Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
12 巻, 1.2 号
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Editorial
原著
  • 森 弦, 大澤 透, 竹浦 信明, 出射 千裕, 祐成 毅, 大石 久雄, 的場 裕惠, 吉原 靖, 栗林 正明, 井上 敦夫, 奥村 弥, ...
    2021 年 12 巻 1.2 号 p. 4-9
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:化膿性脊椎炎は,発症年齢が高齢化し,発症数も増加している.当院では,抗菌薬の選択を感染制御部の,CTガイド下生検およびドレナージを放射線科の協力体制のもとに治療を行っている.本研究では,本症の臨床的背景と治療経過について調査した.

    対象と方法:対象は11年間での117例で,調査項目は入院経緯,罹患高位,Kulowskiの発症分類,基礎疾患,原因菌,治療方法,使用抗菌薬とし,治療期間との関連を調査した.

    結果:原因菌不明群と,MRSAを除いた菌検出群とは治療期間に差がなかった.原因菌検出群,不明群,いずれでも第1世代セフェム系を使用した群は治療期間が短く,MRSAに対して抗MRSA薬を使用した群は治療期間が長期化した.基礎疾患を有するcompromised hostは治療期間が長期化した.

    考察:原因菌が不明の脊椎炎に対する第一選択薬として第1世代セフェム系抗菌薬の使用が妥当と考える.ただし,compromised hostで重症の場合は,初期から抗MRSA薬の併用を検討する.また,難治症例に対しては,より高度な抗菌薬の適正使用や,早期手術の検討を要する.

  • 射場 英明, 中西 一夫, 内野 和也, 渡辺 聖也, 三崎 孝昌, 長谷川 徹
    2021 年 12 巻 1.2 号 p. 10-15
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡下椎弓形成術(MEL)後に発生した隣接椎間狭窄について検討を行った.

    対象と方法:対象は1椎間のMELを施行した95例とした.

    結果:除圧高位の上位隣接椎間が硬膜管面積85 mm2以下で,かつ12°以上の非対称性椎間関節を有している場合,新規狭窄が発生する可能性がある.

    結語:これらの結果は,隣接椎間狭窄の予防における除圧範囲の判断材料として有用と考える.

  • 渡辺 聖也, 内野 和也, 三崎 孝昌, 射場 英明, 中西 一夫
    2021 年 12 巻 1.2 号 p. 16-21
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

    頚椎に不安定性を有する症例に対し固定が必要となることがある.しかし,外側塊スクリューは骨粗鬆症の患者や高齢者などに対して固定力が弱く,術後のスクリューの脱転が問題となる.また,椎弓根スクリューは,固定性は良好であるが逸脱による神経損傷や椎骨動脈の損傷などが問題となる.近年インプラントの進歩によってスクリューヘッドが大きく振れるようになった.そこでわれわれは従来の外側塊スクリューより長く挿入できるlong lateral mass screw(LLMS)について検討した.

  • 伊藤 不二夫, 伊藤 全哉, 中村 周, 柴山 元英, 倉石 慶太, 河合 将紀, 山田 実, 星 尚人, 吉松 弘喜, 三浦 恭志
    2021 年 12 巻 1.2 号 p. 22-31
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊椎後方除圧術として観血法,顕微鏡下除圧術,内視鏡下除圧術,経皮的内視鏡下除圧術等を行ってきたが,今回導入した片側進入双穴内視鏡Unilateral Biportal Endoscopy(UBE)の臨床経験を報告する.

    対象と方法:脊柱管狭窄症56例,椎間孔狭窄症3例,ヘルニア5例の計64例を手術した.傍棘突起部で椎間板レベルの1 cm頭側に4 mm径の内視鏡ポータルを作成する.それより2 cm尾側の8 mm径作業用ポータルから,ラジオ波,4 mmダイアモンドバー,直・弯曲ケリソン,剥離子,鉗子等を使用する.

    結果:手術時間は初期2時間が,20例以降1時間に短縮した.下肢症状・腰痛VASは有意に減少した.Macnab評価の満足率は83%であった.術後血腫はなかった.硬膜損傷は2例にあり,fibrin patch法で修復した.

    結語:持続水灌流の鮮明視野下で,レンズ先端は組織に近接し毛細血管も拡大され,止血が丁寧にできるため,術後血腫が少ない.外筒は使用せず器具の作業範囲に制限がなく,骨掘削量が少なくて済む.

症例報告
  • 落合 史, 会田 育男, 竹内 陽介, 荒木 孝太, 池田 剛, 上村 和也, 椎貝 真成
    2021 年 12 巻 1.2 号 p. 32-37
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:硬膜動静脈瘻における頭蓋頚椎移行部での発生は稀であり,また,頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻の脊髄症状は稀といわれている.

    症例:81歳男性.日内変動のある下肢筋力低下が緩徐に進行し,神経内科を受診したが神経伝導速度で異常は指摘されなかった.その後,頚部の前後屈で四肢脱力を認め,近医に救急搬送された.頚椎後縦靭帯骨化症と診断され,安静目的に入院した.退院して数日後,脊髄症状が再度出現し,さらに呼吸困難感が出現したため当院に紹介入院した.来院時の身体所見は下肢の深部腱反射が両側亢進,病的反射は両側陽性であった.徒手筋力テストは上肢が3/3,下肢が1/1であった.MRI非対応の植込み型除細動器が挿入されていたためMRI撮影できず,脊髄造影を行った.頚椎後縦靭帯骨化症は認められたが脊髄圧迫は軽度であった.造影CTで頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻を認め,脳神経外科でシャント遮断術を行った.術後,上下肢筋力,下肢の感覚障害は改善傾向であった.

    結語:脊髄症状・呼吸困難を呈し診断に造影CTが有用であった頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻の1例を経験した.

委員会報告
  • 八木 満, 石井 賢, 岩﨑 幹季, 井上 玄, 大鳥 精司, 折田 純久, 金村 徳相, 小谷 俊明, 西良 浩一, 酒井 大輔, 須藤 ...
    2021 年 12 巻 1.2 号 p. 38-44
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

    2018年に本邦で施行された側方進入腰椎椎体間固定術に関して日本脊椎脊髄病学会新技術評価検証委員会が行った合併症の全国調査結果を解析した.対象2,354例(XLIF:1,130例[48%],DLIF:21例[0.9%],OLIF:1,203例[51%])の中で54例(2.3%)に合併症を発生した.調査期間中に合併症に起因する再手術を要した症例は18例(30%)で全症例の0.8%であった.大血管損傷は0.17%,神経損傷は0.04%,尿管損傷は0.04%,深部感染は0.34%に発生していた.合併症に起因する死亡が3例(0.1%)であった.術式間の比較では合併症の頻度に統計学的有意差はなかった(XLIF:2.7% vs. OLIF:1.7%,p=0.10).

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