Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
12 巻, 9 号
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Editorial
総説
  • 勝見 敬一, 平井 高志, 吉井 俊貴, 名越 慈人, 西村 空也, 森 幹士, 竹内 一裕, 牧 聡, 中村 雅也, 松本 守雄, 大川 ...
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1087-1093
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    後縦靭帯骨化症(OPLL)を含めた脊柱靭帯骨化症は,骨化進展が特徴的な疾患であり,これまでに様々な研究が行われてきている.しかしながら,頚椎機能については不明な点も多く,全脊椎における骨化の広がりと頚椎機能の関係についても,詳細な検討は行われていなかった.我々は厚労科研脊柱靭帯骨化症研究班所属の全国16施設より収集された,頚椎OPLL非手術例の基礎データ,全脊椎CT画像を前向きに収集した238例の頚椎機能について解析し,骨化の広がりが頚椎機能に与える影響を検討した.頚椎機能はJOACMEQの頚椎機能ドメインを用い評価した.平均のJOACMEQ頚椎機能は65.9点であり,頚椎前屈・後屈・回旋機能のうち,回旋機能が最も制限を受けていた.高い頚部VASスコアと全脊椎OPLL架橋数の増加が頚椎機能不良因子であった.本稿は我々の研究を中心に,他の論文のレビューを加えた脊柱靭帯骨化症の頚椎機能に関する総説である.

原著
  • 山崎 隆志, 原 慶宏, 佐藤 雄亮
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1094-1101
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:修復不可能な合併症である腰椎変性疾患での医原性神経断裂に関するまとまった報告は少なく,その予防のための知見を得るため当科の発生例について検討した.

    対象と方法:腰椎変性疾患の後方手術3,180例のうち医原性神経断裂例をインシデントレポートから抽出し,危険因子や原因を調査した.

    結果:神経断裂は10例(0.31%)あった.危険因子は疾患としては椎間板ヘルニア,術式は非固定術,手技はヘルニア切除,ヘルニア存在時のケリソンでの椎弓切除であった.原因はL5/Sラブ手術でのS2神経根をS1と誤認(2例),内側方向へ向かうドリルの硬膜外腔への穿破,ヘルニアで圧迫され薄い一枚の膜状になった神経根の誤認,L2/3ヘルニアでの神経根レトラクターのはずれなどであった.

    結語:これらを知ることは本合併症を減らす一助になると考えられた.

  • 松本 富哉, 奥田 眞也, 長本 行隆, 高橋 佳史, 古家 雅之, 道場 隆博, 上塚 学, 岩崎 幹季
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1102-1109
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は頚椎前方手術後の椎体前面軟部組織腫脹(PSTS)を経時的に調査,抜管前と抜管後PSTSを比較検討し,抜管前PSTSが抜管後の気道狭窄予測の指標となるかを調査する事である.

    対象と方法:対象は頚椎前方手術を行い,当院の周術期管理プロトコールを適応した28例とした.頚椎側面レントゲンを用いてC2~C5までの各レベルでPSTSを計測.撮影時期は術前,POD1抜管前(Pre-ex),POD1抜管後(Post-ex),術後2日(POD2),術後6日(POD6)とし,術後の各タイミング,各レベルでの増加率(ΔPSTS[%])を計測,①ΔPSTSの経時的変化の推移,②Pre-exとPost-ex,POD2,POD6の相関関係を調べた.

    結果:ΔPSTSの経時的変化は抜管前から上位頚椎レベルでΔPSTSが大きく,各レベル共にPOD2で最大であった.Pre-ex ΔPSTSと抜管後各レベル,タイミングで中等度,特に中位頚椎ではPOD6まで強い相関関係を認めた.

    結語:抜管前PSTSが抜管後PSTSの推移予測に有用である事が判明した.

  • 野澤 聡, 岩井 智守男, 山田 一成, 伏見 一成, 秋山 治彦
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1110-1116
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    電子付録

    はじめに:ナビゲーション手術が普及した現在においても,緻密な術前計画を立てることにより安全かつ確実な手術が可能となる.我々は医療画像解析ソフトを用いて詳細な術前シミュレーションを行っているので報告する.

