[緒言]骨盤内発生の神経芽腫群腫瘍は良好な予後を示すとされているが,腫瘍の発生解剖学的位置により,神経や血管を巻き込んでいるため,術前化学療法が選択されることが多い.
[症例]1歳6か月女児.仙骨部に充実性腫瘤を認め,生検病理結果は神経芽腫,分化型であった.MKIはlow MKIに相当し,国際神経芽腫病理分類(INPC)でfavorable histology(FH)群腫瘍と診断された.仙骨神経叢からの腫瘍発生が疑われ,腫瘍の一期的全摘術は難しいと判断し,中等度化学療法を1コース施行したが,腫瘍の縮小と腫瘍マーカーの改善をまったく認めなかったため,引き続きの化学療法は選択せず,外科的治療を先行させた.
[結語]神経芽腫群腫瘍のFH群腫瘍は化学療法によるapoptosisが起こらない場合は,腫瘍細胞がすでに分化を始めていることが多く,化学療法を繰り返しても腫瘍が縮小する可能性は少ない.神経節芽腫,混成型や神経節腫と本質的には変わらないものであり,外科的治療が優先されるべきである.
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