日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
検索
OR
閲覧
検索
54 巻 , 5 号
選択された号の論文の32件中1~32を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
会告
第58回日本小児血液・がん学会学術集会記録
教育講演2: 倫理指針改訂
  • 田代 志門, 藤原 康弘
    54 巻 (2017) 5 号 p. 279-286
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    2015年9月に「個人情報の保護に関する法律」が改正されたことに伴い,医療・医学における個人情報保護に関連する指針やガイドラインの一斉改正が進められ,2017年5月30日にこれらは全て施行された.なかでも,大きな議論となったのが,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の改正である.当初案では,診療情報の研究利用に関しては全て個別に同意を得るというルールが提案されたが,最終的には一定の条件を満たしている場合には,現行指針通り個別の同意を取得しないままでの研究利用が認められた .しかしその一方で,改正の論点は多岐に渡り,医療者や研究者がその内容を正確に理解することは容易ではない.特に法と指針の関係は,改正以前から不明確な点があり,今回の改正においても主要な論点の一つとなった.

    そこで本稿では,医療者や研究者が法と指針の関係を適切に理解できるよう,個情法と医療・医学分野でのガイドラインとの関係を概観したうえで,学術研究の適用除外に関連する指針の要点を整理した.具体的には,今回の指針改正において提示された法の適用除外に関する新たな解釈の概要を確認したうえで,法の規定とそぐわない指針の規定がどのように指針のなかで整理されているのかを詳述した.ただしその一方で,今回の検討においては十分に解決されていない課題もあり,今後も継続的な議論が必要である.

    抄録全体を表示
シンポジウム2: Genetic basis for childhood bone marrow failure and malignancies
  • 稲野 将二郎, 高田 穣
    54 巻 (2017) 5 号 p. 287-293
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    生物は内因性,外因性に生じる無数のゲノム損傷に対処する機構を発達させてきた.その中でもDNA複製,転写を阻害するDNA鎖間架橋(interstrand crosslinks; ICL)の除去はとりわけ重要である.ICL修復経路は,端的には,厳密に制御された形での DNA二重鎖切断(DNA double strand breaks; DSB)の導入により相同組換え(homologous recombination; HR)による修復を可能にすることにある.複雑な制御系であるため多数の因子から構成されるが,このいずれが欠落してもファンコニ貧血(Fanconi anemia; FA)を発症する.現在までにFA患児の遺伝学的解析により21の因子が同定され,原因遺伝子及びその機能面についての研究が飛躍的に進んでいる.また,今回我々はドイツで診断された患児細胞の全エキソン解析から,E3 ligaseであるFANCW/RFWD3に複合ヘテロ変異が存在することを同定し,ノックアウト細胞での実験からFAの原因であることを証明した.ファンコニ貧血及びICL修復の全体像を,新規FA遺伝子RFWD3の機能を含めて概説する.

    抄録全体を表示
シンポジウム3: Primary immunodeficiency diseases associaed with hematopoietic disorders: border between immunodeficiency and bone marrow failure
  • 平松 英文
    54 巻 (2017) 5 号 p. 294-298
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    造血研究の歴史は古く,マウスなどの動物モデルを用いた研究を中心として発展してきた.形態的観察から骨髄が造血の場であることが推測されていたものの,造血がどのように行われるのかの研究ツールは致死量放射線照射マウスを救命する方法の探求から始まった.造血細胞活性を調べる方法としてin vitroコロニーアッセイ法や骨髄移植が考案され,骨髄細胞が増殖能や分化能の異なる様々な細胞の集まりであることが示された.フローサイトメトリーの開発により造血研究は大幅に進み,マウスにおいて先ず造血幹細胞の表面抗原が明らかにされた.ヒト化マウスモデルの開発はヒト造血研究をマウスのそれと同じレベルにまで高め,現在ではわずか1個で全ての造血を再構築できるヒト造血幹細胞の表面抗原の組み合わせが明らかにされている.これら造血幹細胞研究は白血病幹細胞が正常造血幹細胞と類似点を有していることを明らかにするなど,白血病研究も発展させ,臨床への貢献が期待されている.

    抄録全体を表示
シンポジウム4: Symposium of ALL, Optimal use of Asparaginase
  • 佐藤 篤
    54 巻 (2017) 5 号 p. 299-305
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    L-asparaginase(ASNase)は急性リンパ性白血病(ALL)治療のkey drugの一つであるが,有害事象としての過敏反応はASNaseの不活化と関連し治療成績の低下にも繋がるため,その対策は臨床的に大変重要である.過敏反応に対しては,ASNase活性測定による治療薬物モニタリング(TDM)の評価を基にした代替薬の使用が治療成績の改善をもたらすことが報告されている.大腸菌由来ASNaseの代替薬として,Erwinia由来ASNase(Erw-ASNase)の安全性,有効性は多くの研究から示されており,本邦でも2016年12月に承認が得られた.

