目的:腰椎側方進入椎体間固定術(Lateral Lumbar Interbody Fusion:LLIF)のケージ内充填材料は多種あり骨癒合についても違いがあるとされている.LLIF手術に限らず移植骨に自家腸骨を使用する機会はしばしばある.自家腸骨は骨癒合が良い反面,術後の採骨部痛が問題となり,腸骨骨折など合併症も多く報告されている.2019年より本邦でヒト脱灰骨基質(Demineralized bone matrix:DBM)が使用可能となり,今回LLIFケージ内にDBMと骨髄穿刺液(Bone marrow aspirate:以下BMA)を併用した術後早期の椎体間癒合について調査した.
対象:2019年4月から2019年12月までに当院にてLLIFを施行した7症例,14椎間とした.全例ともDBMに腸骨から骨髄穿刺液を採取して混合し,後方固定術は経皮的に行った.骨癒合は術後半年のCT画像で評価を行なった.
結果:上下終板との連続性が出現していたのは3/14椎間(21.4%)であった.
考察:LLIFの自家腸骨移植は術後の採骨部痛が大きな問題となる.人工骨と自家骨の併用や同種骨移植は長期的な癒合率は自家骨移植と有意差がないと報告もあるが,本邦での同種骨は使用できる施設が限定的であった.DBMはどの施設でも使用可能な同種骨で新たな選択肢として期待される.今回我々はDBMに骨髄穿刺液を混合するという方法で採取部痛を回避することはできたが,短期的には自家骨移植や人工骨移植ほどの早期骨癒合は得られない可能性が示された.
抄録全体を表示