日本小児血液・がん学会雑誌
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第59回日本小児血液・がん学会学術集会記録
特別講演
会長講演
  • 石井 榮一, 江口 真理子, 石前 峰斉
    2018 年 55 巻 5 号 p. 345-351
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    MLL遺伝子再構成陽性の乳児急性リンパ性白血病(MLL-r ALL)は予後不良の疾患である.日本では1996年より乳児ALLをMLL遺伝子再構成の有無で層別化し,MLL-r群に対しては化学療法と造血幹細胞移植(HSCT)を併用する治療法を実施した.これまでMLL96,MLL98,MLL03,MLL10研究を経て近くMLL16治療研究が開始される予定であるが,ほとんど生存が得られなかった乳児MLL-r ALLの無イベント生存率は約50%まで改善した.乳児白血病の発症機序については胎生期のMLL再構成が1st hitとなるが,その後に起こる2nd hitについては不明である.我々はMLL-r乳児ALLは,let-7b–MGA2–p16系の破綻により幹細胞の分化が抑制され白血病化が誘導される可能性を明らかにした.このような病態解析により乳児ALLに対して脱メチル化剤などの分子標的薬が有効である可能性がある.一方乳児白血病の発症は1 hitのみで充分だという論文が報告されたが,我々はマウスを用いた実験で乳児白血病発症には何らかの2nd hitが必要であることを明らかにした.今後さらに解析を進めて乳児白血病の発症機序を明らかにし,新たな治療法を開発していく必要がある.

教育セッション1: 神経芽腫
  • 家原 知子
    2018 年 55 巻 5 号 p. 352-354
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    International Neuroblastoma Risk Group Risk(INRGR)が示され,リスクに応じた治療方針の決定が重要である.

    低リスクの標準治療では手術治療が主体であり,一部の症例に対して低用量の化学療法が試行される.5年生存率は,88~100%と極めて良好である.我が国では合併症の軽減目的で画像診断から手術リスクを判断する試験が行われた.さらには,一部の腫瘍群に対して自然退縮を期待して無治療経過観察する試験が行われている.

    中間リスク群については生検後に化学療法を試行し,腫瘍の縮小後に摘出を行うことが標準的である.中間リスク群は良好な予後が期待できることから,長期的合併症を防ぐために,治療軽減を図る治療開発が行われている.

    高リスク群に対する治療は,寛解導入療法と,手術摘出および放射線による局所治療を行い,造血幹細胞移植を併用した大量治療を行うという集学的治療が標準的である.2000年代には各国でMIBG治療や分化誘導療法,免疫療法などを組み合わせた様々な臨床試験が組まれたが,その治療成績は5年生存率50%前後と改善はみられなかった.欧米からの報告では,大量治療後に,分化誘導療法とGD2抗体を含む免疫療法を施行することで良好な予後が示された.我が国ではレチノイン酸およびGD2抗体は未承認薬であり早期の承認が望まれるとともに,新たな治療薬開発が望まれる.

シンポジウム2: 小児血液・がん患者に対する感染症対策~予防から治療まで~
  • 東 英一
    2018 年 55 巻 5 号 p. 355-365
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    小児血液・がん患者の治療後や造血細胞移植後の二次性免疫不全状態においては種々の感染症に罹患する頻度が高く,時にその治療に難渋する場合も多い.その際,予防接種で防御可能な感染症(vaccine-preventable diseases,以下VPD)への対策が肝要である.とりわけ移植後は移植前に自然感染や予防接種によって得られた免疫能が経年的に低下もしくは消失するために予防接種によって発症の予防または症状の軽減が期待できる場合はその実施が推奨される.

    二次性免疫不全状態でのワクチン接種の時期と種類を決定するにあたっては,移植後の免疫学的再構築がどの時期に認められるのかが重要である.予防接種時の免疫抑制剤(特に,副腎皮質ステロイド)投与の影響について最近の世界の動向について記載した.また,ワクチン接種前後の効果判定の基準については,ワクチン接種後の感染防御能と相関する免疫学的指標(Correlates of Protection,以下CoP)として抗体価測定が使用されているが,CoPには液性免疫,細胞性免疫,粘膜免疫が含まれており,抗体価のみで判定することの臨床的有用性が限定的であることを考慮する必要があることを記載した.最後に,治療後に抗体が失われた小児へのワクチン再接種費用の公的助成が各地で拡大していることについても言及した.