    対象と方法:VINCENT(Fuji film)を用いて主にCTでのthin sliceデータを再構成し任意のMPR像作成,仮想骨切除を行った.側弯を伴う症例では,術者が矢状断(sagittal),冠状断(coronal)面を操りスクリュー刺入面を描出した.この修正横断(axial)像を用いて測定した椎弓根径(Dm)20本分と通常のaxial像で計測値(Du)20本分を比較した.

    結果:DmとDu差(Dm-Du)は平均0.69±0.09 mm(p<0.01)であり,Dmは有意に大きく,このソフトにより外側槐スクリューの設置計画,著明な脊椎変形に対するスクリュー設置計画を正確に行うことができた.

    結語:画像を再構成することで3次元的な構造が把握し易くなった.アイデア次第でさらに応用できる可能性があり,症例に応じてソフトを有効活用すべきと思われた.

  • 許斐 恒彦, 朝妻 孝仁, 齋藤 正史, 金子 慎二郎, 矢内 嘉英, 大久保 寿樹, 古川 満, 谷戸 祥之
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1117-1123
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,思春期特発性側弯症(Adolescent idiopathic scoliosis:AIS)に対する変形矯正手術を受けた症例が,術後長期経過してから再手術に至る要因を調べることである.

    対象と方法:2015年以降,当院を定期受診した初回手術後10年以上経過しているAIS術後患者47例のうち,腰痛や後弯変形を有するために再手術を施行した9例と,定期経過観察継続中の38例とを,グローバルアライメントの観点から後ろ向きに比較検討した.

    結果:再手術群では下位腰椎の椎体傾斜角が大きく,冠状面および矢状面での脊椎アライメント不良を認め,また固定下端が半数以上でL4またはL5であった.

    結語:AISに対する手術では,腰椎椎体傾斜を小さく保ち,冠状面および矢状面でのアライメントを保つことが,安定した長期成績の維持には重要であると考える.

  • 酒井 翼
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1124-1129
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)に対する保存治療では高い骨癒合率が報告される一方,合併症やActivities of Daily Living(ADL)低下,入院期間はあまり言及されない.

    2015年4月から2017年3月に救急搬入されたOVF患者で,受傷後2週の体動時腰痛Numerical Rating Scale(NRS)5以上でも保存治療継続した16例を不良群,5未満の150例を良好群としNRSの推移,入院日数,歩行能力低下率,合併症発生率を比較した.

    不良群と良好群の体動時腰痛NRS(中央値[四分位範囲])は入院時8[7,9]と8[8,9]で有意差は認めなかったが,1週後7[6,7.3]と6[5,7],2週後6.5[6,8]と2[2,3],4週後5.5[4.8,6.3]と1[1,2]で有意差を認めた.入院日数も51[44~61]日と28[24~32]日,歩行能力低下率は38%と4%,内科合併症発生率は56%と10%,その他の有害事象も38%と8%で有意差を認めた.

    高齢者のOVFの治療において,早期ADL回復,健康寿命延伸のために受傷後2週の体動時腰痛は有用な指標となりうる.

  • 黒須 健太, 大江 慎, 長谷川 智彦, 大和 雄, 吉田 剛, 坂野 友啓, 有馬 秀幸, 三原 唯暉, 山田 智祐, 井出 浩一郎, 渡 ...
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1130-1134
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:胸腰椎-腰椎手術を受けた患者の栄養状態をPrognostic Nutritional Index(PNI)で評価し合併症を調査した.

    対象と方法:2010年11月から2018年7月までに行われた胸腰椎-腰椎手術98例を対象とした(平均年齢64.7歳).PNIは血清Alb値(g/dl)×10+リンパ球数(/μL)×0.005で算出し50未満を不良群,50以上を正常群とした.患者背景,術中・周術期データ,合併症について比較しロジスティック回帰分析にて合併症の発生に関与する因子を検討した.

