日本小児血液・がん学会雑誌
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54 巻 , 2 号
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会告
第58回日本小児血液・がん学会学術集会記録
会長講演
  • 黒田 達夫
    54 巻 (2017) 2 号 p. 97-100
    公開日: 2017/08/11
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    われわれは小児固形がんの外科治療においても微小転移,腫瘍細胞動態の制御が重要であると考え,神経芽細胞腫でtyrosine hydroxylaseを分子マーカーとしたRT-PCR法による腫瘍細胞の検索方法を開発し,検索結果と予後との関係を検討してきた.単一施設における解析では,末梢血液中の循環腫瘍細胞の存在や骨髄に残る化学療法抵抗性の腫瘍細胞の存在は,MYCNとは独立した有意の予後不良因子であった.一方で肉眼的な腫瘍遺残は,放射線照射等の併用により局所の腫瘍増殖が制御できていても全身の播種性再発と相関性が高く,根治的外科切除は長期生存の必須条件と思われた.こうした播種性再発の機序には化学療法や放射線治療に抵抗性の腫瘍幹細胞の関与も考えられた.治療技術の進んだ今日でも,高リスク小児固形がんの治療成績は頭打ちであり,このような症例には強力な治療を選択せざるを得ない現状が続いている.治療の強化は二次がんも含めた重大な晩期合併症を併発する.外科治療の選択にあたっては,局所の強化治療が後に大きな問題を遺すことを良く理解し,また不可視の腫瘍細胞の動態を十分に考慮して術式を決定すべきであると考える.

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シンポジウム3: Primary immunodeficiency diseases associated with hematopoietic disorders: border between immunodeficiency and bone marrow failure
  • 笹原 洋二
    54 巻 (2017) 2 号 p. 101-105
    公開日: 2017/08/11
    ジャーナル 認証あり

    単一血球減少を伴う原発性免疫不全症として,血小板減少症を伴うWiskott-Aldrich症候群が代表的であり,WAS遺伝子の機能喪失変異によって発症する.血小板減少症の病態について,遺伝性血小板減少症の観点から論じる.WAS遺伝子の恒常的活性化変異は遺伝性好中球減少症の原因の一つである.WAS蛋白の機能は,これまで論じられてきた細胞質・細胞膜における細胞骨格系の制御のみならず,細胞核内で転写調節やゲノム安定性にも広がりを見せている.小児がんを合併する免疫不全症としては,毛細血管拡張性運動失調症関連疾患,WAS,高IgE症候群,分類不能型免疫不全症などがあるが,特にWASにおいてはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の合併が多い.WASが血便や炎症性腸疾患を合併する要因としては,T細胞分化異常および抑制性サイトカインであるIL-10シグナルの機能異常がある.別の免疫不全症であるIL-10シグナル異常症によって乳児期発症炎症性腸疾患を発症することが報告されており,同じくびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫を合併することでWASと共通点がある.

    このように原発性免疫不全症の中には小児血液・腫瘍性疾患と分子病態学的に密接に関連している疾患が存在する.WASの分子病態から単一系列の血球分化異常や小児がん合併,炎症性腸疾患の分子病態にまで研究の広がりをみせられるよう,現在病態解析を進めている.

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シンポジウム8: For improvement of the quality of life of patients with childhood hemophilia
  • 野上 恵嗣
    54 巻 (2017) 2 号 p. 106-110
    公開日: 2017/08/11
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    小児科領域における血友病Aの治療の原則は第VIII因子製剤の定期補充療法である.その結果,血友病性関節症の発症が抑制され,健常児と同等の日常生活が可能となっている.一方,製剤の頻回経静脈投与とそれに関わる血管アクセスの問題,製剤投与後に発生するインヒビターが現在の血友病医療のunmet needsとして挙げられる.これらの課題に対し,全く新たな止血機序による血友病治療製剤が開発されている.ヒト型bispecific抗体(ACE910; emicizumab)は,抗原部位の片方に第IX因子,もう片方に第X因子が結合することにより,活性型第VIII因子機能を代替するコンセプトの製剤である.第1相臨床試験がわが国で実施され,血中半減期は約30日であること,週1回の皮下投与により年間出血回数がインヒビターの有無に関わらず著しく減少したと報告された.また,‘Rebalance coagulation’ コンセプトの新規治療薬としてsiRNAを利用した抗アンチトロンビン治療製剤(ALN-AT3)と外因系凝固制御を担う組織因子経路インヒビター(TFPI)に対する抗体製剤(concizumab)が開発され,現在臨床試験が実施されている.Emicizumab同様に両者とも皮下投与であり,インヒビターの有無に関わらず出血予防が期待できる利点がある.このように,新しいコンセプトの新規血友病治療製剤の開発により,小児血友病A患者の長年の課題を克服し,QOLが著しく向上することが大いに期待できよう.

