はじめに:脊髄を直接的に刺激する硬膜外脊髄刺激筋誘発電位(Sp-MEP)と従来の経頭蓋刺激筋誘発電位(Tc-MEP)の波形導出を比較することを目的とした.
対象と方法:術中にSp-MEPの測定に同意がえられた5症例を対象とした.Tc-MEPでは導出筋は頸椎疾患では上肢は三角筋(deltoid),上腕二頭筋(biceps)および小指外転筋(ADM),下肢は大腿四頭筋(Qc)と母趾外転筋(AH)とし,胸椎疾患では上肢はコントロールとしてADM,下肢はQc,TA,AHとした.
硬膜外脊髄刺激は硬膜外刺激用カテーテルを2~3極分ほど椎弓を除圧した頭側の椎弓下へ挿入し刺激強度は15~20 mAとして10~15回連続刺激して加算平均した.導出筋は頸椎疾患では上肢はdeltoid,bicepsおよびADM,下肢はQcとAHとし,胸椎疾患では下肢はQc,TA,AHとした.
結果:Sp-MEPがTc-MEPよりも振幅増大がえられていたのは全46筋中11筋(23.9%)であった.内訳はdeltoidが8筋中2筋(25%),bicepsが8筋中2筋(25%),ADMが8筋中0筋,quadricepsが10筋中4筋(40%),TAが2筋中0筋(0%),AHが10筋中3筋(30%)であった.
結語:刺激強度が最大20 mAではTc-MEPよりもSp-MEPが波形導出には有利にはならなかった.
抄録全体を表示