    日本小児白血病リンパ腫研究グループと日本成人白血病治療共同研究グループは共同でT細胞性ALL(T-ALL)に対して多施設臨床試験ALL-T11/T-ALL-211-Uを2011年に開始したが,この臨床研究は,ASNaseの強化をBFM骨格に取り入れたことを特徴の一つとしている.現在検討中の次期T-ALL研究では,ALL-T11/T-ALL-211-Uの治療骨格を踏襲しながら,主たる目的の一つにTDMに基づくASNase治療の適正化を掲げている.次期研究によって小児,思春期および若年成人T-ALLの治療成績の向上が期待される.

    抄録全体を表示
  • 稲葉 寛人
    54 巻 (2017) 5 号 p. 306-312
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    アスパラギナーゼは小児急性リンパ性白血病の治療において重要な薬剤であるが,副作用として過敏反応が問題となる.セントジュードTotal XVプロトコールではネイテイブE. coliアスパラギナーゼ(Elspar)が用いられ,過敏反応(症候性および無症候性)がセントジュード分類低リスク群で73%,標準および高リスク群で54%の症例にみられた.低リスク群に過敏反応が多くみられた理由として,化学療法における免疫抑制のレベルが低いことと,アスパラギナーゼの休薬期間が長いことが考えられた.過敏反応を引き起こすアスパラギナーゼ抗体の産生は,アスパラギナーゼ活性の低下のみならず,同時に投与されるデキサメサゾンの血中濃度の低下を引き起こし,中枢神経系再発の増加と関連した.ゲノムワイド関連解析では,T細胞を介した免疫反応に関わる遺伝子が過敏反応に重要な役割を担っていた.また,動物モデルではデキサメタゾンの前投与が過敏反応を軽減させた.

    米国ではポリエチレングリコールが結合されたPEG-アスパラギナーゼ(Pegaspargase)がElsparに代わり使われている.PEG-アスパラギナーゼの半減期はElsparより長く過敏反応の発生率も低い.過敏反応を減らす方法として,PEG-アスパラギナーゼの使用,休薬期間をできるだけ少なくする,ステロイドの前投与,リツキシマブなどの投与により抗体産生を抑制することが考えられる.

    抄録全体を表示
シンポジウム5: 悪性ラブドイド腫瘍 Malignant Rhabdoid Tumor(MRT)
  • 小田 義直, 孝橋 賢一
    54 巻 (2017) 5 号 p. 313-315
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    SMARCB1蛋白の完全発現欠失は悪性ラブドイド腫瘍(MRT)に特異的であり,その診断に有用とされていた.しかしながら,SMARCB1完全欠失はMRT以外にも類上皮肉腫(ES),骨外性粘液型軟骨肉腫などでも認められることが報告された.その他に我々はSMARCB1のモザイク状異常発現する胃腸管間質腫瘍や,周囲組織よりも発現減弱する滑膜肉腫を報告した.MicroRNA解析によりMRTの亜型と考えられる中枢神経外発生の非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍様の組織所見を呈する腫瘍群および小円形細胞腫瘍群を見出した.MRTとESとはしばしば組織学的鑑別が困難であるが,ERG,SALL4,GPC3染色を組み合わせて評価することが診断に有用であると思われる.

    ESでは,SMARCB1発現が高頻度に欠失するが遺伝子異常を伴わない症例も存在し,SMARCB1蛋白発現を抑制させるメカニズムの候補として,我々はmiR193a-5pによる制御の可能性を報告した.同一染色体上でSMARCB1遺伝子と近接しているEWSR1遺伝子の再構成を有する軟部腫瘍の中で骨外性粘液軟骨肉腫にSMARCB1蛋白欠失を有する例を認めた.

    これらのSMARCB1蛋白欠失腫瘍群に対する形態学的,分子生物学的解析は,腫瘍発生メカニズムの解明に寄与すると同時に,より簡便な鑑別診断法の確立にも寄与するものと考えられる.

    抄録全体を表示
  • 野崎 美和子
    54 巻 (2017) 5 号 p. 316-319
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    腎悪性ラブドイド腫瘍(MRTK)は乳幼児の腎に発生する稀少な難治性腫瘍である.現在,MRTKに対する標準治療法は確立されていない.放射線療法の有効性についてのエビデンスはなく,その役割は明らかにされていない.難治症例の放射線療法の経験から,MRTKの局所制御のためには高線量照射が必要で,乳幼児に対して放射線有害事象を回避しつつ高線量照射を行うためには,陽子線治療が有効な選択枝の1つであると考えられた.MRTKの治療成績の向上に向けて,SIOP-RTSGでは中枢神経以外のMRTを包括登録しているEU-Rhabdとの共有プロトコールを提唱していること,SIOPとCOGで放射線療法に関してほぼ同等の治療適応と治療線量を設定していること,JCCG腎腫瘍委員会でSIOP国際共同研究に参加を表明していることなど,広い視点にたった臨床研究が進み始めている.今後,多方面からのMRTKに関する基礎データと臨床データが集約され,それらの解析のもとに有効な治療法が確立されれば,この難治性腫瘍に対する放射線療法の役割も明確となっていくと考えられる.