    結果:不良群43例,正常群55例であった.2群間で年齢(70.8±12.0 vs 59.9±17.3歳),在院日数(31.2±16.1 vs 21.6±12.6日),自宅退院率(67.4 vs 89.1%),内科的合併症(18.6% vs 0%)に有意差を生じた(p<0.05).ロジスティック回帰分析ではPNIは術後合併症のrisk factorであった(odds比2.971,95%信頼区間1.065~8.289).

    結語:PNI不良は周術期成績,合併症と関連があり,周術期合併症の予測因子となることが示唆された.

  • 川島 康輝, 石原 昌幸, 朴 正旭, 谷 陽一, 足立 崇, 串田 剛俊, 谷口 愼一郎, 齋藤 貴徳
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1135-1142
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形に対する側方経路椎体間固定(以下LIF)および経皮的椎弓根スクリュー(以下PPS)を用いたcircumferential Minimally Invasive Surgery(以下cMIS)での胸椎,腰仙椎部分における骨癒合過程を後ろ向きに検討した.

    対象と方法:2016年以降に当院でLIFと後方PPSで手術を行い術後2年以上経過観察可能であった脊柱変形患者60例(女性45例,男性15例)において胸椎及び腰仙椎部における骨癒合率,骨癒合形態及びrod折損率を評価し,また胸椎部における骨癒合の有無で患者背景や合併症発生率等を比較検討した.

    結果:骨癒合率は胸椎52%,腰仙椎は85%であった.胸椎部におけるスクリューの緩みは骨癒合不全群で有意に多かったがスクリューの脱転やPJK,ロッド折損等の有害事象の発生において有意差はなかった.

    結語:ASDに対するLIFとPPSを用いた胸椎部に骨移植を行わないcMISでは胸椎レベルにおいて骨癒合不全群であっても中期成績における有害事象の発生において有意差はなく臨床的に問題ないことが確認された.

  • 長本 行隆, 岩﨑 幹季, 武中 章太, 奥田 眞也, 松本 富哉, 髙橋 佳史, 古家 雅之, 海渡 貴司
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1143-1151
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形(ASD)に対する矯正固定術は良好な成績が報告されているが,体幹柔軟性低下や高い合併症率の問題があり,患者評価を把握しておくことが重要である.今回満足度を規定する因子について独自質問票を用いて調査した.

    対象と方法:対象はASDに対して矯正固定術を行い1年以上経過観察できた55例で,調査項目は,背景データ,手術データ,術前,最終時の画像パラメータ,最終時のSRS-22R,ODIとした.独自質問票を用い,腰背部痛,整容,バランス,食欲の4つの項目を5段階評価,体幹柔軟性に関する5種のADL評価,手術期待度,達成度,満足度も調査した.SRS-22Rのsatisfaction4.0で2群に分け多変量解析にて満足要因を抽出した.

    結果:82%が満足であった.術前期待が達成された場合95%で満足が得られたが,達成されないと55%に留まり有意差を認めた.満足要因として,腰背部痛の改善,ΔLL,ΔPTが同定された.

    結語:満足度に寄与したのは腰背部痛の改善,LLとPTの獲得であった.術前期待の達成も満足度に重要で,期待達成のために術前の患者理解が必須である.

  • 宮内 晃, 坂 信一, 寺山 弘志, 布施 好史, 高澤 晧文, 沖本 信和
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1152-1160
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:変性すべり合併腰部脊柱管狭窄症に対する低侵襲除圧の有効性と限界を除圧椎間と症状の変化,性別から検討した.

    対象と方法:変性すべり合併L4-5脊柱管狭窄症に顕微鏡視下除圧を施行し2年経過観察した76例を対象とした.検討項目をJOA score,VASによる腰痛と下肢症状,前・後屈,中間位でのすべり率,前・後屈すべり率の差(Δ% slip),および椎間可動域(ROM)とし,各項目の経過と性別の関連性を二元配置分散分析を用いて解析した.