  • 嶋田 明
    2018 年 55 巻 5 号 p. 366-370
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    2001年に国内での分子標的薬の登場以来,成人では数多くの分子標的薬が臨床応用されている.一方,小児がん領域での適応疾患は少ないものの,使用される分子標的薬も増加してきている.従来の化学療法剤に比べて,分子標的薬は副作用が少ないのではなく,製剤毎に化学療法剤とは異なった副作用が存在する.また分子標的薬単独投与は比較的骨髄抑制は軽度であるが,化学療法との併用では重篤となる可能性があり,注意が必要である.今後分子標的薬が小児でも適応が拡大され,適切に使用されていくことが望ましいと考える.

シンポジウム4: 小児の血栓症
  • 石村 匡崇, 市山 正子, 落合 正行, 堀田 多恵子, 康 東天, 大賀 正一
    2018 年 55 巻 5 号 p. 371-375
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    血栓塞栓症は遺伝性素因,基礎疾患を背景に脱水や感染,外傷を契機に発症し,重篤な後遺症を残す予後不良な疾患である.遺伝性素因として凝固因子異常(FV Leiden/FII G20210A)や凝固調節因子(プロテインC:PC,プロテインS:PSおよびアンチトロンビン:AT)欠損が知られている.わが国で小児遺伝性血栓症と診断された患者の約70%は凝固調節因子欠損症(PC 45%,PS 15%,AT 10%)である.その多くは生後2週間までに発症した新生児PC欠損症である.

    遺伝性血栓症を疑う契機は,若年発症あるいは繰り返す深部静脈血栓症,電撃性紫斑病(とくに新生児期)および血栓症の家族歴を有する場合である.小児は凝固因子と凝固調節因子の活性が生理的に低く,新生児期はとくにばらつきが大きいため,遺伝性血栓症を単独の活性値測定のみで予測することは難しい.確定診断のためには遺伝子検査を必要とするが,ビタミンK依存性因子で半減期の短いPC/PS/血液凝固第VII因子FVIIを同時に測定し,年齢基準値と比べ低下している場合や,因子活性が相対的に乖離している場合は遺伝子解析を積極的に進める.治療については低分子ヘパリンやワルファリン,不足する凝固調節因子目的に新鮮凍結血漿輸血を行う.補充療法として活性化PC製剤やAT製剤も使用可能である.電撃性紫斑病を繰り返す重症例には長期的な補充療法の検討が必要であり,肝移植による根治療法も行われることがある.

シンポジウム8: 笑顔のたねパートII
  • 水谷 綾
    2018 年 55 巻 5 号 p. 376-381
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    2016年4月,大阪市鶴見区にオープンした「TSURUMIこどもホスピス(TCH)」は,病院でも福祉施設でもない,地域に根差した小児緩和ケアの実践を行うコミュニティ型の子どもホスピスである.子ども自身が病気のことを忘れ,孤立せず社会の一員であることを実感して生活できるよう,地域市民も巻き込んで取り組んでいる.

    TCHが対象とするのは,「生命を脅かす病気(LTC)の子どもとその家族」である.とくに,病状が深刻なため家族生活が阻害される状況にある子どもと家族は優先的に利用でき,パーソナルケアを軸にしたプログラムや環境を用意している.開設当初に実施した個々の利用者のニーズヒヤリングでは,急性期,不安定期にある家族と比較的安定度が増した家族が持つニーズに特徴的な差異があり,それらはTCHの中核とするパーソナルケアの重要性を裏付けるものであった.

    今後,子どもホスピスとしてのケアの取り組みの幅を広げ,その質を高めるため,病院,自宅以外のもう一つの選択肢を目指す場として,多くの関係者へのホスピスの理解と医療機関との連携が課題になる.子どもの死に焦点化するのではなく,その子の「命の尊厳」に光を当て,その子の「生きる」ことと家族が強く生きようとする支えの一部になるよう,コミュニティ型子どもホスピスが果たす役割と展望について述べる.

