【目的】発達障害児の親を対象とした前向き子育てプログラムの 1 つであるステッッピングストーンズトリプル P(Positive Parenting Program,以下 SSTP)を、オンライン会議ソフトウェアの Zoom Video Communications(以下、Zoom)を通じて実施し、その有効性を検討することを目的とした。
【方法】インターネットを通じて参加者を募集し、児に発達障害やその疑いがあると回答した 9 人の親を対象とした。実施前後の親の育児行動(Parenting Scale,以下 PS)、児の行動の難しさ(Strengths and Difficulties Questionnaire, 以下 SDQ)、親の抑うつ・不安・ストレス(Depression, Anxiety, and Stress Scale, 以下 DASS)、親としての感情(Parenting Experience Survey, 以下 PES)の比較・分析を行った。
【結果】介入前は PS のすべての下位尺度、 SDQ の感情以外の下位尺度、 DASS のすべての下位尺度が臨床範囲または境界範囲にあった。介入後は PS の過剰反応、 SDQ の行為問題、 DASS の抑うつ、ストレス、不安において有意な改善が観察された。 PES では子育ての困難度、子育てのストレス度、子育ての自信度、パートナーとの協力度、パートナーとの幸福度が有意に改善した。
【結論】発達障害児の親を対象に Zoom で実施した SSTP は、親の育児行動、子どもの行動に有意な改善効果を示し、対面での介入による先行研究と比較してほぼ同レベルの効果があることが示唆された。
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