    結果:再手術を6例に要し,その原因は除圧椎間の変性が4例,L3/4脊柱管狭窄が2例であった.その他の70例において,すべての検討項目で性別と術後経過に交互作用なく,JOA scoreは術後1年まで,腰痛と下肢症状は毎年改善した.すべりの進行は術後1年で停止し,Δ% slipは術前後を通じて変化を認めなかったが,ROMは減少傾向を認めた.

    結語:除圧後の臨床経過に性差なく,すべり進行は術後1年で停止し,症状は術後2年まで改善する.ただし,すべり進行停止までの1年前後は除圧椎間の変性進行に伴う症状再燃の危険性も高く注意を要する.

  • 奥田 哲教, 重松 英樹, 前川 尚宜, 増田 佳亮, 小西 浩允, 山本 雄介, 川崎 佐智子, 福島 英賢, 田中 康仁
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1161-1166
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:外傷性頚髄損傷に対する早期手術介入の効果について,近年24時間以内の早期手術介入の神経学的予後の改善についてコンセンサスが得られてきたが,受傷後何時間までの介入が良いかは未だ定かではない.改良Frankel分類A,Bの重症外傷性頚髄損傷に対する12時間以内の早期手術介入が神経学的予後,術後合併症に与える効果について検討した.

    対象と方法:手術加療を行った42例の重症外傷性頚髄損傷を対象とし,Frankel Aが35例,Bが7例であった.受傷後12時間以内に手術を施行した群を早期群,12時間以後に手術した群を晩期群とし,患者背景について2群間比較を行った.12時間以内の手術決定に影響を与える因子を交絡因子とし,傾向スコアを算出し,逆数重み付け法を用いて調整を行い,線形回帰モデルを用いて術後1ヶ月時点での神経学的予後の改善,ICU滞在日数,呼吸器合併症,心停止について解析した.

    結果:術後1ヶ月でのFrankel改善とneurological level of injuryの改善では有意差を認めなかった.術後ICU滞在日数と術後呼吸器合併症で有意差を認めたが,術後心停止では有意差を認めなかった.傾向スコアを用いた線形回帰分析ではFrankel改善に有意差を認めなかったが,有意に呼吸器合併と心停止が少なかった.ICU滞在については早期群で短い傾向にあった.

    結語:12時間以内の早期手術介入によって術後呼吸器障害・心停止の合併症を軽減できる.

  • 勝見 敬一, 渡辺 慶, 平野 徹, 大橋 正幸, 山崎 昭義, 溝内 龍樹, 石川 裕也, 佐藤 雅之, 和泉 智博, 川島 寛之
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1167-1173
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:我々はCTを用いた頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)の3次元画像解析を確立し,骨化進展危険因子を若年と肥満と報告した.本研究の目的は新たに骨代謝動態も調査し,骨化進展予測のバイオマーカー確立を検討することである.

    対象と方法:画像解析並びに骨代謝動態を調査したOPLL 44例(男性26例,女性18例,平均年齢61歳)を対象とした.3次元解析にて年毎増加率を算出し,骨代謝動態は通常項目に血清25(OH)D・血清iPTH・血清FGF-23・血清P1NP・血清TRACP-5b,骨形成抑制蛋白の血清Sclerostin・血清Dkk-1を調査した.先行研究でのOPLL椎弓形成術後の年毎増加率が7.5%であったため,8%以上を進展群,未満を非進展群とし関連因子を検討した.

    結果:単変量解析では年齢,BMI,血清P,血清TRACP-5bで有意差を認め,多変量解析では年齢のみ有意差を認めた.

    結語:骨化進展危険因子は若年と肥満に加え,低P血症と血清TRACP-5b低値が示唆された.共に骨代謝に深く関係する項目であり,日々の診療において容易に測定可能である.骨化進展の重要なバイオマーカーとなる可能性があり,今後も検討が必要である.