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ワークショップ2: 小児がん拠点病院と小児がん診療を担う地域医療機関の役割
特別要望演題3: AYA世代の骨・軟部腫瘍
  • 副島 俊典
    54 巻 (2017) 2 号 p. 114-119
    公開日: 2017/08/11
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    AYA世代の腫瘍において重要な合併症である生殖機能への影響,心臓合併症,二次がんについて概説した.精巣は低線量でも放射線治療の影響を受け,照射野に直接入っていなくても散乱線の影響を受ける.卵巣も低線量でも放射線治療の影響を受けるが,年齢的な要素も加味する必要がある.また,卵巣を照射野外に移動することが有効な場合がある.心臓合併症や二次がんに関しては陽子線治療が合併症の発症頻度を減らせるかもしれないと期待されている.この世代の腫瘍に対しても放射線治療は重要なmodalityのひとつであり,十分な知識を持って治療に当たることが肝要である.

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総説
  • 黒澤 秀光
    54 巻 (2017) 2 号 p. 120-125
    公開日: 2017/08/11
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    Leukostasisは小児白血病による白血球増多症の重症な合併症の一つである.白血球数増多でleukostasis発症は増えるが,芽球の大きさ,変形能,接着因子の発現などもleukostasisの発症に関与する.このため,leukostasisの発症頻度は急性骨髄性白血病,急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病で異なっている.Leukostasisは血管内で白血病細胞の凝集や白血球塞栓が生じ,組織の低酸素状態を誘導し,主に中枢神経系と肺が主要な障害臓器である.Leukostasisの病理学的定義は明確であるが,臨床的に確定診断される例は稀である.leukostasisは早期死亡のリスクとなるため,oncologic emergencyの一つである.治療は,重篤な症状が出現した場合にleukapheresisは有効である.重要なことは遅滞なく化学療法を導入することである.

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原著
  • 山本 将平, 渡邊 健一郎, 井上 雅美, 橋井 佳子, 菊田 敦, 金子 隆, 加藤 剛二, 原 純一, 田渕 健, 高橋 義行
    54 巻 (2017) 2 号 p. 126-132
    公開日: 2017/08/11
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    肝芽腫の治療成績は化学療法,手術,および肝移植により改善したが,遠隔転移や肝門部病変などの切除不能病変を有する症例の治療成績は依然として不良である.これらの症例に対して造血幹細胞移植を用いた大量化学療法が施行されることもあるがその有効性は明らかでない.そこで,今回,日本造血細胞移植学会造血細胞移植登録一元管理委員会に造血幹細胞移植を受け登録された,肝芽腫136例(のべ移植回数162回)の治療成績について後方視的に検討した.移植病期は寛解期70例,非寛解期80例,不明12例であった.前処置はHiMEC(CBDCA,VP16,L-PAM),TEPA+L-PAMが最も多くそれぞれ51,43例であった.全体の5年全生存率,5年無病生存率はそれぞれ63.7%,50.3%であった.移植時寛解群と非寛解群の比較では5年全生存率でそれぞれ80.2%,49.8%(p<0.05),5年無病生存率でそれぞれ62.4%,38.4%(p<0.05)であり非寛解群において有意に低かった.しかし,移植時非寛解群においても5年全生存率は50%弱であり過去の報告と同程度であった.肝移植,外科的治療の進歩により肝芽腫に対する大量化学療法は行われなくなってきているが,今後,大量化学療法の有効性を評価する場合には,診断時遠隔転移症例など再発リスクの高い症例に対し,統一レジメンを用いた臨床試験を行ってなされる必要があると思われる.