    抄録全体を表示
シンポジウム6: LCH
  • 村上 一郎
    54 巻 (2017) 5 号 p. 320-328
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    ランゲルハンス細胞組織球症は,ランゲルハンス細胞様異常細胞の増殖性疾患である.自然治癒する亜型・経過観察で良い亜型~死に到る亜型が存在する.かつて,これらの亜型は別の疾患として扱われていたが,病理組織像が同じである事から,一つの疾患名(ヒスチオサイトーシスX)で統一され,名称の統一を提唱したリヒテンシュタインは,起因物質の存在を予言していた.しかし,クローナリティの存在,RAS/MAPKシグナル伝達経路にBRAF変異が報告され,多くの研究者が腫瘍性性格を有していると考えるようになって来ている.一方,このBRAF変異のみで様々な亜型の病態を説明する事は困難で,炎症性因子とLCH亜型間に様々な関係性・相関性がある事も知られている.2014年,我々は,メルケル細胞ポリオーマウイルスがLCH発症に関わっている可能性を示し,「腫瘍原性形質を有する異常ランゲルハンス細胞が何らかのトリガーに過剰反応した疾患」との腫瘍性性格と反応性性格の両面の性格を有するとの説を提唱した.現在は,遺伝子変異,ストレス(何らかのトリガー)と言う2因子に,IL-1ループモデル等のストレス反応(過剰反応)を加えて,トリプルファクターモデルを提唱し,治療ターゲットとしても腫瘍性性格のみでなく,炎症性性格も考慮する事が治療効果を上げるのではないかと考えている.

    抄録全体を表示
  • 五味 玲
    54 巻 (2017) 5 号 p. 329-335
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    Langerhans Cell Histiocytosis(LCH)のうち頭蓋骨に発生した単一臓器単一病変型(Single-system single-site:SS-s型)病変について,小児の診療を専門とする脳神経外科医に治療方針や治療法についてアンケートを行い,20施設から回答を得たので報告する.他臓器病変の検索は85%で行われ,その約70%では小児血液腫瘍科医が関与していた.中枢神経リスク病変である頭蓋底病変を除く頭蓋骨(頭蓋冠)SS-s病変の場合,摘出術は80%で行われた.20%はまず自然退縮を期待し経過を見て,縮小しなければ摘出術とした.摘出方法は生検25%,摘出75%で,摘出方法は病変部のみ摘出35%,周囲の組織も含めた摘出が65%だった.化学療法は残存病変があれば行う10%,残存にかかわらず行う15%,行わない75%だった.Follow upの担当は脳神経外科医のみ16%,小児科医のみ26%,併診58%.晩期合併症の経験は3施設15%で見られた.頭蓋冠SS-s病変は自然退縮も期待できる一方,病変の完全摘出が可能でその場合は化学療法は必要なく,生検や部分摘出の場合は追加治療を要する場合がある,という治療方針の傾向が示された.頭蓋骨SS-s病変の患児はまず脳神経外科を受診することが多く,今後は脳神経外科医を対象とした全国規模の観察研究が必要である.

    抄録全体を表示
シンポジウム7: 2学会合同シンポジウム「笑顔のたね」
  • 森田 優子
    54 巻 (2017) 5 号 p. 336-339
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    日本の医療は,治療の質は世界でもトップクラスだと言われて久しい.しかし,入院中の患者・家族のケアは欧米に比べ不十分だと言われている.小児がんや難病の子ども達と家族の精神的ケアを目的に,認定特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズでは,ハンドラーと呼ばれる臨床経験のある看護師と,ファシリティドッグのチームを病院に派遣している.

    ファシリティドッグとは,特定の施設に常勤し,職員として勤務する犬のことである.癒しを目的とする触れ合い活動に留まらず,より治療に関わる仕事をしている.ファシリティドッグが介在することにより,採血の時に泣き叫ぶ子どもが落ち着いて実施することができたり,手術室まで同行すると落ち着いて入室することができる.

    闘病中だからと我慢するのではなく,闘病中であっても,楽しいこと・笑顔になれることは重要である.

    小児医療では,患者家族のケアも必要であるが,ファシリティドッグの存在により,不安やストレスを軽減することができると言う家族も多く,また,同じハンドラーとファシリティドッグが頻回に訪問してくるため信頼関係が築かれ,医療スタッフには言えない本音を出せる家族もいる.

    多忙な業務の中で,ファシリティドッグに会うと気持ちが和らぐと言う医療スタッフも多く,ファシリティドッグは,子ども達と家族を笑顔にするだけでなく,医療スタッフを含め病院全体を笑顔にしている.