  • 渡邉 健人, 中村 豊, 金井 優宣, 浅野 聡
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1174-1180
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:ロコモティブシンドローム(ロコモ)の評価法であるロコモ度テストは移動能力とHRQOLの指標である.脊柱骨盤矢状面アライメント異常は健康関連QOL(HRQOL)の低下を引き起こす.骨粗鬆症患者の脊柱骨盤矢状面アライメントがロコモに及ぼす影響を明らかにすることを本研究の目的とした.

    対象と方法:対象は当院骨粗鬆症外来に来院し,ロコモ度テストと立位全脊柱側面X線撮影を行った原発性骨粗鬆症患者198名とした.脊柱骨盤矢状面アライメントのTK,TLK,LL,SS,PT,PI,SVA,PI-LLを計測し,ロコモに関連する脊柱骨盤矢状面アライメントの因子を検討した.

    結果:ロコモ度とTLK,PT,SVA,PI-LLが有意な正の相関,LL,SSが有意な負の相関を示した.目的変数をロコモ度としたステップワイズ法による多重ロジスティック回帰分析の結果,LLと年齢が関連する因子であった.

    結語:骨粗鬆症患者ではロコモが多く発生し,年齢が増加,脊柱骨盤矢状面アライメントが悪化していた.ロコモに関連する脊柱骨盤矢状面アライメントの因子はLLであった.

  • 上原 将志, 二木 俊匡, 池上 章太, 倉石 修吾, 大場 悠己, 滝沢 崇, 宗像 諒, 畠中 輝枝, 鎌仲 貴之, 宮岡 嘉就, 三村 ...
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1181-1187
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF:osteoporotic vertebral fracture)で遅発性神経障害を来した患者に対し,後方脊柱固定術に除圧術を併用するか議論がある.本研究の目的は,除圧術併用の意義について検討することである.

    対象と方法:2011年から2018年にOVFで遅発性神経障害をきたし,後方脊柱固定術を行った21例を対象とした.固定に除圧を追加した群を除圧群(n=10),追加しなかった群を非除圧群(n=11)として手術侵襲及び合併症,術後成績を比較検討した.

    結果:年齢および性別に両群の間に有意差は認められなかった.術前の硬膜管横断面積及び骨片占拠率も両群で有意差は認められなかった.手術時間は除圧群227分に対して非除圧群151分で除圧群の方が有意に長かった(P=0.02).出血量は,除圧群325 ml,非除圧群260 mlであった(P=0.26).術後改良Frankel分類は,両群全例でD2以上まで改善していた.

    結語:遅発性神経障害を伴うOVFに対する後方固定術において,神経症状の回復に強い関連がみられず除圧の意義は少ないと思われた.

  • 宮城島 一史, 石田 和宏, 対馬 栄輝, 百町 貴彦, 柳橋 寧, 安倍 雄一郎, 小甲 晃史
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1188-1193
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,腰椎椎間板ヘルニア(LDH)術後超早期の腰椎伸展運動の即時効果を調査することである.

    対象と方法:対象は,LDH摘出術を実施した32例とした.術後2~3日目に10分間の腰椎伸展運動(腹臥位での腰椎持続伸展保持)を実施した.

    結果:手術によりいずれの症例も症状は改善したが,更に10分間の腰椎伸展運動を行うことにより,腰痛・下肢痛・しびれのVAS(mm)は有意に改善した(腰痛27.7→17.8,下肢痛4.5→2.2,しびれ11.4→7.7,それぞれp<0.05).改善15例(46.9%),不変17例(53.1%)であり,悪化例は存在しなかった.10分間の腰椎伸展運動後,8例(25.0%)で腰痛が即時的に消失,3例(9.4%)で下肢痛・しびれが即時的に消失した.また,1例は下肢症状の範囲が即時的に縮小し,下腿後面と足部の痛みが足部の痛みのみとなった.患者満足度(VAS)は81 mmと良好であった.

    結語:術後超早期の腰椎伸展運動は,悪化例は存在せず,即時的な腰痛の軽減が得られ,安全かつ有効な理学療法であることを示唆した.