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症例報告
  • 松村 梨紗, 大杉 夕子, 野間 治義, 三宅 正和, 児玉 良典, 多和 昭雄
    54 巻 (2017) 2 号 p. 133-137
    公開日: 2017/08/11
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    虫垂炎を機に診断された虫垂原発のBurkitt lymphoma(BL)を経験したので報告する.症例は16歳男性.受診9日前から腹痛と嘔吐があり,3日前より発熱を認め,腹痛が右下腹部へ限局してきたため当院を受診した.腹部CTで腫大した虫垂と膿瘍形成を認め,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術が施行され,病理検査によりBLと診断された.遠隔転移はなく,FDG-PETで腸間膜リンパ節の腫大とFDG集積亢進を認め,Stage IIIと診断した.手術から治療開始まで2か月を要し,LMB/FAB96プロトコールに基づいて化学療法を行い,計4コースで治療を終了した.診断後18か月現在,寛解を維持している.虫垂原発のリンパ腫は,非腫瘍性の急性虫垂炎と比べると経過が緩徐な場合もあり,画像では虫垂の形態を維持したままの著明な腫脹がみられるなどの特徴が報告されている.本例のように急性虫垂炎が疑われ,これらの所見がみられた場合には,稀ではあるがリンパ腫を鑑別する必要があると思われる.

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  • 吉村 聡, 大隅 朋生, 清谷 知賀子, 吉田 仁典, 谷口 真紀, 塩田 曜子, 寺島 慶太, 石黒 精, 石森 真吾, 西村 奈穂, 義 ...
    54 巻 (2017) 2 号 p. 138-142
    公開日: 2017/08/11
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    小児成熟B細胞腫瘍/非ホジキンリンパ腫(B-NHL)の標準治療は短期集中型の多剤併用化学療法であるが,腎障害合併時に治療強度を担保しつつ安全性を確保できる薬剤の選択にはエビデンスが限られている.今回,初発時に高度の急性腎障害を合併した後腹膜原発バーキットリンパ腫の1歳男児例に対し,腎毒性を有する抗がん剤であるmethotrexate(MTX)などを省いたrituximab併用化学療法を実施した.1コース後に腫瘤は著明に縮小し腎機能が改善したため,2コース以降の治療ではMTXを減量せず,引き続きrituximabを計6回併用した.経過中に重篤な有害事象を認めず,児は発症1年現在無病生存中で,腎機能も正常である.小児B-NHLの治療において,高度の腎障害下でもrituximabは安全で,他のキードラッグの減量または省略を要する際にも効果を保ったまま代替できる可能性がある.

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  • 髙杉 奈緒, 斎藤 雄弥, 榊原 裕史, 幡谷 浩史, 三浦 大, 谷内江 昭宏, 湯坐 有希
    54 巻 (2017) 2 号 p. 143-148
    公開日: 2017/08/11
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    川崎病罹患後に重度の肝機能障害を伴う二次性血球貪食性リンパ組織球症(HLH)を合併し,鑑別や治療に難渋した症例を経験した.症例は1歳9か月女児,初発の川崎病に対しガンマグロブリン静注(IVIG)とプレドニゾロンで治療後28日目に,再燃が疑われた.しかし,肝機能障害,2系統の血球減少,可溶性IL-2受容体(sIL-2R)値の上昇を認め,HLHの診断基準5/8項目を満たし2次性HLHと診断した.急性期は多臓器障害のため集中治療を要した.メチルプレドニゾロンパルス,IVIG追加投与後,デキサメサゾン投与を開始したが,症状の再増悪やsIL-2R値の上昇を認めたためシクロスポリンAを追加し,後遺症なく軽快した.