    抄録全体を表示
  • 雨宮 健太郎
    54 巻 (2017) 5 号 p. 340-346
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    葛西臨海水族園(以下水族園)は開園以来,展示を通して海の生物のおもしろさ,すばらしさ,尊さを伝える教育活動を行ってきた.今まで開発・実践してきた教育プログラムや伝える技術を生かし,水族園になかなか足を運べない方々のところへ出かけ教育活動を行うのが,ここで紹介する移動水族館活動である.

    移動水族館活動の主な訪問先は,長期入院の子どもたちのいる病院や障がい者施設,高齢者施設などである.活動は2基の大型水槽を搭載したトラック「うみくる号」と磯の生物や機材等を積んで同行するバンタイプ「いそくる号」の2台で行う.敷地が狭く「うみくる号」の展開が難しいところには,「いそくる号」のみでも訪問する.

    移動水族館を利用する方の障がいや病気の種類や重さは実に多様で,個々への対応には高い専門性が必要であり,水族園内で行っている教育普及活動とは全く異なる手法や工夫が求められる.実際の実践を通し,試行錯誤しながら,機材の考案や開発を行ってきた.

    利用した施設のスタッフからは「海の生物を見たり,感じたりが貴重な刺激となった」などの声が聞かれ,生物を見ることやふれあうことが参加者に与える印象の大きさを感じている.一方,病院での実施では感染症を広げないなどの課題がある.ここでは,これまでの活動状況を紹介し,病院での移動水族館活動をより一層充実させるため,皆さまとのネットワーク作りのきっかけとしたい.

    抄録全体を表示
  • 小峰 大樹, 小峰 由美子, 小原 明
    54 巻 (2017) 5 号 p. 347-350
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    小児がんの子ども達に笑顔になってもらうにはその家族や友達も大切だと気付き30年前にボランティアグループを作りました.毎年サマーキャンプとクリスマス会を企画し,毎回約20人の子ども達とその家族が参加しています.様々な職種,元患者やその家族を含むボランティアが活動し,子どもと家族に先入観無く広やかに自由に接することで,望外の成果が得られています.小児がんや家族など当事者の皆さんにピアサポートの場を提供し,同時に私たち自身も学びの場となっています.

    抄録全体を表示
シンポジウム8: 小児血友病患者のQOLの向上を目指して
  • 松尾 陽子
    54 巻 (2017) 5 号 p. 351-355
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    近年の定期補充療法の浸透,血液凝固因子製剤の進歩などにより,血友病患者のQOLの向上は著しい.しかし,血友病保因者への支援は十分とはいえず,実際に保因者であることを妊婦である母親が知らされないまま出産に臨み,吸引分娩や鉗子分娩による頭蓋内出血のために重篤な後遺症をきたした児も少なからず存在する.このような事態を避けるためには,適切な保因者診断や遺伝カウンセリングを含めた保因者への支援や情報提供が重要であるとともに,周産期管理が適切に行われなければならない.2014年に産婦人科新生児血液学会においてワーキンググループが設置され,検討を重ねたのち「エキスパートの意見に基づく血友病周産期管理指針2017年版」が作成された.血友病周産期管理においては,産科医,新生児科医,麻酔科医,血友病専門医の間での連携が重要であり,頭蓋内出血のリスクを避けるために吸引分娩や鉗子分娩は避けるべきである.出生後の新生児に対してはできるだけ速やかに血友病診断を行う.頭蓋内出血が血友病の初発症状となることも珍しくないため,血友病の家族歴が無くともAPTT延長時には血友病を疑う.止血治療には,凝固因子製剤を使用し,凝固因子活性値をモニタリングしながら補充療法を行う.製剤投与後はインヒビターの出現の有無を定期的に行う.

    抄録全体を表示
  • 小倉 妙美
    54 巻 (2017) 5 号 p. 356-361
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    血友病AおよびBは,血液凝固第VIII因子および第IX因子の遺伝子異常に基づく先天性凝固障害性の出血性疾患である.重症血友病患者の体内には生まれつき第VIII(IX)因子がほとんど存在しないため,補充された因子を免疫システムが「非自己」と認識することにより,インヒビターが発生すると考えられている.一旦インヒビターが出現すると,従来の補充療法の効果を低下あるいは消失させるため止血管理が困難となり,血友病治療最大の障壁となる.インヒビター患者に対する治療は,急性出血や手術時等の止血療法とインヒビター消失を目的とした治療に分けられる.止血治療は,バイパス製剤による止血療法と当該因子での中和療法であり,止血ガイドラインが日本血栓止血学会から出されている.インヒビター消失を目的とした治療としては,免疫寛容導入(immune tolerance induction: ITI)療法やリツキシマブなどによる免疫抑制療法がある.重症血友病Aインヒビター症例に対してはITIの有効性が証明され,50–80%が成功している.血友病Bに関しては,血友病Aと比べると約30%と成功率が低く,アレルギー症状やネフローゼ症候群の出現なども認めるため,施行に関しては十分な検討・準備が必要である.

