Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
12 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
Editorial
原著
  • 舩場 真裕, 今城 靖明, 永尾 祐治, 鈴木 秀典, 西田 周泰, 坂井 孝司
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1350-1355
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊髄を直接的に刺激する硬膜外脊髄刺激筋誘発電位(Sp-MEP)と従来の経頭蓋刺激筋誘発電位(Tc-MEP)の波形導出を比較することを目的とした.

    対象と方法:術中にSp-MEPの測定に同意がえられた5症例を対象とした.Tc-MEPでは導出筋は頸椎疾患では上肢は三角筋(deltoid),上腕二頭筋(biceps)および小指外転筋(ADM),下肢は大腿四頭筋(Qc)と母趾外転筋(AH)とし,胸椎疾患では上肢はコントロールとしてADM,下肢はQc,TA,AHとした.

    硬膜外脊髄刺激は硬膜外刺激用カテーテルを2~3極分ほど椎弓を除圧した頭側の椎弓下へ挿入し刺激強度は15~20 mAとして10~15回連続刺激して加算平均した.導出筋は頸椎疾患では上肢はdeltoid,bicepsおよびADM,下肢はQcとAHとし,胸椎疾患では下肢はQc,TA,AHとした.

    結果:Sp-MEPがTc-MEPよりも振幅増大がえられていたのは全46筋中11筋(23.9%)であった.内訳はdeltoidが8筋中2筋(25%),bicepsが8筋中2筋(25%),ADMが8筋中0筋,quadricepsが10筋中4筋(40%),TAが2筋中0筋(0%),AHが10筋中3筋(30%)であった.

    結語:刺激強度が最大20 mAではTc-MEPよりもSp-MEPが波形導出には有利にはならなかった.

  • 柴田 達也, 田中 潤, 塩川 晃章, 柴田 遼, 眞田 京一, 萩原 秀祐, 山本 卓明
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1356-1361
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:我々は,C5前根障害により麻痺を呈した近位型頚椎症性筋萎縮症に対して,椎間孔の開大による前根症状の改善を期待して原則前方固定を行っており,良好な結果が得られている.今回,術前・術後の椎間孔の高さや前後径の変化が麻痺の改善に関与するかを検討した.

    対象と方法:C4/5前方固定を行った19例を対象とした.C5前根障害により麻痺(三角筋および上腕二頭筋の筋力:MMT3以下)を呈した近位型頚椎症性筋萎縮症10例をC5麻痺あり群,麻痺はないが上肢痛やしびれを認めた頚椎症性神経根症9例をC5麻痺なし群とした.術前と術後1週の頚椎CTを用い,患側と健側のC4/5椎間孔の高さと前後径を比較検討した.

    結果:C5麻痺あり群において,患側の椎間孔は前後径が平均2.3 mmと狭く,術後は高さ・前後径ともに増加していた.全ての症例で,三角筋および上腕二頭筋の筋力はMMT4以上に改善した.

    結語:椎間孔の前後径の狭小化がC5麻痺に関与し,前方固定の際,骨棘を削除しなくとも椎間孔の前後径は開大したと推察され,間接的除圧に加えて固定効果によりC5麻痺は全例改善した.

  • 田中 一成, 今城 靖明, 鈴木 秀典, 西田 周泰, 舩場 真裕, 永尾 祐治, 坂井 孝司
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1362-1366
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:頚椎部圧迫性脊髄症(CCM:cervical compressive myelopathy)のうちC5/6単一椎間障害の症状進展様式について横断的ではあるが調査したので報告する.

    対象と方法:2008年以降にC5/6単一椎間障害の圧迫性脊髄症と診断し,手術治療を行った32例(平均年齢60.4歳,男性22例,女性10例)を対象とした.疾患内訳は頚椎症性脊髄症:17例,頚椎椎間板ヘルニア:6例,頚椎後縦靭帯骨化症:9例であった.検討項目はC7領域(中指)のしびれ・触覚障害・痛覚障害,上腕三頭筋腱反射(Triceps tendon reflex:TTR)低下,上腕三頭筋筋力低下,下肢の触覚障害・痛覚障害,膝蓋腱反射(Patella tendon reflex:PTR)亢進,足関節内果の振動覚障害,母趾の位置覚障害とした.

