はじめに:近年,各科で撮影した画像から他科の疾患が発見され,その読影レポートの未読,確認漏れによる治療の遅れが問題となっている.本研究の目的は,脊椎疾患を疑い撮影した画像検査における他科疾患に関して調査することである.
対象と方法:2018年6月から2019年5月までに脊椎疾患に対して撮影した画像検査5,149件(MRI 3,453件,CT 1,696件)を対象とした.放射線科医による読影レポートで他科疾患の有無を確認し,該当科へのコンサルトの有無とその疾患に関して後ろ向きに調査した.既存疾患は除外し,新規疾患のみとした.
結果:読影レポートで319件の他科疾患が発見され,そのうち103件が他科へコンサルトされ32件に検査・治療がされた.
考察:画像検査において当該疾患以外に発見される他科疾患を認識するのは困難で,読影レポートで指摘されるもそのレポートが未読となることも少なくない.当科では(1)放射線(2)担当医師(3)看護師で連携を取り,3重の確認をすることで読影レポートの未読の対策を行っている.このシステムを導入後,未読のレポートはなくなった.読影レポートの未読問題は整形外科医だけでなく,多職種での対策が有用である.
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