    抄録全体を表示
ワークショップ2: 小児がん拠点病院と小児がん診療を担う地域医療機関の役割
  • 窪田 正幸, 今井 千速, 小川 淳
    54 巻 (2017) 5 号 p. 362-366
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    平成25年に小児がん拠点病院が認定され,拠点病院と地域中隔病院との役割分担と連携効率化が求められている.新潟県では過去40年にわたり県内中核病院を中心とした小児がん診療体制を構築し,県内症例の統一的治療を行ってきた.今回,小児がん拠点病院に選出されなかったことから,地域中核病院として役割と今後の方向性を再検討すべき段階となり,外科治療を担当する立場から考察した.

    拠点病院の条件を満たすための課題は,先進的な臨床試験や新薬治験が行える臨床研究体制の充実,保育士,専門看護師,臨床心理士などによる高度で専門的なサポート体制,緩和ケア,義務教育年限後の学業支援,社会復帰支援などの他に,陽子線治療施設,小児がん専門病棟,ファミリーハウスなどのインフラ充実があげられる.これらは中核病院のみでは解決できない課題も多く,今後の行政への働きかけと連携が重要となる.

    一方,現在の進行例の外科治療は,手術リスクの評価,生検,化学療法と放射線治療後の遺残腫瘍摘出であるが,腫瘍発生部位は多岐にわたり,外科関連科との知識と技術との連携協力をもってしても,重篤な合併症を回避できない症例も多く,腫瘍完全摘出ではなく陽子線治療を併用した外科治療など,今後拠点病院との連携強化も重要である.さらに,腫瘍切除のための小児外科,整形外科,泌尿器科,脳神経外科など多領域の知識と経験を有する外科医の育成も重要と考えられる.

    抄録全体を表示
教育セッション3: 脳腫瘍(髄芽腫, 悪性神経膠腫(脳幹神経膠腫を含む))
  • 岡田 恵子
    54 巻 (2017) 5 号 p. 367-372
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    小児脳腫瘍の25%を占める髄芽腫は,後頭蓋窩発生の悪性胎児性腫瘍である.病理組織型や,臨床的特徴,分子生物学的特徴が予後に関連し,髄芽腫は均一疾患ではないと認識されていたが,現在に至るまで,「年齢」「腫瘍摘出度」「転移の有無」という臨床的特徴のみでリスク分類を行い,放射線療法と化学療法の治療強度を決定するという治療戦略が取られ,現在の5年全生存率はおよそ70%である.

    2010年代になり,髄芽腫は遺伝子発現パターンや細胞遺伝学的異常などにより「WNT」「SHH」「Group 3」「Group 4」の4つのサブグループに分類されると報告され,それぞれ異なる腫瘍発生母地と,特徴的臨床像を有し,予後も異なることが判明した.これらの知見は,髄芽腫がそれぞれのサブグループ別の特徴に応じた治療が必要であることを示しており,今後の治療開発に取り入れるべく各国で議論が続いている.しかし同一サブグループ内であっても,有する遺伝子異常の差異や年齢等により,さらに予後が異なることが判明し,今後さらに細分類される可能性がある.よってサブグループを臨床応用するのは時期尚早であり,世界の情勢を見極める必要がある.現時点では,WNT群や乳児型SHH群などの予後良好群では治療減弱が可能かを臨床試験にて検証するというように,臨床試験の目的に応じて分子学的特徴を部分的に取り入れていくのが現実的である.

    抄録全体を表示
  • 山崎 文之, 高安 武志, 栗栖 薫
    54 巻 (2017) 5 号 p. 373-383
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    小児に発生するびまん性グリオーマは脳幹部の橋や視床に好発し,橋発生はdiffuse intrinsic pontine glioma(DIPG)と呼ばれてきた.近年,遺伝子研究の進歩により橋・視床に発生した小児のびまん性グリオーマにおけるヒストンH3-K27M遺伝子変異が発見された.そして,WHOの2016年updateにおいてdiffuse midline glioma,H3 K27M-mutant(grade 4)として新しく定義された.Diffuse midline gliomaではヒストンのH3バリアントのH3.3をコードする遺伝子H3F3A K27M変異が最も多く,H3バリアントのH3.1をコードする遺伝子HIST1H3B K27Mが2番目に多い.これらの遺伝子変異を持つ腫瘍はIDHの遺伝子変異,EGFRの遺伝子増幅やPTEN変異などを基本的には認めない.その他,小児の大脳半球の高悪性度グリオーマではH3.3 G34R,G34V変異が多いと報告された.ヒストンの遺伝子変化によるtumorigenesisは,成人のびまん性グリオーマ,膠芽腫とは異なるため,同じような考えで治療することはできず,重要な課題である.しかし,現実的には現段階での治療手段は限られている.本教育講演ではWHOの2016年updateで遺伝子異常に基づいて再構成された成人のびまん性グリオーマの定義について概説した.続いて小児の高悪性度グリオーマについて,特に脳幹部グリオーマを中心としたdiffuse midline glioma,H3 K27M-mutant,epithelioid glioblastoma,diffuse leptomeningeal glioneuronal tumorの臨床所見と画像診断,化学療法,放射線治療,分子標的療法,手術の考え方,支持療法などについて概説した.