シンポジウム9: 小児がん患者の治療中のQOLの向上を目指して
  • 齋藤 翔吾
    2018 年 55 巻 5 号 p. 382-386
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    小児がんに対する入院治療は長期間に及び,日常生活と一変した入院生活が始まる.化学療法による副作用や,骨髄抑制に伴う活動制限は,身体活動の低下を引き起こし,廃用症候群といった二次的合併症を生じやすい.身体活動は,運動と生活活動に分類されるが,治療中の患児の身体活動量は運動および生活活動の双方が低下し,座位行動やベッド上での臥床生活といった身体不活動の割合が増加しており,生活の質(QOL)の低下を引き起こす.また,身体機能改善には患児の心理状況も強く影響しており,心理的サポートも重要となってくる.理学療法では,生活活動動作やレクリエーション活動を導入しながら,運動療法を中心に介入を実施する.骨髄抑制期間中でもセミクリーンエリアにて運動を継続することで,身体活動量低下を防ぎ,身体機能改善を図ることが重要である.理学療法士の立場から,当院における小児がんリハビリテーションの取り組みを報告する.

シンポジウム10: 組織球症:最近の話題(教育セッション)
  • 柴田 洋史, 八角 高裕
    2018 年 55 巻 5 号 p. 387-392
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis: HLH)は炎症性サイトカインの過剰産生を基本病態とする致死的炎症症候群である.家族性血球貪食性リンパ組織球症(familial HLH: FHL)は遺伝子異常を原因とする原発性HLHの代表疾患であり,その治療に造血幹細胞移植が必須であるため,正確で迅速な診断法の確立が模索されてきた.FHL3型はmunc13-4分子をコードするUNC13Dを責任遺伝子とし,FHL全体の20–40%を占め,NK細胞やCTLの細胞傷害性顆粒の放出障害を特徴とする.我々は,FHL3型の迅速診断法としてフローサイトメトリーによる血小板内munc13-4蛋白発現解析法を開発し,本邦の患者診断に貢献してきたが,この方法の有効性の評価は充分に行えていなかった.そこで,当科で解析を行った108症例に対する遺伝性HLH遺伝子解析と蛋白発現解析の結果を検討したところ,UNC13Dの両アリルにバリアントを確認した15症例全例においてmunc13-4蛋白発現の低下が確認された.更に,FHL3患者より樹立した不死化CTL株を用いて既報告UNC13Dミスセンスバリアントの病原性評価を行ったところ,細胞傷害性顆粒の放出機能と細胞傷害活性がmunc13-4蛋白の発現と強く相関することが確認された.

    以上の結果よりFHL3スクリーニングとしてのmunc13-4蛋白発現解析の高い信頼性が確認された.

三団体合同公開ワークショップ: 小児がんおよびAYAがん患者の長期フォローアップの現状と展望―長期フォローアップ体制整備事業の開始を受けて―
  • 小俣 智子
    2018 年 55 巻 5 号 p. 393-397
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    小児がん患者は,身体的,心理的,社会的課題を抱え治療後も生活をしていく.小児がんへの対策として小児がん拠点病院の指定,小児がん相談支援センターや長期フォローアップ外来の設置等,小児がん患者・家族を取り巻く療養環境はここ数年で一足飛びに向上した.治療後の長期フォローアップ外来は,小児がん患者にとって心身の状況確認の機会であり,問題が発生した際の相談支援の窓口でもある.

    長期フォローアップの両輪の一つである相談支援は,病気に関する問題から派生する様々な心理社会的問題に対応する役割を持ち,主に小児がん相談支援センター小児がん相談員がその役割を担う.その対応は,小児がん患者が自らの病気を受け止め,自らの力で課題に対応する力を身につけるために,発症からその後を見据えトータルな教育的関わりが重要であり,病気を受け止め前進するために同様の体験をした仲間との病体験の振り返りも重視すべきと考える.

    医療スタッフや小児がん相談員の関わりの成果により,守られている存在である「小児がん患者」から,病気や後遺症,発生した課題・問題を受け止め,対応する力をつけた「小児がん経験者」へのシフトチェンジにより,自己実現を達成する人生を歩んでいくことを期待する.

パネルディスカッション1: 骨肉腫の治療
  • 石井 猛
    2018 年 55 巻 5 号 p. 398-405
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    1972年から2015年までに当院で治療を行った30歳以下の四肢通常型の骨肉腫患者は202例であった.72年から81年まで(56例)は放射線治療を併用し,患肢温存術を試行し,新しい放射線治療として速中性子線も導入された.患肢温存術は12例に試行されたが,多くの症例で感染,脚長差などの合併症が提示された.82年から86年まで(33例)は,速中性子線の線量を軽減し積極的に患肢温存術が行われた.患肢温存率は70%となり,局所再発率は9%であったが,合併症,特に感染は高率であった.膝周辺骨肉腫例の再建はcustom madeの腫瘍型の人工関節が使用されたが,長期経過例では破損緩みで再置換術が施行されていた.87年から2015年まで(113例)は放射線治療を併用せず,切断術16例,膝回転形成術16例,患肢温存術82例(73%)が行われた.患肢温存術の再建法としてはmodular typeの腫瘍型人工関節が用いられ,小児に対するexpandable prosthesis,血管柄付腓骨移植も導入された.患肢温存術の合併症は軽減されたが,prosthesisを用いた再建術の問題点は,依然として感染,破損,緩みなどの合併症であった.72年から81年,82年から86年,87年から2015年までのそれぞれの年代における5年(10年)生存率は,43%(40%),52%(49%),74%(63%)であった.