  • 瀬上 和之, 朝倉 智也, 國枝 裕介, 高橋 秀, 矢冨 健太郎, 神崎 浩二
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1194-1201
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:肺癌は非小細胞肺癌と小細胞肺癌に分類される.非小細胞肺癌が全肺癌の85~90%を占め,脊椎への転移が多く溶骨性転移である.このため転移性脊椎腫瘍への治療は骨関連事象の発生予防が重要である.また,非小細胞肺癌治療は分子標的薬の登場で大きく変化した.今回,分子標的薬を中心に集学的治療の非小細胞癌転移性脊椎腫瘍に対する効果について報告する.

    対象と方法:2016年1月~2020年5月に非小細胞肺癌転移性脊椎腫瘍への治療を行なった27例(男性16例,女性11例,平均年齢70.3歳)を対象とした.組織別では腺癌21例,大細胞癌1例,扁平上皮癌5例であった.治療法ごとでグループ分類し,脊椎転移部位の画像変化と骨関連事象の有無について検討した.

    結果:脊椎転移部は85.2%が溶骨性転移であり,治療開始時において骨関連事象は85.2%に認めた.分子標的薬を使用したグループでは全例が治療開始後3ヶ月で顕著な骨形成を認め,経過中新規の骨関連事象の発生は認めなかった.

    結語:分子標的薬は脊椎転移部位において腫瘍の増殖を抑制し,この作用が骨関連事象の新たな発生を予防できた一因と考えられた.

  • 上田 修平, 樽角 清志
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1202-1209
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:高度に圧潰した骨粗鬆性椎体骨折に対する椎体形成術や後方固定術では,術後矯正損失に伴うインプラント脱転など合併症が問題となる.また,80歳を超える超高齢者に対する骨切り術や前方手術は侵襲が大きく選択しづらい.そこでわれわれは,術後矯正損失を見越して意図的に骨折椎体を潰した後弯位で固定するため,側臥位前屈位でロッド締結する手術を行ってきた.

    対象と方法:80歳以上高齢者で高度圧潰のため椎体形成が行えず,仰臥位と坐位側面Xp像で25°~30°以上の局所不安定性を認めた4例(全例女性)を対象とした.方法は,オープンでスクリューを挿入した後に創部を仮閉創し,右側臥位に体位変換し許す限り前屈位でロッドを締結した.

    結果:全例で術後6ヶ月時点の腰背部痛VAS:0 mmであり,軽介助で独歩外出していた.術後6ヶ月時点で1例は骨癒合し3例でスクリューのゆるみを認めたが脱転や愁訴の訴えはなかった.

    結語:意図的に後弯を作成することで矯正損失によって起こる様々な問題を防ぎ良好な短期成績を得ることができた.適応を選べば有用な術式である可能性があると思われた.

  • 葉 清規, 対馬 栄輝, 大石 陽介, 村瀬 正昭, 松田 陽子
    2021 年 12 巻 9 号 p. 1210-1217
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,OVFに対するBKP術後患者の術前から術後1年後のHRQOLの変化と,術後1年後のHRQOLに関連する因子を調査することである.

    対象と方法:OVFに対してBKPを施行した48例を対象とした.術前および術後1年後のSF-8の各尺度を国民標準値と比較し,その治療経過を差の検定で解析した.また,術後1年後のSF-8を従属変数,各評価項目(年齢,性別,罹病期間,入院期間,リハビリ通院の有無,続発性骨折の有無,術後1年後の腰背部痛VAS,FIM,歩行レベル,ロコチェック,脊椎骨盤アライメント)を独立変数とし,その関連を重回帰分析で解析した.

    結果:SF-8は,術後1年後に有意な改善がみられ,精神面の尺度は国民標準値以上の症例数が増加し,身体面の尺度は多くの症例が国民標準値を下回っていた.術後1年後の歩行レベルと腰背部痛VASが多くのSF-8尺度に関連していた.

    結語:BKP術後1年後にHRQOLは改善が得られ,術後1年後の歩行レベルと腰背部痛の強度が関連していた.腰背部痛の軽減,より高い歩行能力を獲得することで,HRQOLのさらなる改善が得られる可能性がある.

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