayで開始したところ,皮膚硬化や関節拘縮は著明に改善した.過去の報告や我々の経験より,治療抵抗性強皮症型cGVHDに対して,IMが有効である可能性があり,今後の症例の蓄積による有効性の評価が望まれる.

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  • 廣木 遥, 岡野 翼, 山下 基, 足洗 美穂, 宮本 智史, 小林 千佳, 青木 由貴, 高木 正稔, 今井 耕輔, 金兼 弘和, 森尾 ...
    54 巻 (2017) 1 号 p. 25-29
    公開日: 2017/05/26
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    X連鎖リンパ増殖症候群(X-linked lymphoproliferative syndrome: XLP)はEpstein-Barrウイルス(Epstein-Barr virus: EBV)に対する免疫応答の欠陥を有する稀な原発性免疫不全症であり,SH2D1A変異による1型(XLP1)とXIAP変異による2型(XLP2)がある.XLP1の約60%の患者でEBV関連血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis: HLH)を発症し,エトポシドやシクロスポリンを含むHLH2004プロトコールで治療を行うが,しばしば致死的となる.通常のEBV-HLHはEBVがCD8+ T細胞にクローナルに感染しているが,XLP1などの原発性免疫不全症を基礎疾患とするEBV-HLHではEBVは主にB細胞に感染しており,抗CD20抗体であるリツキシマブ投与が奏効すると考えられる.今回重症EBV-HLHで発症したXLP1の3歳男児例に対してHLHに対する治療に加えてリツキシマブ投与を行ったところ,速やかに奏効したので,その経過を報告する.

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  • 藁谷 朋子, 佐野 秀樹, 赤井畑 美津子, 小林 正悟, 望月 一弘, 大原 喜裕, 清水 裕史, 伊勢 一哉, 山下 方俊, 石井 証, ...
    54 巻 (2017) 1 号 p. 30-34
    公開日: 2017/05/26
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    急性リンパ性白血病の6歳男児.寛解導入療法中にRhizopus microsporusによる播種性ムーコル症を発症し,消化管穿孔および多発膿瘍形成をきたしたが,外科的切除およびアムホテリシンBリポソーム製剤の投与により救命し得た.

    ムーコル症は予後不良であるため,早期診断・治療を行うことが重要である.リスクファクターを有する患者においては,ムーコル症も積極的に鑑別に入れ,先制的なL-AMB投与を考慮すべきである.

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  • 若松 学, 関屋 由子, 坂口 大俊, 吉田 奈央, 唐川 修平, 小林 正夫, 松本 公一, 加藤 剛二
    54 巻 (2017) 1 号 p. 35-38
    公開日: 2017/05/26
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    周期性好中球減少症(CyN)および重症好中球減少症(SCN)では顆粒球成熟障害を来し,細菌感染を繰り返す.双方とも殆どの症例で好中球エラスターゼをコードするELANE 遺伝子変異が関与する.症例は1歳9か月の女児.遷延する好中球減少にて当院受診し,初診時の骨髄検査で骨髄球以降の顆粒球成熟障害を認め,さらに遺伝子検査でELANE遺伝子のインフレーム欠失(IVS4+1G>A)が同定され,SCNと診断した.しかしその後,好中球数に周期的変動を認めることから,初診時から4か月後に骨髄検査を再度施行し,骨髄球以降の顆粒球成熟障害の改善を確認した.好中球数の周期的な変動と骨髄所見より最終的にCyNと診断した.診断以降,徐々に好中球数が増加し,細菌感染の頻度も減少してきている.SCNとCyNの鑑別は好中球数の変動を細めに追跡し,骨髄検査の再検が重要と考えられる.

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  • 中村 達郎, 西川 拓朗, 大吉 達樹, 東 美智代, 有田 和徳, 河野 嘉文
    54 巻 (2017) 1 号 p. 39-43
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル 認証あり

    症例は5か月の男児.水平性眼振と嘔吐を主訴に受診し,造影CT・MRI検査で両側硬膜下水腫,鞍上部腫瘍,および延髄,脊髄に多発転移病変を認めた.鞍上部腫瘍の生検術により,繊維形成性乳児星細胞腫(DIA: desmoplastic infantile astrocytoma, WHO grade 1)と診断した.低悪性度神経膠腫に対する化学療法レジメンであるvincristine,carboplatin(VC)療法を開始した.すぐに腫瘍径は縮小し始め,治療開始10週後には転移巣も消失した.現在,治療終了後13か月であり,鞍上部腫瘍はわずかに残存するものの,再増大は認めない.現在,症状はなく,精神運動発達の遅れもない.症状を有するDIAに対しては外科的切除が推奨されるが,切除不能もしくは多発転移病変を有するDIAに対してはVC療法が有効な治療法の一つであると考えられた.