    川崎病による二次性HLHの報告は少数だが,多臓器障害や急激な症状の悪化をたどることもある.非典型的な経過や治療不応の川崎病ではHLHの合併を鑑別に挙げ,早期診断・治療を行うことが重要である.

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  • 池田 秀之, 新妻 秀剛, 阪本 昌樹, 鈴木 資, 渡辺 祐子, 入江 正寛, 力石 健, 風間 理郎, 渡辺 みか, 笹原 洋二, 呉 ...
    54 巻 (2017) 2 号 p. 149-152
    公開日: 2017/08/11
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    乳児期に発症する神経芽腫の多くは予後良好であり,自然退縮が期待できるため,限局性腫瘍に対しては無治療経過観察が試みられる事も多い.我々は無治療経過観察中に増大傾向に転じ,腫瘍内に異なるバイオロジーを有する少なくとも2つのクローンが存在したと考えられる乳児神経芽腫症例を経験した.症例は満期出生の男児で,出生直後に右副腎原発の嚢胞性神経芽腫と診断された.無治療経過観察中に一旦退縮傾向を示したが,生後半年より嚢胞内部に充実性腫瘤の増大傾向を認め,腫瘍全摘出術を施行した.摘出腫瘍のDNA ploidy解析では高二倍体の2つの異なるピークが検出され,複数クローンの腫瘍細胞の存在が示唆された.病理組織所見でも分化傾向を示す部分と低分化な部分が混在していた.低リスク神経芽腫の中にも,明確なheterogeneityが存在する事を示唆する興味深い症例であった.

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  • 浜田 亮, 堀 司, 吉川 靖, 山本 晃代, 寺田 光次郎, 山本 大, 足立 憲昭, 浅沼 秀臣, 小田 孝憲, 吉藤 和久, 堤 裕幸
    54 巻 (2017) 2 号 p. 153-156
    公開日: 2017/08/11
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    血友病は先天性血液凝固障害のなかでは最も頻度の高い疾患であるが,母体が血友病保因者の場合の分娩方法について明確な指針は定められていない.今回我々は経膣分娩時のストレスに起因すると考えられた頭蓋内出血をきたした症例を経験したので報告する.母親の実弟が重症型血友病Aであり,遺伝子診断でイントロン22の逆位を認めていた.祖母および母親は確定保因者であった.本児は胎児エコーで男児と判明しており器械分娩禁止の方針とした.正期産で経膣分娩で仮死なく出生し,出生直後は皮膚に出血症状はなく頭部エコーでも異常所見は認められなかった.生後19時間のエコー再検査で両側脳室の拡大認め,CTでは右小脳半球を中心に40×30 mmの血腫を認めた.第VIII因子製剤の投与により保存的治療を行い,血腫は拡大せずにその後自然消失した.現在2歳,神経学的異常を認めない.

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  • 古寺 一樹, 今村 勝, 高地 貴行, 申 将守, 笠原 靖史, 岩渕 晴子, 川島 寛之, 生越 章, 梅津 哉, 齋藤 昭彦, 今井 千 ...
    54 巻 (2017) 2 号 p. 157-160
    公開日: 2017/08/11
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    ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は,ランゲルハンス細胞様細胞(LCH細胞)のモノクローナルな腫瘍性増殖をきたす疾患である.骨病変の頻度が最も高く,軟部組織単独病変は稀である.今回我々は,胸椎の骨融解病変,胸膜病変,および骨病変に連続しない後頚部の軟部組織病変を伴う多臓器型LCHの5歳女児例を経験した.本例は当初,後頚部皮下膿瘍および化膿性脊椎炎の疑いで抗菌薬が投与され,解熱し病変部位の腫脹が軽減消失したことから,結果的に化学療法の同意が得られず経過観察の方針となった.約9か月間で2回の再燃を観察し,いずれも抗菌薬投与のみで解熱し,局所症状も軽減消失した.最終的に多剤併用化学療法を導入したところ,速やかに寛解が得られ,4年間再発なく経過良好である.本例はLCHでは稀な軟部組織病変を伴うのみならず,抗菌薬による一時的効果が観察された点で,LCHの複雑な病態を考察する上で貴重と思われる.

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