はじめに:化膿性脊椎炎は,発症年齢が高齢化し,発症数も増加している.当院では,抗菌薬の選択を感染制御部の,CTガイド下生検およびドレナージを放射線科の協力体制のもとに治療を行っている.本研究では,本症の臨床的背景と治療経過について調査した.
対象と方法:対象は11年間での117例で,調査項目は入院経緯,罹患高位,Kulowskiの発症分類,基礎疾患,原因菌,治療方法,使用抗菌薬とし,治療期間との関連を調査した.
結果:原因菌不明群と,MRSAを除いた菌検出群とは治療期間に差がなかった.原因菌検出群,不明群,いずれでも第1世代セフェム系を使用した群は治療期間が短く,MRSAに対して抗MRSA薬を使用した群は治療期間が長期化した.基礎疾患を有するcompromised hostは治療期間が長期化した.
考察:原因菌が不明の脊椎炎に対する第一選択薬として第1世代セフェム系抗菌薬の使用が妥当と考える.ただし,compromised hostで重症の場合は,初期から抗MRSA薬の併用を検討する.また,難治症例に対しては,より高度な抗菌薬の適正使用や,早期手術の検討を要する.
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