日韓ジョイントシンポジウム: 肝腫瘍,腎腫瘍
  • 井田 孔明
    2018 年 55 巻 5 号 p. 406-411
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    1989年6月,小児肝悪性腫瘍の治療成績の向上を目的として,日本小児肝癌スタディグループ(JPLT)が設立されたのが,日本における多施設共同試験の始まりである.1991年から1999年に施行されたJPLT-1臨床試験では,術前術後にCITA療法が行われ,その有効性が検証された.続く1999年から2010年に施行されたJPLT-2臨床試験においては,腫瘍の広がりを評価するPRETEXT(pre-treatment extent of disease grouping system)が導入され,CITAよりも強力なITEC療法および転移例に対する大量化学療法の有効性が検証された.これらの臨床試験を通じ,日本の肝芽腫の治療成績は83.3%(5yr-OS),68.0%(5yr-EFS)と向上した.現在行われているJPLT-3臨床試験では,新しく標準リスク群,中間リスク群,高リスク群に層別化された治療が行われ,中央画像診断システムや肝移植コンサルテーションシステムの導入によってさらなる治療成績の向上を目指している.また,肝腫瘍の領域においても国際共同研究の動きが活発化しており,日本および諸外国の研究グループ(SIOPEL, COG)による国際共同臨床試験PHITT(Paediatric Hepatic International Tumour Trial)の準備が進められている.

原著
  • 森 尚子, 松村 昌治, 雨宮 馨, 山上 あゆむ
    2018 年 55 巻 5 号 p. 412-416
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    【背景】在宅で闘病する小児がん患者が入院を必要とする場合,現状では元のがん治療施設が入院先となることが多いと推測されるが,症状緩和を専門とする成人の緩和ケア病棟を開拓していくという道もある.現状ではどちらが望ましいか方向性が明らかでないため,実態調査を行った.【目的】成人の緩和ケア病棟に対するアンケート調査により,対応可能な小児がん患者の年齢や医療行為を明らかにし,小児がん患者の受け入れが可能かどうかを検証する.【方法】2016年6月,当院を除く東京都内の全緩和ケア病棟28施設に対し,小児がん患者の受け入れ実績・対応可能な年齢・提供できる支持療法の内容につきアンケート調査を実施した.【結果】18施設(64%)から有効回答が得られた.小児がん患者の受け入れ実績があったのは2施設のみであった.提供可能な支持療法としては,放射線治療(n=8, 44%),経口の抗がん剤(n=3, 17%),赤血球輸血(n=8, 50%),血小板輸血(n=7, 44%),高カロリー輸液(n=13, 72%)と比較的多くの回答が得られたが,小児用中心静脈ポート(n=2, 11%),小児の経管栄養(n=2, 11%)と,小児のデバイスについては使用困難であった.小児を診療している在宅クリニックとの連携もなかった.【結論】小児の在宅がん患者が苦痛緩和のために入院する場合,現状では元のがん治療施設が受け皿とならざるを得ず,各小児がん治療施設での緩和ケアの普及・質向上・地域連携が極めて大切である.

症例報告
  • 楠田 政輝, 岡本 康裕, 中川 俊輔, 児玉 祐一, 西川 拓朗, 松阪 康弘, 國廣 誉世, 岡田 恵子, 義岡 孝子, 河野 嘉文
    2018 年 55 巻 5 号 p. 417-420
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    症例は6か月男児.生後4か月時から両下肢の対麻痺があり,脊髄MRI検査でTh7-L1に髄内腫瘍を認めた.部分摘出術を施行し,病理検査所見より退形成性星細胞腫(Grade III)と診断した.切除後の造影MRI検査では下位脊髄~脊髄円錐に48 mm×10 mm大の残存病変を認めた.放射線治療(1.5 Gy/回,計36 Gy/24回)を施行し,病変は43 mm×5 mmに縮小し,両下肢の対麻痺は改善した.エトポシド内服(25mg/日×11日)による化学療法14コース終了後(発症から1年6か月)には病変は消失した.現在発症から1年7か月まで再発なく経過している.退形成性星細胞腫においては肉眼的腫瘍摘出術および放射線療法が治療の基本で,化学療法の意義は確立されていない.本症例においては部分切除後・放射線科治療後に大きな残存病変を認めたが,エトポシド内服とともに腫瘍が消失し,エトポシドが奏功した可能性が考えられる.