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  • 横井 暁子, 長谷川 大一郎, 玉城 昭彦, 齋藤 敦郎, 二野 菜々子, 赤坂 好宣, 吉田 牧子, 前田 貢作, 小阪 嘉之
    54 巻 (2017) 1 号 p. 44-49
    公開日: 2017/05/26
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    IDRF陽性の低リスク群神経芽腫は,化学療法を先行させて,IDRFが陰性化した時点で手術を行うのが良いとされるが,IDRF陽性で化学療法不応な場合の治療戦略は判断に苦慮する.今回5歳女児のIDRF陽性,化学療法不応性低リスク群神経芽腫を経験したので報告する.左上腹部に石灰化を伴う78×83 mmの腫瘍を認め,左腎動脈が腫瘍の中を貫き,左腎静脈が腫瘍の辺縁にありIDRF陽性であり,生検でganglioneuroblastoma intermixed,favorable histology,diploidy,MYCN増幅なしであった.Stage 2A,低リスク群神経芽腫に分類され,治療レジメンLI-Bを計6コース行った.しかし腫瘍は縮小せず,腎温存・腫瘍亜全摘術を行う方針とし,腎血管を温存するラインで腫瘍切離を開始したが,出血コントロールが困難であったため,左腎合併切除・腫瘍全摘術を行った.術後は順調に経過した.摘出腫瘍ではシュワン様間質が腫瘍細胞を島状にとりかこんでおり,腫瘍はdifferentiating subtypeのneuroblastomaに相当し,viableな細胞を多数認めた.MYCNの増幅はなく,治療を終了し経過観察とした.

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  • 安藤 久美子, 日野 もえ子, 岡田 玲緒奈, 奥主 朋子, 落合 秀匡, 下条 直樹
    54 巻 (2017) 1 号 p. 50-53
    公開日: 2017/05/26
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    症例は入院時11か月の男児.横紋筋肉腫に対する化学療法中にサイトメガロウイルス(CMV)抗原血症を合併した.ガンシクロビルを投与開始したが,抗原の陰性化は得られなかった.ホスカルネットに変更するも陰性化せず,ホスカルネットを併用しながら化学療法を継続した.この間2度眼底を検査したが異常は認めなかった.全ての化学療法を終えた時期に3回目の抗原血症の増悪をきたした.眼底検査で両眼に出血を伴う滲出性病変や硝子体の混濁を認め,CMV網膜炎と診断した.再度ガンシクロビルに変更し眼底所見は改善した.化学療法終了後,免疫学的回復に伴い抗原の陰性化が得られたが,最終的に左眼は視機能を失った.CMV網膜炎は移植以外でも合併することがあり,化学療法中の免疫状態に注意しながら頻回な眼底検査を要すると考えた.

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  • 黒木 純, 盛武 浩, 山田 愛, 木下 真理子, 澤 大介, 上村 幸代, 中村 嘉宏, 帖佐 悦男, 中田 博, 盛口 淸香, 浅田 祐 ...
    54 巻 (2017) 1 号 p. 54-57
    公開日: 2017/05/26
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    骨肉腫は小児骨悪性腫瘍で最も多い疾患である.限局例の治療成績は向上したが,転移例に確立された治療法はなく極めて予後不良である.近年,海外においてビスフォスフォネート製剤併用の臨床研究が行われ注目されている.我々は診断時多発性肺結節を認めゾレドロネート併用化学療法を施行した症例を経験した.症例は左大腿骨原発骨肉腫の14歳男児.切断患肢の病理で腫瘍細胞は完全壊死を示し術前化学療法への感受性は極めて良好であった.全治療終了時,肺結節は多くは変化なく残存したが一部消失した.血液毒性以外の重篤な副作用は認めなかった.多発性肺結節が肺内リンパ節であった可能性が高く有効性評価は困難であるが,骨肉腫に対するビスフォスフォネート製剤併用化学療法の安全性は確認できた.今後,本邦での症例蓄積により安全性や有効性の確認が望まれる.

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