    結果:症状発現頻度はC7領域しびれ(100%),PTR亢進(89%),振動覚障害(88%),C7領域痛覚障害(84%),C7領域触覚障害(75%),下肢触覚障害(57%),下肢痛覚障害(57%),TTR低下(53%),上腕三頭筋筋力低下(47%),位置覚障害(40%)の順であった.

    結語:C5/6圧迫性脊髄症において症状発現頻度よりしびれ,PTR亢進,振動覚障害,上肢痛覚障害,上肢触覚障害,下肢痛覚障害・下肢触覚障害,TTR反射低下,上腕三頭筋筋力低下,位置覚障害の順で進展すると考えられた.

  • 松本 祐季, 林 哲生, 藤原 勇一, 河野 修, 坂井 宏旭, 益田 宗彰, 森下 雄一郎, 久保田 健介, 小早川 和, 横田 和也, ...
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1367-1371
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:頚髄損傷の重要な合併症の1つに嚥下障害があるが,その発生機序は十分に分かっておらず,頚髄損傷後の呼吸障害と嚥下障害の関係を調査した報告はない.本研究の目的は,頚髄損傷による呼吸機能障害が嚥下機能に及ぼす影響を明らかにすることである.

    対象と方法:2018年8月から2020年7月までの2年間のうちに,受傷後2週以内に急性頚髄損傷で当院に入院した患者を前向きに評価した.嚥下機能は嚥下障害臨床重症度分類(1:唾液誤嚥~7:正常)とFunctional Oral Intake Scale(FOIS,1:経口摂取なし~7:正常)で,呼吸機能は咳嗽時最大呼気流量・1秒量・1秒率・%肺活量を2・4・8・12週で評価し,経時的変化と相関関係を解析した.

    結果:症例数は33例(男性28例,女性5例,平均年齢67歳)であった.経時的変化として,嚥下障害と呼吸障害は有意に改善していた.咳嗽時最大呼気流量,1秒量,%肺活量は各時期において嚥下機能の重症度に有意な相関関係を認めた.

    結語:呼吸障害と嚥下障害は密接に関係しており,特に咳嗽力の評価は嚥下障害の評価にも重要な役割を果たすと思われる.

  • 三原 徳満, 吉田 匡希, 谷島 伸二, 武田 知加子, 永島 英樹
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1372-1376
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:転移性脊椎腫瘍は神経障害が出現すると緊急手術が必要な場合があるが,患者の予後を考慮すると手術を行うべきかどうか苦慮する事も多い.

    今回の研究の目的は神経症状の悪化により緊急的に手術を行った症例の手術成績を,術後生存期間3ヶ月以上と3ヶ月未満に分けて比較検討する事である.

    対象と方法:2009年から2020年に手術治療を行った転移性脊椎腫瘍患者53例中,神経症状の悪化で緊急手術を行い死亡まで確認できた18症例を対象とした.18例を術後生存期間3ヶ月未満(A群:9例)と3ヶ月以上(B群:9例)に分けて検討した.手術は全例後方除圧固定術を行った.調査項目は年齢,性別,原発巣,徳橋スコア,新片桐スコア,主科予測予後,術前後ASIA impairment scale,手術時期とした.

    結果:A群は徳橋スコアが有意に低く,新片桐スコアが有意に高い結果で,主科予測予後は術後生存期間と比較して有意に長かった.またA群は全例で2015年以降に手術を行っていた.

    結語:がん治療の進歩により主科の予後予測は延長していると考えられるが,スコアリングによる予測予後で,予後が短いと推定された症例に対しての手術治療は慎重に考慮すべきと考える.

  • 山下 彰久, 渡邊 哲也, 白澤 建藏
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1377-1383
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:経皮的椎弓根スクリュー(percutaneous pedicle screw:PPS)は低侵襲脊椎固定術において標準的手技となった.今回我々はフルオロナビゲーション(以下ナビ)と従来の透視下手技の精度と透視時間を比較検討したので報告する.

    対象と方法:透視群:2017年1月~2018年12月,術者Yが挿入した透視下PPS(30例144本).ナビ群:同時期の術者Yか術者Sが挿入したナビ下PPS(36例168本).両群間においてPPS逸脱,透視時間などを調査し統計学的解析を交え評価した.