    抄録全体を表示
教育セッション6: 診断,病理
  • 中澤 温子
    54 巻 (2017) 5 号 p. 384-387
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    全ゲノム解析等の網羅的遺伝子解析によるリンパ腫の分子機序の解明やそれらの予後因子としてのインパクトについての研究成果が蓄積され,WHO分類においても,治療法や分子生物学的特徴に基づいた疾患単位とし,改訂第4版ではいくつかの暫定項目が提唱された.小児のFollicular lymphoma (FL) は,t(14;18)を欠き,予後は良好といった成人とは異なる特徴をもつため,改訂第4版ではpediatric-type FLとして独立した項目となった.また分子機序の相違からdiffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) にはgerminal center B-cell-like (GCB), activated B-cell-like (ABC) の亜型が付記され,B-cell lymphoma, unclassifiable, with features intermediate between DLBCL and Burkitt lymphomaは,high grade B-cell lymphoma (HGBL), with MYC and BCL2 and/or BCL6 translocationsとHGBL, NOSに分けられることとなった.さらにMYC転座の認められないBurkitt-like lymphoma,特異なIRF4融合遺伝子を有するB-cell lymphomaが暫定項目として追加された.改訂第4版では,病理組織像,免疫組織化学染色による免疫学的表現型とともに,遺伝子解析が診断のために必須となった.

    抄録全体を表示
教育セッション8: 赤血球系疾患
  • 濱 麻人
    54 巻 (2017) 5 号 p. 388-392
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル 認証あり

    小児骨髄不全症の診断においては,再生不良性貧血(AA)と骨髄異形成症候群(MDS),特にrefractory cytopenia of childhood(RCC)との鑑別が問題となる.RCCの骨髄は低形成ではあるがAAに比較して軽度であり,赤芽球や顆粒球系細胞がみられ,巨核球も少数観察される場合がある.赤芽球系においては巨赤芽球様変化など,顆粒球系においては偽ペルガー核異常など,巨核球系においては微小巨核球などが認められる.さらに遺伝性骨髄不全症候群(IBMFS)を鑑別する必要がある.IBMFSにはFanconi貧血,Dyskeratosis congenitaおよびShwachman-Diamond症候群などが含まれる.日本小児血液・がん学会のAA・MDS形態中央診断による1,712例のレビュー結果では939例(55%)が骨髄不全症と診断された.骨髄不全症は,特発性AA:194例(21%),RCC:381例(41%),refractory cytopenia with multilineage dysplasia(RCMD):203例(22%),肝炎関連造血障害:56例(6%),発作性夜間血色素尿症:5例(0.5%),薬剤性:5例(0.5%)およびIBMFS:95例(9%)に分類された.IBMFSの確定診断は遺伝子診断によるが,今後はすべての原因遺伝子を網羅した次世代シークエンサーによる遺伝子解析がスクリーニング検査として用いられるようになると思われる.

    抄録全体を表示
原著
  • 野口 磨依子, 稲垣 二郎, 岡本 康裕, 古賀 友紀, 大園 秀一, 新小田 雄一, 中山 秀樹, 盛武 浩, 堀田 紀子, 糸長 伸能, ...
    54 巻 (2017) 5 号 p. 393-397
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    小児急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia: ALL)の初回治療後再発率は約20%とされ,再発時期は治療中から治療終了後早期に多いため,長期間寛解を維持した後の再発(very late relapse: VLR)症例の報告は少ない.今回,九州・山口小児がん治療研究グループ(KYCCSG)ALL-96/02プロトコールで治療を行った初発小児ALL患者のうち,治療終了後24か月以降の再発例をVLRとし,その臨床的特徴と予後を検討した.KYCCSG ALL-96/02に登録・治療された357症例のうち全再発例は70例(19.6%)であった.VLRは8例(2.2%)であり,治療終了から再発までの期間の中央値は37.5か月(範囲26–42か月)であった.初診時リスク分類は標準リスク群が6例,高リスク群が2例で,再発部位は骨髄単独が6例,精巣単独が1例,骨髄+中枢神経が1例であった.8例すべてにおいて再寛解導入療法後第2寛解に至った.同種移植を受けた3例中1例は,移植後11か月で再発し死亡した.その他の7例は再発後の観察期間57か月(範囲32–92か月)で寛解生存しており,VLR症例の予後は良好と考えられた.