  • 奥山 舞, 横川 裕一, 斎藤 雄弥, 石丸 紗恵, 齊藤 修, 新津 健裕, 清水 直樹, 石立 誠人, 宮川 知士, 金子 隆, 湯坐 ...
    2018 年 55 巻 5 号 p. 421-426
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    14歳男児,入院2か月前より発熱と体重減少を認め,肺炎の診断で抗菌薬治療を受けたが改善がみられなかった.胸部CT 検査にて左主気管支を圧迫,閉塞する縦隔の腫瘤性病変を認め,当センターへ紹介となった.外科的切除は困難で多発骨転移を認めたため,気管支鏡下生検を施行した.病理組織診断に苦慮したが,RT-PCR にてEWSR1-ATF1 融合遺伝子が検出され明細胞肉腫と診断した.原発巣への放射線照射,イホスファミドとドキソルビシンを用いた化学療法を開始し,照射開始約2週間後には原発巣の縮小を確認,気管支の圧迫が解除された.放射線照射終了後も化学療法を継続したが,照射終了2か月で腫瘍の再増大を認め,再照射と化学療法の変更をしたが敗血症を合併し死亡した.明細胞肉腫は完全摘出以外の治療法は確立されていない.本症例では放射線療法の併用効果によりQOLの改善を得たが一時的であり,新規治療の開発が望まれる.

  • 中目 和彦, 山田 和歌, 川野 孝文, 町頭 成郎, 上野 健太郎, 西川 拓朗, 田邊 貴幸, 向井 基, 義岡 孝子, 岡本 康裕, ...
    2018 年 55 巻 5 号 p. 427-431
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    今回,腫瘍破裂により心タンポナーデに至った縦隔成熟奇形腫の症例を経験したので報告する.症例は8歳,女児.肩痛,血痰を主訴に受診し,CT検査にて左前縦隔奇形腫が疑われた.AFPとHCGは正常であった.初診時より12日後に手術が予定されたが,術前に全身倦怠感,発熱を認め,CRP 9.68 mg/dLと高値を認めた.造影CT検査にて腫瘍増大と心嚢液貯留を認め,その後心嚢液貯留は増悪し,呼吸困難が出現した.緊急の心嚢穿刺・ドレナージが施行され,血性の心嚢液を認めた.心嚢液貯留は持続し,貧血も進行したため緊急の開胸腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は成熟奇形腫で,術後に心嚢液貯留は改善した.良性縦隔成熟奇形腫であっても腫瘍増大に伴う周囲臓器への破裂により重篤な合併症をきたす可能性があり,正確な術前評価と注意深い病態変化の観察が必要である.

  • 西村 聡, 平林 真介, 山本 俊亮, 相賀 咲央莉, 西谷 美佐, 細谷 要介, 森 慎一郎, 長谷川 大輔, 真部 淳
    2018 年 55 巻 5 号 p. 432-435
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/17
    ジャーナル 認証あり

    ステロイド反応不良で輸血依存のDiamond-Blackfan貧血(DBA)は造血細胞移植(HCT)の適応であるが,最適な前処置法は確立していない.我々はステロイド不応で輸血依存のDBAの3歳女児に対して,フルダラビン 125 mg/m2,メルファラン 140 mg/m2,ウサギ抗胸腺グロブリン 5 mg/kg,全身放射線照射3 Gyの強度減弱前処置(RIC)を用いて,HLA 7/8アリル適合の非血縁者間骨髄移植を行った.移植後day30に生着し,消化管にstage 2の急性移植片対宿主病を認めたが,タクロリムスの増量にて軽快した.移植後11か月を経過し,輸血不要で完全ドナー型キメリズムを維持している.RICによるHCTはDBAに対する治療選択肢の一つとなる可能性があり,今後の症例の蓄積が待たれる.

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