    結果:PPS逸脱(Grade2以上):透視群3.5%,ナビ群6.0%で両群間に有意差はなかった.両群ともにPPS逸脱による神経障害を来した症例やPPS入替を要した症例はなかった.透視時間(1椎体あたり):透視群32.5秒,ナビ群19.7秒でナビ群が有意に短かった.

    結語:PPS精度はナビを用いても100%正確ではなかった.ナビを過信せず,そのピットフォールを理解した上で手技に習熟することが重要であると考えられた.透視時間はナビ群で短縮化が図れた.ナビ支援PPSにより精度と安全性が向上し,かつ被曝量減少を図れる可能性が示唆された.

  • 村田 英明, 池尻 好聰, 浅野 圭, 藤井 紀光, 吉岡 徹
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1384-1390
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    胸腰椎破裂骨折14例に対して,大量の人工骨を用いた椎体形成術併用の後方矯正固定術の矯正効果について検討した.リガメントタキシスを用いた矯正に,大量のHAで上位終板を矯正する本法は,抜釘前後で局所後弯角の矯正損失はほぼ認められなかった.椎体自体の後弯変形は改善されていたが,術前術後での立位局所後弯角はほぼ同等であり,早期除痛と骨折椎体の圧壊を予防した効果に留まっていた.

  • 武田 知加子, 谷島 伸二, 三原 徳満, 吉田 匡希, 永島 英樹
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1391-1395
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:びまん性特発性骨増殖症(Diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:以下,DISH)を合併した椎体骨折の受傷機序と骨折高位について検討した報告はない.DISHを合併した胸腰椎椎体骨折の受傷機序と骨折高位の関係を調査した.

    対象と方法:当院で2011年~2019年に脊椎固定術を行ったDISH合併の胸腰椎椎体骨折25症例を対象とした.年齢,性別,受傷機序,骨折高位,癒合椎体と骨折高位との関係,DISH伸展分類(平井らの方法)について調査した.受傷機序によって高エネルギー外傷群(H群),低エネルギー外傷群(L群)の2群に分け,両群を比較検討した.

    結果:H群9例,L群16例で年齢に差はなかった.骨折はL群では胸腰椎移行部での受傷が多い傾向であり(P=0.056),H群では癒合椎体内の中間より頭側に,L群では尾側に生じていた(P=0.047).L群はDISH分類が進行した症例では癒合椎体内のより尾側で骨折していた(p=0.026,rs=0.57).

    結語:低エネルギー外傷,DISHの伸展進行症例では胸腰椎移行部より尾側に骨折が多くみられた.

症例報告
  • 小林 孝巨, 森本 忠嗣, 東藤 貢, 前田 和政, 吉原 智仁, 馬渡 正明
    2021 年 12 巻 12 号 p. 1396-1400
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:今回我々は,テリパラチド連日製剤からロモソズマブへの切り換え後,腰椎骨密度および第一腰椎椎体の骨強度が増加した一例を報告する.

    症例:症例は66歳女性である.腰痛と左下肢の痺れを自覚し近医を受診し,腰椎変性側弯(Cobb角24度),腰部脊柱管狭窄症と診断され当科へ紹介された.除圧術/矯正固定術前に骨粗鬆症治療を行う方針とした.原発性骨粗鬆症に対して,2017年8月から2019年3月迄テリパラチド連日製剤,2019年4月から2019年11月迄ロモソズマブを投与した.後顧的に初診時,テリパラチド連日製剤投与20ヶ月時,ロモソズマブ投与後8ヶ月時の腰椎CTデータを用いた体積平均の腰椎骨密度と有限要素解析による第一腰椎椎体の骨強度の検討を行った.骨強度は第一腰椎椎体の圧壊要素が1以上になる時の荷重値を調査した.初診時,テリパラチド連日製剤投与20ヶ月時,ロモソズマブ投与後8ヶ月時の腰椎骨密度の平均値は各々,643 mg/cm3,685 mg/cm3,742 mg/cm3,第一腰椎椎体の骨強度は各々,1,412 N,2,825 N,3,390 Nであった.

    結語:テリパラチド連日製剤からロモソズマブへの切り換え後,更に腰椎骨密度と第一腰椎椎体の骨強度が増加した.

feedback
Top