    抄録全体を表示
  • 上月 景弘, 梅田 雄嗣, 田中 邦昭, 窪田 博仁, 濱端 隆行, 大封 智雄, 納富 誠司郎, 才田 聡, 加藤 格, 平松 英文, 平 ...
    54 巻 (2017) 5 号 p. 398-402
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    1995~2014年に当科で顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF),cytarabine,cyclophosphamide,全身放射線による骨髄破壊的前処置を用いて同種造血幹細胞移植を施行した小児急性骨髄性白血病(AML)12例の経過を検討した.11例は寛解(CR)期(第1CR 6例,第2CR 5例),1例は非CR期に移植を施行した.CR期に移植を施行した症例の5年全生存率は62.3±15.0%,無病生存率は63.6±14.5%であった.一次生着不全を1例,原疾患再発を2例に認めた.II–IV度の急性GVHDは11例中7例,慢性GVHDは9例中2例に認めた.5例は細菌感染症(1例),原疾患再発(1例),または再移植後の合併症(3例)により死亡した.本研究では成人AML症例とは異なり,本レジメンによる明らかな治療成績の向上は示されなかった.晩期合併症の頻度が高いことから,小児AML症例に対してG-CSFを併用した骨髄非破壊的前処置などの毒性を軽減した前処置の開発が期待される.

    抄録全体を表示
症例報告
  • 佐藤 聡美, 瀧本 哲也, 藤井 美有, 石田 敏章, 小阪 嘉之, 大六 一志
    54 巻 (2017) 5 号 p. 403-407
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    小児の急性リンパ性白血病 (ALL) の治療に必須のmethotrexate (MTX) 大量療法や髄注は,知的な能力に影響を及ぼしうる長期的な神経毒性(白質脳症を含む)が懸念される.今回,MTX大量療法を行ったALL標準リスクの診断時年齢4歳女児の知的な能力について縦断的な前向き調査を行った.WISC-IV知能検査を1年ごとに計4回実施した.対象児は,ALL発症前までは成長発達に問題はなく,標準的な社会経済的環境にある両親と生活してきた.診断後,対象児はJACLS ALL-02 SRプロトコールに従って, HD-MTX 3 g/m2を2コースとIT MTXを12回行う治療を受けた.この間, 寛解導入療法後に1回,その後1年ごとに3回,計4回のWISC-IV知能検査を行った.その結果,ワーキングメモリーの得点は軽微に低下したが,推論を含む流動性能力と知識を積み重ねていく結晶性能力は維持された.また,すべての検査において全体的な知的能力は標準域にあった.したがって,大量MTX療法後の3年間において,本症例では認知機能障害はないと判断された.これらの研究結果を検証するためのさらなる前向き研究の蓄積が必要である.

    抄録全体を表示
  • 三上 真充, 梅田 雄嗣, 松田 浩一, 才田 聡, 平松 英文, 藤野 寿典, 山田 壮一, 柴村 美帆, 西條 政幸, 平家 俊男, 足 ...
    54 巻 (2017) 5 号 p. 408-411
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    FLT3-ITD陽性急性骨髄性白血病の14歳女児に対して,骨髄破壊的前処置を用いて父親からHLA半合致骨髄移植を行った.Day 56より重度の歯肉口内炎を合併し,acyclovir(ACV)の予防投与中にも関わらず口唇粘膜および血液より単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が検出された.ACVを増量したが症状の改善は認めなかった.薬剤耐性遺伝子検査ではHSV-1のウイルス性チミジンキナーゼの変異が認められた.また,分離株の薬剤感受性試験でもACV耐性が確認された.そのため,抗ウイルス剤をACVからfoscarnetに変更したところ速やかな症状の改善を認めた.今後HLA不一致移植の普及に伴いACV耐性HSV-1感染症が増加する可能性が高いため,薬剤耐性関連検査の実施体制の構築とACV耐性HSV-1感染症に有効な抗ウイルス剤の保険適応拡大が望まれる.

    抄録全体を表示
  • 山本 翔大, 松村 梨紗, 角永 茂樹, 多和 昭雄, 大杉 夕子
    54 巻 (2017) 5 号 p. 412-417
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    骨原発非ホジキンリンパ腫(NHL)の1例を経験し,この疾患における18F-FDG PET/CT(PET/CT)の有用性について検討した.症例は16歳男性.診断の8か月前より右膝の疼痛を認めた.MRIにて右大腿骨遠位部と右脛骨全域および左中頭蓋底部にT1強調画像で低信号の病変を認め,PET/CTで同部位にFDGの高い集積がみられた.右大腿骨遠位部の生検にてBリンパ芽球性リンパ腫(B-LBL)と診断した.病期はStage IIIで,NHL-BFM95に沿って化学療法を行った.強化療法終了時のPET/CTにて脛骨と頭部のFDG集積は消失し,この時点で残存していた大腿骨遠位部の軽度集積も経過とともに低下した.維持療法終了後8か月現在寛解を維持している.骨原発NHLにおいて,PET/CTは病期診断に有用であり,治療効果判定にも,MRIやCTと比較して治療開始後の変化が観察しやすく有用と思われるが,被ばくや偽陽性の問題も考慮し,評価時期や頻度を見極める必要があると考えられた.

