目的:FEDによる頚椎手術の成績,問題点の検討.
対象および方法:頚部神経根症に対しFEDを行い一年以上経過観察可能であった7例を検討した.全例椎間板ヘルニアの症例であった.
結果:手術時間は平均97分,出血量は全例少量であった.周術期に併発症は認めなかった.田中スコアは平均10.8,術後3ヶ月で平均17.5,術後1年で平均18であった.1例が症状再悪化を来たしMEDによる内視鏡下椎弓形成(CMEL)を施行した.
考察:FEDはMEDに比べさらに神経組織に近い視野で手術を行うことから神経根を明瞭に観察でき安全な手術のためにも有用である.留意点はオリエンテーションと出血対策であるが上関節突起先端まで容易に鏡視できるFEDの特性を活かせば特に頭側椎における不要な骨切除を回避できる.
頚椎では神経周辺の繊維性被膜の直下には豊富な静脈叢が存在するためこの血管をできる限り損傷しない操作が必要であるが灌流を用いるFEDでは水圧による剥離が期待できる.深部に到達しての手術操作はFEDのアドバンテージであるが,一方カニューラが小径のため容易に深部に落ち込む危険性もありスコープの保持,器具の操作には十分な注意が必要である.
結論:FEDによる頚椎椎間板ヘルニア手術の臨床成績は良好であったが十分な経験を積んでの適応が望ましい.
抄録全体を表示