はじめに:国際的に側弯症学校検診の有効性に関する一致した意見はなく,現在でもその取り組みは各国多様である.今回,側弯症学校検診の世界的動向に関し検討した.
対象と方法:2018年までに出版された文献を検索し側弯症学校検診実施国の検診方法,検診意義に関する考え方について調査した.
結果:渉猟しえた文献にて側弯症学校検診の実施が確認できた国は本邦を加え23ヶ国で,うち4ヶ国(カナダ,イギリス,オーストラリア,ノルウェー)で現在は中止されていた.検診方法の多くは前屈テストであり,体幹傾斜の計測やモアレ法を単独実施あるいは併用している国もあった.検診意義に関する考え方については,肯定が16ヶ国,否定が4ヶ国,合意なしが3ヶ国と様々であった.
結語:今回の調査で,検診意義に関する意見の統一がなされていない中,世界各国独自に,検診の導入を判断し,それぞれのシステム,方法で側弯症学校検診を運営している現状が改めて浮き彫りとなった.今後とも世界の動向を注視しつつ本邦で2016年に開始された運動器学校検診での側弯評価の精度検証を行い,側弯症の早期発見への努力を継続しなければならない.
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