    抄録全体を表示
  • 森本 佳子, 肌勢 知雅, 山本 徹, 立木 美香, 成瀬 光栄
    54 巻 (2017) 5 号 p. 418-422
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    我々は右副腎原発の小さな褐色細胞腫の,17歳女性例を経験した.発症は当科初診の約1年前であり,症状は5~10分の四肢の震え・痺れ・顔面蒼白,チアノーゼ,動悸,頭痛発作だった.本例は尿中カテコラミン代謝産物値が褐色細胞腫のスクリーニング値及び時に診断基準値を満たさず,またMRI所見上大きさが1.5 cmであるなど診断に迷う点があった.しかし,発作時のカテコラミン値や131MIBGシンチの腫瘍への取り込みなどから褐色細胞腫と臨床診断した.右副腎摘出術により全ての症状は消失し,検査値も正常化した.症状の持続時間が限定的である場合,副腎腫瘍が小さくとも,褐色細胞腫を除外してはならない.

    抄録全体を表示
  • 大倉 隆宏, 中原 康雄, 片山 修一, 人見 浩介, 神農 陽子, 山鳥 一郎, 梶 俊策, 秋山 卓士, 後藤 隆文, 青山 興司
    54 巻 (2017) 5 号 p. 423-427
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    症例は8歳の女児で,腹部打撲後に撮像した腹部CTで2個の腹部腫瘤像を指摘された.開腹生検により,膵尾部に発生したsolid-pseudopapillary neoplasm of the pancreas(SPN)とその腹膜播種病変と診断し,膵体尾部切除術と腫瘤摘出術を施行した.以後,再発病変が出現する度に計4回の腫瘤摘出術を施行し,発症より約10年が経過した現在も長期生存が得られている.病理学的には原発病変,腹膜播種・遠隔転移病変ともに高悪性度を示唆する所見は認めず,WHO分類で“high-grade malignant transformation”とする亜型には含まれないと診断した.現在SPNは“low-grade malignant neoplasm”に位置づけられているが,腹膜播種・遠隔転移病変の有無よりは,組織学的な悪性成分の有無が予後を規定している可能性があると考えられた.

    抄録全体を表示
  • 田中 邦昭, 梅田 雄嗣, 仁平 寛士, 川口 晃司, 岩井 篤, 三上 真充, 納富 誠司郎, 才田 聡, 加藤 格, 平松 英文, 平家 ...
    54 巻 (2017) 5 号 p. 428-432
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    症例は移植時3歳の男児.生後7か月時に全身性BCGリンパ節炎の発症を契機に慢性肉芽腫症(p67phox変異)と診断された.静注busulfan,fludarabine,ウサギ抗胸腺細胞グロブリンの前処置にて非血縁HLA適合ドナーから骨髄移植を施行した.Busulfanは総AUC 65~70 mg/L×hrを目標として血中濃度に基づき投与量を調整し,計18.8 mg/kgが投与された.移植後速やかな造血回復が認められ,継時的なキメリズム検査ではday 69以降は完全キメラを維持している.重篤な治療関連合併症は認めず,移植後1年9か月が経過し無病生存中である.性腺機能障害などの晩期合併症については長期間の経過観察が必要であるが,本前処置は拒絶リスクの高い非腫瘍性疾患に対する造血細胞移植の前処置として非常に有用であると考えられた.

    抄録全体を表示
  • 中村 こずえ, 山本 美佳智, 小山 隆之, 三牧 正和, 亀崎 豊実
    54 巻 (2017) 5 号 p. 433-437
    公開日: 2018/04/14
    ジャーナル フリー

    自己免疫性溶血性貧血(AIHA)症例の約10%は直接クームス試験(DAT)が陰性である.DAT陰性となる要因の一つとして低親和性赤血球自己抗体が関係することがある.低親和性赤血球自己抗体によるAIHAが示唆された重症貧血(Hb 5.3 g/dL)の4歳1か月女児を報告する.症例はAIHAが疑われたが,試験管法DATは陰性であった.ステロイド治療したところ貧血の改善を認めDAT陰性AIHAと診断した.貧血の程度はステロイド量に依存したため,rituximabの治療を行った.部分改善となり診断5年後には治療は行っていない.数日間冷蔵保存しておいた診断時の検体で測定したDAT抗C3bC3dが陽性であることが,後日明らかになったため,さらに詳しい検討を行った.診断5年後の検査では,赤血球洗浄の必要はないカラム凝集法DAT抗IgGが陽性であった.洗浄した赤血球でカラム凝集法を行ったところDAT陽性は減弱した.この結果より低親和性赤血球自己抗体の存在が示唆された.

    抄録全体を表示
委員会報告
報告
審査員リスト
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top